広島に観光に訪れていた久能整(菅田将暉)は,狩集汐路(原菜乃華)という少女からボディガードを依頼される。

 

 

 久能は困惑するが,犬堂我路(永山瑛太)の紹介だと聞き,興味を惹かれているうちに狩集家の遺言書公開の場に連れてこられてしまう。

 

 

 狩集家の顧問税理士の真壁軍司(角野卓造)と顧問弁護士の車坂義家(段田安則)によると,汐路の祖父・狩集幸長の遺言書には相続を受ける息子と娘の世代が全員死亡したため次の当主は孫の世代から1人を選ぶと書かれていた。

 

 

 そして4人の候補者それぞれに狩集家の蔵の鍵が渡され「『それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ』というなぞかけの言葉を解き明かした者に相続が行われる」という条件が書かれていた。

 

 汐路は「狩集家では遺産相続時に必ず揉め事が起こり人が死ぬ」と言う祖父から聞かされたジンクスを語り,彼女は8年前に自身の父である弥(滝藤賢一)が3人の兄弟と共に自動車事故で死亡したのも遺産相続の揉め事が原因であると信じていた。

 

 

 久能は余計な問題が起きないように遺産相続候補者である理紀之助(町田啓太),波々壁新音(萩原利久),赤峰ゆら(柴咲コウ)に汐路との話し合うように勧めるが,誰も承諾しなかった。

 

 久能と汐路は,彼女に似割当てられた蔵を捜索し,9体の「日本人形」を発見する。

 久能は,日本人形の着物の柄から人形が1年の各月を指していることに気づき,12ヶ月を揃えるためには「牡丹」「菊」「桜」が足りないことを指摘する。

 

 汐路の蔵を見せることを条件として新音の蔵を覗いた久能たちは,新音の部屋には本物と偽造された物が対となった「有田焼」が大量にあることを知る。

 

 

 蔵へと向かう途中に汐路の頭上から植木鉢が落とされ,夜には何者かが階段に油を撒いたことで汐路と新音は階段から落下する。

 大事には至らなかったが,不穏な空気が立ち込める中,ゆらが自分に割り当てられた座敷牢のある蔵に閉じ込められる。

 

 彼女の夫の一平(野間口徹)と理紀之助がゆらを救い出したが,理紀之助にはアリバイがなく,無実を証明するために彼は自身の蔵を見せることになった。

 

 

 理紀之助の蔵には,多数の血のついた日本刀が置かれていたが,他に情報はなく4人の候補者は疑心暗鬼に陥り始める。

 

 久能は,植木鉢も階段に塗られた油も,ゆらを閉じ込めた犯人も汐路であることを見抜いており,彼女にそれ以上のことをしないように忠告する。

 

 汐路は父の弥が運転する車の事故によって理紀之助,新音,ゆらの父親や母親が死亡したことを長い年月にわたって責められていた。

 警察が事故の原因を居眠り運転による事故だと発表したため,汐路は,父の居眠り運転ではなく,遺産相続上のトラブルでの殺人だったと信じることで精神の安定を保っていたのだ。

 彼女は,遺産相続の競争中に殺人事件やそれに近い事故が起こることでより信憑性が上がると考えた。

 

 彼女の抱えた強いトラウマの存在を知った理紀之助と新音とゆらは,彼女を許し協力してなぞ解きをすることにする。

 

 久能は,事件がひと段落したと判断して東京に帰ろうとしたが,コインランドリーからの帰路に何者かに車で轢かれそうになった上に,狩集家の代々の家族写真を見たことでまだ解決しなければならない問題があると考える。

 

 4人の候補者と汐路の初恋の相手であり車坂義家の孫である朝晴(松下洸平)を呼び出した久能は,遺産相続時のトラブルで亡くなった過去の狩集家の人間が全員天然パーマで色白だったと言い出す。

 

 

 5人は久能の言葉を最初は冗談だと思ったが,狩集家には稀にその条件を満たした子どもが生まれ,必ず弥のように老衰や病気ではない理由で死亡していると分かる。

 久能は,轢き殺されかけた恨みから弥の死亡事故について調査を始め,生前に弥が,同じ特徴を持つ兄弟と狩集家と死の謎を調べ,それらをUSBメモリに保管していたことを突き止めるが,そのUSBメモリを見つけることはできなかった。

 

 狩集家の真相を知り,その物語を舞台の脚本として用いた男性が自殺したことを知った久能は,その舞台の物語を汐路たちに見せる。

 その内容は,戦後の動乱期に1人の鬼と2人の従者が,本当の狩集家の人間を皆殺しにした上で「狩集」という苗字を乗っ取り大成したというものだった。

 

 汐路たちは死体を埋めた場所とされる蔵の地下で夥しいほどの人骨を発見し,その物語が事実であることを知ってしまう。

 さらに物語では、少女を1人逃がしてしまった鬼は,自身が偽物の狩集家であると露見しないように自身と同じ特徴を持った子孫を殺害するように2人の従者と誓ったと語られていた。

 

 久能たちは,真実を知った弥を,現代でも鬼のルールを忠実に実行する一族の誰かが殺害していたのだと知る。

 

 喫茶店に集合した久能と4人の候補者と朝晴は,本当の狩集家の末裔を発見した弥が,その情報をUSBメモリに保管していたと推測する。

 

 朝晴が帰宅した後,新音が飲み物をこぼす現場を見た汐路は,かつて自分が弥と最後に会った日に苛立ちからジュースを弥にこぼしたことを思い出す。

 その話を聞いた久能はUSBメモリの場所に勘付き,関係者全員にそのことを共有するようにと汐路に言う。

 

 USBメモリの場所が厳島神社の鳥居付近にあることを知った犯人は,データを読み出し本当の狩集家の末裔の居処を知る。

 本当の狩集家の末裔の家を訪れた犯人はそこに火を放とうとするが,駆け付けた刑事たちによって取り押さえられた。

 

 そしてその場に現れた久能たちは,犯人であった朝晴に偽造した嘘のUSBメモリを掴ませていたことを伝える。

 代々狩集家の顧問税理士を務めてきた真壁家と顧問弁護士の車坂家は,従者として鬼のルールを厳格に守り続け,謎に近づく者と天然パーマかつ色白である狩集家の人間を殺害してきた。

 久能は,言葉の節々の違和感から朝晴を警戒し,汐路が弥との最後の日にこぼしたジュースこそが,弥を死に追いやった睡眠薬入りのものであることに気づき,汐路とともに朝晴を罠にかけたのだった。

 

 朝晴は,遺産相続の場でなぞ解きを使い,4人の候補者に「本当の狩集家の末裔」を見つけ出させた上で始末しようと考えていたことを告白する。

 そして口止めに現れた真壁軍司と車坂義家の制止を無視して,2人が謎を知った脚本家を殺害したことを明かす。

 警察に連行されていくとき,朝晴が「幼い汐路が弥の行動を全て教えてくれたおかげで弥を殺害できた」と言い残したせいで汐路は強いショックを受ける。

 

 久能は,悲嘆に暮れる汐路を慰めようとして4人の候補者にアメジストドームに隠されていた弥のUSBメモリを渡し「本当の狩集家の末裔」のもとを訪問する。

 アメジストドームをはじめ,石を用いたアクセサリーを作るその女性は,生前に弥の訪問を受け,正統な後継者として日本人形を貰ったことや,鬼のルールの存在を自分たちが終わらせるという約束を受けたことを語る。

 

 そして女性は汐路たち4人にそれぞれの親から注文を受けた性格に合った石を使ったパワーブレスレットを渡す。

 

 弥が我路と知り合いだったことから大隣警察署にも事件の報せが届き,またも事件の場にいた整の存在に刑事一同は驚愕する。

 

 

 

 

 

 人気俳優を集めて作られた人気テレビシリーズの映画版。

 ヒロインの原菜乃華は朝ドラの主演も期待されている。

 

 

 桜庭一樹が「赤朽葉家の伝説」を書いたときに横溝正史の「八つ墓村」や「犬神家の一族」の世界観への憧れを力説していたが,おそらくこの話もそういう線上にあるのだと思う。

 

 しかし,平家の落人まで遡れとは言わないものの,終戦直後(第二次世界大戦だよね,応仁の乱とかじゃなくて)の混乱期に「鬼」?っていうのはとても納得できない。

 せめて戦時中の軍の秘密研究とか,そこまでくらい言ってもらわないと。

 

 ストレートヘアーに憧れるという久能のおなじみのネタに引っかけているんだろうけど,天然パーマと色白で正体がばれることを恐れるという発想もついて行けない。

 

 脚本は「例の人」なんだけど,原作はどんな感じなんだろう。