ステンドグラス・ハンティングの続きです。

 

前回触れた通り、都内某所の意外な場所に、小川三知氏作の

見事なステンドグラスを有した登録有形文化財があります。

 

入り口にはさっそくステンドグラス。

なかなか手の込んだ作品であることがわかります。

 

中に入ってじっくり鑑賞することに。

 

 

 

 

まず入り口頭上には2つのステンドグラス。

 

内側の方は、上品なバラ模様。

外側の太い木枠の中に溶け込んで、落ち着いた色合いで好ましいです。

 

 

 

 

かと思えば外側のステンドグラスは打って変わって日章旗のような様相で、

昭和初期という時代を感じさせます。

 

太陽の光のグラデーションの微妙な色合いと、

しだれるような葉っぱの勢い、ニワトリの生命観など

生き生きとした作品。

 

 

 

 

 

入ってすぐ左手には彫刻とともにやはりステンドグラス。

最初のバラの作品と似たような落ち着いた色合い。

 

一部彫刻で隠れてしまってもったいないけれど。

 

 

 

中には入れない部屋に通じるドアは、外側から見る限り

白梅のよう。

 

 

 

こちらはドアの中央にステンドグラス。

どこにどんなステンドグラスが埋め込まれているのか、宝さがしのようにわくわくと進みます。

 

 

 

 

ガラスだけでなく、建築全体も凝っていて、

階段や洗面台のフォルムもしかり。

一癖も二癖もある意匠です。

 

 

 

 

ただし、このビル、現役で使用されていて、

中にテナントが入っているのです。

 

外廊下部分だけしか見ることはできません。

 

概観はこんな感じ。

 

外見はやや変わった形ではあるものの、

高層でもなく、くすんだ色合い。

 

前を通りかかっても、こんなお宝のビルだとは気づくことなく素通りするでしょう。

ビル群の中に、地味にひっそりと建っていました。

 

 

 

 

さて、その場所ですが、不忍池のすぐそばです。

最寄り駅は湯島駅。

不忍池からだと、正面の出口を出て、道を渡って次の道を左に折れるとあります。

 

名称は黒沢ビル。

知る人ぞ知る、昭和初期のスタイルを伝える貴重な建造物であるそうです。


 

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