ことばの物語
〖匂・臭〗
におう
和訓の「におう(古語:にほう)」は「丹(に・赤色)
秀(ほ)う」からで、奈良時代頃は「花が赤く色づく」
という意味でありました。(花が咲き誇る)
これが嗅覚になったのは、その花々の放つよい
香りから、物のにおいをあらわすように移行した
ものであります。
匂ーにほひ・にほう
これは「匀=ととのう」という漢字をかりて、中の
「二」を「ニホヒ」の「ヒ」と入れ替えた国字であ
り、「いいにおい」(ととのったにおい)の意味に用い
ました。従って音読みはありません。
臭ーにおう・くさい・シュ
もとの字は「自=鼻の象形」に「犬=鼻が利くいぬ」
で、臭いをかぐの意味。どちらかというと「くさい」
意味を表す。
臭気(しゅうき)
くさいにおい・くさみ
臭聞(しゅうぶん)
悪いうわさ。
俗臭(ぞくしゅう)
金銭や名誉などに執着する世俗的な雰囲気。
俗っ気。
銅臭(どうしゅう)
金銭を貪り、また金銭によって官位など得るなど
金に任せた処世を卑しむ語。
<後漢の崔烈(さいれつ)が銭五百万を使って
大司徒に昇った時、子の鈞に世間の自分への
評判を聞くと鈞は「論者はその銅臭を嫌う」と答
えました。>
(いまや日本は、銅臭ぷんぷんの国会議員たちで
ありますね。議事堂から銅臭さえもれてきます)
※大司徒は三公と言われる高官の職の一つで、
後漢時代には承相のことを指すようになります。
司徒・・・人民の戸籍、教育、厚生などを司る
司馬・・・官制、祭祀、軍事を司る。
司空・・・建築事業を司る。
遺臭万歳(いしゅうばんさい)
悪い評判や噂を後世にまで残すこと。
≪仏教語≫
〖体露金風〗
たいろきんぷう
碧巌録第二十七則
「体露」とは全体が現れること。
「金風」とは秋風(西風)のこと。
※「金風」は中国の自然哲学思想の五行説
からであります。
五行は万物は火・木・金・土・水の元素か
らなるとするものであります。
木ー春・火ー夏・土ー土用・金ー秋・水ー冬
<一人の雲水が雲門禅師に仏道を尋ねる。
「樹凋み葉落つる時 如何」
雲門禅師は一声を発して答えた。
「体露金風」。
[解釈]
「秋になると樹が凋み葉が落ちてくる。私の
心にまとわりついた執着心という葉も散る。
そんな秋ですが・・・」と雲水が尋ねる。
雲門禅師は相手にしない。「秋はすばらしい」
いまを否定しては何も生まれない。
いまを肯定してこそ前身があるのだ。>
(「心が晴れる禅の言葉」赤根祥道著/中継文庫より抜粋)
禅語の解釈は禅師によりさまざまであのます。
私の身近に感じたのは、上記の解釈でありました。
※「大森曹玄著『碧巌録』/たちばな教養文庫」に当たって
みましたが少し専門的で、気楽に「なるほどそうか」とは
いきませんでした。
一日一日重ねて一生
今日一日、今日一日と、四の五の言わずに
「あるがままが極楽」と、住みなしてはどうでしょうか。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫