アメリカ人夫・マイクが
日本に住み始めたときの願望。
それは、日本に住んでいるからには、
漢字のハンコ(印鑑)を持つこと!!!
こういうの、外国人にとっては"COOL!"みたい。
外国人の場合、多くの人は
カタカナかローマ字でハンコを作るようです。
でも、マイクは
「やっぱり漢字のハンコの方がかっこいいし、
せっかく日本に来たからには、漢字がいい!」
と。
そうね、そりゃ、
漢字の方が見栄えはいいよね。
でも・・・
アンタの名前、どうやって漢字にするの?
マイクの名前は、正式には「マイケル」。
漢字、決まりました。
そして、ハンコ作りました。
じゃ〜ん。
「ぶしゅう」じゃないよ。訓読みしてね。
マイクは、ハンコが出来上がった日、
「わ~~~い!!!」
と大喜びして、いろんなところに押しまくってました。
(子どもか。)
でもそのうち・・・
「せっかくハンコ作ったのに、どこで使えばいいの?」
と、若干スネはじめました。
なので、
とりあえず郵便局で口座を作ることにしました。
そうしたら、陰影の登録で
ハンコ、押せますからね。
でも・・・
窓口で押印しようとしたら、
郵便局のお兄さんが、
「ハンコありますか?」
って、マイクからハンコを取り上げ、
自分でさっさと押してしまいました。
いや、いいんです・・・
いいんですよ・・・
お兄さんも、
「慣れない外国人だから」
と、親切でやってくれたんですから・・・
でも、その時の
マイクの落ち込んだ顔といったら・・・
その後、運転免許の手続きのため、
警察に行く機会がありました。
いろんな書類を書かされたのですが、
そこになんと、印鑑を押す場所が一つ!!!
係の方は、
「サインでもいいですよ」
とおっしゃいましたが、
「いえ!ハンコ、持ってるんです!!!」
ついに・・・ついに・・・
彼が、正式な書類に、
ハンコを押せる時が来たのです。
マイクは、本当に本当にうれしそうに、
満面の笑みを浮かべながら、
人生で初めて、
正式にハンコを押しました。
どれどれ・・・
の、のおぉぉぉぉぉぉ~~~!!!
時すでに遅し。
「あのね、これ、逆さまだよね?
見たらわかるよね?」
「え!!!そうなの!!!!」
「だって、これ漢字でしょ?
漢字には、上下があるでしょ?」
「そ。そうか。そうだね・・・」
そうして、ハンコの側面を触らせて
へこんでる部分を確かめさせ、
「ここが上にくるように押すの!!」
と教えてあげたのでした。
その後、いろんな所で印鑑を使うたび、
窓口の人が印影を見て
(・・・舞蹴?)
という顔をされるのが
なんだかちょっと気まずくて、
「・・・あ、これ、『マイケル』なんです」
と説明するのも恥ずかしくて、
結局、無難にローマ字で
印鑑を作り直しましたとさ。
だったら、最初からローマ字にしとけば
よかったのにっていうね。
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