言葉の物語
<犬Ⅱ-ケン・いぬ>
人間の家畜として最も古いのが、犬だと言われてます。
そして人間の友だとも。
ところが調べていてビックリの語に出会いました。
それは「犮=ハツ・はらう」で「祓」の原字。
字源は、犬をはりつけにしたさま!
災害を取り除くお祓いのことですよ。
古き良き友と言いながら、人間は何ということをするの
でしょうか。また「献=ケン・たてまつる」は、虎の頭を
付けた神に捧げる器コシキの内側に犬の血を塗って
捧げものをしたというところから、犬がついています。
『イメージの博物館』(山下主一郎著)に少し面白いのが
ありました。
古代ギリシアの冥界の川の、三つの頭を持つ番犬ケル
ベロスはケーキが大好きといいます。
これから、死んだ人の手にケルベロスへの賄賂として
ケーキを持たせたそうです。
犬儒派(キュニコス派)。ソクラテスの流れをくむ犬のよう
な生活をした
哲学者の一派があります。おもしろいのが、
有名な樽に住むシノッペのディオゲネスの話しです。
ある時、アレキサンダー大王が彼を訪ねて、
「何かして欲しいことはないか」と訊ねると、
「そこをどいてくれ。日が当たらないから。」と言ったと
いう。
この自由で無欲な生活を大王は羨んだという。
またある時は、日中にランプを灯し、
「人間はいないか」といって、探し回ったと言います。
何か一休さんに似ていますね。
一休さんは正月に棒の先に骸骨をぶら下げて
「ご用心、ご用心」といって、市中を歩き回ったと言い
ます。
今一番人気のある犬はトイプードルだそうです。
この犬を連れて散歩している人、多く見かけるように
なりました。
犬神家の一族、南総里見八犬伝、上野の西郷さん
の連れている犬、忠犬ハチ公、南極隊の太郎と次
郎など。
犬、犬、犬。「猋=ヒョウ・つむじかぜのこと」なんて
字まで。
昔は犬のふんだらけ。
「お前、臭いぞ。糞踏んだ。逃げろ。」
「ふんだ、ふんだ、くそふんだ。」なんて囃されて、
追っかけっこ。
臭くて泣き出したいのをこらえながら。
犬は「耳を立てたいぬの象形」で、「ケン」という
音はなき声からと。
犬馬の歯(よわ)い
犬や馬のように無駄に年を取ったと自分の年齢の
謙称。
犬馬の心
忠誠心
犬馬の養
親を食べさせるだけで敬う心が無い。
犬馬の労
主人や他人のために心力を尽くすこと。
犬彘(ケンテイ)
犬とぶた(いのこ)で卑しい者のたとえ。
犬羊(ケンヨウ)
つまらない者。才能のない者。
犬兎の争い
互いに争って、第三者に利益を取られること。
漁夫の利ですね。
犬も人を見れば尾を振る
そっけないのは良くないね。少しくらいはにこっとしな
いと。
犬も朋輩鷹も朋輩
主人が同じであれば地位や役職に関係なく、
同僚であることには変わりない。
雇われ社長さん、同じ使用人には変わりないですよ。
それにしても、人の友といわれる割には犬はさんざ
んですね。
今日一日 幸運でありますように!
誤字脱字ご容赦ください。