パパ・パパゲーノ -63ページ目

ローマの水

 ローマ市内には、大通りの脇や、公園の中や、市場(いちば)の中、いたるところに、飲める水がたれ流しになっている水道の蛇口がありました。友人に連れていってもらった「アランチャ公園」(アランチャはオレンジのこと。オレンジの木がたくさんあって実も生っていましたが、食べてもうまくはないものらしかった)は、市内が一望できる高台にあって、眺めも最高でしたが、そこにあった水道の水が冷たくてうまい。湧き水なんでしょうが、どこから来るのでしょうかね。そのことは聞きそびれました。
 
 逆エル字型(角は丸い)になった、真鍮(?)のパイプの、天に向いた方にも小さな穴が空いていて、水を飲むときは、地面に対している口をふさいで、その穴から飲むようになっていました。写真を撮らなかったので、実物が示せません。
 
 そう言えば、かの、超有名な「トレビの泉」も「泉」と言うくらいだから、湧き水なのでしょうね。水量は豊かでした。
 
 カンポ・デ・フィオーリという青空市場(と言ってもお店はそれぞれテントで被ってありました)で、桃とサクランボを買って、そこの水道で桃を洗って食べましたが、水も気持よかったし、桃もガリガリ齧って食べる、酸味の勝った昔風の桃で、すこぶるうまかった。
 
 昨日、たまたまテレビを見ていたら、「ひつまぶし」と「煮込みうどん」を、ローマで作って、ローマの人に食べてもらってどっちが勝つか、というような番組をやっていました。ウナギのタレと、八丁味噌ベースの味噌は、名古屋から持参して、あとは現地の食材で作るというもの。その材料探しに、この市場が出てきました。
 
 なんですね、自分が行ったことのある場所が、テレビ画面に現われると、「おっ、ここ行った行った」と、妙に興奮するものですね。まるで、親戚が登場したみたいな気分になる。親戚のだれも画面に出たことはありませんけれど。


いちご        ぶどう        オレンジ        ぶどう        いちご

メメント・モリ

 「メメント・モリ(Memento Mori)」というのは、「死を忘れるな」という西洋に古くからあるスローガンのようです。たいていは骸骨とともにイメージされる。「死の舞踏(ダンス・マカーブル)」というのもこのテーマの表れだそうです。絵画や詩歌の主題になります。


 ミラノのポルディ・ペッツォーリ美術館に行ったら、表面が「若い男の肖像」、裏面が「メメント・モリ」というズバリのタイトルの絵がありました。絵のバックに鏡があって、裏も見られる仕掛けです。作者はアンドレア・プレヴィターリ(1470-1528)。他にどんな絵を描いた人なのかは分かりません。



 この美術館は、ポルディ・ペッツォーリという19世紀に生きた金持ちの収集家が集めた作品を展示したのがその始まりだそうです。最近の寄贈品などもあるようです。その一つらしい「黒衣の騎士」というのでしょうか、黒ずくめの紳士の肖像もありました。


 美術館のロゴにも使われている「ある婦人の肖像」(ピエロ・デル・ポッライオーロ;1443-1496)が一番の売り物のようでした。それと、ルーカス・クラナッハ(1472-1553)が描いた、「マルティン・ルターの肖像」がここにもありました。ウッフィーツィにあるのが有名ですが、このモチーフで何枚も描いたらしいので、他の場所にもあるそうです。ネットでさがすとたくさん出てきます。微妙に表情が違います。ここに掲げる写真は、そこで買った絵葉書を撮影したもの。


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アッシジ

 ローマからアッシジへはバスで移動することにしました。料金16.5ユーロ。前日に、10:15分発の切符を買った(つもりでしたが、7日間有効の切符)のですが、ティブルティーナ駅から出発する長距離バスは、なんとその日は運休なのだそうです。14時に出るらしい。結局、ペルージャまでいったん行って、そこで乗り換えてアッシジへ、ということになりました。ほぼ、丸一日かかってアッシジへ到着しました。夕方、どしゃぶりの雨に会いましたし。


 翌日は、カラリと晴れた好天です。山腹にある町なので、どこをとっても絵になります。アッシジは、小鳥たちと話すことができた、というフランチェスコというお坊さんで有名ですね。町じゅうフランチェスコだらけと言ってもよかった。教会の神父さん、街中でお話したシスターさん、おふたりの現地在住日本人をお見かけしました。



聖フランチェスコ教会:

この草の上に PAX(平和)という字が浮き上がる植え込みがあります。










教会の手前の道から、左前方を見るとウンブリアの風景が広がります。











アッシジの街の小道。






















イタリア系

 前にも書いたように、どこの国を旅していても、移動に利用するのは公共の交通手段です。タクシーにはほとんど乗らない。レンタ・カーで動くと便利だと薦めてくださる方もありますが、そもそも運転ができません。
 
 ローマの地下鉄で目の前に座ったおじさんが、どこかで見た覚えのある顔で、だれだったかなあ、と考えていたら(おそらく隣りに座っていた同行者と同時に)思い当たった。映画『メキシカン』で、ジュリア・ロバーツと一緒に車で旅をする悪役とそっくりでした。ジェイムズ・ガンドルフィーニという俳優。別の乗り物でも似た顔を見かけました。
 
 ミラノの地下鉄では、アンディ・ガルシアのいとこと言っても通りそうな美男の中年を見かけた。もちろん、ガルシアはスペイン系の名前ですが、広くラテン系でくくれば、イタリアで見かけてもおかしくはないわけです。
 
 他にも、スティーヴ・ブシェミによく似た男、グイネス・パルトロウのそっくりさん、サンドラ・ブロックを若くしてぐんとスタイルをよくしたような美人も見かけました。みんながみんな、イタリア人ではないのでしょうけれど。こちらも、しばしば「ニーハオ」と声を掛けられましたから、向こうから見れば、東洋人の顔が同じに見えるようです。地元で暮らす人には、西洋顔をしていても、同国人ではない場合は分かっているようです。
 
 それでも、マルチェロ・マストロヤンニに似た男や、アル・パチーノ、ロバート・デニーロ、マーロン・ブランド、などを思い出させる顔にはついに会わなかったような気がします。ましてや、ソフィア・ローレンや、モニカ・ベッルッチに似た女性も見かけませんでした。
 
 もちろん、ミラノの運河沿いにあった魚屋のおじさんや、果物屋のおばさんのように、ハリウッド・スターの誰にも似てはいないけれど、じつに味のある、いい顔の人たちもたくさんお見かけしましたよ。

さくらんぼ      オレンジ        ぶどう        オレンジ       さくらんぼ

イタリア、トイレ事情

 イタリア旅行のガイドブックには、都市で公衆トイレを見つけるのはむずかしいので、どこにでもあるバール(Bar;酒もコーヒーも食べ物も出す一種の喫茶店)に入って、なにか注文し、そこのトイレを使うのがよいと書いてあります。その通りでしょうが、ただ、オシッコだけしたいのに、さらにコーヒーを飲む、あるいは、水(結構高い)を飲むのも面倒です。


 フィレンツェのシニョーリア広場は、ヴェッキオ宮殿(いま市役所)と、そばにウッフィーツィ美術館がある、一番観光客の多い場所ですが、公衆トイレは、たしかに見当たりません。意を決して、よくテレビ番組で出てくるバールの1軒に飛び込んで、レジのおじさんに「トイレを使わせてください」と申し出たら、「どうぞ」と気軽に応じてくれました。もちろん1ユーロ置いてトイレの場所へ直行。そのまま「グラーツィエ」とか言って出てきました。どこでもこの手が使えるか否かは保証できませんけれど。


 鉄道の駅のトイレは、ローマでも、フィレンツェでも、ミラノでも、有料でした。大体、ひとり1回50セント(1ユーロの半分)です。70セントのところもあった。日本の地下鉄の改札口みたいに、通せんぼをしているパネルのようなものが両側に開き、そこを通過してトイレ空間に達します。そのためには、50、70セントを手前の受け口に入れる。1ユーロ入れたらおつりが出てくればいいのに、それがダメ。50セント硬貨(あるいは10、20セント、1、5セントを料金分)を入れないと扉が開かない。(ついでながら、ローマとミラノのメトロの駅のトイレも有料だった。)


 そばに、1ユーロをこまかくしてくれる両替の機械がありました。普通はちゃんと動くのでしょうが、あるとき、1ユーロ入れたのに、小銭が出てこなかった。そのあとご婦人が入れようとしたので、「動きませんよ」と忠告したのですが、なんと、その人の分はちゃんと出てきました。1ユーロ損をした。おまけに、汽車の発車時刻が迫ったので泣く泣くホームに移動しました。それなのに、乗るべき汽車は10分遅れて到着したのでした。ガマンガマン。汽車のそれは、昔の日本式(穴から枕木が見える)でした。


 もちろん、立派な公衆トイレもありました。ローマは水の事情がよいのでしょうか、ナヴォーナ広場の近くにあった(地下の)公衆トイレは、係のお兄さんが一人常駐しているのに無料。市営なのでしょうね。ヴァチカンのサン・ピエトロ寺院のトイレ(向かって左側の郵便局の隣)も清潔で、無料でした。


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