海上自衛隊のディーゼル潜水艦「たつなみ」は,ディーゼル潜水艦「やまなみ」が未確認の潜水艦に衝突したのをソナーで察知したが,「やまなみ」は救難信号を出すことなく沈没していった。

 

 

 「やまなみ」は艦長・海江田四郎(大沢たかお)をはじめ乗組員72名が全員死亡したと発表されたが,「たつなみ」艦長・深町洋(玉木宏)は,海江田の類い希なる操艦技術と遺体を確認したのがアメリカ海軍だけという点に疑問を持ち,事故当時のソナー音声をソナーマン・南波栄一(ユースケ・サンタマリア)らと共に再検証した。

 するとノイズ交じりの音声のなかに事故発生の直前に潜水艦のハッチが開けられた音があることに気づく。

 

 その事故は偽装であり,海江田はデビット・ライアン大佐の同行のもと「シーバット」の初の試験航海へと出発していた。

 

 

 「シーパット」計画とは,極秘裏に建造した日本初の原子力潜水艦「シーバット」に核ミサイルを搭載し,所属はあくまでも米軍とすることで「非核三原則」の適用外とするものであった。

 海江田と「やまなみ」乗組員全員は「シーバット」乗組員として選ばれ,米軍の協力を得て「やまなみ」の沈没事故を偽装して脱出し,全員死亡したことにして存在自体がトップシークレットである「シーバット」に配属されたのだった。

 

 「シーバット」の航海は順調に進み目的地であるアメリカ海軍の原子力潜水艦「キーウェスト」との合流地点に到着したが,海江田はソナーマンの溝口拓男(前原滉)に周囲を探索させ,他にも2隻の原子力潜水艦「オクラホマシティ」「ナッシュビル」が潜んでいることを探知すると,音響魚雷を発射し,アメリカ海軍の原子力潜水艦のソナーが麻痺している間に「シーバット」をアメリカ海軍の管理下から脱走させた。

 

 「シーバット」の突然の脱走に日本政府は,書類上ではアメリカ軍の所属である「シーバット」に日本政府が関与していることの発覚を恐れ,深町に自衛隊にアメリカ海軍よりも先に「シーバット」を捕らえるよう指示した。

 

 深町は,海江田が小笠原諸島を南下してマリアナ海溝に向かうと予測して「たつなみ」を出航させる。

 

 一方,アメリカ合衆国大統領は「シーバット」の捕獲もしくは撃沈を命じ,アメリカ海軍太平洋第7艦隊の全艦を出動させる。

 

 「シーバット」は海江田の操艦技術により,自衛隊とアメリカ海軍の追跡を振り切り,あえて第7艦隊が待ち構えるフィリピン沖に浮上させ,すでに「シーバット」には核弾頭を搭載したトマホーク対艦ミサイルが搭載されていることを明かす。

 

 そして「シーバット」のアメリカ海軍からの離脱と海江田を国家元首とする独立軍事国家「やまと」の建国を宣言した。

 

 

 「やまと」への乗艦を許された深町から真意を問われた海江田は「「やまと」によって地球をひとつの国家とする,それがこの世界から戦争をなくす唯一の方法だ」と答える。

 

 

 アメリカ大統領は「やまと」を正式に敵艦と認定し,第7艦隊に撃沈を命じたが,「やまと」は魚雷などの兵器を一切使わずにアメリカ潜水艦を撃退してみせる。

 

 

 

かわぐちかいじ原作漫画の実写化

 映画の終了後には,思わず「え,こんだけ?」と言ってしまいそうになったほど序盤だけであり,当然,「キングタム」みたいに今後,続編が制作されるのだろうと思っていた。

 

 ところが,なんと続編はアマプラ・・・

 しかも,続編の方はミサイルもバンバン撃って楽しそう。

 

 アマプラの予告編みたいな映画を金取って見せるというのは,いくらなんでもひどくはないだろうか。

 

 

 

 

 昭和63年,ジャズピアニスト志望の博(池松壮亮)は,師匠である宅見(佐野史郎)から経験を積んだ方が良いと言われ,銀座のキャバレーで仮面を付けてピアノを弾いていた。

 

 

 

 

 そのとき,謎の男(森田剛)からのリクエストで「ゴッドファーザー愛のテーマ」を弾く。

 

 

 博は知らなかったが,当時,その曲を銀座でリクエストできるのはヤクザの親分,熊野会長(松尾貴史)だけで,演奏を許されているのも会長お気に入りのピアニスト,南(池松壮亮,二役)だけだった。

 

 

 一方,南はその座に安住して演奏を続けることに疑問や不安も感じていた。

 

 

 そんな生活では,いつか落ちぶれ果ててしまうという未来も想像していたのだ。

 そうならないために海外に留学し,本格的に音楽家としての道を歩むことも考えていたが,熊野を裏切ることへの畏れもあった。

 

 博は熊野の手下が,自分を探していることを知り逃げ回るが,仮面を付けて演奏していたことから何とかごまかせるのではないかとも思っていた。

 

 

 そもそも謎の男が博に「ゴッドファーザー愛のテーマ」を弾かせたのは,熊野に対する挑発であり,彼は熊野の命を狙っていた。

 

 

 博が熊野の手下に見つかる直前,謎の男は熊野を殺す。

 

 南は未来の博であり,博の様々な未来が同時に混在する。

 

 

 

 ピアニスト南博の自伝の映画化ということだが,普通に進むストーリーと,現在と未来,あるいは未来と過去,更には実際にあったこととあり得たことが混在して描かれている。

 

 仲里依紗が博の先輩のピアニスト役で出ているので鑑賞したが,最初からこういう映画だということが分かっていないと,何が何だか分からなくなる。

 

 

 演奏シーンは,南博本人の他,クリスタル・ケイなどが参加していて,とても良いのだが,南博の自己満足に付き合わされた感がある。

 

 

 

 

 

 

 広島に観光に訪れていた久能整(菅田将暉)は,狩集汐路(原菜乃華)という少女からボディガードを依頼される。

 

 

 久能は困惑するが,犬堂我路(永山瑛太)の紹介だと聞き,興味を惹かれているうちに狩集家の遺言書公開の場に連れてこられてしまう。

 

 

 狩集家の顧問税理士の真壁軍司(角野卓造)と顧問弁護士の車坂義家(段田安則)によると,汐路の祖父・狩集幸長の遺言書には相続を受ける息子と娘の世代が全員死亡したため次の当主は孫の世代から1人を選ぶと書かれていた。

 

 

 そして4人の候補者それぞれに狩集家の蔵の鍵が渡され「『それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ』というなぞかけの言葉を解き明かした者に相続が行われる」という条件が書かれていた。

 

 汐路は「狩集家では遺産相続時に必ず揉め事が起こり人が死ぬ」と言う祖父から聞かされたジンクスを語り,彼女は8年前に自身の父である弥(滝藤賢一)が3人の兄弟と共に自動車事故で死亡したのも遺産相続の揉め事が原因であると信じていた。

 

 

 久能は余計な問題が起きないように遺産相続候補者である理紀之助(町田啓太),波々壁新音(萩原利久),赤峰ゆら(柴咲コウ)に汐路との話し合うように勧めるが,誰も承諾しなかった。

 

 久能と汐路は,彼女に似割当てられた蔵を捜索し,9体の「日本人形」を発見する。

 久能は,日本人形の着物の柄から人形が1年の各月を指していることに気づき,12ヶ月を揃えるためには「牡丹」「菊」「桜」が足りないことを指摘する。

 

 汐路の蔵を見せることを条件として新音の蔵を覗いた久能たちは,新音の部屋には本物と偽造された物が対となった「有田焼」が大量にあることを知る。

 

 

 蔵へと向かう途中に汐路の頭上から植木鉢が落とされ,夜には何者かが階段に油を撒いたことで汐路と新音は階段から落下する。

 大事には至らなかったが,不穏な空気が立ち込める中,ゆらが自分に割り当てられた座敷牢のある蔵に閉じ込められる。

 

 彼女の夫の一平(野間口徹)と理紀之助がゆらを救い出したが,理紀之助にはアリバイがなく,無実を証明するために彼は自身の蔵を見せることになった。

 

 

 理紀之助の蔵には,多数の血のついた日本刀が置かれていたが,他に情報はなく4人の候補者は疑心暗鬼に陥り始める。

 

 久能は,植木鉢も階段に塗られた油も,ゆらを閉じ込めた犯人も汐路であることを見抜いており,彼女にそれ以上のことをしないように忠告する。

 

 汐路は父の弥が運転する車の事故によって理紀之助,新音,ゆらの父親や母親が死亡したことを長い年月にわたって責められていた。

 警察が事故の原因を居眠り運転による事故だと発表したため,汐路は,父の居眠り運転ではなく,遺産相続上のトラブルでの殺人だったと信じることで精神の安定を保っていたのだ。

 彼女は,遺産相続の競争中に殺人事件やそれに近い事故が起こることでより信憑性が上がると考えた。

 

 彼女の抱えた強いトラウマの存在を知った理紀之助と新音とゆらは,彼女を許し協力してなぞ解きをすることにする。

 

 久能は,事件がひと段落したと判断して東京に帰ろうとしたが,コインランドリーからの帰路に何者かに車で轢かれそうになった上に,狩集家の代々の家族写真を見たことでまだ解決しなければならない問題があると考える。

 

 4人の候補者と汐路の初恋の相手であり車坂義家の孫である朝晴(松下洸平)を呼び出した久能は,遺産相続時のトラブルで亡くなった過去の狩集家の人間が全員天然パーマで色白だったと言い出す。

 

 

 5人は久能の言葉を最初は冗談だと思ったが,狩集家には稀にその条件を満たした子どもが生まれ,必ず弥のように老衰や病気ではない理由で死亡していると分かる。

 久能は,轢き殺されかけた恨みから弥の死亡事故について調査を始め,生前に弥が,同じ特徴を持つ兄弟と狩集家と死の謎を調べ,それらをUSBメモリに保管していたことを突き止めるが,そのUSBメモリを見つけることはできなかった。

 

 狩集家の真相を知り,その物語を舞台の脚本として用いた男性が自殺したことを知った久能は,その舞台の物語を汐路たちに見せる。

 その内容は,戦後の動乱期に1人の鬼と2人の従者が,本当の狩集家の人間を皆殺しにした上で「狩集」という苗字を乗っ取り大成したというものだった。

 

 汐路たちは死体を埋めた場所とされる蔵の地下で夥しいほどの人骨を発見し,その物語が事実であることを知ってしまう。

 さらに物語では、少女を1人逃がしてしまった鬼は,自身が偽物の狩集家であると露見しないように自身と同じ特徴を持った子孫を殺害するように2人の従者と誓ったと語られていた。

 

 久能たちは,真実を知った弥を,現代でも鬼のルールを忠実に実行する一族の誰かが殺害していたのだと知る。

 

 喫茶店に集合した久能と4人の候補者と朝晴は,本当の狩集家の末裔を発見した弥が,その情報をUSBメモリに保管していたと推測する。

 

 朝晴が帰宅した後,新音が飲み物をこぼす現場を見た汐路は,かつて自分が弥と最後に会った日に苛立ちからジュースを弥にこぼしたことを思い出す。

 その話を聞いた久能はUSBメモリの場所に勘付き,関係者全員にそのことを共有するようにと汐路に言う。

 

 USBメモリの場所が厳島神社の鳥居付近にあることを知った犯人は,データを読み出し本当の狩集家の末裔の居処を知る。

 本当の狩集家の末裔の家を訪れた犯人はそこに火を放とうとするが,駆け付けた刑事たちによって取り押さえられた。

 

 そしてその場に現れた久能たちは,犯人であった朝晴に偽造した嘘のUSBメモリを掴ませていたことを伝える。

 代々狩集家の顧問税理士を務めてきた真壁家と顧問弁護士の車坂家は,従者として鬼のルールを厳格に守り続け,謎に近づく者と天然パーマかつ色白である狩集家の人間を殺害してきた。

 久能は,言葉の節々の違和感から朝晴を警戒し,汐路が弥との最後の日にこぼしたジュースこそが,弥を死に追いやった睡眠薬入りのものであることに気づき,汐路とともに朝晴を罠にかけたのだった。

 

 朝晴は,遺産相続の場でなぞ解きを使い,4人の候補者に「本当の狩集家の末裔」を見つけ出させた上で始末しようと考えていたことを告白する。

 そして口止めに現れた真壁軍司と車坂義家の制止を無視して,2人が謎を知った脚本家を殺害したことを明かす。

 警察に連行されていくとき,朝晴が「幼い汐路が弥の行動を全て教えてくれたおかげで弥を殺害できた」と言い残したせいで汐路は強いショックを受ける。

 

 久能は,悲嘆に暮れる汐路を慰めようとして4人の候補者にアメジストドームに隠されていた弥のUSBメモリを渡し「本当の狩集家の末裔」のもとを訪問する。

 アメジストドームをはじめ,石を用いたアクセサリーを作るその女性は,生前に弥の訪問を受け,正統な後継者として日本人形を貰ったことや,鬼のルールの存在を自分たちが終わらせるという約束を受けたことを語る。

 

 そして女性は汐路たち4人にそれぞれの親から注文を受けた性格に合った石を使ったパワーブレスレットを渡す。

 

 弥が我路と知り合いだったことから大隣警察署にも事件の報せが届き,またも事件の場にいた整の存在に刑事一同は驚愕する。

 

 

 

 

 

 人気俳優を集めて作られた人気テレビシリーズの映画版。

 ヒロインの原菜乃華は朝ドラの主演も期待されている。

 

 

 桜庭一樹が「赤朽葉家の伝説」を書いたときに横溝正史の「八つ墓村」や「犬神家の一族」の世界観への憧れを力説していたが,おそらくこの話もそういう線上にあるのだと思う。

 

 しかし,平家の落人まで遡れとは言わないものの,終戦直後(第二次世界大戦だよね,応仁の乱とかじゃなくて)の混乱期に「鬼」?っていうのはとても納得できない。

 せめて戦時中の軍の秘密研究とか,そこまでくらい言ってもらわないと。

 

 ストレートヘアーに憧れるという久能のおなじみのネタに引っかけているんだろうけど,天然パーマと色白で正体がばれることを恐れるという発想もついて行けない。

 

 脚本は「例の人」なんだけど,原作はどんな感じなんだろう。

 

 

 

 新宿ゴールデン街三番街にあるバー「カールモール」のバーテン石破マリコ(伊藤沙莉)のもう一つの顔は探偵である。

 

 

 主な仕事は人捜しであり,例えばラブホテルでバイトしている戸塚(北村有起哉)から5年前に出て行った娘・瑞樹(藤松祥子)の捜索を依頼されている。

 

 

 ある日,マリコはFBIから宇宙人探しを頼まれる。

 

 

 捕まえた宇宙人を誰かに連れ去られたというのだ。

 

 

 マリコは恋人である自称忍者のMASAYA(竹野内豊)に協力してもらって宇宙人というか,宇宙人を連れ去った男を捜す。

 

 

 MASAYAは伊賀麻績新陰服部流の後継者であり,忍術道場を開いているが生活は貧しく,日常的に職務質問を受けている。

 

 

 ホストの星矢(高野洸)に恋しているキャバ嬢の絢香(久保史緒里)は売上No.1を目指す星矢の夢を叶えるため,街中でふと見かけた500万円の懸賞金がかけられた連続殺人鬼・南部(松浦祐也)の捜索をマリコに依頼するが,宇宙人捜しで手一杯な彼女はその依頼を断る。

 仕方なく絢香は自分で連続殺人鬼捜しをするが,彼女を金づるとしか見ていないと思われた星矢は意外なことに絢香を愛していた。

 

 

 一方,マリコに娘捜しを依頼した戸塚にはヤクザ時代「殺しの戸塚」と呼ばれていた過去があり,彼は現役の弟分から鉄砲玉として組長の殺害を命じられていた。

 

 歌舞伎町には幼い頃から父親に殺人マシーンとして育てられた小金井茂美(中原果南)と貞美(島田桃依)という姉妹がいた。

 このふたりの姉妹げんかのとばっちりで絢香と戸塚の問題は何となく解決してしまう。

 

 マリコには暴力を振るうヤクザの父親がいたが,彼女は15年前,まだ子どもだった頃に,その父親を殺してしまったという過去があった。

 

 宇宙人を連れ去ったのは天本秀樹(宇野祥平)という研究者だった。

 彼はその宇宙人を仲間の元に返そうとしていた。

 

 マリコは天本を探し出したが,特殊部隊を率いるFBIと宇宙人を捕獲して中国に売りつけようと企むヤクザの手も迫っていた。

 

 

 しかし歌舞伎町の空を超大型の宇宙船が覆いつくし,天本と宇宙人はUFOに乗って星へ帰って行く。

 

 マリコにはいつもの日常が戻り,忍者修行をしてるMASAYAはいつものように不審者として警察に連行され,そしてバーに新たな依頼をもって不思議な外国人がやってくる。

 

 

 

 

 伊藤沙莉が探偵役をやると聞けば,名作の期待しかないが,なぜ宇宙人捜しになるのだろうか。

 

 宇宙人以外のオムニバスの内容は,オーソドックスな探偵物のサブストーリーとして悪くないのに残念としか言いようがない。

 

 「宇宙人のあいつ」といい,伊藤沙莉と宇宙人はどうも相性が悪いようだ。

 

 タイトルの「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」というのは,宇宙船が来た日のことなのだろうか。

 父親を殺してしまった日に比べれば,それほど悪くない日のようにも思えるのだが。

 

 

 

 江戸時代後期,越後の小藩・丹生山(にぶやま)藩は古くから地元の名産品・塩引き鮭で栄えてきた藩であり,藩の鮭役人,間垣作兵衛(小日向文世)の息子として育った小四郎(神木隆之介)は鮭売りをしていた。

 実は小四郎は作兵衛の実子ではなく,丹生山藩12代目藩主・一狐斎(佐藤浩市)の子だった。

 

 一狐斎の長男は落馬で早世し,次男・新次郎(松山ケンイチ)はうつけ者,三男・喜三郎(桜田通)は病弱であり,家督を継がせるには心もとない者ばかりだったが,一狐斎は,かつて奉公をしていた間垣なつ(宮崎あおい)に産ませた妾腹の四男・小四郎を作兵衛に預けていたことを思い出し,次期藩主として急遽白羽の矢を立てた。

 

 

 江戸の藩屋敷に連れてこられた小四郎は一狐斎から家督を譲り,自分は隠居すると告げられる。

 

 

 こうして松平小四郎は,庶民から一国の殿様になったが,早速幕府から呼び出され,藩から幕府への献上金が支払われていないと叱責される。

 

 

 小四郎が藩の帳簿を確認したところ,石高3万石の丹生山藩は,25万両(現代の金額で100憶円)ものの莫大な借金を抱えているという事実を知る。

 

 

 小四郎は一狐斎に問い質したが,風流人として優雅な隠居暮らしを送る一狐斎は「策はある」とだけ告げる。

 

 

 この策とは計画倒産であり,藩のお取り潰しと引き換えに借金を踏み倒すというものだった。

 その場合,藩主は全ての責任を取って切腹をすることになっており,一狐斎は全ての責任を小四郎に擦り付けるために家督を譲ったのだった。

 

 

 切腹を回避するには,借金を完済するしかないことを知った小四郎は,何とかして借金を完済しようとする。

 

 小四郎は,たまたま江戸に商売に来ていた幼馴染の町娘・さよ(浜辺美波)の協力で家臣たちの不満を押し切って大胆な倹約策に打って出た。

 

 

 藩の蔵を整理して使わない武具や家財を売却し,藩屋敷を手放して新次郎と喜三郎の住む離れ屋敷を間借りすることにした。

 新次郎は持ち前の庭師の技術を活かして小四郎を手助けし,喜三郎も快く受け入れてくれる。

 

 

 参勤交代は宿を取らず野宿でしのぎ,金になるものはなりふり構わず売っていった。

 

 

 小四郎の奮闘を見て藩士たちの心はひとつにまとまろうとしていたが,実は一狐斎は老中首座・仁科摂津守(石橋蓮司)と藩の借金の大半を貸し付けている大坂の両替商「天元屋」の女主人タツ(キムラ緑子)と結託していた。

 

 

 小四郎は,藩の金の流れに疑念を感じ,片っ端から帳簿を調べ上げていったが,一狐斎は小四郎の教育係である磯貝平八郎(浅野忠信)に小四郎の監視を命ずるとともに,口封じのため勘定方の橋爪左平次(小手伸也)を抹殺するよう命じる。

 橋爪は自らの命が狙われていることを悟り,家族に影響が及ばないよう自ら死を選ぼうと考えていたが,小四郎は決して命を粗末にするなと橋爪を説得し思い留まらせる。

 

 

 小四郎の懸命ぶりに心を動かされていた磯貝も橋爪の暗殺を思い留まる。

 

 

 橋爪は天元屋が中抜きをしていた事実を記した帳簿を作っており,小四郎とさよたちは藩の帳簿と照合を始める。

 

 

 借金の件が幕府にバレ,小四郎は幕府から呼び出しを受け,単身で仁科と老中・板倉周防守(勝村政信)と対面し,天元屋が中抜きをしていた件を告発した。

 天元屋の蔵から丹生山藩の印が刻まれた大量の小判が発見され,さらに仁科も天元屋と同様に他藩からの献上金を横領していたことが判明する。

 

 その場に一狐斎が現れ,仁科のこれまでの悪事を洗いざらい暴露し,他藩の藩主から集めた署名を突き付ける。

 一狐斎は小四郎たちの動きを見て,自分が不利にならないように天元屋と仁科を裏切ったのだ。

 

 小四郎は着服金に加え,残りの借金は一狐斎から回収すると宣言し,借金完済の目途をつけ,しかも特産品の塩引き鮭を使って藩の財政を立て直したのだった。

 

 

 

神木隆之介と杉咲花という朝ドラ主演コンビの時代劇。

 

 面白いし,まとまってはいるけど,「引越大名」「超高速!参勤交代」「決算!忠臣蔵」とか似たような映画は山のようにあり,それらと比べてどうかというと,後から出てきた分,不利だなと思う。

 その辺りの路線を狙って脚本家がつぎはぎで作った話かと思っていたから,浅田次郎原作とあって驚いた。

 

 悪くはないんだけど,釈然としない。

 

 

 

 漫画家岸辺露伴(高橋一生)は,ヘブンズ・ドアーというスタンド(特殊能力)を持っている。

 彼がその力を使うと相手は意識を失うと共に,顔に過去の記憶が本の形になって現れる。

 露伴は,その本を読んで相手の記憶や思考を読み取ることができるだけではなく,そこに書き込むことによって相手の行動を支配することができるのだ。

 

 

 

 露伴は漫画の資料にするため,骨董屋で品物を物色していたが,店主が盗まれた美術品を違法に売買する「故買屋」であることも知っており,その仕事の実態を知るという目的もあった。

 露伴はその店でヘブンズ・ドアーを使ったとき,ある美術品オークションの出品目録に「黒い絵」があることに気づいた。

 

 彼は,かつてある女性から聞かされた黒い絵の噂を思い出し,出版社の編集者・泉京香(飯豊まりえ)と美術品オークションの会場へ行く。

 すでに亡くなっているフランスの画家モリス・ルグランの絵画『Noire(黒)』は,開始価格が20万円だったにも関わらず,露伴は会場にいた謎の2人組との競り合いの末,150万円で『Noire』を落札する。

 

 

 

 露伴は,この絵は今から250年ほど前に山村仁左右衛門によって描かれた黒い絵と何らかの関係があるのではないかと考えていた。

 山村仁左右衛門の黒い絵は「この世に存在しない色」とも例え得る最も黒い色を用いて描かれた物だという。

 その後,オークション会場にいた2人の男が露伴の家から『Noire』を盗み出すが,カンバスの裏に目的の物がないと気づいた後,謎の死を遂げる。

 

 露伴と泉は捨て置かれていた『Noire』を発見するが,カンバスの裏面にはフランス語で「これはルーブルで見た黒」「後悔」と記されていることに気づく。

 

 

 露伴はその言葉から黒い絵とフランス・ルーヴル美術館のつながりを確信し,ルーヴル美術館を次の取材先に決める。

 

 

 20数年前の夏,漫画家としてデビューしたばかりだった露伴は,漫画執筆に集中するために下宿を経営していた祖母の家に滞在していた。

 

 

 そこで彼は,下宿の最初の住人となった奈々瀬(木村文乃)と出会うが,彼女からこの世で最も黒い絵を知っているかと尋ねられる。

 

 

 それは光を全く反射させない,見ることもできないほど黒い絵の具で描かれた最も黒く,最も邪悪な絵だという。

 その絵は,今から250年ほど前,黒の色彩にこだわった山村仁左右衛門という絵師が,傷つけたら死罪は免れない御神木から採れる顔料を用いて描いたものだった。

 

 奈々瀬は露伴にその絵はルーヴル美術館にあると告げたが,やがて行方が分からなくなった。

 

 

 のちに露伴は,祖母に奈々瀬の行方を尋ねたが「奈々瀬なんて、いたかね」とまともな答えは返って来ず,露伴は祖母に代わって屋敷の蔵にあった絵を買い手であるフランス語を話す外国人に直接受け渡すという雑用などをした後,屋敷を去った。

 

 

 露伴が屋敷を去る時には「奈々瀬という女性は,本当に存在していたのか」とさえ思えたため長らく忘れていたが,黒い絵とともに彼女の記憶が蘇ったのだった。

 

 露伴と泉は,ルーヴル美術館の文化エデュケーション部職員であるエマ・野口(美波)と合流してルーヴルへと向かった。

 

 

 ルーヴル美術館では展示品の模写ができ,『Noire』の作者である画家ルグランも生前はよく模写をしていたとのことだった。

 露伴は,ルグランの『Noire』はルーヴル美術館の中に存在するという仁左右衛門の黒い絵を模写したものではないかと推理していた。

 

 その推理についてエマは,そもそもルーヴル美術館の収蔵品に「日本画」は存在しないが,数年前にセーヌ川の水害から美術館の収蔵品を守るために新設した保管センターへ移送させるプロジェクトが開始された際に地下倉庫で眠っていた美術品が1000点以上も発見され,その中には東洋美術の品も100点以上存在したという。

 それらの美術品は20世紀初めに寄贈された品々であり,戦争により記録が消失してしまったために美術館のデータベース上からも抜け落ちていたが,エマはその中に仁左右衛門の「黒い絵」もあるのではと考えていた。

 

 同プロジェクトの調査メンバーとして臨時雇用された東洋美術の専門家・辰巳隆之介(安藤政信)が現れ,生前のルグランとは顔見知りであり,彼は情熱を持った画家で,模写の腕も素晴らしかったが事故により亡くなったと語った。

 

 

 

 そのとき助けを呼ぶ男の声がし,一行が現場に駆けつけると,そこには見えない何かに恐怖するエマの同僚・ジャックの姿があった。

 

 

 そして恐怖が最高潮に達した果てに階下へと転落したジャックは「蜘蛛」「長い髪」とうわ言をつぶやき続けた。

 

 

 露伴とともに一旦ルーヴルを離れた泉は,彼の転落は本当に事故だったのかと疑問を抱き,ルグランの絵画『Noire』には「蜘蛛の巣」と「長い髪」のような線も描き込まれていたことを指摘する。

 

 

 『Noire』のカンバスの裏面に記されていた通りルグランはルーヴルで何かを見て「後悔した」から,のちにジャックと同じ事故に遭い,亡くなったのではないか。

 露伴は,泉の「なぜ裏面に書かれていた言葉が動詞の『後悔した』ではなく名詞の『後悔』だったのか」という指摘から,ルグランはルーヴルで黒と同時に後悔と呼ぶべきものを見たのではないかと推理する。

 

 その日の晩,露伴たちはエマから連絡を受けて,閉館後のルーブル美術館へと向かう。

 エマによれば,「黒い絵」の噂を思い出したジャックは,エマに代わって職員専用の管理記録を検索してZー13倉庫に収蔵されていた仁左右衛門の作品を発見していたというのだ。

 

 見捨てられた倉庫ことZ-13倉庫は20年以上使用されておらず,現時点で美術品は一切収蔵されていないはずだったが,事務所にいた別の職員は,ジャックはその真偽を確かめるべく倉庫へ行き,直後に事故に遭ったという。

 

 倉庫への捜索には,全ての通路を把握しているという消防隊隊員ニコラスとユーゴの2名も同行することになり,辰巳も東洋美術の専門家として捜索に立会いたいと申し出た。

 

 

 マリィから,ジャックがかつて「黒い絵」の噂を聞いた人物の情報が判明したと伝えられる。

 20数年前に美術館のキュレーターとして勤務していたものの,どこからから入手した仁左右衛門の絵を管理記録に登録して倉庫へと収蔵した後に突然失踪し,現在も行方不明であるという男は,かつて露伴が祖母の家の蔵にあった絵を受け渡した買い手だった。

 

 Z-13倉庫に到着した一行が「黒い絵」を探す中,ニコラスが床に落ちていた別の絵を発見した。

 

 

 それは例の新発見された美術品の1点であり,鑑定により正真正銘の真作と判明したために現在は新設された保管センターにあるはずのフェルメールの幻の絵画だった。

 辰巳は「これは偽物だ」と一笑に付しニコラスに絵を処分させようとしたが,露伴はそれを真作であると見破り,倉庫で拾ったルグランの名が刻まれた画具を見せる。

 

 保管センターにある方が,ルグランが作成した贋作であり,彼は決して誰も来ないZ-13倉庫で秘密裏にフェルメールの真作を模写していたのではないかというのが,露伴の推理だった。

 

 ルグランは美術品窃盗グループの一員であり,フェルメールはじめ数々の名画の精巧な贋作を倉庫で作成し,贋作を保管センターへ移送した上で真作はルグランが持ち帰りって自作のカンバスの裏面に隠して海外へ運び出す。

 そしてルグランの自作をオークションで安値で買えば,盗んだ名画の取引は無事完了する。

 

 ルーヴル美術館内を自由に行き来できる「消防士」ニコラスとユーゴ,新発見された美術品の調査にも関わっていた「キュレーター」である辰巳が共犯者だった。

 

 

 推理を聞かされても辰巳が誤魔化そうとした時ニコラスが倉庫の暗闇を見ながら「なんでこんなとこに兵隊が?」と怯え出したかと思うと全身に銃弾を浴び床に倒れた。

 ユーゴは「俺たちもモリスみたいに」と辰巳に訴える。

 辰巳は,亡くなる直前のモリスは倉庫で何かを見た後に「美術品窃盗から足を洗う」と言い出したと話し始める。

 

 しかし,露伴の視線は辰巳の背後の壁に掛けられた「黒い絵」に向けられていた。

 

 

 突如,辰巳が「モリス,ここにどうして?」と慌て出し,見えない何者かに襲われ始める。

 エマも,かつて自身が目を離してしまったがために公園の池で溺死してしまった息子ピエールの幻覚に囚われ,やがて口から大量の水を吐き出し始める。

 

 露伴はヘブンズ・ドアーでエマの意識を失わせると,かろうじて絵を見ずに済んだ泉に倉庫外へと連れ出すように指示する。

 

 亡くなったモリスの幻覚に襲われ続けていた辰巳は「すまなかった」「お前を騙して利用した」という懺悔の言葉とともに息絶えた。

 ユーゴも同じく幻覚に襲われ「爺さん家の火事で死んだ人」「爺さんがイカれて油を撒いたから」と叫んだ直後に全身が火に包まれる。

 

 かつて奈々瀬が口にした「光が反射した鏡は人を映すが,絶対的な黒が映すものは何か」という問いの答えは「過去」であると露伴は悟る。

 「黒い絵」を見た者は,幻覚を通じて自分が過去に犯した罪と,心に刻まれた後悔に襲われるのだった。

 更に「黒い絵」は本人の罪だけでなく,恐らく先祖の犯した罪までも幻覚として蘇らせる。

 

 罪の意識に苛まれながらもフェルメールの贋作を作成していた生前のルグランは,倉庫で発見した「黒い絵」に映し出された自らの後悔を見てしまった。

 そして真作を倉庫に置き去りにした後,幻覚に襲われ死が近づく中で「黒い絵」の模写である『Noire』を完成させたのだった。

 

 一人倉庫に残された露伴の肉体は,幻覚によって黒の色彩に蝕まれつつあった。

 

 

 彼が見つめる「黒い絵」には,絶対的な黒によって描かれた奈々瀬の姿があった。

 やがて露伴の前に斧を手にした山村仁左右衛門の怨霊が出現する。

 

 襲いかかってくる仁左右衛門に露伴はヘブンズ・ドアーをかけるが,全てのページが黒で塗り潰された仁左右衛門に文字を書き込んで命令を行うことはできなかった。

 

 そのとき,奈々瀬が斧を振り下ろそうとする仁左右衛門を背後から抑えた。

 かつて屋敷で別れた際にも奈々瀬が口にした「何もかも全て忘れて」という言葉を思い出した露伴は,自らにヘブンズ・ドアーをかけ,本になった自分自身に「記憶を全て消す」と書き込む。

 こうして黒い絵の呪いから抜け出した露伴は倉庫を脱出し,肌へと直接書き込んでいた「顔の文字をこすれ」に気づき,ページに書き込んだ命令を手で消して全ての記憶を取り戻す。

 

 炎が燃え広がる倉庫で「黒い絵」は焼失した。

 

 事件後,集団幻覚の原因は,地下にある倉庫で溜まっていたガスとして処理され,名画のすり替えと窃盗も発覚し「見捨てられた倉庫」ことZ-13倉庫は完全に閉鎖された。

 

 泉は実際には「黒い絵」を見ていたにも関わらず,全く幻覚の影響を受けなかった。

 露伴は,何一つ後悔をしない泉とその先祖たちに呆れながら「人間の手に負える美術館じゃない」と言ってルーヴル美術館を後にした。

 

 後日,露伴はとある湖の岸辺に訪れ,忘れられた者たちの墓を見つける。

 すると「ごめんなさい」「ああするしかなかったの」「あの人を止めて全てを終わらせるには」という言葉とともに奈々瀬が再び姿を現した。

 

 露伴は20数年越しに奈々瀬にヘブンズ・ドアーをかけ,彼女の過去の記憶を読んだ。

 奈々瀬は藩の御用絵師を務める山村仁左右衛門の妻となったが,仁左右衛門の顔は露伴とそっくりだった。

 仁左右衛門は伝統と格式を重んじる父と対立し,山村家を出て商人の襖絵・屏風絵を描きながら暮らしていた。

 しかし奈々瀬が病に倒れ,生活が困窮した仁左右衛門は父に詫び,「父を凌ぐ絵を描く」という条件で山村家へ戻る。

 仁左衛門は,奈々瀬の美しき黒髪を完璧に写した絵を描いて父を凌ぐために,寝食を忘れて画業にのめり込んだが,奈々瀬は自分のせいで仁左衛門を苦境に追い込んだという罪の意識に苛まれ神社に通うようにな。

 彼女は,そこにある御神木から黒の樹液が滲んでいることに気づき,その樹液を持ち帰る。

 仁左右衛門はその樹液を見て「これこそ,私が求めていた黒だ」と喜んだため,奈々瀬は毎日樹液を集めに行ったが,仁左右衛門に樹液の出所を知られ,彼は自ら採取をするようになった。

 家を継ぐ予定だった仁左右衛門の弟が奉行所に訴え,仁左右衛門は御神木を傷つけた罪により自宅で取り押さえられ,彼を庇おうとした奈々瀬は,役人からの暴力によって命を落とした。

 それを見て狂気に陥った仁左右衛門は,庭にあった斧で役人を殺害し,御神木へと向かうと斧を振り続けた。

 全身が樹液の黒にまみれた仁左右衛門は,奈々瀬の亡骸を側に置きながら「黒い絵」を完成させた。

 

 黒い樹液は蜘蛛のような生き物と化して仁左右衛門の怨念とともに絵に染み込み,「黒い絵」は人を後悔と罪の念で殺すこの世で最も邪悪な絵となったのだ。

 

 奈々瀬は露伴に「黒い絵」と仁左右衛門の呪いを止めるために20数年にわたって彼を巻き込んでしまったことを詫びるが,露伴は「あの夏も僕にとって必要な過去の一つだ」「二度と忘れない」と答える。

 奈々瀬は姿を消すが,露伴は山村仁左右衛門の妻となる以前の奈々瀬の旧姓が「岸辺」であることに気づいていた。

 

 日常へと戻った露伴のもとへ,かつて奈々瀬がくだらないと言ってハサミで切り裂いた若き日の原稿が元通りになって戻ってくる。

 

 

 露伴はその原稿を傍らに置き新たな漫画を描き始める。

 

 

 

 

 

 NHKドラマ「岸辺露伴は動かない」の映画版で元々は「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフになる。

 

 ルーブル美術館の全面的な協力に驚くが,そもそも2005年からルーヴル美術館と出版社のフュチュロポリス社が共同で,漫画家をルーヴル美術館に招待し,ルーヴルを題材にしたバンド・デシネ(フランスやベルギーを中心とした地域の漫画作品の呼称)を製作してもらうという企画に荒木飛呂彦が日本の漫画を代表する作家として選ばれたのがきっかけであり,その企画の一環で描かれたのが漫画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』という作品だったということらしい。

 

 

 NHKドラマの方も評価が高いが,この映画も作品が持つ独特の空気感をよく再現しており素晴らしかった。

 ストーリーも凝ったものであり,江戸時代の日本とルーヴル美術館を無理なく繋ぐ手法も巧みである。

 

 飯豊まりえは高校生役をやっていた頃は,華のなさに失望するところが多かったが,泉京香役をやるようになってからは正に一皮むけた感じで,最近のドラマでも良い演技をしている。

 この映画でも彼女の力が遺憾なく発揮され,岸辺露伴役の高橋一生と良いコンビになっている。

 

 

 

 

 高知県の海沿いで真田夢二(日村勇紀)は,焼肉店を営んでいた。

 夢二は2人の弟とひとりの妹と暮らしていたが,早くから両親を亡くした真田家では,長男の夢二が親代わりとして兄妹たちを育ててきた。

 

 

 

 夢二は婚活が上手く行っていないのが悩みだった。

 

 

 三男の詩文(柄本時生)は,ガソリンスタンドで働いていたが,元同級生の宍戸(細田善彦)が学生時代に変なあだ名をつけられたことを恨み,嫌がらせを続けていた。

 

 

 又,長女の想乃(伊藤沙莉)は,妊娠5ヶ月になっていたが,父親である神内(平田貴之)とは別れており,一人で産み育てることを決めていた。

 

 

 それぞれに悩みのある兄弟だったが,次男の日出男(中村倫也)は,実は自分が土星人で,土星には存在しない「家族」とは何かを知るために1年間(地球では23年)の留学に来ていたと打ち明ける。

 

 

 そのために兄妹たちの記憶を改ざんして家族として暮らしてきたが,その期限があと少しで終わってしまうと言う。

 

 

 日出男は自分が土星人であることを証明するため,写真には写らない,首を回して振り向く事ができない,記憶を改ざんできる,透明になれる,Wi-Fiを繋げられる,ウナギと会話ができるなどの能力や特徴を説明する。

 

 

 そして,宍戸の嫌がらせに困っていた詩文を助けるために能力を使い,宍戸と詩文を和解させる。

 

 一方,想乃は妊娠を神内には知らせていなかったが,夢二は神内の無責任な行動が許せず,彼に決闘を申し込む。

 

 

 夢二は日出男に手出し無用と告げていたが,神内はボクシング経験者であり,夢二はあっさりと倒されてしまう。

 日出男はこっそりと能力を使って夢二に神内をノックアウトさせる。

 

 日出男は神内の一連の記憶を消し,大好きなSNSを二度と使えないようにし,もっとひどいこともできると想乃に言ったが,彼女はは神内から自分の記憶を消すことだけを頼んだ。

 

 

 日出男は帰還に備えて色々な思い出作りに励んでいたが,家族を1人土星に連れて帰らないといけないことを告げる。

 そして連れていくと二度と地球には帰れないが,もし連れて帰らないと,自分は刑務所に230年入れられてしまうと言う。

 

 結局,夢二がクジの細工を日出男に頼み,自分が行くことにする。

 日出男と夢二は座椅子にしか見えない宇宙船に乗り込み,出発するが日出男は途中で夢二を突き落とし,「また会える」という言葉を残して1人で土星に帰っていった。

 

 

 それから5ヶ月が過ぎ,想乃は無事赤ちゃんを生む。

 大喜びの夢二は日出男の声を聞き,振り返りる。

 日出男は想乃の赤ちゃんに生まれ変わったらしい。

 

 

 

 ゆるゆるストーリーの映画で,肩の力を抜いて楽しめる。

 

 とは言うものの,日村以外は名優揃いであり,このメンバーを集めて,このクオリティーというのは,かなりもったいない。

 

 ほのぼのSFコメディを作るにしても,このメンバーなら,もう少し内容のあるものができたのではないか。

 

 

 

 信(吉沢亮)は,蛇甘平原の戦いで活躍し百人将になったが一旦軍を離れ,王騎(大沢たかお)に修行を申し出た。

 

 

 王騎は,まず部族同士の抗争が絶えない荒野の地の平定を命じる。

 信が期待に応えて抗争を収めたため,王騎は自ら修行をつけることにした。

 

 嬴政(吉沢亮)は,昌文君(髙嶋政宏)の報告を受け,信は必ず大きくなって戻ってくると期待していた。

 

 

 その頃,関水に隣国の趙軍が10万を超える大軍で侵攻してきた。

 秦国は韓に大軍を派兵しており,現地に駆けつけられる戦力はなく,趙国の馮忌(ふうき,片岡愛之助)は関水を陥落させ,副将の万極(山田裕貴)は老若男女問わず関水の民を虐殺した。

 趙国は嬴政が秦国王となる前,秦国軍が降伏した趙国軍の捕虜40万を虐殺した「長平の大虐殺」の恨みを抱き続けていたのだった。

 

 秦国の王都・咸陽では,嬴政が丞相の呂不韋(佐藤浩市),軍師・昌平君(玉木宏)と猛将・蒙武(平山祐介)を招集して軍議を始め,呂不韋は蒙武を総大将に推薦する。

 しかし,昌文君は蒙武は攻に長けるが守が弱いと反対し,王騎を総大将に指名する。

 王騎はその場の者全員に退室を求め,嬴政と二人きりで戦いへの覚悟を問うが,信は物陰に隠れてこっそり二人のやり取りを聞いていた。

 

 嬴政は,かつての恩人・紫夏(しか,杏)との記憶を語りだす。

 7年前,秦国の先代国王・子楚と趙姫の間に生まれた若き日の嬴政は趙国の王都・邯鄲で人質として過ごしていたが,長平の大虐殺で秦国に恨みを持つ趙国の民から凄惨な暴力を受け続けていた。

 その頃,秦国では当時の王だった昭王が崩御し,昭王の子・安国君が新王として即位した。

 安国君の子で嬴政の父である子楚は呂不韋の手引きにより,安国君の次の王となる太子として秦国に戻って行ったが,子楚が秦国王になることが趙王に知られたら嬴政は抹殺されてしまう。

 そこで,秦国は趙国に潜入させた分官の道剣の指揮のもと嬴政を秦国へ脱出させる計画を実行に移した。

 道剣は現地の闇商人・紫夏とその仲間・亜門と手を組み,嬴政を荷物を積んだ馬車の中に紛れ込ませて邯鄲から脱出しようとした。

 趙国民からの暴力により五感が損なわれ,精神に異常をきたしていた嬴政は自分は王になってはいけない人間だと思い込み,馬車から突然逃げ出してしたが,紫夏は嬴政を強く抱きしめ,自分が嬴政の五感の代わりになると約束する。

 ところが,嬴政の脱出計画は既に趙国側に察知されており,嬴政一行は趙国軍の騎馬隊の襲撃を受け,道剣と亜門は討たれ,紫夏は猛攻を受けながらも必死で嬴政を守り続け,ようやく秦国軍との合流地点に辿り着いた。

 秦国軍に保護された嬴政だったが,全身を弓と槍で貫かれた紫夏はもはや虫の息であり,嬴政は誰よりも良い王になれると言い残して絶命した。

 嬴政は王騎に,自分のために犠牲になった紫夏たちのためにも中華統一を果たして戦乱を終わらせる決意を語った。

 

 嬴政の強い覚悟を受け止めた王騎は総大将の任を引き受け,信の隊に「飛信隊」という部隊名を与え,王騎直属の別働隊として敵将を討つ任務を授ける。

 

 

 信は共に修行を積んだ渕(田中美央)と羌瘣(清野菜名)を副将に任じ,信と同じ故郷の尾平(岡山天音)と尾到(三浦貴大)の兄弟,戦場での経験豊富な伍長・澤圭(濱津隆之),信たちと共に蛇甘平原の戦いを生き残った百戦錬磨の沛浪(はいろう,真壁刀義),腕っぷしの強い大男・竜川(佳久創)などを集めた。

 

 王騎を総大将,蒙武を副将とする秦国軍8万は趙国軍の待つ馬陽へ向けて進軍を開始する。

 馬陽に着いた秦国軍は,王騎軍の軍長のひとり干央(高橋光臣)率いる左軍1万、王騎と蒙武が率いる中央軍4万、王騎軍の軍長のひとり鱗坊率いる右軍に分かれて趙国軍と対峙した。

 

 

 対する趙国軍も馮忌率いる左軍2万、総大将の代理を務める趙荘(山本耕史)の中央軍2万,万極率いる右軍4万という展開であった。

 

 戦いは蒙武の軍が先陣を切り、力で趙国軍の守りを蹴散らしていく中,飛信隊は秦左軍と秦中央軍の間の険しい岩山に登って行く。

 

 

 戦いは秦左軍が趙右軍を押す展開で進み,趙右軍を率いる馮忌は軍を下げ始め,干央は趙国軍が撤退したと判断して更に進撃を続けたが,これは馮忌の仕掛けた罠であり,秦左軍は趙右軍に左右から挟み込まれてしまった。

 

 一方,飛信隊は趙右軍の目が秦左軍に向いている一瞬の隙を付き,隊を二手に分けて馮忌の本陣に攻め入る作戦を立て,渕や澤圭らの主力部隊が岩山の麓の敵兵を引き付ける間,信や羌瘣,竜川,沛浪,尾平,尾到など30名からなる精鋭たちが馮忌の本陣へと突き進んで行った。

 馮忌は奇襲を受け,自分は王騎の策にはめられたことに気付いたが,羌瘣の協力を得た信は馮忌を討ち取ることに成功した。

 

 

 趙国軍は戦意を消失して撤退を開始した。

 蒙武は後を追おうとしたが,王騎は深入りしないよう忠告する。

 

 戦いの一部始終を秦国の幹部候補生である蒙毅(萩原利久)と河了貂(橋本環奈)が丘の上から見守っていたが,そこに李牧(小栗旬)と名乗る男が部下のカイネ(佐久間由衣)を連れて現れ,「一緒に見物を」と声をかけてきた。

 

 

 飛信隊は大きな戦功を立てたが,その夜,野営地で祝宴を開いていたところに突如大きな矛を持った男が現れ,兵士たちを次々に倒していった。

 信と羌瘣が男と戦ったが全く歯が立たず,男は自らを武神・龐煖(ほうけん,吉川晃司)と名乗った。

 この龐煖こそが今まで謎に包まれていた趙国軍の総大将であり,このことは即座に秦国の宮廷にも伝えられた。

 かつて伝説の六代将軍・摎を倒した龐煖は9年前に王騎によって倒されたはずであったが,当時を知る昌文君(高嶋政宏)は王騎が総大将を引き受けたのは,因縁の宿敵である龐煖が生きていることを知り,決着をつけるためではないかと考えた。

 

 その頃,山の民の王・楊端和(長澤まさみ)は勇猛果敢なはずの騎馬民族が何者かに全滅させられた光景を目の当たりにしていた。

 

 

おなじみのキングダム実写化シリーズ第3弾。

 

 今回は,嬴政の過去を中心とした話で,杏がほぼ主役。

 今後の中心人物になる李牧や龐煖が登場する。

 

 相変わらずスケールが大きく,見応えがあるが,信の修行や羌瘣の復讐劇はほぼナレーションベースに省略されている。

 

 アニメは信が五千人将になったところで次のシーズン待ちだが,実写はやっと百人将。

 

 どこまで追いつけるのだろうか。

 

 

 

 

 

 神崎昭夫(大泉洋)は大手企業の人事部長である。

 幼なじみで大学の同級生である木部富幸(宮藤官九郎)から,同窓会を貸切屋形船でやりたいと言われ,久々に隅田川沿いの実家に帰る。

 

 

 彼は,足袋職人だった父親と大げんかをして実家を飛び出して以来,ほとんど実家に帰っていなかったが,母福江(吉永小百合)ならば屋形船の貸切にツテが有るのではないかと思ったのだった。

 

 母は久しぶりに帰ってきた息子を大喜びで迎えるが,実家はホームレス救援ボランティアの集会場になっており,近所の主婦たちが賑やかに出入りしていた。

 

 実家に顔を出した夜,神崎に妻から娘の舞(永野芽郁)が来ていないかという電話があった。

 

 

 彼は妻と別居し,離婚寸前だった。

 舞が家から出ていって,連絡もつかない,行く当てとしては神崎のところか,義母の所くらいしか思い当たらないと言う。

 

 翌日,神崎が実家に行ってみると案の定,舞が料理の手伝いをしていた。

 

 

 舞は母親が自分のことを理解してくれないと不満をこぼす。

 

 舞は,祖母がボランティアの指導をしている荻生牧師(寺尾聰)に恋しているらしいと神崎に教える。

 

 

 神崎はそんなことは許せないと言うが,舞は何が悪いのか分からないという。

 

 ある日,木部が神崎の実家にまで押しかけてくる。

 彼は自分がリストラの退職勧告の対象になっていたのに,親友の神崎が教えてくれなかったことを恨んでおり,実家の二階で木部と取っ組み合いのケンカをする。

 

 

 興奮のあまり,片方,神崎の靴を履いて出ていった木部を舞が追いかける。

 靴を履き直しながら木部は舞に謝る。

 

 木部は退職勧告に応じず,閑職に回される。

 

 神崎が実家を訪れた荻生になぜ牧師になったのかを尋ねると,彼は元大学の教授だったが,学問とは無関係な派閥争いに嫌気がさして教授を辞職し,牧師になったと言う。

 神崎は,荻生や母たちが救援ボランティアをしているホームレスたちを逃げた人たちと感じ,見下すようなことを言ってしまう。

 

 母たちが救援しようとしているホームレスの中にイノさん(田中泯)と呼ばれる老人がいる。

 アルミ缶集めで暮らしているようだが,どれだけ説得しても生活保護を受けようとせず,路上暮らしを続けている。

 

 

 彼は荻生牧師を敵視しているが,その理由は神崎の母への恋心だった。

 

 ある日,神崎は木部が社内で傷害事件を起こしたと聞き,現場に向かう。

 木部は自分が関わっていたプロジェクトの会議にむりやり参加しようとして,彼を部屋から出そうとした役員の腕をドアで挟んでしまったのだった。

 

 役員会で木部は懲戒解雇に決まったが,神崎は独断で希望退職の手続きを採り再就職先まで世話をする。

 そのため神崎は会社を辞めることになる。

 

 収入のなくなった神崎は実家に住むことにするが,母福江は嬉しそうでもある。

 

 

 又,荻生牧師は北海道の教会に転勤になり,福江は思わず,連れて行って欲しいと言ってしまうが,結局,冗談として紛れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 山田洋次監督の映画であり,ところどころ寅さんを思い起こすようなシーンやカットがある。

 

 基本,老人映画であり,老いらくの恋の三角関係や,老人の若い頃のロマンスがストーリーの中心。

 

 中年男たちを描いた部分は,会社の話が空疎で非現実的であるし,神崎が親友を救うために退職して自分を取り戻すというのも安直。

 妻と別居というものの理由は描かれず,妻も足元しか出てこないという意味不明の演出。

 

 娘の舞の母親に対する不満の内容もしっくりこないし,常におなかが出ている服を着ているところが,今風の若い娘を表現しているとすると情けない。

 永野芽郁は「キネマの神様」にも出ていたから山田洋次監督のお気に入りなのかもしれないが。

 

 田中泯が誰彼かまわず,関東大震災の悲惨な状況を語るという設定も関東大震災100周年の今としては有意義なのかもしれないが,イノさんは一体何歳なのか?

 

 

 申し訳ないが山田洋次には現代を舞台にした映画は無理なんじゃないかな

 

 

 

 高校1年生の門松勝太(岸優太)は私立武華(たけはな)男子高校に転校してくる。

 元々ヤンキー校だったが,なぜか4つの女子高に囲まれたせいで入学希望者が増え,進学校になったという高校である。

 当然,女子校の生徒にはモテモテであり,勝太も「彼女を作りたい」と期待に胸をふくらませていた。

 ところが彼が入ったクラスは,元からいたヤンキーたちを集め,校舎から隔離され教師たちも怯える問題児集団・1年G組だった。

 

 

 荒れ果てた教室にはクセの強いヤンキーたちが集まり,勝太に凄みを効かせるが彼は意に介さず,彼女を作ることだけに興味を示す。

 

 肝田(矢本悠馬),梅田(森本慎太郎),薙(りんたろー。)たちを引き連れて女子に声を掛けまくるが全く相手にされない。

 

 だが進学クラスの生徒たちが,嫌がる女子にしつこく絡んでいるのを見た勝太はそいつらをあっさりとノックアウトする。

 彼らは八代(吉村界人)が率いる進学クラスの不良たちだった。

 八代はその女子を捕らえて殴り,瀬名(竜星涼)に勝太にやられたと言わせる。

 

 瀬名は進学クラスでトップの成績の上,ケンカも強く,すべての女子に分け隔てなく接するのでいつも女子たちが回りを取り囲んでいた。

 

 

 女子生徒が勝太に殴られたと聞いた瀬名は,勝太に殴りかかる。

 勝太は応戦しながらも,自分は女子を殴ったりはしないと言い続ける。

 やがて瀬名も勝太の言葉を信じ,真相を探る。

 

 

 その女子生徒は女暴走族グループの上城レイナ(恒松祐理)の姉だったが,レイナは姉が八代に脅されて嘘をついたことを聞く。

 レイナから真実を聞いた勝太と瀬名は八代たちに挑み,彼らをぶちのめす。

 

 その様子を校舎の屋上から見ていた3年の八神紅一(田中圭)と伊達薫(高良健吾)は,面白い男が入ってきたと期待する。

 

 勝太はレイナからGメンの話を聞く。

 

 

 かつてGメンと呼ばれた不良グループは,天王会と名乗る凶悪組織を死闘の末に壊滅させた。

 しかし,誰がメンバーなのかも分からず,最近は活動もないため,今では都市伝説だと言われている。

 

 1年G組の担任は渡辺という教師(星田英利)だったが,G組のあまりのでたらめぶりに体調を崩し,雨宮瞳(吉岡里帆)という女性教師が代わりに担任になった。

 雨宮は,エキセントリックな性格であり,クラス全員に自分がいかに美人で人気者かを力説し,彼女の年齢に触れる生徒は決して許さなかった。

 

 

 だが雨宮には,友則(落合モトキ)という元カレがストーカーになってつきまとっており,彼女は不安をごまかしながら暮らしていた。

 家に帰れない雨宮のために両親が海外にいて豪邸で一人暮らしの瀬名は,彼女を自宅に泊める。

 瀬名の父親がストックしていた高級酒を飲みまくり,派手に酔っ払った雨宮は,瀬名と勝太の前で自分の心の内をさらけ出す。

 

 一方,瀬名は勝太に子どもの頃,母親の浮気現場を見てしまってから,女性を見ても勃起しなくなったと打ち明ける。

 勝太は自分が前の学校でトラブルを起こして仲間を見捨てて逃げてきてしまったと打ち明ける。

 

 しばらくは何事もなかったが,ある日,雨宮は友則が雇ったチンピラに拉致される。

 瀬名が助けに行くが,劣勢だったところに勝太が駆けつけ,チンピラたちをぶちのめす。

 雨宮は友則をぶん殴る。

 

 瀬名は雨宮に抱きつかれたとき,自分が勃起していることに気づく。

 

 

 勝太に興味を持った3年の伊達は,彼を誘ってあちらこちらで遊び回る。

 

 

 ある日,伊達は勝太に自分がゲイであり,勝太のことが好きだと打ち明ける。

 

 

 勝太はそれを断るが,伊達に対する敬意は何も変わらないと告げる。

 

 八神と伊達は,天王会のリーダーだった加藤侠介(尾上松也)が出所したという話を聞き,また天王会が暴れ出すのではと心配をしていた。

 

 

 八神と伊達はGメンのメンバーであり,彼らのリーダーだった桜井(大東駿介)が抗争で重傷を負ったとき復讐を誓っていたが,桜井からそれでは加藤たちと同じになってしまってダサいと言われ,それ以上,天王会を攻撃することを止めていたのだった。

 

 

 天王会の松永(後藤剛範)は,レイナの暴走族グループに天王会に入るよう,しつこく誘っていた。

 

 レイナたちはケンカの強い勝太に味方になってもらおうと考え,レイナが色仕掛けで勝太に近づくが,男性経験のないレイナはちぐはぐな行動を取ってしまい,ふたりの仲は進まない。

 

 その内,レイナは松永にさらわれ天王会のアジトに監禁される。

 

 

 それを知った勝太はひとりで助けに行くが,瀬名や肝田,梅田,薙たちも駆けつける。

 それでも加藤にはなかなか勝てず,苦戦しているところに八神と伊達が乗り込み,勝太と加藤の一騎打ちをお膳立てする。

 

 

 勝太は加藤を倒し,八神と伊達は天王会を撲滅させようとするが,勝太はそれを止める。

 これ以上やったら,加藤と同じになってしまってダサいと言って。

 

 その勝太の言葉を聞いて八神と伊達は,自分たちの後を継ぐ者が出てきたと感じる。

 

 

 

 マンガ原作のヤンキーもの

 

 おっさんが高校の制服を着て殴り合う映画は,もうご勘弁というところだが,「今日から俺は!!」くらい笑えれば話は別。

 

 この映画では,田中圭も結構ぼけまくってはいるが滑り気味であり,吉岡里帆がひとりでその役を担っている。

 実際のところ,彼女が主役と言っても良いくらいの存在感だった。

 

 恒松祐理も期待していたのだが,「全裸監督」に出てからやる役ではないかな。