地中海をよく見ると外洋とつながっているのはジブラルタル海峡だけで、ここが閉じてしまえば途端に閉じられた海になる。
超大陸パンゲアが1.5億年前に分裂して以降、アフリカ大陸とユーラシア大陸に挟まれたテージス海は、アフリカプレートの移動によってどんどん小さくなり、ツール・ド・フランスで劇的な舞台となったアルプスやピレネーを形成し、地中海になったのですが、さらに縮小してジブラルタル海峡の部分がくっつき、大西洋から切り離されてしまいました。
地中海は、アフリカのサハラ砂漠につながる乾燥地帯なので、海はどんどん干上がり、わずか千年あまりで干上がってしまってしまい、海水面よりも低い巨大な盆地になったそうです。
マジョルカ島のあたりの海底の地層を探索したところ、海が干上がるときには、石灰岩(CACO2)→石膏(CASO4)→塩(NACL)の順番で干上がるそうなんですが、ちゃんとその痕跡が地層に残っているそうです。
その後、ジブラルタル地峡が決壊して地中海盆地に海水が時速300キロという猛スピードで流れ込み、90%の海水は数カ月から2年であっという間に今の地中海をつくったという。
この説は1970年代に提唱され、海水の流れ込みはなんと2009年のネイチャーで発表されたという最新の学説で、これも海底を掘削する技術の進展によって海底のボーリング調査が可能になり、わかったことだそうです。
地球科学の世界は、現在進行形でどんどん新しい説が提案されていますが、これもその事例です。本当に面白い学問です。
テーマ:自然科学
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