つい先日のことですが、ステンドグラスの第一人者と言われた

小川三知氏のしっとりとした極上のステンドグラス作品が都内のあちこちにあることを

知りました。

 

 

小川三知氏のステンドグラスといってもピンとこないかもしれませんが、

何気なく目にしている人も多いはず。

 

東京国立科学博物館の白壁に生える、

カラフルな嵌めガラス、あれが小川氏の作品なのです。

 

とはいっても、いわゆる工房作制作で、

お弟子さんが参画している由。

純粋な小川作品というわけではなさそう。

 

しかも意匠は、建築家の伊東忠太が手掛けたそうです。

築地本願寺を手掛けた伊東忠太は、森美術館の「建築の日本」展でも

多くのスペースを割いて説明されていました。

伊東氏が生まれたのは慶応3年10月26日(1867年11月21日)

大政奉還は慶応3年10月14日(1867年11月9 日)です。

 

新しい時代の幕開けと同時に生を受けたと言えますね。

 

 

さて、ステンドグラスに話を戻して、

まずはその国立科学博物館の作品を思い出してみることにします。

 

以下すべて科博の風景:

 

 

頭上のヴォールトには彩の美しいステンドグラス。

 

 

 

天井と4つの壁面上方にステンドグラスがはめ込まれています。

 

 

 

先日黒沢ビルで見た落ち着いた作風のステンドグラスに比べると、

画風はずいぶん違います。

 

こちらはポップな色使いで楽しい作品ですね。

意匠を手掛けたのが小川氏自身でないことによる相違でしょうか。

 

 

 

向き合う鳳凰のように見えます。

 

 

 

 

 

アップで見ると、表情がなかなかお茶目です。

鳳凰というと、いかめしいイメージがありますが、

堅苦しさを排除した明快な構図・図案です。

 

 

 

 

蔦が絡まるようなアールヌーヴォー的な曲線使いが多いですね。

 

 

 

 

緑色一つとっても微妙なグラデーションが配されています。

 

 

 

軽い色使いのこちらは、空色が印象的。

遠めだと図案がよくわかりませんけれど。

(こちらは以前たまたま撮った写真なのでピンボケですが。)

 

 

 

クローズアップ。

鳳凰らしきものが写っていました。

 

 

 

 

ついでながら、こちらは階段も素敵です。

やはり曲線の妙といった感じです。

 

 

 

打って変わってこちらはアールデコ風。

 

 

 

茶色いタイル壁が目立つ東京国立博物館とは違い、

白亜の壁なので、ステンドグラスが映えることこの上ないです。

 

 

こうしたステンドグラスや階段など、建築関係の詳しい解説

は見当たらないのですが、かろうじてこんな説明は出ていました。

 

 

 

 

建物は上から見ると飛行機の形をしている、

とはいえ上から見る機会がないので、面白みを味わうことができないのが残念です。

 

 

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