パパ・パパゲーノ -60ページ目

イタリア語ミニ辞典

 イタリアの駅の地下道の表示が、sottopassaggio(ソットパッサッジョ) とありました。sotto は、音楽用語で「ソット・ヴォーチェ(かすかな声で)」というのがあるので、その「ソット」だろうと見当を付けます。後ろの部分は、きっと英語のパッセージ(道)でしょうから、この組み合わせの意味は何だろう、と疑問が生じました。


 持っていった辞書は、オクスフォードの『イタリア語ミニ辞典 Italian Minidictionary 』というものです。伊英・英伊の両方ある辞書。と言っても、サイズは文庫本の半分強、厚さはさすがに35ミリほどもありますが、題名どおり、ミニ辞典です。


 さっそく、sotto を引くと、below; lower; underneath などとなっています。つまり「下」ですね。じつは、うろ覚えの「ソット・ヴォーチェ」は、「やわらかな声で」でしたから、「ソット」は英語の「ソフト」だと、思い込んでいたのでした。ソフトにあたるのは、もう少し面倒な単語でしたね。「ソット・ヴォーチェ」という楽譜の指示は、だから、「低い声で」なのですね。あるいは、「小さな声で」か。思い入れの表情を付ける指示ではなかった、そのことに気がつきました。


 6年前に1120円で購入したこの小辞典は、じつに重宝なものでした。街を歩いていて、看板の文字は分からないので、この辞書で引くと、たいてい出ていましたから。今では、電子辞書の便利なものが何種かあるようで、旅行に持っていく人もたくさんいるでしょうが、紙の辞書に親しんだ年代なので、やはり、活字で確かめたくなるのです。それに、電子辞書はまだまだ高価です、学習人口が比較的少ない言語の辞書の場合はとくに。


 六十の手習いで、NHKラジオの「イタリア語講座」にも何度か挑戦したのですが、なかなか思うにまかせません。今年から、開始時間が早まって、聞きそびれることが多くなりました。ぼちぼちやる他ありませんね。


アメーバ        アメーバ        アメーバ        アメーバ        アメーバ

フィレンツェの薬草園

 田之倉稔著『林達夫・回想のイタリア旅行』(イタリア書房)という本が、つい先日刊行されました。著者は著名な演劇評論家です。林達夫先生は、晩年、明治大学の教授もなさいましたが、昭和の思想界の隠れたリーダーというべき、博学無類の学者・ジャーナリストでした。
 
 この本は、その林先生ご夫妻のイタリア旅行(1971年)に、若い頃、案内役で随行した田之倉氏が、昔を思い出して(それでタイトルに「回想」とある)、イタリア書房(という洋書輸入・出版)の雑誌に連載したものを、まとめて1冊にしたものです。
 
 その中に、「フィレンツェ―薬草園1・2」と、2章を費やして、そこをたずねたことが書いてあります。「ジャルディーノ・デイ・センプリチ」とありました。「あれ? あそこじゃないか」と思ったら、ずばりそうでした。
 
 フラ・アンジェリコの有名な「受胎告知」の絵がある、サン・マルコ修道院の道路をへだてた向かい側に、植物園があって、入れるものなら入ってみようと、まわりをグルグル回っているうちに、中で、絵を描いている、日本人の奥さんの姿が見えました。フィレンツェ在住の方のようでした。その人に入り口を教えてもらって、6ユーロ(?)だかを払って、中を見てまわりました。
 
 バラは終わっているし、アジサイも終わりかけているし、目を引く特別な花の姿もない、いたって無愛想な庭園でした。これで、6ユーロは高いなあ、と感想を言いながら、ほんの30分ほど見ただけで出てきました。さきほどのご婦人はまだ絵を描いていらっしゃった。
 
 この本によると、センプリチ(Semplici)というイタリア語は、普通は「シンプル」の意味なのだそうですが、「薬草」の意味もあるらしい。メディチ家の薬草園だったのですね。道理で、草の種類が多いと思いました。東京・文京区に小石川植物園というのがあります。「赤ひげ」の療養所が近くにあった、と山本周五郎の小説には書いてあったと思います。あそこも、たしか、江戸幕府直轄の薬草園としてできたものでした。
 
 そういう由緒のある場所だとはもちろん知りませんでした。近くに、フィレンツェ大学があるので、てっきり、そこの付属植物園かと思っていました。それにしては小さい公園だとも思いましたけれど。


クローバー         クローバー        クローバー        クローバー        クローバー        

「かまわぬ」の手ぬぐい

 フィレンツェのホテルに忘れてしまった物が、郵便で届いてよかったという話をこの前(→こちら )書きました。


 お礼に何を送ったらよいか、相談に乗ってくれた I さんのおすすめもあって、「かまわぬ 」というブランドの手ぬぐいを送ることにしました。1枚が 33cm×90cm というから、かなり大きめの手ぬぐいです。神保町に「かまわぬ」の商品を揃えている店があったので、色違いの手ぬぐいを数枚、航空便で送りました。値段もお手ごろで安心です。
 
 それが10日ほどで届いたようです。到着を知らせるメールが日曜日に届きました。フロントにいらしたお姉さんたちが、ことのほか喜んでくれたようです。「サンキュー・ベリ・ベリ・マッチ!!!!」のように英語で書いてくれていました。
 
 どこかで見かけたことがあるような気がしますが、「かまわぬ」の、この品物を手にとったのは初めてでした。木綿の染物ですが、デザインが現代的で素敵です。女性の方がたは、たいてい、ご存じでしたね。(リンク先 でデザインを見ることができます。)


 英語で書いた「TENUGUI」の説明チラシがあったので、それも同封しました。「タオルやハンカチとして昔から使っている木綿を染めた生地です。鉢巻やかぶりものにも用いました。挨拶代わりや名詞代わりにも使われました」というようなことが書いてありました。「色落ちすることがあるので、白いものと一緒には洗わないでください」という注意書きが添えてあるのも行き届いています。
 
 なくし物をしたのは失敗ですが、こういうものがあることを知って、かえってトクをしたような気分です。「ビューティフル!!!」と、イタリア人に言ってもらうこともできましたし。


パンダ        ヒヨコ        パンダ        ヒヨコ        パンダ

ビールのうまさ

 アメリカ映画で、ビールの栓を抜いて、そのまま瓶からラッパ飲みするシーンを見かけることがあります。コーラやジュースだと大丈夫なのですが、ビールのジカ飲みはいかにもまずそうだ。


 ビールはキリキリに冷えていないと、とくに夏は、飲む気がしない、という人も少なくないようです。


 ヴェローナの公園で、暑い日でしたけれど、ぬるい(いわゆる常温の)ビールを、しかもジカ飲みでやりましたよ。大きめのハム・チーズのサンドイッチと一緒に。このビールが、なんとうまかったのですね。


 いったいに、イタリアの食べ物は、日本のに比べて塩味が濃いと感じます。それを飲み込むのに、アルコール度数が日本のそれより高いビール(ハイネケンとか、イタリア産のナントカとか)が合うのですね。冷たいことがうまいビールの条件では必ずしもなさそうです。


 ふだん、じつはあまりビールは飲みません。すぐ腹が張ってくるようで、コップ1杯飲んだら、すぐ別の酒(ならなんでもいい)に移ります。通常は冷やしてあるのも、ひょっとしたら、敬遠していた理由かもしれない、と思い当たります。


 スーパーで缶ビールを何度か買いましたが、そのまま、冷蔵庫に入れずに飲んでうまかった。ホテルの冷蔵庫に入れさせてももらいましたが。


 湿気の少ないヨーロッパで飲むからビールがうまいのか、と思っていました。そのこともあるかもしれませんが、どうも、アルコール度数が影響しているような気がしてきました。昨日はようやく夏の暑い日がやってきました。汗だくになってパソコンに向かいましたが、それでも、ああ冷えたビールが飲みたいとは思わなかった。早く、焼酎のオンザロックを飲みたいと思ったのですから。


ビール        ビール        ビール        ビール        ビール

キャッシング

 今日(7月5日)のレートでは、1ユーロは167円後半です。ずいぶんユーロが高いので、ヨーロッパへ旅行しようとする人は二の足を踏んでいるかもしれません。


 都市銀行や、大黒屋のような両替屋、あるいは、成田空港の出発ロビーにたくさんある銀行の支店で、外貨へ両替をする人がたくさんいます。空港などでは、行列を作っていました。


 ユーロを買う場合も、売る場合も、それぞれ手数料がかかります。当たり前ですが。いま調べたら、たいてい1ユーロあたり手数料4円前後というのが多い。何十銭でも安いところで両替したいのが人情です。ネットでは、ここで両替するのが安い、という情報が飛び交っています。


 イタリアの街中でも、両替屋さんをたくさん見ました。滞在中もユーロが少しずつ上昇しているようで、つい数字を見てしまいます。


 出かける前に、ネットで教えてもらったことの一つに、「クレジットカードを使って現地のATMでキャッシングをする」というのがありました。これだと、両替手数料は取られない。その代わりに、利息を払う。年利18%だとしても、いわゆる、1回払いにすれば、最大40日分の利息を支払えばよい、とありました。1ユーロについて3円くらい。つまり、手数料4円を払うより1円トクだというものです。こまかい計算の仕組みは結局理解できなかったのですが、なにごともベンキョーですから、ミラノの銀行の建物の中のATMで250ユーロのキャッシング(つまり借金)をしてみました。引き出し限度額があるようでしたが、金額を忘れてしまった。


 後日届いた計算書を見ると、たしかに1ユーロあたりの利息は3円くらいでした訂正:もう一度確かめたら、なんと1ユーロあたりの利息は2.28円でした。平均手数料の半分ちょっとです。借り入れ当日のレートは165.82円】。これから外国旅行にお出かけの方は、出発前に用意する外貨(これは現地に着いて汽車やバスやタクシーを利用する場合どのみち必要)は少額にして、現地でキャッシングという方法もあると記憶してください(おすすめしているのではありませんよ)。ただし、現地キャッシングは、人通りの多い場所のATMだと物騒なこともありうるので、くれぐれも、銀行の建物の内部のATMを利用してください。ミラノでは、自分のカードを通さないと、内部への回転ドアが開かない仕掛けでしたから、安全は確保されていました。


クローバー        クローバー        クローバー        クローバー        クローバー