グリーンブック/アカデミー賞の選択 | アディクトリポート

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グリーン ブック

イオンシネマ越谷レイクタウン 2019/3/19 スクリーン4 E−6

 

3/16に、古い職場の旧知の方々と何十年ぶりかに再会。

 

そこで『グリーンブック』の話題になり、そういえばと想起させられた。

 

世間的にはアカデミー賞受賞作品はいい宣伝になるんだろうが、

ここ数年の受賞傾向から、

あまり最優秀作品に頷けない場合も多い。

 

近年で顕著だったものを挙げると、

2006年の『ディパーテッド』

当時の流行りだったSNS、

ミクシィでマイミクの映画評論家が、

大のマーティン・スコセッシ監督のファンで、

式典前から今度こそはと意気軒昂いきけんこう

 

でもって受賞で大喜び。

後日映画本編を観てみたら…。

「なんじゃこりゃ」の嵐。

 

今では誰もふり返らない。

 

 

スコセッシ監督の長年の映画界への貢献とか、

『ディパーテッド』本編を単独で見る観客には全然関係ないんだから、

ひいきとかご苦労さんで受賞を決めてもらっちゃ困るんだよな。

 

それ以来、もとからアテにしちゃいないが、

この評論家の価値判断基準には従わないことにしている。

 

と、書いていたら、

亡くなっておられた

2019年2月末?

 

同い年だけに衝撃…。

 

今回、『グリーンブック』で、アカデミー賞について書かなければ、きっと知らないままだったなあ…。

 

いまさらながら同氏に敬意を表して論ずれば、

スコセッシ監督は、

デ・ニーロやジョディ・フォスターの出世作、

『タクシー・ドライバー』(1976)とか

『レイジング・ブル』(1980)で獲っときゃよかったのに…。

『アビエイター』(2004)もピンと来ず、

『ディパーテッド』後の

『ヒューゴの不思議な発明』(2011)だって、taimenn

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悪くはないが、アカデミー賞とまでは…。

 

『ヒューゴ』をえらく薦める人に、

アメリカ随一の「宇宙戦艦ヤマト」オタク、

ティム・エルドレッドがいて、

3/20更新の、彼主宰の海外ヤマトサイトを閲覧したら、

「2202 最終七章」のために来日

羽原監督とかと単独インタビューまで行っていた。

 

この近況も寝耳に水だったが、

ついでにマコマコも取材しなよ。

 

エルドレッドは、とにかくヤマトなら全部オーケーなので、

そういう判断/評価基準の人が下した、

『ヒューゴ』への評価や称賛も、さっぱりあてにならない。

 

それやこれやで、

スコセッシ監督って多作のくせに、

ズバリ核心をついた決定打を欠くために、

外し続けてる気がする。

 

受賞作だからと期待して見て、

「あれえ?」だったのでいうと、

キャスリン・ビグロー監督の

ハート・ロッカー』(2008 アメリカ公開2009/日本公開2010)

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なんかも、印象はひたすら「はぁ?」でしたよ。

 

これが最優秀作品賞? もっと他にもあったんじゃないの?

でいうと、

『英国王のスピーチ』(2011)とか、

さんにん

『アルゴ』(2012)とか、

ほいめ

ほんぶ

最近多いよね。

 

作品賞に限らず、

アカデミー賞の予想と結果の違いで述べれば、

『ゴーン・ガール』(2014)のロザムンド・パイク。
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絶対、アカデミー主演女優賞間違いなしと思ったら、

ジュリアン・ムーア が、『アリスのままで』で獲ってしまった

 

ところで『アリスのままで』って、誰か見たの?

 

最優秀作品賞でも、

2017年の『ムーンライト』

2016年の『スポットライト 世紀のスクープ』

2015年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

2014年の『それでも夜は明ける』

——と、のきなみ未見で、

かつまるで鑑賞意欲がわかず、

これこそが近年のアカデミー賞の問題ではなかったか。

 

 

かくして受賞の予想が外れた場合の副作用は、

下馬評の高かった候補作品の方を応援しすぎて、

受賞作を疑問視して敬遠しがちということ。

 

『スリー・ビルボード』(2017)

どかして受賞した、

『シェイプ・オブ・ウォーター』など、

かえって受賞が逆効果で、

見ていない場合が多い。

 

『グリーンブック』にも心理的拒否反応があって、

その理由は、

私がドハマリした

『ボヘミアン・ラプソディ』をどかして作品賞を獲ったから。

 

それが旧友との再会で喚起されて、

「はっ、そういえば!」

と、あらためて見た次第。

 

しかして『グリーンブック』を見た感想は?

 

とても満足。

 

これならなるほど、アカデミー最優秀作品賞もダテじゃない。

『ボヘミアン・ラプソディ』が監督不在だったという事情もあろうが、

1回見れば、作り手が伝えたいことが観客にしっくり伝わり、

大きな感情のうねりがある。

 

さきほど、

スコセッシ作品への批判で、

ズバリ核心をついた決定打を欠くために、

外し続けてる気がする。

——と書いたが、まさにその逆。

 

必要なものがしっかり揃い、

きちんと順番よく並び、機能している。

 

この題材なら、描くことはこれ、

キャラ数と種別はこれだけ、

という必要十分な条件が考え抜かれている。

 

作劇や演出が達者で、

“わざ”を心得ているので、

同じ人の他の映画にも期待が持てる。

 

監督のピーター・ファレリーは、

ファレリ−兄弟の兄の方で、

『メリーに首ったけ』(1998)しか見てないけど、

あれから相当成熟したね。

 

主演の二人は難題を乗り切るが、

相手に依存しすぎず、

妥協がなく、

自分の領分を崩さない。

 

同行する楽団のメンバーにロシア人がいるんだが、

トニー・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)は、

ドイツ人と誤認したまま、

がんこにその線でまくしたて続ける。

 

ヴィゴの映画は、『ロード・オブ・ザ・リング』3作(2001・2002・2003)以外は、

『オーシャン・オブ・ファイヤー』(2003)

クローネンバーグのマフィアものでフルチンになる『イースタン・プロミス』(2007)

しか見てないが、

今回は過去作とは見紛う体重20キロ増の変貌を遂げて、

あきらかに新境地を拓いている。

 

ドクター・ドナルド・シャーリー役のマハーシャラ・アリは、

最近作だと『アリータ:バトル・エンジェル』でも見かけたが、

本作では見事にピアノを弾きこなして…いる?

 

ピアノ演奏は、29歳の本作『グリーン・ブック』の音楽も担当した作曲家クリス・バワーズによるそうな

 

デジタル合成で、マハーシャラが弾いているとしか思えない仕上がり。

 

一方、

『ラ・ラ・ランド』(2016)のライアン・ゴズリングは、
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3ヶ月の特訓の末、自分で弾いていたらしい

 

字幕が久しぶりの戸田奈津子だったが、

時代設定の1962年にはない「ムカつく」という言葉が出てきてシラケるという意見に、「なるほど」

 

ただし、“Birminghum”に、「バーミングハム」と字幕が出て、

「バーミンガム」だろと思ったが、「〜ガム」はイギリス第二の都市で、

「〜グハム」は同じ綴りでも、アメリカのアラバマ州の都市なんだってさ。

 

どんな映画でも肯定派と否定派にわかれるが、

『グリーンブック』の良さがわからないような、

映画オンチにはなりたくないね。