AoMのZwei FlugelやVier Flugelはオペアンプの出力部を持ちます。そのため「ICを使用したアンプだから音が悪いだろう」と聞かずに判断される方がいます。しかしZweiもVierもちょっと珍しい特性のICを選んでいるので最大出力も特性も確保できるようになっています。
一方よくあるオペアンプは一部を除いてヘッドホンを直接鳴らすようにはできていないので、音質的にも測定結果もあまり良くないものになるだろうと思っています。
そこで非反転増幅回路に33Ω負荷をつないだ時の10kHz THD+Nをいくつかのオペアンプで見てみました。掲載したオペアンプはすべて動作電圧を満たしていますが、大振幅時に入力範囲が逸脱しているものがあるかもしれません(なさそうです)。また手持ちの個体を測定しただけですので個体差があると思います。もしかしたら不良個体もあるかもしれません。
電源電圧は約8V(±4V)・利得は2倍・周波数は10kHz BW:400-80kHzです。
海外Aはかなり良いです。日本Aも結構良いと思いますが雑音より歪み成分が主体のグラフです。海外Bは出力段の形状的にもう少しいけるかなと思いましたがいまいちでした。日本Bは値がふらつくことがあったので途中でやめました。
日本Bで0.5V弱出力させた際の歪みは上の画像のようにゼロクロス歪みでした。やはり33オーム負荷では重すぎるようです。この値と歪みの出方ですと高域に独特のシャリシャリ感が出て分離がよく聞こえる場合もあると思います。
このオペアンプの出力に入力インピーダンスの高い出力バッファを挿入するとこの歪みはきれいに消えました。
また比較的大きな出力が得られた日本Aと海外Aでも1V前後でクリップしまいました。電源電圧が約8V(±4V)もあるのにです。4.8V~6V(±2.4~3V)程度で動作するZwei Flugelの最大出力は1Vを大きくこえますのでずいぶん特性が違います。
Zwei Flugelの10kHz THD+Nは以下のようになっています。電源電圧は約5.1V(±2.55V)、それ以外の条件は上と同じです。
0.4V程度までは雑音が主体の右下がりのグラフ、それ以上では歪みが増加してくる右上がりのグラフになっています。1V出力でも約0.004%ですので優秀です。
ただしオペアンプにとってはヘッドホンのような負荷は想定外でしょうから国内Bや海外Bが悪いとは思いませんし、特に海外Bは適切に使えば高性能なICです。部品も設計も適材適所が重要だと思います。
ディスクリートもICも使い方次第ですね。電子回路は求める仕様に合わせた設計と部品選び、そして適切な基板設計が必要だと思います。勉強しながらどちらもやると理解が深まりますよ♪
ディスクリートの特性もピンキリという話はこちら
https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12454231436.html
(´-`).。oO 今回の結果だけを見れば、MUSES8920よりNJM5532のほうがまだヘッドホンをドライブするのに向いているようです。