東大阪で暮らす加藤俊樹(鈴木亮平)とフミ子(有村架純)の兄妹は,子どもの頃,長距離トラックの運転手だった父(板橋駿谷)を事故で亡くしていた。

 

 俊樹は工場で働き,フミ子は大学で事務をしている。

 

 

 父の死後,母(安藤玉恵)と3人で支え合いながら暮らしていたが,フミ子(小野美音)が4歳のとき彼女は「自分はバスガイドをしていた重田喜代美(美南琴奈)だった」と言い出す。

 小学生だった俊樹(田村塁希)は,フミ子にせがまれて母に内緒でフミ子の記憶の中にある彦根市へ一緒に行く。

 

 

 フミ子は懐かしげに彦根の街を歩き,ついに喜代美の父仁(酒向芳)に出会う。

 仁は,娘が事故で痛くて苦しんでいるときにお昼ご飯を呑気に食べていた自分を後悔し,それ以降,生きるために最低限しか口にできなくなっていた。

 

 痩せ細った仁を見たフミ子は,俊樹にツツジの花で作った「花まんま」を渡して来てほしいと頼む。

 それを見た仁は,喜代美が子どもの頃に作っていたのと全く同じ花まんまを見て涙を流す。

 

 

 喜代美の兄宏一(六角精児)と姉房枝(キムラ緑子)は,天国の喜代美が食べれなくなったお父さんを心配しているのだと言ったが,仁は喜代美が生きてどこかにいると思い,俊樹を追い,駅で俊樹とフミ子に会う。

 仁は,フミ子が喜代美だと確信し,喜代美と呼ぶが,俊樹は「この子はフミ子や。俺の妹や!」と強く拒絶する。

 

 そして,帰った後,フミ子にもう仁たちとは会わないと約束させる。

 その後,俊樹たちの母は過労で亡くなり,俊樹は更にフミ子の幸せだけを願って暮らすようになる。

 

 

 やがてフミ子は,勤務先の大学で鳥類の会話を研究している中沢太郎(鈴鹿央士)と知り合い,彼と恋をして結婚をすることになる。

 

 

 俊樹は頑固親父のように難癖をつけるものの中沢が誠実な人間であることは分かっており,結婚式に向けて話を進める。

 

 

 一方,フミ子にはある不安があった。

 それは,あれほど鮮明だった喜代美としての記憶が,だんだん薄れてきてしまったことだった。

 

 フミ子は,喜代美としての記憶があることも俊樹には内緒で中沢に話しており,中沢はそれも受け入れていた。

 

 

 フミ子は俊樹との約束を破り,中沢とふたりで彦根の仁の元へ向かう。

 

 俊樹はフミ子が,自分に内緒で仁と手紙のやり取りをしていたことに気づき,フミ子を追う。

 

 

 フミ子は彦根の駅に着いたものの,仁の家がどこにあるのかも分からなくなっていた。

 同行した中沢は,フミ子から仁の家の特徴を聞き,鳥たちからその場所を教えてもらってようやく仁の家にたどり着く。

 

 フミ子の希望は仁に自分の結婚式に出席してもらうことだった。

 

 

 仁たち家族は喜ぶものの俊樹の気持ちも知っており迷っていた。

 

 

 フミ子たちが仁の家を出た後,俊樹は仁の家に着き,絶対に出席は認めないと言う。

 

 

 その後,かつてフミ子が仁に渡す花まんまを作った公園で,俊樹はフミ子に会う。

 

 

 約束を破ったと怒る俊樹に対して,フミ子は手紙のやり取りをしただけで会ってないから約束は破ってないと答える。

 フミ子は,父が幼いときに亡くなったので父親の思い出はなく,父親の娘に対する想いは,すべて仁との文通で知ったと話す。

 

 その後,俊樹は仁たちを結婚式に招待することにするが,会場のホテルを勘違いしていたことで一騒動あり,かろうじて間に合う。

 

 俊樹は,予定していた型どおりのスピーチではなく,母が亡くなったあと自分はフミ子の幸せだけを願って生きてきて,すべて自分の力でやってきたと思い込んでいたが,それが間違いだったとようやく気づいたと言う。

 

 

 様々な人たちが自分たちを助けてくれたことへの感謝を述べる。

 

 

 無事,結婚式が終わり,フミ子と中沢は招待客を送り出すが,フミ子は仁に向かって,どこから来てくれはったんですか?とたずねる。

 彦根からと答える仁に,えらい遠くからありがとうございますと言うフミ子は,喜代美の記憶をすべて失っていた。

 

 帰りの列車で仁たちはそのことを寂しく感じるが,引出物のひとつが花まんまであることに気づき涙を流す。

 

 

 

 

 

 有村架純待望の関西弁作品だが,伊丹の彼女に西宮の鈴木亮平,ファーストサマーウイカにオール阪神・巨人と来れば関西弁警察の出番はない。

 

 原作小説はフミ子に結婚がきまったところで終わっており,その後の物語はこの映画による創作とのことらしい。

 

 それにしても有村架純は「月の満ち欠け」に続いてまたもや生まれ変わりストーリー。

 「月の満ち欠け」が嫌な感じの多い話だったことに比べると今作は,いささかコテコテ感も強いが,ハートウォーミングで良いし,結婚式が終わって前世の記憶がすべて消えるという設定も悪くない。

 又,その割り切りを花まんまの引出物で救うという回収も見事だと思う。

 

 

 

 

 取材旅行に訪れたベネチアで岸辺露伴(高橋一生)が,教会の懺悔室を覗いていると,彼を神父と勘違いした男が懺悔を始める。

 

 

 その男の話に興味を惹かれた露伴は,そのまま話を聞く。

 

 

 かつて旅行でベネチアを訪れた日本人水尾(大東駿介)は,全財産を盗まれやむなく働き始めたが,人種差別も酷く,過酷な労働を押しつけられる毎日だった。

 

 

 その日も同じだったが,ソトバという浮浪者(戸次重幸)が彼に何か食べるものを恵んでくれと懇願する。

 

 

 水尾は一度は応じるふりをしてソトバを喜ばせたが,自分の代わりに仕事をしたら恵んでやると条件をつける。

 

 

 重い瓦礫を運ぶ作業は,ソトバには無理に見えたが,案の定,彼は階段から転落して死んでしまう。

 

 しかし,階段の下で死んでいるはずのソトバは,階段の上にいる水尾の足をつかんで呪いの言葉を吐く。

 お前が幸福の絶頂にあるときに最大の不幸を与えてやる。お前の顔は決して忘れない。

 

 不思議なことに,その後,水尾には次々と予想外の幸福がやって来て,彼は裕福になる。

 又,美人モデルと結婚し娘も生まれる。

 

 だが,彼の頭の中には常に呪いの言葉があり,どんな幸運も無条件で受け入れることはせず,決して幸福の絶頂を味わうような状況にならないよう注意してきた。

 

 露伴はヘブンズ・ドアーを使って更に彼の物語を読む。

 

 水尾にとって一番の恐怖は,娘のマリアに対する愛情だった。

彼女の存在は,それだけで水尾を幸福の絶頂に導く可能性があった。

 水尾はマリアにも一番の幸せを求めてはいけない,2番目くらいがちょうど良いと幼い頃から言い聞かせ,不吉な黒猫の人形や割れた鏡のネックレスなど敢えて不幸を呼ぶようなものを周囲に置き,自身も家の中で傘を差したり,パンを裏返して置くなど,不吉とされる行為を繰り返してきた。

 

 

 だが,ある日幼いマリアを遊ばせているとき,彼は幸福の絶頂を感じてしまう。

 

 マリアの舌に宿ったソトバは水尾を殺すと言うが,チャンスをやると提案する。

 

 

 3回続けてポップコーンを街灯よりも高く投げ上げ,口で受けることができれば呪いを解くというのだ。

 日差しや鳩に邪魔をされ,苦労をするが何とか2度はやり遂げる。

 

 

 3度目の挑戦で,水尾は鳩に空中で奪われないよう,ポップコーンに火をつけて投げ上げるが,結局,失敗し逃げる途中で死ぬ。

 

 

 だが水尾は,ソトバが「お前の顔は決して忘れない」と言っていたことから策を講じていた。

 自らの執事田宮(井浦新)に大金を払って整形手術で顔を入れ替えていたのだ。

 

 

 こうして水尾はソトバの呪いから一度は逃げ切るが,今度はソトバと田宮のふたりから呪われることになった。

 

 露伴はベネチアに来て出会った仮面作りの女性がマリア(玉城ティナ)であることに気づく。

 

 

 そして遅れてベネチアについた担当編集者泉京香(飯豊まりえ)を通じて,自らをベネチアに招いた富豪の御曹司がマリアの婚約者であることを知る。

 

 

 水尾は,マリアが富豪の御曹司と結婚して幸せになることを恐れていた。

 

 

 そのため2人の結婚に反対し,様々な妨害を行ったが,すべて失敗すると婚約者を殺してまで結婚を阻止しようと企てる。

 

 マリアは妨害を防ぐために父に伝えていたよりも1日早く教会で結婚式を挙げるが,水尾が送り込んだ男が銃で新郎を狙う。

 マリアは新郎を庇い,銃で撃たれて死ぬ。

 

 だが,教会に駆けつけた水尾は,自らの命が助かったことを喜び,そのままさまよい出て行く。

 

 しかし,それらは露伴の仕組んだ芝居であり,銃を撃った男にはヘブンズ・ドアーで空砲しか撃てないように指示が書き込まれていた。

 

 

 結婚式の少し前,水尾の血が偶然,露伴の指に付いたが,そのせいで露伴にも様々な幸運が訪れていた。

 

 

 露伴はそのことに特に何も思わなかったが,京香から作品の出版がヨーロッパ各国で決まったと聞いて激怒する。

 

 

 実力ではなく,呪いのための幸運で読者を増やすなど露伴にとっては屈辱以外のなにものでもなかった。

 そのため露伴はソトバの呪いに立ち向かうことを決めたのだった。

 

 マリアは無事に結婚できたが,今回も京香は恐るべき鈍感さで呪いを寄せ付けなかった。

 

 

 

 岸辺露伴は動かないの映画化第2弾であり,今回は全編ベネチアロケという豪華作品。

 

 今回もジョジョの世界観が上手く表現されている。

 絶望を味あわせるために,わざわざ一旦幸福にさせるというおせっかいな呪いも荒木飛呂彦らしいし,賭けのシーンもいろいろなジョジョ作品に出てくる定番の設定である。

 

 最後にマリアがブーケを京香に渡すシーンがあるが,そのおかげで飯豊まりえは高橋一生と結婚できたのか,それとも2人の結婚を祝う趣旨なのか・・・

 

 岸辺露伴は動かないシリーズで露伴と京香は名コンビだが,役者同士が結婚していると思うと観ていて少しくすぐったい。

 

 

 

 

 のんびりとした宮崎県の田舎で生まれ育った林明子(永野芽郁)は,漫画家になることを夢見ていたが,両親(大森南朋,MEGUMI)や教師(有田哲平)までもがその夢が簡単に叶うかのように彼女をおだててきた。

 

 

 明子は漠然と美大に進むものだと考えており,在学中にデビュー,人気漫画家への道を夢想していた。

 

 だが高3のときに同級生の北見(見上愛)に美大受験は難しく,独学で通るようなものではないと言われる。

 

 

 彼女も美大志望で絵画教室に通っているというので,明子もそこに入ることにする。

 月謝は月5000円という格安だったが,明子の家よりも更に辺鄙なところに有り,バスに長時間乗ったあとにかなり歩く必要があった。

 

 しかもその先生は竹刀を持ってダメ出しを繰り返す超スパルタ指導だった。

 

 

 明子は何度も逃げだそうとしたが,結局,その教室で絵を習い続けるハメになった。

 

 絵画教室の日高先生(大泉洋)は,美大には行っておらず30歳前に画家の弟子になったという経歴だったが,知る人ぞ知るという実力者だった。

 しかし,自分が美大に行かずに画家になったのに美大進学を強く勧める理由は,苦労知らずの明子にはよく分からなかった。

 

 その教室には,子どもや老人も通っていたが,スパルタ指導は誰に対しても同じだった。

 日高先生は,教室に通う誰もが自分と同じように絵を描きたいという情熱を持っていると思い込んでいるようだった。

 

 彼は,純粋で真面目な性格だったが,デリカシーという概念は一切持ち合わせていなかった。

 

 明子は絵の実力を付けてきたが,美大受験には学力も必要だった。

 だが県内屈指の進学校の生徒にもかかわらず,彼女は全く勉強ができず,マークシート方式の裏技を研究するという荒技でセンター試験を乗り切った。

 

 そして東京学芸大学の入試に挑んだが不合格になり,金沢美術工芸大学の入試に賭ける。

 

 明子は幸運にも合格するが,授業には全く身が入らず,友人たちと遊びまくり,恋人(神尾楓珠)を作って色ボケ状態にまでなる。

 

 

 

 そのせいで単位取得も危うくなったアキ子は夏休みの課題を実家に持ち帰る。

 日高先生は,明子が大学で真面目に絵に打ち込んでいると信じていたが,そのていたらくに激怒し,描きたいものが分からないという彼女に自画像を描かせる。

 

 

 明子はまたも酷評されると思いながら自画像を提出するが,教授はそれを評価する。

 

 だが,そのせいで明子はますます怠けてしまい,かろうじて卒業こそできたものの宮崎に帰って無為な日々を過ごす。

 2人展をしようというのが,日高先生の口癖だったが,明子は全く油絵を描かなくなっていた。

 

 明子は絵画教室を手伝っていたが,彼女を甘やかしてきた両親もさすがに堪忍袋の緒が切れ,父親の会社のコールセンターにむりやり就職させられる。

 

 

 仕事ができない上に先輩からもいびられ,嫌になってしまった明子はふとマンガへの情熱を思い出し,見よう見まねで作品を仕上げて集英社に送ってみた。

 

 するとその作品が入選する。

 本来,雑誌に掲載される筈だったが,マンガの描き方を知らない明子がボールペンで描いたたため印刷できず,編集者(津田健次郎)からもっと作品を描くように指導される。

 

 コールセンターを辞めたい一心でマンガに打ち込んだ明子はその夢を叶え,東京に出ることになった。

 

 少しずつ有名になっていった明子にある日,日高先生から電話があり,癌になったと告げられる。

 彼女は宮崎に戻り,日高先生の元を訪ねると,彼は入院もせず息も絶え絶えの状態で絵を描き続けていた。

 仕事で急遽,東京に戻らなければならなくなった明子は日高先生に何度も病院に行くように言い,タクシーに乗るが,日高先生は明子に何度も「描け」と繰り返す。

 

 

 それは明子が絵画教室に入ってから,日高先生に何度も何度も言われ続けてきた言葉だった。

 

 有名な漫画家になり,東京で暮らしていた明子に日高先生の訃報が届く。

 葬儀にはかつての生徒たちが集まる。

 

 

 生前の日高先生と最後に会ったのは明子が美術部と絵画教室に引き入れたヤンキーの後輩今ちゃん(鈴木仁)だったが,彼はその後,美大に入りイタリア留学までして新進画家として有名になっていた。

 

 

 彼は自分の展覧会でライブペインティングを企画していたが,巨大なキャンバスを前にして何を描けば良いのか分からなくってしまった。

 車いすで見に来ていた日高先生は,彼を呼び,ほとんど聞こえないようなかすれ声で「描け」と繰り返したという。

 

 

 その後,マンガ大賞を受賞した明子はもう戻ってくることはない日高先生との日々を若干の後悔を含めて懐かしく思い出す。

 

 

 

 

漫画家東村アキコの自伝的マンガの映画化

 

 美大卒業後の明子が絵画教室の生徒に上手に教えるのを見て日高先生が感心するところが脱力的な面白さである。

 日高先生の竹刀を持ったスパルタ方式は,何かしらの信念によるものではなく,単に教え方を知らなかっただけらしい。

 

 自分もそうなりたいとは思わないものの,一切の邪心なく,純粋にそして真摯に芸術に取り組む姿勢は見ていてすがすがしさも感じる。

 

 東村アキコが取り繕うことなく,自分自身の自堕落さを正直に描いているが,永野芽郁のキャラが上手く嵌まっている。

 スキャンダルに揺れる彼女ではあるが,この映画の好調さを見ると,世間はすでに清純さを期待していないのではないかと思う。

 

 大学の友人役で駒井蓮が出ていたが,彼女の主演作もまた観てみたい。

 クリームシチューの有田が高校の美術教師役で出ていたが,当時の話題として,ボキャブラ天国の海砂利水魚が面白かったというセリフがあって面白かった。

 

 

 

 関西大学に入学した小西徹(萩原利久)は人と上手くコミュニケーションが取れず,友だちもできない。

 

 

 大分出身で変な語尾で話す山根(黒崎煌代)という男だけが話し相手であるが,友だちができない同士が仕方なくくっついたような仲である。

 

 

 ある日,徹は学内で見かけた桜田花(河合優実)のことが好きになり,珍しく積極的にアプローチする。

 

 彼女は山根に言わせれば「ひとりざる蕎麦女」であり,やはり社交性に欠け,友だちがいないタイプだった。

 

 

 ふたりは同じようなタイプであることを互いに知り,仲を深めていく。

 

 

 花は関大前の「ハナ」という名前の犬を飼っている飲食店でアルバイトをしていた。

 

 

 徹はハナとも仲が良かった。

 

 一方,徹は佐々木(古田新太)というおっさんが経営する銭湯で風呂掃除のアルバイトをしていた。

 

 

 彼の娘である夏歩(松本穂香)が出産間近で人手が足りないため,一度止めたバイトに戻ってきたのだ。

 

 そこにはもう一人,京都の大学に通うさっちゃん(伊東蒼)がアルバイトに来ていた。

 

 

 彼女はバンド活動の合間を縫ってアルバイトに通っていた。

 人見知りな徹もさっちゃんとは,気安く話せた。

 

 さっちゃんは徹に気になる女子ができたことに気づき,冷やかし半分で問い詰めるが,徹が真剣な気持ちだということに気づく。

 

 徹と花の交際は進み,互いの気持ちを確かめるだけというところまで来た。

 

 

 その状況を知ったさっちゃんは,徹に手遅れの告白をする。

 そして,もっと早く自分の気持ちを伝えるべきだったという後悔まで徹に話す。

 

 

 今後アルバイトで気まずい思いをするのは嫌だから,明日からは何もなかったように接するから安心してと泣きながら言って帰って行く。

 

 徹は翌日の待合せで花に気持ちを伝えようと考えていたが,彼女は来なかっただけでなく,大学でも見かけなくなった。

 又,さっちゃんもアルバイトに来なくなってしまった。

 

 徹は自分が花の気持ちを誤解しており,本当はいやいや付き合ってくれていただけだったのではないかと疑心暗鬼になる。

 そして,嘘だと決めつけていた山根の彼女が本当にいたことを知り,気持ちが荒み彼とも絶交する。

 

 だが,数日後,銭湯にアルバイトに行くと佐々木から,さっちゃんが交通事故で亡くなったと聞かされる。

 

 佐々木と共に焼香に訪れたさっちゃんの実家で,玄関に出迎えに来た花を見て徹は驚く。

 花は引きこもっていたせいで高校を留年しており,徹よりもひとつ年上だった。

 さっちゃんは,花のひとつ下の妹だったのだ。

 

 花とさっちゃんの父(浅香航大)はふたりが幼いときに病気で亡くなっていたが,彼女たちが結婚するときのためにそれぞれに手紙を残していた。

 さっちゃんが結婚するときのための手紙を花は読もうとするが,結局,徹に読んで欲しいと頼む。

 

 ふたりはさっちゃんが最高のイントロと言っていたスピッツの「初恋クレイジー」を最大音量で聴く。

 

 

 そのなかで,徹は花に聞こえないことを知りながら自分の気持ちを語る。

 

 

 

 ジャルジャルの福徳が書いた恋愛小説の映画化で,彼の出身校である関大を舞台にした話

 

 さっちゃんも花も長台詞が多いが,大半がひとり突っ込みを交えてのセリフで,ある意味ジャルジャル的

 

 この映画を高く評価する人もいるようだけど,深読みのしすぎではないかと思う。

 さっちゃんと花が実は姉妹だったというところが,一番の肝になっている話だが,残念なことに徹にそんなモテモテ要素は見いだすことができないし,不自然な偶然という感じが拭えない。

 花とはちよっとした秘密の共有のような気になる要素はあるが,さっちゃんが徹のことをあの長台詞で後悔するほど好きになる理由が分からない,というか描かれていない。

 

 映画の中身に対して女優陣がオーバースペックのような気がする。

 もちろん,そのおかげである程度,良いものにはなっているが。

 

 

 

 

 かつて彦根城で進物番をしていた柳田格之進(草彅剛)は,掛け軸が無くなったことの責任を取らされ,浪人となって娘のお絹(清原果耶)と貧しい暮らしをしている。

 格之進は印判を彫り,お絹は反物の仕立てをして生計を立てている。

 格之進は囲碁が得意だが,藩士だった頃に諍いになったことがあり,無理にでも勝とうという気持ちはない。

 

 大店を営む萬屋源兵衛(國村隼)は,囲碁を通じて格之進の人柄に惚れ込み,かつてのあくどい商売のやり方さえ改める。

 

 

 又,彼の店で働く弥吉(中川大志)は,お絹と親しくなり仲を深めていく。

 

 

 源兵衛の屋敷に招かれた際,かつての同僚梶木左門(奥野瑛太)が格之進を訪ねてきて,彦根城で無くなった掛け軸は,囲碁で諍いになった柴田兵庫(斎藤工)が,格之進を陥れるために隠していたことが判明したと知らせる。

 

 

 しかも柴田は,格之進の妻に格之進の潔白を証明してやる代わりに自分に身を任せろと迫り,そのせいで妻は琵琶湖に身を投げたのだということも分かる。

 

 

 格之進は,藩から出奔し賭け碁で稼ぎながら信州付近に身を隠しているという柴田を追おうとする。

 

 

 しかし,そのとき源兵衛の屋敷では50両の行方が分からなくなる。

 自分に疑いがかかったことを知った格之進は切腹しようとするが,お絹は知り合いの女郎屋のお庚(小泉今日子)に50両を借り,母の敵を取って欲しいと言う。

 

 

 期限の大晦日までに50両が見つからなかったときは,お絹は女郎にならなければならない。

 一方,弥吉は,50両が見つかったときは自分と源兵衛の首を格之進に差し出すという約束をする。

 

 柴田を追った格之進は,彼が江戸で開かれる大きな賭け碁に出るという話を聞き,江戸に向かう。

 その賭け碁を仕切る長兵衛(市村正親)は,格之進の頼みを聞き,本来,出ることのできない彼の参加を認める。

 

 

 柴田を見つけた格之進は果たし合いを申し込むが,彼は碁での決着を求める。

 しかし劣勢になった途端,格之進に切りつける。

 

 

 互いに掛けた者たちを巻き込んで大騒動になるが,結局,格之進は柴田の首を取り本懐を遂げる。

 

 一方,源兵衛の屋敷では,無くなった50両が額の裏から見つかり,弥吉はお庚の元に走るが年が明けてしまう。

 

 源兵衛は弥吉の約束を初めて知るが,潔く格之進に首を差し出そうとする。

 

 

 弥吉と源兵衛が2人並んで首を出しているところに格之進の刀が振り下ろされる。

 しかし,両断されたのは,かつて源兵衛が格之進と碁を打った立派な碁盤だった。

 

 お庚は,期限のことなどなかったかのように50両を受け取ってお絹を帰す。

 

 

 源兵衛の店を継ぐことになった弥吉とお絹の祝言を見届けた格之進は,どこかへ旅立っていく。

 

 

 

古典落語に題材を採った話らしい。

 

 長屋に住む腕の立つわけあり浪人と美人の娘という設定から,時代劇のお決まりパターンである。

 

 一方で,源兵衛の改心が唐突な上に極端すぎる気もするし,お庚の振る舞いも違和感があるが,落語ならこんな感じかなとも思う。

 

 又,格之進が自らの融通の利かなさを反省し,柴田が隠していた掛け軸を藩に返さず換金して,自分が不正を指摘したせいで禄を失った者たちの家族への償いに充てるらしいという結末も不自然に感じる。

 

 中川大志は,ちょっと頼りないけど最後には勇気を出すという男前役が嵌まってきている。

 

 この映画では,囲碁の石の下という手法(相手に自分の石を取らせることで,こちらが相手の石を取ることができる形に持ち込む)がすごい技のように扱われているけど,初心者向けの解説書にも出てくるもので,剣術の必殺技のようなものでもない。

 

 

 

 

 台湾人のジミー(シュー・グァンハン)は,36歳のとき自分が若い頃に作ったゲーム会社から追い出されてしまい,すべてを失う。

 

 ジミーは,18年前に日本のアミ(清原果耶)から届いたハガキをもう一度手に取って彼女との約束を果たすために日本へ行く。

 

 

 ジミーは日本各地を電車で回りながらアミの故郷を目指す。

 

 

 彼は,大好きだったスラムダンクの聖地,鎌倉を観光し,その後,長野に行く。

 

 

 そこで出会った18歳の若者,幸次(道枝駿佑)に若い頃に好きだった女性と岩井俊二監督映画「love letter」一緒に観たことや,その雪景色を見るために来たことを話す。

 

 

 ジミーは高校3年生のとき,日本人が経営するカラオケ屋でアルバイトをしていた。

 その店にバックパックの途中で財布を無くしたというアミが現れ,雇って欲しいと依頼する。

 

 

 社長は同じ日本人のよしみでアミの頼みを聞いたが,美人の日本人女性ということでカラオケ屋は大繁盛する。

 アミはカラオケ屋で働く店員たちとも直ぐに仲良くなっていった。

 

 

 日本のゲームやポップカルチャーが趣味で日本語が話せるジミーは,アミに惹かれていく。

 

 

 アミも彼に好意を持ち,ふたりで何度か出かけたりもした。

 

 

 しかし,突然アミの帰国が決まり,ジミーは「恋に破れた」と思い込んで落ち込む。

 

 

 しかし,父からの助言によって「ランタン祭り」に行く約束を果たそうとアミを誘い「次会う時は夢を叶えた時」という約束を交わした。

 

 

 絵が得意なアミの夢は,絵本を出版することだった。

 

 

 お互い夢を追い続けようと約束して二人は抱きしめあう。

 

 

 ジミーは,その後,アミとの約束を果たすために大学の仲間たちとゲーム会社を立ち上げ,それを軌道に乗せる。

 

 彼は,ようやく夢を叶えたと思いアミに連絡する。

 しかしアミは,彼氏と地球の裏側へ旅を始めるから日本にはいないと言って電話を切ってしまう。

 

 実はアミは旅をするどころか重い心臓病にかかっており,余命いくばくもない状態だった。

 アミが帰国した理由は,自分の病気にもう一度向き合い,克服するためだった。

 

 アミは亡くなり,やがてそれを知ったジミーはゲームの製作に没頭し,設立したゲーム会社は大きくなっていった。

 しかしジミーは,アミを忘れようとしてゲーム開発にのめり込みすぎ,彼の周辺から人が離れてしまった。

 その結果,会社を追われたジミーは自分を見つめ直す旅へと出かけたのだった。

 

 幸次と分かれたジミーは,松本で居酒屋を営むリュウ(ジョセフ・チャン)と出会い,街を案内してもらう。

 

 

 彼はジミーと同じ台湾人だったが,松本の町や人たちに愛着を持つようになり定住したという。

 

 ジミーは新潟にも台湾と同じようなランタン祭りがあることを知り,長岡でネットカフェに立ち寄る。

 

 

 そこの店員由紀子(黒木華)は,ジミーが開発したゲームを楽しんでいた。

 

 

 彼女はその偶然に驚き,ジミーをランタン祭りに案内する。

 

 

 ジミーは,アミの故郷である福島へ向かう。

 

 そこで出会った中里(松重豊)というアミを幼少期からよく知る隣人に彼女の実家まで送ってもらう。

 

 

 実家には,アミの母裕子(黒木瞳)が暮らしており,彼女が描いた絵本を見せてくれる。

 それは台湾での暮らしを描いたもので,そこにはジミーとの再会を願う文字があった。

 

 

 東京をめぐり台湾へ帰ったジミーは,新たな人生を歩み始める。

 

 

 

 ジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2 日本漫車流浪記」の映画化ということらしい。

 

 台湾の人の日本への想いが良く分かる作品で,特に岩井俊二監督作品への目線が印象的。

 又,ストーリー自体にもなんとなく岩井俊二作品の雰囲気を感じるところもある。

 

 この映画では,日本と台湾だけだけど,こういう日常を描いた映画のような肩肘を張らない環境で,色々な国の人が日本の文化をどう見ているのかを知れるのは良いのではないかと思う。

 

 清原果耶はやはり魅力的で,この映画のような状況で彼女を好きにならない男性がいるとは思えない。

 岩井俊二組の黒木華も当然に素晴らしい演技で,どの映画を観ても本当にその場にこういう人がいるとしか思えない。

 

 

 

 雨男という名前でオカルト専門の動画クリエイターをしている雨宮トオル(間宮祥太朗)は,マネージャーの柳岡(DJ松永)から購入予定の一軒家の間取りについて相談される。

 

 

 雨宮は知り合いの設計士,栗原文宣(佐藤二朗)に意見を聞いてみる。

 この間取り図の不可解な点のひとつは,1階の台所とリビングの間には壁で閉じられた謎の空間があること,もうひとつは2階の子ども部屋には窓がなく,扉も2重になっていることだった。

しかも子ども部屋には備え付けのトイレまであり,誰かを閉じ込めるために作られているように見えるのだった。

 

 

 ミステリー愛好家でもある栗原は,1階と2階の間取り図を重ねたとき,1階の謎の空間が2階の子ども部屋の棚と重なることに気づき,この部分には穴があって人が通り抜けられるような隙間なのではという仮説を立てた。

 

 すると,その家のすぐ近くで死体遺棄事件が発生し,事件と家との関連を疑う雨宮が疑惑を動画にして投稿すると,その家に心当たりがあるという宮江柚希(川栄李奈)という女性から連絡が来る。

 

 

 柚希は,雨男の配信を見て自分の夫,恭一が殺された事件と東京の変な家のそばで起きた事件が似ていることと,夫の死体が遺棄された埼玉の雑木林のそばにも変な間取りの家があることに気づいて雨宮に連絡したという。

 柚希は,夫が東京にある変な家の住人が起こしている事件に巻き込まれたかもしれないと言ってもう一つの変な間取りを雨宮に見せる。

 

 

 埼玉にあるというその家は,一部の部屋が後から増設されているような不思議な作りの家で,この家にも子ども部屋とつながる謎の空間が作られていた。

 

 雨宮と柚希は,東京にある変な間取りの家を実際に訪れることにするが,雨宮に栗原から,宮江恭一は結婚していないという電話がかかってくる。

 

 柚希は,殺された宮江恭一とは無関係であり,東京の変な家に住んでいた姉,綾乃(瀧本美織)夫婦の関係者だった。

 柚希の目的は変な家の事件に巻き込まれた姉を探すことだった。

 

 姉が現在いる本家では,先祖代々伝わる呪いと,それを鎮めるための恐ろしい儀式左手供養が行われていた。

 それは,片淵家当主の妾を本妻が妬み虐待し,流産させたところ心身を病み左手首を切断し自殺したことで生まれた呪いである。

 神主から肩淵家の子供を10才になるまで人の目に晒さず育てた上,子供に人の手首を切断させて殺させ,その左手を捧げよと言われ,それが現代に至るまで続いてるという。

 

 

 恐ろしい儀式に巻き込まれた柚希の姉たちを助け出した雨宮と栗原だったが,姉夫婦に話を聞くと彼らは変な家での殺人は行っていないことがわかった。

 

 綾乃は助け出されたあとも洗脳が解けず,儀式をしなければと追い詰められていた。

 綾乃と柚希の母である喜江(斉藤由貴)は,綾乃の肩を優しく支える。

 

 東京の変な家の近くにある雑木林でおきた死体遺棄事件の犯人は母だった。

 彼女がしていたホームレス向けの炊き出しのボランティアは,ホームレスのなかから犠牲者を選ぶためだったのだ。

 儀式に必要な犠牲は3人なのだ。

 

 

 

話題になった「変な家」の映画化である。

 

 ユーチューブで公開された第1話は「一見何の変哲もない間取り図の家が実は・・・」という触れ込みだが,その間取りは一見して変であり,こんな間取りの家を買う人はいないだろうと思った。

 

 作者は,世間の人は間取り図を読めないと思っているのか?

 というわけで,あまり乗れない話だったのだが,久しぶりに川栄が出るし,佐藤二朗もいるから面白いのかなと思って観に行ってみた。

 

 とにもかくにも左手供養の不合理さとリアリティの無さが引っかかって楽しめない,つまり怖がれない。

 

 雰囲気としては,これも横溝正史風だけど足元にも及ばない。

 

 書籍としてのシリーズ全体は大人気のようだけど自分には刺さらないな。

 

 

 

 上間浩(前出燿志)と夏月(星乃あんな)の兄妹は,家庭が貧しい上に義父から暴力を振るわれており,通っている中学校でも孤立している。

 安室朝陽(羽村仁成)は,同じ中学に通う優等生だが,浩たちとも分け隔て無く接し,親しくなっていた。

 

 夏月は,朝陽と出会う直前に義父からレイプされそうになり,包丁で義父の腹を刺した後,家を飛び出していた。

 家出した夏月は,浩とともに友人である朝陽を訪ね,その後,3人で行動をともにしていた。

 

 ある日,3人が砂浜で動画を撮っていたところ,偶然に2人の人が岬から転落するところが映り込む。

 転落して死亡したのは,ある大企業の社長夫婦だった。

 一緒にいた社長夫婦の娘婿東昇(岡田将生)は警察に対して,記念撮影をしていたところ義父が服用している薬の副作用で倒れ込み,助けようとした妻もろとも落下したと説明し,事故死扱いとなった。

 

 

 しかし,3人が撮った動画には,昇が夫婦を突き落とすところが映っていた。

 

 

 ニュースで犯人が大企業の社長の娘と結婚した昇であることを知った朝陽は,浩と夏月とともに昇に6千万円を要求する。

 

 

 昇は婿養子なのですぐに金は用意できないと言うが,数日後,今度は昇の妻,静 (松井玲奈)が交通事故で亡くなる。

 

 

 静が亡くなった日,昇は出張中であり,警察に疑われることはなかった。

 こうして昇は莫大な遺産を手にした。

 

 朝陽がどうやって殺したのかと聞くと,昇は,妻が普段飲んでいるサプリのカプセルの中に覚せい剤を入れたカプセルを入れ二重構造にして遅れて作用するように仕組んだという。

 昇が殺害用の薬を手に入れられることを知った朝陽は,金の要求を止めて代わりに離婚して別居している父と父の現在の妻を殺害して欲しいと依頼する。

 

 

 理由は自分と母親を苦しめた復讐だという。

 離婚した父には娘がおり,その娘と朝陽は同級生だったが,最近,その娘は自殺していた。

 自殺した娘の母親は,朝陽が殺したのではないかと疑っていた。

 

 昇は薬の調達と遺体の処理は手伝うが,殺害は自分でやれという。

 朝陽はそれを承諾したが,夏月は,自分が殺すので朝陽はアリバイ工作のために学校にいて欲しいと言い出す。

 

 夏月の計画通りに朝陽は学校に行き,夏月と浩は自殺した娘の墓参りに来た朝陽の父たちに毒入りの餅を食わせて殺した。

 

 

 そして,あらかじめ掘っていた穴に二人を投げ入れて埋める。

 

 後日,朝陽たち3人は昇の自宅に集まり,昇の殺害現場の動画が入ったファイルを渡す。

 すると昇はスマホを取り出し,密かに撮影しておいた夏月たちが毒入りの餅を食わせて殺害する動画を見せ,自分も朝陽たちの弱みを握っていることを知らせる。

 

 最後に4人で食事をしていると中学生3人は苦しみだし絶命する。

 しかし朝陽は死んだふりをしていただけで,後ろから昇の首を刺して彼を殺す。

 朝陽は,昇が薬で自分たちを殺そうとすることを予想していた。

 

 朝陽は全ての犯行を昇と夏月たちに被せて,自分は事件に巻き込まれた被害者であると偽装して警察の追及をかわした。

 朝陽が同級生の娘を自殺に見せかけて殺したのは,フラれた腹いせだった。

 娘の母を夏月たちに殺させたのは,自殺ではなく殺されたことに感づいていた母親の口封じのためだった。

 

 数日後,死んだ夏月が死ぬ直前に出した朝陽あてのラブレターが朝陽の自宅に届く。

 それは夏月からだったが,朝陽がアリバイ工作のために書いていた日記がデタラメであることも書かれていた。

 その手紙を朝陽より先に読んだ朝陽の母親(黒木華)は,彼に手紙の真偽を問う。

 

 

 すると朝陽は包丁を手に取り,自分がやったことを話して,母を殺そうとするが,母親は警察に連絡しないだろうと思い,殺害をやめ買い物に出かける。

 だが母親は朝陽との会話をスマホを通して警察に連絡していた。

 鼻歌を歌いながら楽しそうに歩く朝陽の前に警察が現れる。

 

 

 

 リボルバー・リリーに出ていた羽村仁成が演じる中学生と岡田将生が演じる金の亡者のサイコパス合戦だが,どこかに共感できるところが欲しかった。

 

 互いのトリックも大したものではないし,それぞれの動機もつまらない。

 黒木華の使い方ももったいない。

 

 昇に毒を飲まされ,簡単に死んでしまう夏月の純情が哀れだが,そのシーンがそれを知りながら彼女を助けようともしない朝陽のサイコっぷりを強調するためだけというのは,物語を浅くしただけだと思う。

 

 岡田将生はつまらないイケメン俳優と言われるのを恐れてか,こういう役ばかり選ぶけど,ちょっと偽悪趣味になっている気がする。

 

 

 藤沢美紗(上白石萌音)は大学卒業後,希望していた大手企業に就職することができたが,PMS(月経前症候群)の影響で気分がふさぎ、他人に厳しい態度を取ってしまうことが続いた。

 大手企業だけあって,周囲は理解のある対応をしてくれていたが,美紗自身がいたたまれなくなり,わずか2ヶ月で辞表を出してしまった。

 

 2年後には,栗田科学という科学工作玩具の開発,制作,販売を行う小さな会社に就職し商品管理を任されていた。

 職場の人たちは,PMSのことも理解してくれており3年間,務め続けることができていた。

 

 そこへ山添孝俊(松村北斗)という不愛想な青年が転職してくるが,美紗がPMSのときに,彼が炭酸水の栓を開ける音がストレスになって,ひどいことを言ってしまう。

 

 

 孝俊は美紗の態度も理解できなかったが,栗田科学の仕事も好きになれそうもなく,以前勤めていた会社の上司に復帰できないか相談していた。

 だが彼は仕事中にパニック障害の発作を起こし,早退することになった。

 

 社長に言われて孝俊を家まで送った美沙は,彼がパニック障害のせいで生きがいや気力をなくしていることを知る。

 

 

 美紗は孝俊に自分がPMSであることを告げるが,彼はPMSとパニック障害は全然違って同列のものと考えるのは無理があると言う。

 美沙は「PMSはまだまだだね」と笑って会社に戻って行く。

 

 美沙は,孝俊がパニック障害を患ってから電車に乗れなくなったことを知り,しばらく使っていなかった自転車を磨いて,使ってもらおうと孝俊の家を訪ねた。

 

 

 孝俊は自転車を一目見ていらないと答えたが,美沙はちょうど彼が自分で髪を切ろうとしていたところだったことに気づく。

 彼はパニック障害になってから散髪屋に行くことも出来なくなっていた。

 美沙が髪を切ってあげると言い出し,孝俊は渋々頼むが切りすぎてしまい孝俊は,あまりのひどさに思わず笑い出してしまう。

 

 

 一か月に一度のメンタルクリニックの診察にやって来た孝俊は,医師に「PMS」について教えて欲しいと頼み,関連本を貸してもらう。

 

 こうして2人は互いの症状に対応する方法を学んでいく。

 

 

 栗田科学が毎年行っている移動式プラネタリウムの日が近づき,司会を美沙が,資料集めと原稿作成を孝俊が担当することになった。

 

 

 栗田社長(光石研)は,共同経営者で20年前に自死した弟が遺した宇宙について探求した資料を孝俊に見せてくれた。

 栗田も弟の自死から立ち直り切れていなかった。

 

 

  美紗と孝俊が取り組んだ移動式プラネタリウムのイベントは成功し,孝俊は栗田科学での仕事にやりがいを見いだしていく。

 

 

 一方,美沙は田舎の母が,パーキンソン病を発症し歩くのが不自由になったため実家付近で仕事ができる会社への転職を考え始めていた。

 

 

 PMSやパニック障害など,実際にはかなり多くの人が悩んでいるにもかかわらず,社会の表面からは消し去られているような生き辛さを描いた作品。

 悪い人は誰も出てこないけど,それでも生き辛さがなくなるわけでもないことがよく分かる。

 

 主人公2人が心を通わせるけど,恋愛関係にならないという設定からも作品の真面目さが伝わる。

 

 上白石萌音の演技を見て思ったのは,昔,女のヒステリーと言われたものは,かなりの割合でPMSの症状だったのかも知れないということ。

 女はすぐヒステリーを起こすから,大事な仕事を任せられないというような話は,最近あまり聞かなくなったけど,それがPMSの症状だったとしても単に効率だけを求めると,今でもこういう発想で世の中が動いていくことになりそうである。

しかもやっかいなのは,個人差が大きく,たまたま症状が軽い人 が症状の重い人を批判的に見ることになると,益々,生き辛さが増すことになる。

 

 この映画の中では,単純明快な解決策はなく,必要なのは理解であることが示唆されている。

 

 

 

 吉良上野介(ムロツヨシ)には,家督を継げない吉良孝証(ムロツヨシ二役)という弟がおり,兄に金の無心を断られると出家したとは言いながら浮浪者のような生活をしていた。

 

 

 そんなとき,例の松の廊下の事件が起き,吉良上野介は浅野内匠頭(尾上右近)に切りつけられる。

 

 

 浅野内匠頭は切腹となったが,実は吉良上野介も切りつけられた傷が原因で亡くなってしまう。

 

 

 吉良家も当主が逃げ傷で亡くなったとなると不名誉であり,お家取り潰しの危機に陥っていた。

 吉良家の家臣斎藤宮内(林遣都)が思い出したのは,上野介とそっくりな弟孝証のことだった。

 

 

 彼を探し出し,説き伏せた上で上野介の身代わりにすることに成功する。

 

 

 彼は兄と違って慈悲深く,家臣や領民たちに優しく振る舞った。

 

 

 家臣たちは最初は訝ったが,上野介は実は良い人だったと信じるようになる。

 

 

 ただ,孝証の放蕩的であった性格は変わらず,吉良家の財産で吉原通いもするようになった。

 

 

 そこで孝証は大石内蔵助(永山瑛太)と知り合う。

 互いに正体を知らずに意気投合したふたりだったが,やがてそれぞれの事情に気づくようになる。

 

 

 孝証は内蔵助に自分の首を差し出すと言い,内蔵助もすぐに後を追うと誓う。

 

 

 それは,赤穂藩も吉良家も柳沢吉保(柄本明)の策略で窮地に陥っており,それぞれの家臣や領民を救うためには,そうするしかないと考えられたためだった。

 

 

 だが,討ち入り当日,いくつかのアクシデントによって,内蔵助はすんなり打たれるはずの孝証になかなか出会えなくなる。

 

 

 ようやく納戸で出会えた内蔵助は,予定通り孝証の首を打とうとするが,刀が天井に引っかかり,大量の塩とともに上野介の塩漬死体が屋根裏から落ちてくる。

 孝証が身代わりを務める以上,上野介の死体をどこかに隠さなければならなかったが,宮内は赤穂の塩で上野介を塩漬にして納戸の天井裏に隠していたのだった。

 そうなれば孝証の首は必要がない。

 

 内蔵助は塩漬の上野介の首を取って勝ちどきを上げる。

 だが,上野介の首を取られまいとする吉良家の家臣たちと首の取り合いになり,ラグビーさながらの大騒動になる。

 結局,赤穂浪士たちは浅野内匠頭の墓前に上野介の首を供えることができ,史実通り全員切腹になる。

 

 孝証は内蔵助の死を惜しみながらも身代わり時代に仲良くなった女中の桔梗(川口春奈)と何処かに去る。

 

 

 桔梗は,上野介が別人になっていたことには気づいていた。

 

 

 

 赤穂浪士の話をいくつかの史実の解釈を変えて,上野介が実は身代わりだったかも,と想定したコメディ。

 

 とは言え,松の廊下も最後に首を取られたのも身代わりではなく実際の上野介という設定なので歴史の大幅改編という感じでもない。

 

 生首ラグビーのくだりは,ちょっとハメを外しすぎな気もするけど,原作者が脚本も書いているので,そもそもがそういうノリなのかもしれない。

 

 気軽に楽しめる娯楽作。