新宿ゴールデン街三番街にあるバー「カールモール」のバーテン石破マリコ(伊藤沙莉)のもう一つの顔は探偵である。
主な仕事は人捜しであり,例えばラブホテルでバイトしている戸塚(北村有起哉)から5年前に出て行った娘・瑞樹(藤松祥子)の捜索を依頼されている。
ある日,マリコはFBIから宇宙人探しを頼まれる。
捕まえた宇宙人を誰かに連れ去られたというのだ。
マリコは恋人である自称忍者のMASAYA(竹野内豊)に協力してもらって宇宙人というか,宇宙人を連れ去った男を捜す。
MASAYAは伊賀麻績新陰服部流の後継者であり,忍術道場を開いているが生活は貧しく,日常的に職務質問を受けている。
ホストの星矢(高野洸)に恋しているキャバ嬢の絢香(久保史緒里)は売上No.1を目指す星矢の夢を叶えるため,街中でふと見かけた500万円の懸賞金がかけられた連続殺人鬼・南部(松浦祐也)の捜索をマリコに依頼するが,宇宙人捜しで手一杯な彼女はその依頼を断る。
仕方なく絢香は自分で連続殺人鬼捜しをするが,彼女を金づるとしか見ていないと思われた星矢は意外なことに絢香を愛していた。
一方,マリコに娘捜しを依頼した戸塚にはヤクザ時代「殺しの戸塚」と呼ばれていた過去があり,彼は現役の弟分から鉄砲玉として組長の殺害を命じられていた。
歌舞伎町には幼い頃から父親に殺人マシーンとして育てられた小金井茂美(中原果南)と貞美(島田桃依)という姉妹がいた。
このふたりの姉妹げんかのとばっちりで絢香と戸塚の問題は何となく解決してしまう。
マリコには暴力を振るうヤクザの父親がいたが,彼女は15年前,まだ子どもだった頃に,その父親を殺してしまったという過去があった。
宇宙人を連れ去ったのは天本秀樹(宇野祥平)という研究者だった。
彼はその宇宙人を仲間の元に返そうとしていた。
マリコは天本を探し出したが,特殊部隊を率いるFBIと宇宙人を捕獲して中国に売りつけようと企むヤクザの手も迫っていた。
しかし歌舞伎町の空を超大型の宇宙船が覆いつくし,天本と宇宙人はUFOに乗って星へ帰って行く。
マリコにはいつもの日常が戻り,忍者修行をしてるMASAYAはいつものように不審者として警察に連行され,そしてバーに新たな依頼をもって不思議な外国人がやってくる。
伊藤沙莉が探偵役をやると聞けば,名作の期待しかないが,なぜ宇宙人捜しになるのだろうか。
宇宙人以外のオムニバスの内容は,オーソドックスな探偵物のサブストーリーとして悪くないのに残念としか言いようがない。
「宇宙人のあいつ」といい,伊藤沙莉と宇宙人はどうも相性が悪いようだ。
タイトルの「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」というのは,宇宙船が来た日のことなのだろうか。
父親を殺してしまった日に比べれば,それほど悪くない日のようにも思えるのだが。