患者さんから「パーキンソンなのですが、症状が改善しますか?」と相談される場合どう答えたら良いでしょうか。
同じようなパーキンソンの症状でも改善し易いものとしにくいものがあります。

中脳の黒質のドパミン産生細胞が減少するパーキンソン病は鍼灸の効果が出易いことが多いです。
もちろん個人差があったり、訴えている症状によって効果の差はあります。

パーキンソン症状を呈する疾患である血管性パーキンソニズム、進行性核上麻痺 、大脳基底核変性、多系統萎縮症などがパーキンソン症候群です。

パーキンソン症候群というとパーキンソン病より軽いイメージがありますが、逆です。
パーキンソン症候群はLドパなどの薬物療法がほとんど効かないことが多く、鍼灸治療でも難渋することが多いです。
また、最初は軽症と思っていたのに、急速に進行することもあるので要注意です。

パーキンソン病の鍼灸治療を行う場合には、まず症状が改善し易い症例から始められると良いと思います。
そうすると色々分かるし、自信もつきます。

 

パーキンソン病は超高齢社会に伴い増加しています。
一般のパーキンソンの罹患率は1,000人に1人ですが、70才以上では100人に1人です。
中脳の黒質のドパミン産生細胞は年齢とともに減少していきます。
したがって高齢者が増えるほどパーキンソン病の方も増えていくという事が考えられます

パーキンソン病では筋固縮があり、筋緊張が強い状態となっています。
その筋緊張を鍼灸で緩和することで体の動きが改善します。

また、不良姿勢の原因となる肩の内旋、股関節の屈曲拘縮なども鍼灸治療で対処可能です。

更にパーキンソン病では変形性関節症を伴っていることも多く、その対処により痛みや動作の改善が期待できます。

 

自律神経失調症というと「わけが分からない」、「症状が多い」、「精神的な要素があるが、極端に強くない」というようなイメージがあります。
一つ一つの症状に薬を出すと大変なことになるし、抗うつ剤や抗不安薬を出すほどでもないという、現代医学の治療ではやりにくいものだと思われます。
私の自律神経失調症の治療では、交感神経優位型と副交感神経優位型に分けて考えます。
食欲を例に取ると、交感神経優位型では低下、副交感神経優位型では亢進になります。
便の状態では、交感神経優位型では便秘、副交感神経優位型では軟便となります。

次に寒熱を考えます。
寒熱の調整を誤ると逆効果になるので要注意です。

最後に五臓の診断を行います。



 

治療穴は本や人に教わるものだと思っていますか?
もちろんそれも一つの方法です。
しかし本を調べても分からず、人に聞いても分からない時はどうしますか?

治療穴を見つける方法は1つだけではなく、複数あります。
1つ目は地道に体の反応を見ていく方法です。
該当経絡・筋肉・神経・血管・内臓体壁反射・腹証などが参考になります。
2つ目は筋力テスト(母指小指を用いる)による方法です。
3つ目は感覚力を高める方法です。

患者さんの身体に答えがあると思ってじっくり診ていくと、だんだん分かることもあります。
また、問診をしっかりとることで治療のヒントが出て来る場合もあります。

鍼灸治療後非常に効いたという時と、あまり効果が出なかった時があると思います。
その違いは何でしょうか?

まず患者さん側から考えます。
1つ目は鍼灸の適応症なのか、非適応症なのかが挙げられます。
2つ目として鍼灸治療に対する反応があります。
とても効果が出易い人1-3%、非常に効果が出にくい人1-3%、それ以外はまあまあ効果が出易い人となります。

治療者側の方も考えてみます。
診断が適切かどうか。
患者さんが訴えている症状と診断が一致しているでしょうか。
例えばある病証を治療しても、その病証と関連しない症状であれば改善しないという事が考えられます。
複数の病証を抱えている人が結構います。

刺激量が適切かどうか。
刺激量が足りないと効果が出ない場合があります。

活性化している経穴かどうか。
その時点でその症状にあっている経穴であるかどうかは重要です。

活性化している経穴を見つけられるかどうかで治療効果がかなり違ってきます。
 

前回のメールマガジンで書いたこと以外に、精神疾患―特にうつ病では正気が虚損している一方、首~背部の筋緊張は大変強い状態になっています。
したがって筋緊張緩和の治療を加えることもとても重要です。

うつ病になり易い人の特徴として、「真面目過ぎる」という事が挙げられています。
「○○しなければならない。」という思考が多いと思われます。
これは認知行動療法や交流分析を使うと改善することが出来ます。

前回のメールマガジンで書きましたように精神疾患が苦手な鍼灸師は多いです。
したがって精神疾患をマスターすると強みになります。
治療院の強みになるだけではなく、ご自分・家族・知人が精神疾患や自律神経失調症、不眠症になった時にとても役立つと思います。

精神疾患、特にうつ病になると、学校や仕事を休んだり、場合によっては辞めざるを得なくなったりすることもあります。
そのような人生が変わってしまうような状況を鍼灸治療で食い止めることが出来れば大変大きな価値があります。

多くの鍼灸師と話をしてみると、うつ病などの精神疾患が苦手という人は結構多いようです。
実は私も免許を取って間もない頃~5年位は苦手でした。
相手のネガティブさに引きずられてしまうような感じになり、治療後非常に疲れてしまっていました。

現在は特別疲れる感じはないです。
精神疾患の人は正気が虚損し、邪気が強くなっていますので、その調整をすることが大切です。

精神疾患の方を診るポイントは3つあります。
1)エネルギー調整をする事。
正気を補い、邪気を取り除くことが基本となります。
2) 身体症状からアプローチする。
不眠・食欲不振といった症状を改善することにより、精神状態も改善することが多いです。
3) 性格と精神疾患が関連していると考えられる場合は心理学的アプローチ(認知行動療法など)が必要な場合もあります。
 

前回のブログで、「症状の多い患者さんには辛い症状を1~3位まで挙げてもらい治療するが、結果が出にくい・時間がかかるものばかり入らないようにする。」と書きました。

ところで結果が出にくい・時間がかかるものとは何でしょうか?
難病・重症と言われている疾患は一般的に結果が出にくく、時間がかかることが多いです。
また整形外科疾患より内科疾患は一般的に結果が出にくく、時間がかかることが多いです。

しかし整形外科疾患すべてで結果が出易いという事はありません。
骨棘・変形など器質的変化が強い場合は結果が出にくいです。
 

前回のブログでご案内した1つの経穴で10以上の症状を改善する治療法<マルチポイント>は主に整形外科疾患に対応しています。
この治療法をマスターすると、治療成績が上がるだけではなく、治療時間を短縮することが出来ます。
 

患者さんの中にはとても症状が多い方がいらっしゃいます。
症状が良くなったと安心していたら、次から次へと別の症状を訴えてきたりします。
そのような場合、いったいどこから手をつけて良いのか分からなくなる場合もあるのではないでしょうか。

私の場合は辛い症状を1~3位まで挙げていただきます。
基本的にはこの順位で治療をしますが、結果が出にくい・時間がかかるものばかり入っている場合は、4位以下のものを入れる場合もあります。

しかし、このやり方には限界があります。あまり多くの症状に対応することが出来ません。
1つの治療穴で多くの症状を改善する治療法を取り入れる必要があります。
1つの経穴で2-3の症状を改善できる経穴を1つ星、4-5の症状を改善できる経穴を2つ星、6-7の症状を改善できる経穴を3つ星、8-9の症状を改善できる経穴を4つ星、10以上の症状を改善できる経穴を5つ星の治療としています。

例えば三陰交は月経痛・月経不順・胎位異常・安産・のぼせ・足冷・扁平足に効果があるので4つ星になります。

私は日々の臨床の中で1つの経穴で10以上の症状を改善する治療法を開発しました。
この治療法をマスターすると、治療成績が上がるだけではなく、治療時間を短縮することが出来ます。
 

ある鍼灸師の話です。
鍼灸師の背部には背兪穴に10ヶ所位痂皮が形成されていました。
「スタッフに施灸をしてもらっているのだけれど、下手なのでかさぶたが出来ています。」と言っていました。
あまりにも治りが悪いので皮膚科を受診したところ、天疱瘡と診断されたとのことでした。

天疱瘡は自己免疫疾患で、表皮や粘膜の細胞間を接着させるデスモグレインというタンパクに対する自己抗体が病気を起こすことがわかっています。
天疱瘡は皮膚の表面に金属の先端を擦過したり、圧をかけるだけで水泡やびらんが生じます(ニコルスキー現象)。
したがって皮膚をこすったり、圧をかける施術は避けるべきです。
また、直接灸も避ける必要があります。

鍼治療に関しては天疱瘡が判明するまで行っていましたが、特に悪化は見られなかったようです。

いずれにしても皮膚への軽微な刺激で症状が誘発される疾患ですので要注意です。