津山市を中心に岡山県北部の6つのエリアで開催されている「森の芸術祭 晴れの国・岡山」を観に行ってきました。
まずは朝一、奈義/奈義町現代美術館周辺エリアから鑑賞開始。
昨日は台風崩れの雨でしたが、今日はいい天気、晴れの国・岡山です。
奈義町現代美術館の背後には、ちょうど昨年の今頃登った那岐山がきれいに見えています。
N13-a まっさかさまの自然 レアンドロ・エルリッヒ
着いたとき、奈義町現代美術館はまだ開館していなかったため、その向かいにある屋内ゲートボール場の作品を先に鑑賞。
今回の芸術祭で最も楽しみにしていた作品です。
針葉樹の森の上を渡る吊り橋のようですが、吊り橋の下の木々は天井から逆さに吊り下げられた木々が橋のすぐ下に張られた鏡に映されたもの。
なのに橋の下を覗き込むとなぜか浮遊感があり、ぞわぞわします。
金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」や越後妻有里山現代美術館 MonETの「Palimpsest: 空の池」などと同様、レアンドロ・エルリッヒさんお得意の反転術式にやられました。
N12-b 昨日の空を思い出す AKI INOMATA
そして美術館へ。
こちらの作品はグラスに注がれた水の中に3Dプリンターを使って前日の雲を再現するというものだそうで、その実演もされていました。
そこに現実の空と雲も映りこんでいるさまがまた面白い。
N12-e TIME-déluge 坂本龍一+高谷史郎
常設展示である「大地の部屋」には、坂本龍一さんが構想し、高谷史郎さんがビジュアルを担当した舞台作品「TIME」に基づいた映像と音によるインスタレーション作品が展開されており、手前にある宮脇愛子さんの常設展示作品「うつろひ-a moment of movement」と共鳴していました。
奈義町現代美術館には「大地の部屋」のほかに「太陽の部屋」と「月の部屋」がありますが、今日は三連休の中日ということで人が多すぎて落ち着いて鑑賞できず。
これらの部屋をじっくり楽しみたいなら平日に来館したほうがよさそうです。
奈義エリアの作品を鑑賞した後は、津山/津山場周辺エリアへ移動。
津山城の東側のエリアにあるこちらの建物は大正9年に建てられたPORT ART & DESIGN TSUYAMA(旧妹尾銀行林田支店)。
県の重要文化財だそうです。
T8-b 志村信裕
こちらには天井に光を反射しながら漂うビーズを映したこの作品や、
T8-a パオラ・ベザーナ
様々な「織り」の作品が展示されていましたが、趣のある空間を生かした展示が印象的でした。
同じく津山城の東側のエリアにある城東むかし町家(旧梶村邸)は、かなり立派な町家で、町家見学をするだけでも楽しめます。
T9-b 風土 片桐功敦
こちらには3つの作品が展開されていましたが、土間に展開されていたこの作品がとてもよかったです。
津山市産の小麦を大量に使用したこの作品の作者は華道家だそうですが、華道の美意識が現れているような気がします。
入口には周辺で採取された植物を用いたいけばなも飾られていましたが、これは綿花のようですね。
斬新ないけ方です。
続いては津山城の北にある津山藩の大名庭園、衆楽園へ。
かなり広い池泉廻遊式庭園です。
T7-a 微睡みを 加藤萌
庭園の奥にある余芳閣・迎賓館の二階にはこの作品とほか2作品が展示されており、
T7-e 無題2024(水を求めて森を探す) リクリット・ティラヴァニ
一階には暖簾の作品。
この暖簾で仕切られた座敷で特製のお弁当を食するということも含めての作品のようですが、お弁当は要予約だそうです。
暖簾の作品は庭園内の別の建物の中にもありました。
そして津山城の西側のエリアへ。
こちらの洋館は作州民芸館。
T3-a 幸福 スミッタ・G・S
こちらには絵画の作品が多かったですが、特にこの作品の色使いが印象的でした。
T3-d 意味を失うことについて ムハンナド・ショノ
5つの脚を持つロボットがランダムに動き、砂の上に文様を描きそして上書きしていくという、ちょっと毛色の異なる作品もありました。
同じく津山城の西側のエリアにある城西浪漫館(中島病院旧本館)。
T2-a 森林浴 ビアンカ・ボンディ
こちらの展示作品の中で圧倒的だったのはこの作品。
元病院の建物ということで、「森林医学」に着目した作品だそうですが、部屋が草や苔に侵食されているようにも見えますし、部屋の中に緑が溶け込んでいるようにも見えます。
部屋の中なのに草のにおいや苔の湿り気を感じ、タイトルどおり森林浴をしているような感覚が少し芽生えます。
津山城にも作品がありました。
津山城は春は桜の名所ですが、桜の木にはもう葉がなく、冬のような景色になっていました。
天守台の石垣に埋もれるハートの石。
「愛の奇石」などとも呼ばれ、最近注目されているスポットだそうです。
T6-a 竹の鼓動 アシム・ワキフ
芸術祭の作品は、二の丸の北側に展示されていました。
竹を組み上げ、編み込んだ大きな作品ですが、内部にもはいれるようになっており、竹を叩いて音を奏でることもできるようになっています。
T4-a 危機的な現存 ソフィア・クレスポ
津山城の表門前にあるつやま自然のふしぎ館には、生成AIを利用して絶滅危惧種のイメージの生成を試みたこの作品。
なかなか奇妙な映像ですが、1963年開館という昭和レトロ感漂う館内、そして圧倒的な数の世界の生物のはく製のインパクトの方が強烈でした。
本日最後はJR津山駅の南西にある津山まなびの鉄道館。
T1-a 息づかい キムスージャ
こちらでは、扇形機関車庫の窓ガラスに特殊なフィルムに外から光が差し込むことにより、虹色の光が機関車庫内、そして機関車に映り込むという作品が展示されていました。
この展示のため、何両かの機関車、車両が対比させられており、床面に虹色の光が広がり、漆黒のD-51も、部分的に虹色に輝いています。
閉館時刻を勘違いしていて、16時の閉館ギリギリ、駆け込みでの鑑賞になってしまったのですが、西日がだいぶ傾いていた分、虹色の光がかなり長い帯となって差し込んでいたので、むしろ一番いいタイミングで鑑賞できたように思います。
外側から窓を見ると、このような感じ。
大きな機関車庫を丸ごと使うとても贅沢な作品でした。
(2) へつづく...