プライマリーケア医の間でめまいは鑑別診断が難しい疾患の1つとなっているようです。
耳鼻科なのか、脳神経内科なのか、循環器内科なのか、整形外科なのかを鑑別する必要があります。
東洋医学的にも様々な証<痰飲・血虚の他、心・肝・腎いずれかの病証>でめまいが起こることが考えられます。
したがって鍼灸治療を行う際には東洋医学的診断以外に現代医学的病態把握も併せた方が良いと思っております。
めまいの中で特に鍼灸治療の適応症と言っていいのが「頚性めまい」です。
これは頸部の筋肉の過緊張によってめまいが生じるもので、整形外科では治療手段がほとんどありません。
もうひとつめまいで特筆すべきことは東洋医学の痰飲の概念と現代医学のリンパ水腫の概念が類似していることです。
この様なことを踏まえながらめまいの鍼灸治療を行っていくと良いのではないかと思っております。
2回前のメールマガジンで五十肩の治療が難しい理由として3つの原因を挙げました。
1)治療のタイミングが難しい。
2)運動鍼のタイミングが難しい。
3)寒熱夾雑があることが難しい。
今回は寒熱夾雑について説明します。
五十肩では虚血と炎症が同時に起こっており、治療が難しい状況となっています。
一般的には虚血には暖める治療を、炎症には冷やす治療を行います。
この矛盾した状態をどのように対処していくのかが課題となります。
肩をやみくもに暖め過ぎたり、冷やし過ぎたりせずに、肩の局所取穴は必要最小限にし、遠隔取穴で寒熱を調整していきます。
熱に対しては鍼を、寒に対しては灸を用います。
特に炎症部位の局所治療は症状が増悪することがありますので要注意です。
前回のメールマガジンで五十肩の治療が難しい理由として3つの原因を挙げました。
1)治療のタイミングが難しい。
2)運動鍼のタイミングが難しい。
3)寒熱夾雑があることが難しい。
前回は1)の治療のタイミングについて説明しました。
今回は運動鍼のタイミングについて説明します。
運動鍼とは置鍼した状態で肩を動かす治療法の事です。
主に可動域制限に用いています。
運動鍼は直後効果が出る画期的な治療法である反面、炎症がある時期に行うと、悪化することもあります。
運動鍼を行うタイミングを適切にすることはとても重要です。
運動鍼を行うには、自発痛・夜間痛がないことが第1条件です。
動作時痛では、可動域制限があるところまで行く前に、少しでも動かすと痛む場合も要注意です。
可動域制限があるところまで行って痛みが軽ければ一般的には大丈夫です。
まだ動かす時期が来ていないのに、患者さん自身が肩の体操を行っている場合もありますので注意が必要で す。
肩の治療では痛みを緩和する治療をする時期と可動域を改善する治療をする時期を意識することが大切です。
なぜ五十肩の治療は難しいのでしょうか?
主に3つの原因があります。
1)治療のタイミングが難しい。
2)運動鍼のタイミングが難しい。
3)寒熱夾雑があることが難しい。
今回は1)の治療のタイミングについてお伝えします。
発症直後で炎症が強い時、自発痛・夜間痛が強い時には鍼灸で著しい効果を出すのは難しいです。
身体から出るエンドルフィン・副腎皮質ホルモンの量には限度があるからです。
したがってこのような時に鍼灸治療を引き受けると「鍼灸は五十肩に効かない」と言われてしまう可能性があるのでお気を付け下さい。
自発痛・夜間痛がない場合には鍼灸治療は効果が出しやすいです。
運動痛もなく、可動域制限が残っている場合が一番治療し易いです。
昨今高齢者の増加により認知症の増加が話題になっていますが、眼科疾患も老化と関連しているものが結構あります。
1つ目は白内障です。
軽症のものも含めると有病率は50代で37~54%、60代で66~83%、70代で84~97%、80代ではほぼ100%です。
眼科では白内障に対し手術を行っていますが、本来メガネが不要になるはずの多焦点レンズの機能はまだ十分ではないようです。
高いお金を払って手術をしたのに老眼鏡を併用しているという方が結構いらっしゃいます。
白内障に対する鍼灸治療としては、目のかすみに対して行います。
また、より進化した多焦点レンズが出るまで鍼灸治療を行いながら手術を待つという手もあると思います。
2つ目は緑内障です。
有病率は50代で3%、60代で6%、70代で10%、80代で10~16%です。
緑内障に対する鍼灸治療としては、眼圧の調整を行っていきます。
3つ目は老眼です。
老眼は病気という範疇に入っておりませんが、不便なので鍼灸治療の要望があります。
鍼灸治療を行うと、近くのものは見やすくなり、視野が明るくなります。
私自身自分で目の治療を行っていますが、鍼の明目作用は素晴らしく、視野が広がることを自覚しています。
今後高齢者が増える中で、ちょっとした目の不調や軽症の白内障・緑内障は鍼灸の適応症といえると思います。
患者さんは良く「疲れやすい、疲れが抜けない。」と訴えますが、この疲れはどこから来ているのでしょうか?
1つ目は「眼精疲労」です。
パソコン・スマホなどによる目の使い過ぎ、メガネやコンタクトレンズの度があっていない、目の病気(ドライアイ・ 白内障・緑内障など)が主な原因と考えられます。
痰飲・瘀血証が根底にある場合も少なくありません。
2つ目は「胃腸の疲れ」です。
病証としては脾虚証になっています。
食べ過ぎによるものが多く、食欲低下・倦怠感が主な症状です。
肥満傾向のある人に多く見られます。
3つ目は「元気不足」です。
病証としては腎虚証になっています。
過労・寝不足などが原因となっています。
高齢者・精神疾患では不眠症が多く、腎虚証になっている場合が少なくありません。
過労では酸化ストレスによる活性酸素の発生が疲労の原因と考えられています。
また副腎皮質ホルモンが多量に分泌され、免疫力が低下します。
したがって老化や病気の発生と密接にかかわると考えられます。
最近思う事として疾患の合併症、病証の合併症、疾患と病証の合併症など が多いという事です。
40代以下では比較的少ないですが、50代以上では多く見られます。
具体的なケースとしては、パーキンソン病と脊柱管狭窄症、頚椎症性神経根症と胸郭出口症候群、更年期障害と脾虚証、瘀血証と脾虚証などです。
訴えている部位が両方の疾患と関連している場合はどちらが原因か分かりにくい場合もあります。
いずれにしても両方の治療を行う必要があります。
片方の疾患・病証のみを治療しても症状が改善しないか、軽度の改善しか得られず、両方行って始めて改善することもあります。
1つの疾患、1つの病証のみ鍼灸治療をしていて改善しない場合は、合併症、合併した病証を考える必要があると思います。
鍼灸の適応症は時代とともに変化しています。
抗生物質のない時代は結核を治すために鍼灸院に通った方が結構いらしたそ うです。
現在でもアフリカで抗生物質が入手できない貧しい人たちに結核の鍼灸が行われています。
消化性潰瘍は、以前は精神ストレスと胃酸の分泌過多で起こるとされていましたが、ピロリ菌の発見によって除菌治療が主流となりました。
したがって消化性潰瘍で来院する人は減少しています。
関節リウマチは主要な治療がステロイドから免疫抑制剤へ移行し、ひどい関節の変形は少なくなったと思います。
しかし薬を増やしたくない、出来れば止めたいという方が治療にいらっしゃっています。
最近出てきた病気といえばコロナ後遺症です。
代表的な症状は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下などです。
現在何名かに鍼灸治療を行っていますが、軽症~重症まであり、改善度も異なっております。
この様に時代とともに、有効な現代医学の治療法が出現したり、新たな疾患が出現したりするので、常に新しい情報を入手する必要があると思います。
前回のメールマガジンでは頭痛の治療を習得することをお勧めしました。
差別化をするために治療法を習得する場合、比較的習得し易い疾患と習得しにくい疾患があります。
習得し易い疾患は整形外科疾患です。
痛み・可動域の改善など治療効果がはっきり分かるためです。
整形外科疾患の中でお勧めは腱鞘炎、特にバネ指です。
整形外科の病院・クリニックではバネ指は手術しか治療手段がなく、手術は避けたいと思っている人は多いと思います。
先日ある美容院に行ったところ、バネ指を治せるところを紹介して欲しいと頼まれることが多いとのことです。良い先生を探して遠いところまで行っている人も結構いるとのことです。
逆にお勧めしないのは五十肩・膝の治療です。
五十肩は病期によっては効果が出にくいです(炎症の強い時)。
可動域制限を改善する治療開始のタイミングも結構難しく、早まると痛みがぶり返すことがあります。
変形性膝関節症は程度が軽く、肥満がない場合は比較的改善し易いですが、
変形が強かったり、肥満があったりすると改善が難しくなってきます。
したがって比較的習得し易く、患者数も多いものはおすすめです。
小泉政権時代の規制緩和により鍼灸学校の増加→鍼灸師の増加→鍼灸院の増加が顕著になっています。
今までのやり方では通用しないことは明らかです。
他院がやっていない治療法を行うことが解決への第1歩と考えます。
私が考えている最もやり易い差別化は頭痛です。
なぜなら頭痛の有病率は約40%、緊張型頭痛の有病率は22.4%と高いからです。
緊張型頭痛の原因は首のこりですので、来院した首肩こりの患者さんをターゲットに治療をしていくというのがとてもやり易い方法だと思います。
何となく肩こりの治療をやっていたけど頭痛の治療にチャレンジしたい方、今治療中の患者さんの頭痛を改善してみたい方はこのまま読み進めて下さい。
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今月に頭痛と肩こりの治療セミナーを行います。
セミナータイトル
鍼灸院のホスピタリティ&緊張型頭痛と肩こりの鍼灸治療
開催日 2024年4月21日(日)9:45~12:45
(30分位延長する可能性あります)
内容
1. 鍼灸院のホスピタリティ
鍼灸院になぜホスピタリティが必要なのか
鍼灸院の具体的なホスピタリティの例
2. 頭痛の所見の摂り方
3. 頭痛の病態
4. 頭痛の東洋医学的診断
5. 頭痛の鍼灸治療
6. 肩こりの鍼灸治療
7. 実技デモ
8. 実技
9. 質疑応答
詳細は以下のページをご覧下さい。
https://5su.muto-shinkyu.com/category/2014712.html