鍼灸治療をしていると、注意をしないと大変なことになる患者さんがいらっしゃいます。
今回の症例は81才の女性です。
訴える症状が非常に多く、心気症の傾向が強い方です。
したがって精神的なところから症状が出ているととらえがちです。
実際は2回癌(腎臓と肺)で手術をしています。
とても体のことを気にする方なので、自分で病院を受診して癌が見つかっています。
足のしびれを訴えていますが、腰部脊柱管狭窄症が原因と診断を受けています。
強く訴えていることの多くは特に問題がないのですが、あまり本人が気にしていないことに問題がありました。
不眠症のために睡眠導入剤を常用していました。
「最近物忘れが強い。」ということを言われて確認したことで判明しました。
この症例を通して以下の事の重要性を改めて認識しました。
1) 精神的要素が強い場合も器質的疾患がある事を念頭に置く。
2) 多くの症状を強く訴えている場合、患者さんの訴えの強さと症状の重要度は相関しないことに気をつける。
訴える症状が非常に多い方を治療されている先生に参考になれば幸いです。
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*五枢会治療セミナー
再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。
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一般的に鍼灸治療を行う際にはどの経穴が効果的かを第1に考えると思います。
もちろんとても重要です。
しかし、それと同じくらい重要なこととして、治療効果が出ているのかどうかを知るためのテストを行うことも挙げられます。
鍼灸の治療効果を客観的にとらえることによって、症例の蓄積・患者さんへの説明力アップなどが可能となります。
患者さんの中には感覚が鋭く、鍼灸治療による変化を即座に感じ取る人がいる一方、非常に良く改善しているのにもかかわらず全く変化を感じない人もいます。
整形外科疾患で変化をとらえるためには理学テスト・可動域測定が有効です。
内科疾患で変化をとらえるためには脈診・腹診・背甲診が指標となります。
したがって鍼灸治療前に体の状態を良く見ておく必要があります。
また、1施術ごとに効果を確かめることでその治療穴の効果がはっきり分かります。
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ギックリ腰の鍼灸治療では、結果を出すことが重要なことは言うまでもありませんが、次に挙げる失敗をしないことも重要です。
1) 腰を暖める
腰部を暖めることはとても気持ちが良いの ですが、炎症部位を暖めると症状が悪化する可能性がありますので要注意です。
2) 腰を揉み込む
腰をゴリゴリと揉むことは炎症を悪化させる可能性があります。
3) 何度も姿勢を変える
治療で仰臥位、側臥位、伏臥位など何度も患者さんを動かすと、悪化する恐れがあります。
4) 痛みを出す姿勢を続ける
例えば伏臥位で腰痛が増悪する場合、その姿勢を続けて鍼灸治療しても改善しないどころか悪化することもあります。
伏臥位であれば腰の下に枕やタオルを入れるなどの工夫が必要です。
ギックリ腰―急性腰痛の中でも重症タイプの治療は結構難しいと思います。
難しい理由として以下のことが挙げられます。
1) 患者さんの期待値が高い
患者さんは1-2回で治ると思って来院 することが多いです。
2) 痛みのために動作が制限されており、理学テストなどが行いにくい。
そのため病態が把握しにくい。
3) 急性腰痛では複数の病態が存在するため、病態にあった鍼灸治療を行う必要がある。
すなわちギックリ腰では制限のある状況で最大限の効果を出さなければならないという事になります。
複数の病態としては筋・筋膜性腰痛、椎間関節型腰痛、腰椎椎間板ヘルニアが挙げられます。
したがってギックリ腰の原因が上記の中のどの病態なのか、合併しているのか把握して治療する必要があります。
置鍼法を行っている鍼灸師の方はかなり多いと思います。
置鍼法を行うことの是非についてお伝えしたいと思います。
置鍼法を行うことのメリットとしては以下のことが挙げられます。
・手技鍼に比べて刺激が弱いので、鍼治療に慣 れていない人にも行える。
・刺激量の調節をし易い。
・治療をした感覚(満足感)を出しやすい。
逆に置鍼法を行うことのデメリットとしては以下のことが挙げられます。
・何ヶ所も置鍼をすると治療時間が延長し易い。
・何ヶ所も置鍼をすると刺激量が増加し易い。
・鍼の抜き忘れリスクが生じる。
置鍼法は取り入れやすい治療法である一方、置鍼法ばかりに頼ると、手技鍼が疎かになる恐れもあります。
私は現在置鍼する部位は1ヶ所のみにしています。
目的は鎮痛のことが多いです。
もし、患者さんが訴えている部位に置鍼をするという方法が習慣になっている場合は、一度別のやり方(手技鍼・遠隔取穴など)で治療されることをお勧めします。
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一般的に多くの治療院で取り扱う疾患は整形外科疾患がメインになっているようです。
腰痛・首の痛み・膝関節症などが多いと思います。
前々回のメルマガで手や足の疾患は整形外科疾患の中でも他院と差別化できると書きました。
更に整形外科以外の疾患を扱うことでも差別化できることは多いと思います。
一般的には消化器症状(食欲不振、便秘、下痢など)や婦人科(生理痛、冷え症、更年期障害など)に対応している鍼灸院は結構あるように思います。
したがって上記以外の症状・疾患が良いかと思います。
新しい疾患を習得し、差別化に取り組むことを目指す先生はこのまま読み進めて下さい。
7月28日(日)のセミナーでは皮膚科疾患とその他の疾患の鍼灸治療(円形脱毛症、しもやけ、口内炎、歯痛)を行います。
差別化するのに適した内容です。
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7月に鍼灸治療のセミナー3回行います。
<1>上肢の疾患の鍼灸治療
(テニス肘・腱鞘炎・ばね指など)
日時 2024年7月14日(日) 9:00~12:30
内容 上肢の疾患の鍼灸治療(テニス肘・腱鞘炎・ばね指など)
原因、病態、東洋医学的診断、鍼灸治療、実技デモ、実技、質疑応答
*手の可動性を診る方法をお伝えします。
*ヘバーデン結節の治療も追加で行います。
詳細は以下のページをご覧下さい。
https://5su.muto-shinkyu.com/category/2097416.html
<2> 足のトラブル解決3つの鍵<内反足、足関節、扁平足>と
外反母趾の鍼灸治療
日時 2024年7月21日(日) 9:00~12:30
内容
1)足のアライメント調整―内反足、足関節、扁平足
2)外反母趾の鍼灸治療
解剖、病態、鍼灸治療、実技、質疑応答
*足のアライメント調整と各疾患の鍼灸治療を行うことで治療効果が劇的に改善します。
詳細は以下のページです。
https://muto-shinkyu.biz/lp/20240721onedayfoot/
<3>皮膚科疾患とその他の疾患の鍼灸治療
日時 2024年7月28日(日) 9:00~12:30
内容 皮膚科疾患とその他の疾患の鍼灸治療
(円形脱毛症、しもやけ、口内炎、歯痛)
原因、病態、東洋医学的診断、鍼灸治療、実技デモ、実技、質疑応答
詳細は以下のページをご覧下さい。
https://5su.muto-shinkyu.com/category/2097421.html
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前回書いた「痛いところに鍼をする治療」の次に多く見られるのが「冷えているところを暖める治療」です。
例えば足の冷え・腰の冷え・腹部の冷えなどに対し暖めるというものです。
この治療は気持ちが良い半面、標治法(対症療法)であり、根本的に治しているとは言えません。
また、虚血部位には適応ですが、炎症部位には不適応です。
したがって痛いところに鍼をしたり、冷えているところを暖めても改善しにくい疾患を治すことが出来れば差別化できます。
具体的には関節リウマチ、腱鞘炎、ヘバーデン結節、外反母趾などが挙げられます。
私が免許を取って間もないころ、自由に鍼灸治療が出来るクリニックに勤めていました。
特に誰からも治療を教わっていなかったので結局痛いところに鍼をするという事が中心になっていました。
特に指導・研修を受けていないと「痛いところに鍼をする治療」になりがちです。
したがって「痛いところに鍼をする治療」では治せない疾患を自分の得意の治療にする事で他院との差別化をはかることが出来ます。
整形外科疾患は一般的に「痛いところに鍼をする治療」で改善し易いものも結構あります。
しかし、手の疾患や足の疾患は「痛いところに鍼をする治療」だけでは改善しないことが多く、もう一歩踏み込んだ治療が必要です。
前回のブログでお伝えしたように手の疾患では首の調整、足の疾患では足のアライメントの調整を行うことで効果的な治療を行うことが出来ます。
前回のブログで足のトラブルはアライメント調整が重要だという内容を書きました。
一方、手に関しては首の調整が重要になってきます。
手指の動きが悪い・腱鞘炎・バネ指がある場合は頸神経ブロック点や頸筋への刺鍼を行います。
斜角筋・小胸筋の緊張由来の絞扼性神経障害(胸郭出口症候群)として治療をすると効果的なことが多いです。
手は痛みが改善するだけでは満足していただけない部位です。
細かい作業(書字・裁縫・手芸など)を行うために、よりハイレベルな状態へ持っていく必要があります。
そのためには手指の可動性を見ていく必要があります。
最近つくづく感じることは、「足は奥が深い」ということです。
そのまま痛みがある部位に施術しても効果が出ないことが多いです。
その理由として、足のアライメント不整を治す治療をしないと効果が出にくいという事が挙げられます。
また、足のアライメント不整が股関節痛の原因となっている場合もあります。
足のアライメント不整で重要な3つのポイントを挙げます。
1つ目は内反足です。
内返しの捻挫をした後に内反足になる方は結構いらっしゃいます。
内反足になっていると、また捻挫を起こしやすくなります。
また内反足は股関節痛の原因にもなります。
2つ目は足関節が硬いことです。
背屈時の可動域制限があります。
足底腱膜炎・股関節痛の原因となっています。
3つ目は扁平足です。
扁平足では歩行の接地時に衝撃を和らげる機能が低下しています。
外反母趾・足底腱膜炎の原因となっています。
したがって捻挫をし易い方に対しては内反足の治療を、外反母趾の方に対しては扁平足の治療を、股関節痛の方に対しては内反足と足関節の治療を、足底腱膜炎の方に対しては足関節の治療を行う必要があります。