![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ハイデフ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090903/22/addicto/4d/40/j/t02200164_0800059510246391254.jpg?caw=800)
1978年の第1作公開当初から、日本の興行サイドは「アールツー・ディーツー」ではなく、「アートゥー・ディートゥー」と呼ばせたかったらしい。
日本人も2を「ツー」と呼ぶのはそろそろやめて、「トゥー」と呼ぼうという提唱だったのかも。
だけど30年以上たって、最新作のテレビCGアニメ「クローン・ウォーズ」でも、トゥーはさっぱり浸透せず、思いっきり「アールツー」と呼ばれてる。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ウォーズ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090903/23/addicto/be/58/j/t02200094_0800034110246447530.jpg?caw=800)
ちなみにトゥーと表記すべきが本来の two や too や to は、後年の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)以降は、トゥ「ー」とオトビキをつけることが、ほとんどなくなった。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-フューチャー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090903/23/addicto/7c/92/j/t02200268_0494060210246453955.jpg?caw=800)
同様にティ「ー」のはずの、
クラウド・シティとか、
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-シティ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090903/23/addicto/d4/f9/j/t02200096_0800034810246457650.jpg?caw=800)
バウンティ・ハンターなんかも、
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ハンターズ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090903/23/addicto/b0/53/j/t02200100_0800036210246460309.jpg?caw=800)
オトビキが省かれている。
これに準じてなのか、Dは「ディー」なのに、R2-D2に限ると、「ディ」トゥと、オトビキが省かれている。(時期により変動あり)
まあ、「シー・スリーピオ」に比べれば、R2-D2の公式表記「アートゥ・ディトゥ」は、仕方ないのかも知れない。
誰も実際に、「アートゥディトゥ」なんて、表記通りに言う人はいないけどね。
さて、前回はC-3POの元ネタを探し、『メトロポリス』のマリアが元ネタなのは、ルーカスも公言していて有名だということも述べた。
だけど、元ネタがあるのはC-3POだけっていう方が不自然な話で、実を言えば他の主要仮面キャラには、のきなみ元ネタがあった。
ただしルーカスとしても、アメリカ人の観客にたちまち、「ああ、これって、あれのパクリでしょ」と、簡単に見破られるようなものは避けて、一般のアメリカ人には馴染みのないものばかりを注意深く元ネタにチョイスしていた。
また、ルーカスがこういう参考資料のあれこれを渡したという事実は、ルーカス本人はSWが大ヒットして作品の株が上がるにつれて堅く口を閉ざすようになったが、当事者だったマクォーリーの方は、後年になってもざっくばらんに語っている。
マクォーリーがR2について語る時、ルーカスはそのデザインの基本コンセプトとして、『サイレント・ランニング』(1972)の小型ロボット、ヒューイ、デューイ、ルーイのことを持ち出してきたことが、必ず話題に上る。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-サイレン1](https://stat.ameba.jp/user_images/20090808/20/addicto/4e/68/j/t02200076_0800027510229076178.jpg?caw=800)
マクォーリーは「向こうが角形なら、こっちは意地でも別の形に仕上げてやる」と、樽(タル)形、または円筒形を選んだ。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-たる](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/01/addicto/b5/27/j/t02200151_0800054910246498580.jpg?caw=800)
これはしかし、アメリカでよく見かける、典型的なゴミ箱の形。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ゴミ箱](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/00/addicto/45/f5/j/t02200349_0363057610246495102.jpg?caw=800)
最近はR2-D2のゴミ箱も商品にあるけど、もちろん先にゴミ箱があって、R2型の方がずっと後で登場した。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ゴミ箱2](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/01/addicto/c4/91/j/t02200220_0500050010246499703.jpg?caw=800)
それでこのゴミ箱を基本形に、脚やら何やらをあれこれ付け加えるときに参考になったのが、「宇宙戦艦ヤマト」のアナライザーだと推測される。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-対比](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/01/addicto/82/5d/j/t02200126_0800045810246509531.jpg?caw=800)
劇中のR2は、アナライザーとはかなり大きさとプロポーションが異なっているように見えるが、
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-対比つづき](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/01/addicto/ed/e9/j/t02200145_0479031610246514548.jpg?caw=800)
平面デザインの段階では、まさにアナライザーの設定資料(宮武一貫作画)と、ドンピシャリのプロポーションだった。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-対比3](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/02/addicto/f6/c6/j/t02200335_0800121710246518632.jpg?caw=800)
SW製作当時(1975~76)のルーカスには予測できるはずもなかったが、1974年10月6日から1975年3月30日まで初放映された「宇宙戦艦ヤマト」は、1979年5月8日から、「スター・ブレイザーズ」のタイトルでアメリカのテレビでも放映された。
SWへの松本零士作品の影響については、以前のブログにも書いたが、そこで参考にされたのは、松本氏の会社、零時社が制作した「宇宙海賊キャプテンハーロック」の初期の企画書にあった、松本零士本人による有紀蛍(ゆうき・けい)の絵柄と、
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-もっと比較](https://stat.ameba.jp/user_images/20090819/23/addicto/1f/25/j/t02200187_0800068110236529250.jpg?caw=800)
その後に東映動画が制作した第二企画書にある、(東映動画作品を中心に手がけるOHプロ在籍のアニメーター)小松原一男氏が描き直した、有紀蛍の設定画だった。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-比較](https://stat.ameba.jp/user_images/20090819/22/addicto/0a/44/j/t02200440_0320064010236498924.jpg?caw=800)
この2種類の企画書を調達したのは、もちろんジョージ・ルーカス本人だが、描き手が松本氏から小松原氏に交代しても、有紀蛍に執着して、わざわざ2回もマクォーリー自らが描き直すほどに入れ込んだのは、有紀蛍というキャラクターをSWに応用・転用するためと言うよりはむしろ、画家の好奇心や創作欲を、この2枚の絵が刺激したからではないだろうか。
つまり有紀蛍の絵柄は、そのポーズや表情がいかにも日本風で、またプロポーションや頭身がなんともアニメ/マンガ風なので、リアリズムを追求する画家としてのマクォーリーは、「実際の人間ならこうなるはず」と触発され、自分なりの修正版を描かずにはいられなかったのではないか。
話がそれたが、ルーカスが「キャプテンハーロック」の企画書2種を入手していたのであれば、それに「宇宙戦艦ヤマト」の設定資料を加えなくても、つまりアナライザーを参考にしなくても、R2-D2のデザインに参考に出来る(はずの)ロボットがいた。
ロペットワーワーである。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ワーワー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/03/addicto/f1/82/j/t02200283_0663085410246532447.jpg?caw=800)
ところがこのワーワー、どうやらスポンサーがようやく玩具会社のタカラに決まった時に、「ヤマト」のアナライザーみたいな(そして放映開始の3ヶ月後の1978年6月末に、いよいよ公開される『SW』のR2-D2のような)マスコットロボットをという要望で急遽加えられたものらしく、原作のマンガには出てこないし、声をアナライザーと同じ緒方賢一が担当しながら、結局ほとんど出番がなかった。
ワーワーが番組開始の土壇場でねじ込まれた証拠に、零時社の最初の「ハーロック」企画書には、全く別形状のロボット、ヤーヤーとワーワー、そして2体の合体したメカパンツァーが描かれている。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ヤーヤー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/03/addicto/9f/6b/j/t02200313_0800113810246535560.jpg?caw=800)
さらにワーワーとR2の初期設定画を並べてみても、アナライザーの時のようなドンピシャリ感にはとうてい行き着かず、
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-火描くわー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/04/addicto/62/66/j/t02200330_0800120010246537743.jpg?caw=800)
R2-D2がワーワーを参考にはデザインされていないこと、あるいは逆に、ワーワーこそがR2を参考にしているかも知れないことまでが見て取れる。
さて、C-3POの場合は、平面デザインの時点でマリア、立体造形の時点で顔面の参考資料数点と、二段階のルーカスのインプットが確認できたが、R2の場合は平面デザイン時のごちゃごちゃした付属物、レーダーだとか引き込み式アームだとかが整理されてスッキリとした外観になったぐらいで、立体化の際の新たなインプットというのは認められず、単に大きさやボディのプロポーションの変更があった程度である。
では立体版のR2のプロポーションは、どうして平面デザインから変更されたのか?
答えは『バトルフィールド・アース』(2000)の、ロジャー・クリスチャン監督が教えてくれた。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-バトフィー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/10/addicto/da/5c/j/t02200326_0500074110246623409.jpg?caw=800)
「キリスト教徒」が語源のクリスチャン監督は、実は仏教徒なんだがそれはともかく、1作目の『SW』で、プロダクションデザイナーのジョン・バリーの下、セットやプロップの制作に携わった。
↓手前左がクリスチャン。右奥の戸口に立っているのがジョン・バリー。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-クリ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/11/addicto/5f/5e/j/t02200227_0800082410246639926.jpg?caw=800)
チュニジアのロケ地に同行した美術スタッフは、バリーと彼の二人だけで、その意味でも貴重な1作目の生き証人であり、この縁もあって『エピソード1』(1999)の第二班監督もつとめた。
クリスチャンによれば、R2を当初の設計より小型化(具体的には胴体を細身に)できたのは、ひとえにケニー・ベイカーという、期待以上に小柄な演じ手を得られたからだという。
↓金属製のプロトタイプを前にするケニー・ベイカー。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ケニー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/11/addicto/6d/86/j/t02200269_0800097810246646052.jpg?caw=800)
↓こちらは木製のモックアップ。大きさやプロポーションは実物とほぼ同じ。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-モック](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/11/addicto/cd/30/j/t02200270_0800098210246649077.jpg?caw=800)
↓ケニー・ベイカーというおあつらえ向きの演じ手を見つけたことで、
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ケニー](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/11/addicto/0d/a1/j/t02200257_0259030210246657065.jpg?caw=800)
↓当初はアナライザー(左)とほぼ同じだったR2の胴回り(中)は、うんと細身(右)になり、はからずも元ネタから遠ざかった。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-これこれ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/12/addicto/bb/b0/j/t02200145_0800052710246663571.jpg?caw=800)
クリスチャンによれば、とにかくSW1作目は制作予算がカツカツだったので、既存品の流用が徹底的に図られ、そのためR2の半球状のドームは、照明のお椀型の反射板を流用したので純然たる半球ではなく、直径はきっかり45センチ。またレイアの立体像を投影するプロジェクターは、旅客機の機内灯を流用したという。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ひひひ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/12/addicto/6e/e0/j/t02200156_0800056910246668584.jpg?caw=800)
最後にR2-D2にまつわる、謎の写真について。
散々見飽きた、この一連の写真。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-コンビ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090903/08/addicto/61/29/j/t02200246_0400044810245959992.jpg?caw=800)
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-コンビ](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/12/addicto/c5/bb/j/t02200165_0400030010246671679.jpg?caw=800)
R2の胸の水平状のパネル(各種アームのカバー)が、青く塗られていない。
この一連の写真では、全てこうなっている。
謎の答えは、同じシーンに登場するR5-D4にある。
頭部とカラリングをのぞきR2と同型のR5のために、わざわざ新たなモデルを準備する余裕はとてもなく、一番目立つボディ本体の青い部分や白い部分に赤いステッカーを貼り付けて、R2-D2とは別のモデルに見せかけた。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-化粧](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/12/addicto/73/7e/j/t02200082_0800029710246686601.jpg?caw=800)
↓そしてこれが、R2-D2とR5-D4が実は同じものである決定的な証拠写真!
![$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト](https://stat.ameba.jp/user_images/20090908/13/addicto/6e/4d/j/t02200145_0800052910249262980.jpg?caw=800)
そのため両脚は、R2の青いマーキングのまま。
![オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-R5](https://stat.ameba.jp/user_images/20090904/12/addicto/88/7d/j/t02200144_0800052210246686991.jpg?caw=800)
つまり上2枚のおなじみドロイドコンビの写真は、R5-D4登場シーンのごたごたの合間にスチルカメラマンが撮影したもので、R2のボディはR5-D4に化粧直しの途中で、青い部分が覆い隠されているものが、急遽間に合わせに駆り出されてしまったのだろうと推察される。
さて、今回のルーツ探し、皆様にはご満足いただける内容だったでしょうか。
一つのブログを書く(+画像を用意する)のに、えらく手間と時間がかかるし、じっくり読んでもいただきたいので、今後は基本的に、1日1ブログとします。
ご満足いただけましたら、1日1ポチ、お願いします。
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