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Analog of Magic もみじとクラフトマンのblog

Analog of Magic (AoM)のブログです。
アナログ回路を中心とした話題をお届けします。

GND分離ポータブルヘッドホンアンプ【Zwei Flugel】【Eins Flugel】など各種アンプなどを販売中

オーディオアンプの電源に用いるコンデンサは音に大きな影響を与えます。


据え置きアンプでトランスとコンデンサを使用したコンデンサインプット型電源を製作したことがある方はご存じだと思いますが、電源の平滑用コンデンサには大きな電流が流れます。このコンデンサの容量は大きいほうが好ましく、回路への配線はコンデンサの下流側から配線します。
またデカップリングコンデンサも似たような振る舞いをしますから間違いなく音への影響はありますし、動作上もオーディオのような低周波を扱う回路であっても最短で取り付ける必要があります。

 

電池駆動のアンプの場合も電池のインピーダンスはそんなに低くないですから同様に考えられます。ただし電池では負荷が一定ならば電圧が一定ですのでトランス電源ほど容量の重要さはないかもしれません。ここに意図的に性能の低いコンデンサを入れて粗を隠したり配線で音を調整することもできますが、よく設計された回路の電源では性能が高く容量が十分に大きなコンデンサのほうが音質的に好ましいと私は感じます。

 

電源といえば、電流の流れるGNDと信号用GNDを共通にすると電圧降下の影響で特性が悪化しますから、共用部分は長くならないように注意が必要です。高周波ではGNDも適切な設計をしないと動作に問題が生じることがありますがオーディオ帯域だとなんとなく動いてしまうので、GNDの配線は設計者によって特に異なる部分です。
なお1oz板の銅箔厚は35μm、2ozでも70μmしかありませんから大きな電流が流れる配線は配線のインピーダンスも考慮する必要があります。1mm幅で1Aという基準は発熱を基にしたものであり電圧降下は考慮されていません。こういった要素を考えていくと基板上の部品配置は自然と決まってくるはずです。

 

 

Zwei Flugelはこのあたりも考慮してやっています。しかし値段や部品点数といった音に関係ない部分でマイナスイメージをもたれることがあるので展開を少し考え直したほうが良いのかもしれません。高能率なイヤホンより比較的音量の取りにくいヘッドホンに向いているアンプは減っていますから需要は局所的なのかもしれません。

 

PS

現在Zwei Flugel試聴の際に個人製作のアンプやメーカー製アンプをお持ちすることが可能です。普段使用しているものとの比較が一番わかりやすいですが、技術的にどういったレベルにあるのかの確認はできると思います。

Zweiが気になっていたけれど音がわからなくて購入に踏み切れないという方からのご連絡をお待ちしています。もうすぐ夏のイベントもありますし夏休みもありますからね、この部分は露骨な宣伝です。

私の周りでOPA1656というオペアンプが話題になっています。
TI(BB)の最新品種で、量産先行品のOPA1656をお裾分けしてもらいました。データシートにはFET入力オペアンプとしてはちょっと信じがたい値が並んでおりとても気になる存在です。

 

簡単に測定してみたところ、データシートの通りかなり特性が良いようです。特に雑音は従来のFET入力オペアンプを比較するための定数だとその性能を生かせないほどです。OPA2134やOPA1642用の回路でオペアンプだけそのまま置き換えるのではもったいなさすぎる性能だと思います。

 

オーディオアンプにも少し使ってみました。専用設計ではないのでその性能を生かせているわけではありませんが、それでも仕上がりでOPA2134より良くなるようにしたので嫌な音がしません。専用に設計すればすごく良くなりそうです。実は性能は極めてよいものの、ブロックダイヤグラムを見ると独特の構造をしているようなので音を少し心配していましたが、そんな心配はすぐに吹き飛びました。


なお、Zwei Flugelでは低電圧でも電圧高めの電池でも動くような設計をしたのでこのあたりのオペアンプは使えません。あれは電池の電圧が少し変化してきても特性も音質も確保できるようにしてあります。(ICを乗せ換えただけの改良?型は出ませんからご安心ください!)
ポータブルでも電源電圧を少し上げられればもっと面白いものが作れますから、使い勝手を犠牲にせずうまいことやれないかと考えています。


TI(BB)はOPA1612が登場した時も驚きましたが、今回のOPA1656はそれ以上の衝撃でした。

アンプの音は測定値だけではわかりません。しかし判断基準の1つにはなります。

 

アンプではわかりにくいので自動車に置き換えて考えてみます。
たとえば自動車が半径50mのカーブを時速50kmで曲がるときにシャシーが0.5mm歪むとします。(時速50kmではそんなに歪まないと思いますが。)

 

同じ0.5mmでも
・その捩れが前からくるのか後ろからくるのか
・リニアにいくのか降伏点のようなものがあるのか
・サスペンションがどう動いてグリップの変化がどう発生するのか
などのあらゆる要素が絡んで乗り味や性能が決まります。

 

しかしどれも0.5mm歪むという数字は同じです。これらは綿密なシュミレーションや測定でもわかるかもしれませんが、体で感じたほうがわかりやすい部分もあると思います。だからこそエンジニアの感覚は重要であり、その基本性能の先に個性がにじみ出るものだと思います。また限界を技術で越えるのも、越えられなかった部分のバランスをうまくとるのも、エンジニアにしかできません。

 

同じ条件で5mmも50mmも歪むシャシーに高性能なエンジンやタイヤを積んでいても生かせる部分は限定的ですし、設計が違えば高張力鋼板だから必ず歪みが小さいわけでもありません。部品や材料ではなく全体のバランスとその技術で判断するのが重要だと思います。(ただし車の場合は移動の道具ではなく乗ること自体が目的になることもあるため、好みが重視される部分は他の機械より大きいと思います。)

 


AoMでは測定値は必要最低限の性能が出ていることを確認するとともに、どの程度のやり込みをしているか、数字の先の世界があるかを判断してもらうために表示しています。個人的にはその数字の絶対値はあまり意味はないと思っています。たとえば最大出力だけ見てもほとんど何もわかりませんし。だから不利な部分も含めてグラフや波形を出しているのです。特にZwei Flugelは見る人が見れば部品や構造のほとんどが予想できるほどデータを出しています。

なお開発時は理論値と測定値を比較して検討していますから、公開するかどうかは関係なく測定は外せません。

回路を設計する人でも適切なオペアンプを選択できている人はあまり多くないように見えることがあります。回路を理解してディスクリートアンプを設計する人は絶対にしないような選択をする人も散見します。どのような性能に仕上げたいかで選択する部品は変わりますが、基本的な選び方は同じだと思います。


・電源電圧
電源電圧がICの上限を超えていると壊れますので、絶対に超えないようにします。
また電源電圧が足りない状態でオペアンプを動かすと、音が出たとしても歪率が増加したり不安定な動作になることがあります。

 


これはLF353の等価回路です。(LF353データシートより引用)

ベースは比較的簡単な構造のオペアンプですがこれでも定電流源や定電圧源がいくつも入っています。これだけ複雑だと電源電圧が足りないと正常に動かない部位が出てくるのは想像できると思います。

 

これはAD847の等価回路です。(AD847データシートより引用)

これだとフォールデッドカスコードなので二段目(折り返し段)のベース電位が極めて重要になります。電圧だけでなく電源の雑音も気にしたくなりますね。

こういった理由からデータシートの値より低い電源電圧で使用することはおすすめしませんが、売り物の場合は全数測定してから出荷してあれば問題ないような気はします。個人で使うときは自己責任です。

 


・入力範囲・出力範囲
オペアンプには入力できる範囲と出力できる範囲があります。出力範囲は出力したい最大電圧を満たせるような品種を選びます。入力範囲はゲインと出力したい最大電圧を考慮して必要な範囲に収まっている品種を選びます。OPA627のように入力部がカスコード・ブートストラップされていると一般的に入力範囲は狭くなります。

出力範囲は足りなければ音が割れるので気づきますが、入力範囲を無視している設計をよく見かけます。これも電源電圧と同じく特性が悪化する場合があります。ただしこの値はメーカーごとに余裕の持たせ方が違うようで、著しく逸脱した値で測定しても特性がほとんど悪化しないものもありました。

なおZweiFlugelと同じオペアンプを使用しても定数によっては同じ出力は得られません。構成次第では大きめのオフセット電圧が生じることもあるでしょう。こういう部分や歪率を犠牲にすればホワイトノイズをもっと減らせるのですが、なんとか犠牲にせずにすべてクリアしたいものです。

 


・GB積

必要な帯域幅が得られる品種を選びます。GB積が大きなオペアンプをいまいちな設計で使用すると発振します。設計者は先に部品を選んでそれに合うように設計しているでしょうから、どうやっても止まらないような発振に見舞われることは多くないと思います。今のオペアンプはよくできていますしね。

 


・入力バイアス電流や入力オフセット電流
見落とされがちですが入力オフセット電圧は入力インピーダンスの高いアンプでは無視できません。バイアス抵抗に電流が流れオフセット電圧が生じます。またバイアス電流が大きな品種は電流雑音も大きい傾向がありますので注意が必要です。

 

 

・それ以外も重要なのでデータシートは全部読む必要があります

データシートから算出した理論値と実測値を比較しないと正常に動作しているか異常かの判断も難しいように思います。測定結果が何ひとつないような機器や参考値を問い合わせてもお答えいただけない機器は避けたほうが良いと思います。

 

 

オペアンプを交換して「音が出ました!」というのは非常に危険だと思います。それが動くように設計されているならいいのですが、そうでないならばその個体でのみ得られる結果である可能性は払拭できません。「動くように設計したので確認しました」と「動きました」では大きく意味が異なります。

ただし個人的に自己責任で行うならば、発振していても音が気に入ればそれで良いのかもしれません。しかしオペアンプやイヤホンと違い耳は売っていませんからご自愛ください。

AoMのZwei FlugelやVier Flugelはオペアンプの出力部を持ちます。そのため「ICを使用したアンプだから音が悪いだろう」と聞かずに判断される方がいます。しかしZweiもVierもちょっと珍しい特性のICを選んでいるので最大出力も特性も確保できるようになっています。

 

一方よくあるオペアンプは一部を除いてヘッドホンを直接鳴らすようにはできていないので、音質的にも測定結果もあまり良くないものになるだろうと思っています。

 

そこで非反転増幅回路に33Ω負荷をつないだ時の10kHz THD+Nをいくつかのオペアンプで見てみました。掲載したオペアンプはすべて動作電圧を満たしていますが、大振幅時に入力範囲が逸脱しているものがあるかもしれません(なさそうです)。また手持ちの個体を測定しただけですので個体差があると思います。もしかしたら不良個体もあるかもしれません。

 

電源電圧は約8V(±4V)・利得は2倍・周波数は10kHz BW:400-80kHzです。

 

 

海外Aはかなり良いです。日本Aも結構良いと思いますが雑音より歪み成分が主体のグラフです。海外Bは出力段の形状的にもう少しいけるかなと思いましたがいまいちでした。日本Bは値がふらつくことがあったので途中でやめました。

 

 

日本Bで0.5V弱出力させた際の歪みは上の画像のようにゼロクロス歪みでした。やはり33オーム負荷では重すぎるようです。この値と歪みの出方ですと高域に独特のシャリシャリ感が出て分離がよく聞こえる場合もあると思います。

このオペアンプの出力に入力インピーダンスの高い出力バッファを挿入するとこの歪みはきれいに消えました。

 

また比較的大きな出力が得られた日本Aと海外Aでも1V前後でクリップしまいました。電源電圧が約8V(±4V)もあるのにです。4.8V~6V(±2.4~3V)程度で動作するZwei Flugelの最大出力は1Vを大きくこえますのでずいぶん特性が違います。

Zwei Flugelの10kHz THD+Nは以下のようになっています。電源電圧は約5.1V(±2.55V)、それ以外の条件は上と同じです。

 

0.4V程度までは雑音が主体の右下がりのグラフ、それ以上では歪みが増加してくる右上がりのグラフになっています。1V出力でも約0.004%ですので優秀です。

 

ただしオペアンプにとってはヘッドホンのような負荷は想定外でしょうから国内Bや海外Bが悪いとは思いませんし、特に海外Bは適切に使えば高性能なICです。部品も設計も適材適所が重要だと思います。

ディスクリートもICも使い方次第ですね。電子回路は求める仕様に合わせた設計と部品選び、そして適切な基板設計が必要だと思います。勉強しながらどちらもやると理解が深まりますよ♪

 

ディスクリートの特性もピンキリという話はこちら

https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12454231436.html

 


(´-`).。oO 今回の結果だけを見れば、MUSES8920よりNJM5532のほうがまだヘッドホンをドライブするのに向いているようです。

AoMのアンプはICを巧みに使ったものがメインですが、個人的にはディスクリートアンプも好きです。
ICでは得られない結果が得られた時は最高に気持ちが良いですし、特にパワーアンプのように大出力が必要な時はどうしてもディスクリートで設計する必要があります。

 

 

でもICで実現できる結果を得るのにわざわざ遠まわりをする必要はないと思うので、ICで足りる部分はICを使って設計することも多いです。ICを使うにも多くのノウハウが必要ですからこちらも面白いです。最近のオペアンプは高性能なのでそれを生かすのも難しいのです。

 

IC並みの性能をIC以下のトランジスタ数で実現するのはあまり現実的ではありません。ICの中には必要だからあれだけのトランジスタがあるのです。それにモノリシックICは部品の特性もかなり揃っています。レーザートリミングして特性を調整する技術もあります。部品が少ないディスクリートアンプが何を目指したものなのかよく考えてみてください。

 

 

最近またパワーアンプをやっているのでディスクリートしていますが、THD+Nは十分に低くないと意味がないので少しちゃんと設計しました。そこが大きいならパワーアンプICで良いですし、それすら面倒なら安いプリメインアンプやAVアンプを買ってくればかっこいいケースに入った大出力のアンプに色々な機能が付いてきます。学習するとき以外であまり良くないものを作る理由はもうない時代です。


販売されているアンプを見ていると回路そのものにこだわっているものは意外なほど少ないです。お金がかかっているのはボディやコネクタ、意味もなく部品が多い部分や妙ちくりんなメーカーオリジナル部品です。電子部品は単価が安いため価格差に反映されにくいです。そのため部品数が2倍になっても製品価格が2倍になることはありませんが、だからといってこだわらなくていいわけではないです。
かかった人件費に見合う以上の性能を与え、そこにそれでもまだ安いと思わせる価格をつけることができるのが正しい工業製品の形だと思います。設計者がアッセンブル屋ではなく技術者ならなおさらです。

 

このような傾向が目立つのはアナログ回路は動いているように見える範囲が広いのも原因のひとつだと思います。個人で楽しむ分にはなんでも構いませんが買ってくれたお客さんを萎えさせるのだけはやめてほしいです。そういうのは最終的に電子回路や電子機器の不信感につながってしまいます。
好きでやっているはずのガレージ系でも設計理念や参考値すら全く答えられないところがいくつもありました。数値より大事なものがあるのは良いと思いますし、私もそういう部分はあると思っています。ですが測定しない理由にはなりません。見える数値のほうが狙ったところにもっていきやすいですし、見えない音を狙うにもきっと役立ちますよ。

 

 

ディスクリートも好きですよという話でした。

あまり書いていませんが、部品はこだわりを持って選んでいます。コンデンサを決めるのにもデータシートを見て使ってみて…というステップを踏んでいます。抵抗器も理由なく面実装品を使っているわけではありません。回路設計と部品選びは並行して行わないと設計できませんし。

 

入出力のジャックも同じようにデータシートを確認しながら選んでいます。特に3.5mm4極ジャックは注意が必要です。

その理由は、3.5mm4極ジャックはTRRSのうちSの電極材料やメッキの違うものがあるから。スマートフォンのマイク用に使用するときは電極の材料やメッキが違っていても問題ありませんが、GND分離のときは材料が違うと音が変わる可能性があります。そのため、すべて同じ材料・メッキのコネクタを選んでいます。

 

厳密に見れば形状や電極の長さなどの差からそれぞれの電極は特性が異なるはずです。なのであまり差が出ないかもしれませんが、コストが大きく変わらないのであればこだわっておきたい部分です。Zwei Flugelはせっかく回路内のパワー部GNDと出力のGNDを最短で結んでいる真面目なGND分離ですから、コネクタでロスしたらもったいないですしね。

 

なお4.4mmモデルのZwei Flugelでは出力ジャックの選択肢が実質1つしかありませんので選びようがありませんでした。(中華のコピー品はありますが、コピーとわかっているものを搭載したアンプは出せません。ちなみにコピー品と本家は音違いましたよ。)

プレーヤーやアンプのジャック、それぞれを接続するケーブルのプラグ清掃してますか?

電極部分を指で触っていませんか?

もし清掃していない人はやってみてください。音が変わるはずです。


清掃はエタノールと布、綿棒で十分です。ドラッグストアで揃います。これで電極という電極を拭きまくってください。オーディオ用にいろいろな清掃道具が出ていますが、研磨剤が含まれるものは基本的に使ってはいけません。無メッキプラグにどうしても落ちない酸化膜などがある場合のみ軽く研磨し、最後にエタノールで研磨剤をふき取ります。

 

清掃に使った綿棒は定期的に清掃していればそんなに汚れません。しかしこれで音が改善されることは多いと思います。機器と耳によっては効果が体感できないこともあるかもしれませんが、電極は綺麗なほうが良いです!

AoMのアンプの話ばかりしても、それがどの程度の性能かわかりにくいので、これまでにお金を払えば入手できたアンプを測ってみました。

ただ測っても面白くありませんので測る前に音を聞いて、その特性を予想し測定で答え合わせをします。また特性から部品や回路を予想できる部分は予想してみます。

 


・国内 当時約8万円のポータブルアンプ シングルエンド入出力 単四電池4本(アルカリ不可)

 

これまで聞いた中で比較的良かったこのアンプからいきます。

コストの中でケースの占める割合が大きいらしく、確かにきれいにできていると思います。電源は充電池のみとのことですが、ニッケル水素充電池も充電後は約1.4Vありますから定格が~5Vの部品を使っているとしたら厳しいと思います。

 

電池の品種には指定がありませんでしたのでエネループを入れて音を確認します。高い音が耳につくのに伸び切らない点がまず気になります。低域はゴリッとしていますがこれはパワーのあるダンピングの効き方とは少し異なります。全体的に薄めの音に感じます。これまでの経験上、これは矩形波応答に少しオーバーシュートが出ているか高い周波数での歪率が悪い気がします。

 

この機種の約100kHzの矩形波は以下のようになりました。
負荷は33Ωです。無負荷でも似たような感じだと思います。

 

ローゲイン 上が出力・下が入力 どちらも200mV/DIV・2us/DIV

 

ハイゲイン 上が出力・下が入力 どちらも200mV/DIV・2us/DIV

 

ローゲイン 上が出力・下が入力 どちらも50mV/DIV・2us/DIV

 

やはりオーバーシュートは出ているみたいです。予想が当たりました。なおオーバーシュートが出ているのは結果であって原因ではありません。原因は回路内にありますがそこは技術やノウハウなので今回は書きません。そしてその原因が出音に繋がっているのです。


1kHzでボリューム最大のときとボリューム位置-6dBのときのTHD+Nも測ってみましたが、-6dBのときは少し雑音が増えました。電流雑音が大きめのオペアンプ-一般的にはバイポーラ入力のもの-を使っているのでしょうか。歪みは少なかったです。低電圧に特化した部品を使うとこの値は良くしやすいんですよね。出力はRail to Railではありませんが1Vくらいは出力できました。不足する場面は少ないと思います。

 

配線の太さなどまだ気になるところはありますが、ばらさないと確認できない部分なので今日はここまでです。

リードのトランジスタが入手難になる一方でチップトランジスタが入手しやすくなってきました。

 

そこで最近はチップトランジスタでフルディスクリートアンプをやっています。類を見ない回路なのとchあたり25素子以上なのでここでは紹介しませんが、やはりフルディスクリートでそれなりの特性と音を出そうと思うと部品は増えますね。

チップトランジスタはリードに比べコレクタ損失の小さい品種が多いので、そこで苦労することはあります。それ以外の不自由は今のところあまり感じません。回路の面積も少しだけ小さくなりますし部品もリールで買わなければあまり場所をとりません。

リード部品が減ってきたときに電子工作も終焉かと思いましたが、同時期に中国でプリント基板を安く作れるようになったためそんなに困りませんでした。現在は買い置きのリード部品とチップ部品の二足の草鞋です。

 

ポータブルヘッドホンアンプのような低電圧でのフルディスクリートは許容できる特性にならないのでやらないと思いますが、電池をたくさん積めるならアリかもしれませんね。重いアンプは好きじゃないですけれども。