ステンドグラス紀行シリーズVol.8は、

慶應義塾大学 旧図書館のステンドグラスです。

 

 

本図書館はもともと創立50年目の明治40年に建設。

同46年に開館した後、大正4年に踊り場部分に追加されたものです。

 

高さは6.45m、幅2.61mという大型のもの。

 

原画を描いたのは、洋画家の和田英作。

この和田氏は慶応大学と結びつきがあるみたいで、

確か同大学の演説にある福沢諭吉の肖像画の原画も、

手掛けていたはずです。

 

 

さて、このステンドグラス、モチーフは甲冑姿の侍です。

 

若い学生が集う大学の図書館のステンドグラスのテーマとしては意外ですが、

慶應らしさはステンドグラスの下部のラテン語に現れています。

Calamvs Gladio Fortior(ペンは剣よりも強し)の文字が書かれているのだとか。



オリジナルは小川三知の作らしいのですが、

実は空襲で焼失してしまい、現在あるのはお弟子さんの大竹龍蔵氏が

残された原画をもとに復刻されたもの。

 

 

師匠同様、アメリカから原材料を取り寄せるほどの念の入れ方だったそうです。

 

 

実はこの写真、以前訪れた際に何げなく撮影したもので、

ステンドグラスをきっちり撮ろうという意図もなく、画像はよくないのですが、

今は改修工事のため旧図書館は閉鎖。

現在中は見られないはずなので。

 

 

 

 

モチーフは、西洋文化と日本の融合といったところでしょうか。

 

鎧部分はかなり細かく模様がつけられています。

写真では見えにくいですが、周りを取り囲む植物模様のような意匠部分だけが

教会のステンドグラス風でした。

 

庭に咲いているのも、竹と西洋風の草花で、和と洋のイメージです。

 

大正期の作品にしては時代がかっていますが、同時に気概を感じさせもします。

 

 

 

 

これが工事前の旧図書館。

 

 

 

 

そして慶応気分を味わうには、山食のカレーをどうぞ。

 

 

 

キャンパス内ほかの食堂のカレーは

普通のお皿のはずなので。

 

 

 

 

キャンパスにはほかにも朝倉文雄の彫刻や、

あれこれ美術品があります。以下ご参考まで。

 

==> 

慶応三田キャンパスの美術品 イサムノグチ、猪熊弦一郎

慶応義塾大学 三田キャンパスの演説館と山食カレー

 

 

関連:

ステンドグラス紀行8:慶應義塾大学 旧図書館

ステンドグラス紀行7:鳩山会館(バラと鳩とステンドグラス)

ステンドグラス紀行6:成城の旧山田家住宅

ステンドグラス紀行5:名匠の作品が見られる穴場・黒沢ビル

ステンドグラス紀行4:国立科学博物館

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本記事の参考文献:https://www.keio.ac.jp/ja/contents/stained_glass/2009/261.html