チューバッカ/SWキャラのルーツ(8) | アディクトリポート

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※今回は本文は少なめですが、リンクがたくさんありますので、結果として読む部分は多いです。

実に久々のスター・ウォーズネタですが、まだブログを書き始めの頃は、読んでくださっていたSWファンやマニアの皆様も、今ではどれくらいのぞいてくださっていらっしゃるのでしょうか。

さて、「SWキャラのルーツ」シリーズは過去に7回やったんですが、
1回目 C-3PO
2回目 R2-D2 
3回目 ダース・ベイダー
4回目 ストームトルーパー
5回目 ハン・ソロ
6回目 平面デザインのネタ帳
7回目 立体造形のネタ帳
「全部読み通すのはめんどくさい」という人のためにまとめますと、

*主要キャラにはことごとく元ネタが存在し、大半が日本のアニメ・ヒーロー特撮キャラだった。
*ルーカスからのインプット(具体的な指示)は、平面デザインの時と、立体造形の2段階に大別され、平面では松本零士作品から、立体ではケイブンシャの全怪獣怪人大百科からの引用が多いのが全般的な傾向。


で、なぜか↓チューバッカ(左)が抜けてたんですが、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-vakkachew

それにはこういう経緯がありました。

1994年の「スペシャルコレクション スター・ウォーズ トリロジー」THXレーザーディスクの
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ldbox
オーディオコメンタリー(副音声での解説コメント)で、
ラルフ・マクォーリー(専属イラストレーター兼デザイナー)は、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-maku
「ジョージ(・ルーカス)はSF雑誌やらなんやらの切り抜きをごっそり持参して、その中にフラック(軽作業用)ジャケットを着て、キツネザルみたいな顔つきの奴があった」
というくだりがあった。
↓キツネザル
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きっゆ

↓これがフラックジャケット。
当時の辞書には「軽作業用ジャケット」とあったが、これを見ると、「軍用ベスト」といった方がいいのかも。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-fulakku

それをもとに描かれた、初期構想のチューバッカがこれ。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-konnseputo

後年の別文献では、マクォーリーの発言がビミョーに食い違っている。

「ジョージはチューバッカを、キツネザルみたいな顔つきにしたがっていた。
だからチューバッカは、初期スケッチでは、いかにもキツネザル風のギョロ目をしている。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-drawing
それにジョージは、秘蔵の1930年代のSFイラストを手渡してくれて、そこには全身毛で覆われた、ゴリラ風にがっしりとして、胸には乳房が垂れ下がっている(メスの)野獣が描かれていた。
そこで私は、乳房だけはボツにして、かわりに弾帯を肩がけさせたり、あちこちに武器をまとわせて、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ごりら
↑チューバッカのデザインの中で、最もたくましく描かれたもの。
フラックジャケットも、もっとも顕著に描き込まれている。

顔も最終版のチューバッカに近いものに描き直し、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ちゅー
あとは立体造形のスタッフに任せることにした」

マクォーリーのデザイン作業の最終版が
↓これで、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-chu-2
劇中の姿がこれ↓
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-なおしときました

マクォーリーは、『2001年宇宙の旅』(1968)のヒトザルの造形を担当した、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-2001
スチュアート・フリボーンが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-furifuri
↑SWでフリボーン(右)が最初に手がけたのが、チューバッカの造形だった。
上のスケッチも、フリボーン自身が描いたもの。

自分のスケッチでは毛に覆われていて不明確だったチューバッカの顔の骨格、とりわけ下あごの形状を明確に際立たせてくれたことに、とても感心したという。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-pegupegu

で、ようやく本題は、
ルーカス秘蔵の1930年代のSFイラストは、どうせバローズの著作にたくさん出てくる類人猿のバリエーションで、屈強で大柄のチューバッカのプロポーションの参考にしかならなかったんだから、ドンピシャリのビジュアルに行き着いてもあまり意味がないとしても、
ルーカスがマクォーリーに提示したスクラップにあった、
*キツネザルみたいな顔つき
とか
*フラックジャケットを着込んだ
(=見かけは動物なのに、人間みたいに服を着込んでいるか、武装している)
クリーチャーのイラスト
っていうのは、どんなものなのか、ずっと興味があった。
----ということ。

だけど、思い当たるものがない。
それもまた、1930年代のアメリカのSFイラストだったかも知れないし、
あるいはここで紹介した、ジャン=クロード・メジエールの作品の一枚だったかもしれない。

でも一方で、3POも(これは未遂)R2-D2も、ダース・ベイダーもストームトルーパーも、(はたまたハン・ソロまでも)ことごとく日本の作品の影響を受けてたのに、(演者の素顔がわからないという点で共通の)主要仮面キャラの最後の大物、チューバッカだけが該当しない、なんてことがあるんだろうか。
----と、これが長年の疑問だった。

で、ですね、こうやってこの記事を書いてるってことは、そのイラストを見つけたって言うことですよ、奥さん!(←誰?)

それは、↓この本※の
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-287
※この本については
〈その1〉
〈その2〉
〈その3〉


このページの↓
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-う゛ぇt
↓この2匹です。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-cotto

2……2匹だったのか!
つまり「キツネザルみたいな顔つき」と「武装を身にまとった」のは、(同じページに描き込まれてはいるけれど)別々だったわけですな。

では体格はともかく、顔つきや装備品をチューバッカのデザイン画と見比べていくと、これまたビックリなんですよ!
まず↓こっち。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sarusaru

どーですか、お客さん!
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-bakama
ギョロ目、とがった耳、目の下のへの字型の口、もしくは鼻らしき凹み等々、これがルーツだったんですね!

↓チューバッカは、この最初期のポスターコンセプトから転載。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ちゅえゆれ

次はこいつ↓
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ひひひ

初期版デザインのギョロ目やとがり耳、明確な鼻が描かれていないことがルーカスの気に召さなかったため、マクォーリーはそれらの要素を排除しながらも、引き続き、当初に渡された資料に忠実なデザインを心がけていて、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-3こ
↑毛足の長さやへの字口(右)、
肩から斜めがけの弾帯など(左)を、
この画(中)から引き継いでいる。

そして弾帯の形状は、なんとデザイン画よりも実物のチューバッカこそが、一番元絵に忠実に再現されたという皮肉!
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-chu-bakka

知る人ぞ知る幻の書、「宇宙戦艦ヤマト大図鑑」の発行は、奥付では1974年の12月20日。
ということは、実際には書店に11月中には並んでいたことになる。
「全怪獣怪人大百科」の昭和49年版の発行日も、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1974
1974年12月10日(奥付より。発行日は一部推測)と時期が重なる。

ということで、インターネットもAmazonもない時代、
ルーカスはこの時期に日本を訪れ、最低この2冊の子供向け本を購入したのだと思われる。

今回、「ヤマト大図鑑」までルーカスがゲットしていたことが判明して、なるほど納得なことがある。

それは彼の、松本零士(関連)作品への異常な執着と、よほどの関係者でなければ入手しえない関連資料獲得への情熱の発端が、この「大図鑑」にあることが判明したからだ。

1975年当時の「キャプテンハーロック」の企画書だとか、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-もっと比較

小松原一男が(アニメ化を前提に「ハーロック」の雑誌連載が始まった)77年以降にクリーンナップする前に、松本零士自身が描いた有紀螢の原図(※一度たりとも拝んだことがありません!)にまで行き着いていたわけだが、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-比較
↑これ(左)は77年以降に、アニメのためにクリーンナップされた有紀螢の設定画。
SWの制作中には存在していないので、このものズバリからマクォーリーが右の絵を描くことは不可能。
そうなると、松本零士が描いていた、「別の原図」を見ながら描いたと推測するしかなくなる。

 
なんのきっかけも手がかりもないまま、それほど特定の作品やアーティストを追跡するとは、考えづらかったからだ。

というわけで、「大図鑑」の著者であるスタジオぬえ(加藤直之と宮武一貫。絵がヘタクソだった松崎健一は個人的には除きたい)は、「マクロス」(1982)のグラージやリガードなどの逆間接(鳥脚)メカの構想は、「帝国の逆襲」(1980)のチキン(スカウト)ウォーカーより前からあった----
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-まくろ
↑左から、「帝国」の頭の小さいスカウト・ウォーカー、リガード、グラージ。
「マクロス」メカの図版はここから借りたので、一部劇中とはデザインが異なる可能性があります。

----なんて証拠不十分な主張なんかするよりは(別にウソだとは思いませんけどね)、「チューバッカは自分たちの作品のパクリだ!」と主張した方が、いいのかもしれません。

というわけで、久々のSWネタ、いかがでしたでしょうか?
とはいえこれが書けたのは、全然そう結びつくとは思わずに、最近ヤマト研究ばかりを続けてたおかげなので、なんとも不思議な気がします。

最後に、私がよくやる、そっくりさんネタを思いつくままに二つほど。
↓1作目『スター・ウォーズ』の終盤の表彰式
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-エンディング
↓全盛期のナチス帝国
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-なっち

↓自民党の谷垣総裁と、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-たにがき
↓俳優の伴大介
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-だいすけ

最後はSWとまるで関係ないけど、谷垣総裁って期間限定っぽいので、忘れないうちに。

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