最近思う事として疾患の合併症、病証の合併症、疾患と病証の合併症などが多いという事です。
40代以下では比較的少ないですが、50代以上では多く見られます。
具体的なケースとしては、パーキンソン病と脊柱管狭窄症、頚椎症性神経根症と胸郭出口症候群、更年期障害と脾虚証、瘀血証と脾虚証などです。
訴えている部位が両方の疾患と関連している場合はどちらが原因か分かりにくい場合もあります。
いずれにしても両方の治療を行う必要があります。
片方の疾患・病証のみを治療しても症状が改善しないか、軽度の改善しか得られず、両方行って始めて改善することもあります。
1つの疾患、1つの病証のみ鍼灸治療をしていて改善しない場合は、合併症、合併した病証を考える必要があると思います。
鍼灸の適応症は時代とともに変化しています。
抗生物質のない時代は結核を治すために鍼灸院に通った方が結構いらしたそうです。
現在でもアフリカで抗生物質が入手できない貧しい人たちに結核の鍼灸が行われています。
消化性潰瘍は、以前は精神ストレスと胃酸の分泌過多で起こるとされていましたが、ピロリ菌の発見によって除菌治療が主流となりました。
したがって消化性潰瘍で来院する人は減少しています。
関節リウマチは主要な治療がステロイドから免疫抑制剤へ移行し、ひどい関節の変形は少なくなったと思います。
しかし薬を増やしたくない、出来れば止めたいという方が治療にいらっしゃっています。
最近出てきた病気といえばコロナ後遺症です。
代表的な症状は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下などです。
現在何名かに鍼灸治療を行っていますが、軽症~重症まであり、改善度も異なっております。
この様に時代とともに、有効な現代医学の治療法が出現したり、新たな疾患が出現したりするので、常に新しい情報を入手す る必要があると思います。
前回のメールマガジンでは頭痛の治療を習得することをお勧めしました。
差別化をするために治療法を習得する場合、比較的習得し易い疾患と習得しにくい疾患があります。
習得し易い疾患は整形外科疾患です。
痛み・可動域の改善など治療効果がはっきり分かるためです。
整形外科疾患の中でお勧めは腱鞘炎、特にバネ指です。
整形外科の病院・クリニックではバネ指は手術しか治療手段がなく、手術は避けたいと思っている人は多いと思います。
先日ある美容院に行ったところ、バネ指を治せるところを紹介して欲しいと頼まれることが多いとのことです。良い先生を探して遠いところまで行っている人も結構いるとのことです。
逆にお勧めしないのは五十肩・膝の治療です。
五十肩は病期によっては効果が出にくいです(炎症の強い時)。
可動域制限を改善する治療開始のタイミングも結構難しく、早まると痛みがぶり返すことがあります。
変形性膝関節症は程度が軽く、肥満がない場合は比較的改善し易いですが、
変形が強かったり、肥満があったりすると改善が難しくなってきます。
したがって比較的習得し易く、患者数も多いものはおすすめです。
小泉政権時代の規制緩和により鍼灸学校の増加→鍼灸師の増加→鍼灸院の増加が顕著になっています。
今までのやり方では通用しないことは明らかです。
他院がやっていない治療法を行うことが解決への第1歩と考えます。
私が考えている最もやり易い差別化は頭痛です。
なぜなら頭痛の有病率は約40%、緊張型頭痛の有病率は22.4%と高いからです。
緊張型頭痛の原因は首のこりですので、来院した首肩こりの患者さんをターゲットに治療をしていくというのがとてもやり易い方法だと思います。
何となく肩こりの治療をやっていたけど頭痛の治療にチャレンジしたい方、今治療中の患者さんの頭痛を改善してみたい方はこのまま読み進めて下さい。
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今月に頭痛と肩こりの治療セミナーを行います。
セミナータイトル
鍼灸院のホスピタリティ&緊張型頭痛と肩こりの鍼灸治療
開催日 2024年4月21日(日)9:45~12:45
(30分位延長する可能性あります)
内容
1. 鍼灸院のホスピタリティ
鍼灸院になぜホスピタリティが必要なのか
鍼灸院の具体的なホスピタリティの例
2. 頭痛の所見の摂り方
3. 頭痛の病態
4. 頭痛の東洋医学的診断
5. 頭痛の鍼灸治療
6. 肩こりの鍼灸治療
7. 実技デモ
8. 実技
9. 質疑応答
詳細は以下のページをご覧下さい。
https://5su.muto-shinkyu.com/category/2014712.html
患者さんから「パーキンソンなのですが、症状が改善しますか?」と相談される場合どう答えたら良いでしょうか。
同じようなパーキンソンの症状でも改善し易いものとしにくいものがあります。
中脳の黒質のドパミン産生細胞が減少するパーキンソン病は鍼灸の効果が出易いことが多いです。
もちろん個人差があったり、訴えている症状によって効果の差はあります。
パーキンソン症状を呈する疾患である血管性パーキンソニズム、進行性核上麻痺 、大脳基底核変性、多系統萎縮症などがパーキンソン症候群です。
パーキンソン症候群というとパーキンソン病より軽いイメージがありますが、逆です。
パーキンソン症候群はLドパなどの薬物療法がほとんど効かないことが多く、鍼灸治療でも難渋することが多いです。
また、最初は軽症と思っていたのに、急速に進行することもあるので要注意です。
パーキンソン病の鍼灸治療を行う場合には、まず症状が改善し易い症例から始められると良いと思います。
そうすると色々分かるし、自信もつきます。
パーキンソン病は超高齢社会に伴い増加しています。
一般のパーキンソンの罹患率は1,000人に1人ですが、70才以上では100人に1人です。
中脳の黒質のドパミン産生細胞は年齢とともに減少していきます。
したがって高齢者が増えるほどパーキンソン病の方も増えていくという事が考えられます
パーキンソン病では筋固縮があり、筋緊張が強い状態となっています。
その筋緊張を鍼灸で緩和することで体の動きが改善します。
また、不良 姿勢の原因となる肩の内旋、股関節の屈曲拘縮なども鍼灸治療で対処可能です。
更にパーキンソン病では変形性関節症を伴っていることも多く、その対処により痛みや動作の改善が期待できます。
自律神経失調症というと「わけが分からない」、「症状が多い」、「精神的な要素があるが、極端に強くない」というようなイメージがあります。
一つ一つの症状に薬を出すと大変なことになるし、抗うつ剤や抗不安薬を出すほどでもないという、現代医学の治療ではやりにくいものだと思われます。
私の自律神経失調症の治療では、交感神経優位型と副交感神経優位型に分けて考えます。
食欲を例に取ると、交感神経優位型では低下、副交感神経優位型では亢進になります。
便の状態では、交感神経優位型では便秘、副交感神経優位型では軟便となります。
次に寒熱を考えます。
寒熱の調整を誤ると逆効果になるので要注意です。
最後に五臓の診断を行います。
治療穴は本や人に教わるものだと思っていますか?
もちろんそれも一つの方法です。
しかし本を調べても分からず、人に聞いても分からない時はどうしますか?
治療穴を見つける方法は1つだけではなく、複数あります。
1つ目は地道に体の反応を見ていく方法です。
該当経絡・筋肉・神経・血管・内臓体壁反射・腹証などが参考になります。
2つ目は筋力テスト(母指小指を用いる)による方法です。
3つ目は感覚力を高める方法です。
患者さんの身体に答えがあると思ってじっくり診ていくと、だんだん分かることもあります。
また、問診をしっかりとることで治療のヒント が出て来る場合もあります。
鍼灸治療後非常に効いたという時と、あまり効果が出なかった時があると思います。
その違いは何でしょうか?
まず患者さん側から考えます。
1つ目は鍼灸の適応症なのか、非適応症なのかが挙げられます。
2つ目として鍼灸治療に対する反応があります。
とても効果が出易い人1-3%、非常に効果が出にくい人1-3%、それ以外はまあまあ効果が出易い人となります。
治療者側の方も考えてみます。
診断が適切かどうか。
患者さんが訴えている症状と診断が一致しているでしょうか。
例えばある病証を治療しても、その病証と関連しない症状であれば改善しないという事が考えられます。
複数の病証を抱えている人が結構います。
刺激量が適切かどうか。
刺激量が足りないと効果が出ない場 合があります。
活性化している経穴かどうか。
その時点でその症状にあっている経穴であるかどうかは重要です。
活性化している経穴を見つけられるかどうかで治療効果がかなり違ってきます。
前回のメールマガジンで書いたこと以外に、精神疾患―特にうつ病では正気が虚損している一方、首~背部の筋緊張は大変強い状態になっています。
したがって筋緊張緩和の治療を加えることもとても重要です。
うつ病になり易い人の特徴として、「真面目過ぎる」という事が挙げられています。
「○○しなければならない。」という思考が多いと思われます。
これは認知行動療法や交流分析を使うと改善することが出来ます。
前回のメールマガジンで書きましたように精神疾患が苦手な鍼灸師は多いです。
したがって精神疾患をマ スターすると強みになります。
治療院の強みになるだけではなく、ご自分・家族・知人が精神疾患や自律神経失調症、不眠症になった時にとても役立つと思います。
精神疾患、特にうつ病になると、学校や仕事を休んだり、場合によっては辞めざるを得なくなったりすることもあります。
そのような人生が変わってしまうような状況を鍼灸治療で食い止めることが出来れば大変大きな価値があります。