鍼灸治療をしていて、効果が出にくい場合があります。


その原因は幾つかあります。


その中で多く見られるものとして、刺激量不足があります。


同じ経穴に治療をしても、鍼の太さ・灸の壮数で全く効果が異なります。


治療効果が出にくい時は、鍼を太くしたり、施灸壮数を増やすことで症状の改善がみられることがあります。


患者さんの体格が良い場合、刺激量が多い方が良いと思います。


一般的に鍼は1番(0.02mm)太くしています。


特に、患者さんが刺激に対して敏感な場合は気をつける必要があります。


敏感でかつ治療後の疲労感がある時は、刺激量を増やす必要はないと思います。


敏感で治療後の疲労感がなく、治療効果が出にくい時は刺激量を増やす必要があるかもしれません。

漢方薬から東洋医学的病証を把握する方法の第5回は寒(涼)性薬です。


冷やす作用の強い生薬として、石膏・薄荷(はっか)・柴胡・大黄などがあげられます。




加味逍遥散(柴胡・薄荷)、

桃核承気湯(大黄)、

麻杏甘石湯(石膏)、

大黄牡丹皮湯(大黄)などが代表的漢方薬です。



これらの漢方薬が処方されている場合、熱証である可能性が高いと考えられます。



治療は鍼が中心となります。


透熱灸をする場合は少なめにします。


温灸は控えます。








漢方薬から東洋医学的病証を把握する方法の

4回は温(熱)性薬です。


暖める作用の強い生薬として、附子・人参・

乾姜・生姜・当帰・熟地黄などが

あげられます。

真武湯(附子)、当帰芍薬散(当帰)、

十全大補湯(当帰・人参)、

人参湯(人参・乾姜)

大建中湯(人参・乾姜)、

八味地黄丸(熟地黄・附子)、

補中益気湯(人参・乾姜・当帰)、

四君子湯・六君子湯(人参・生姜)

が代表的漢方薬です。

これらの漢方薬が処方されている場合、

寒証である可能性が高いと考えられます。

治療は透熱灸や温灸が中心となります。


脾虚タイプでは腹部中心、

婦人科疾患などでは

腰仙部中心に温補法を行ないます。

漢方薬から東洋医学的病証を把握する方法の

3回は柴胡剤です。


柴胡剤とは生薬の柴胡が含まれている漢方薬の

ことで、
小柴胡湯・大柴胡湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・
柴胡桂枝乾姜湯・抑肝散・加味逍遥散

などがあげられます。


胸脇苦満がある場合に柴胡剤が使われます。



胸脇苦満がある場合、横隔膜周囲臓器の異常・

横隔膜の緊張などが考えられます。


精神ストレスの強い方に多く見られます。


漢方薬から東洋医学的病証を把握する方法の第2回は痰飲です。


痰飲を改善する生薬として沢瀉(たくしゃ)・猪苓(ちょれい)・茯苓(ぶくりょう)・防已(ぼうい)などがあげられます。


漢方薬では四君子湯・六君子湯・半夏白天麻湯・防已黄耆湯などがあげられます。


四君子湯・六君子湯は脾虚で胃内停水のあるタイプに用いられます。


半夏白天麻湯はめまいで、メニエール病(内耳のリンパ水腫)に近い病態に使われます。


防已黄耆湯は水太りタイプでむくみやすく、関節水腫傾向のある方に使われています。


これらの漢方薬が出されている場合、痰飲を改善する治療を取り入れてみる事は有効かもしれません。


前回は現代医学の薬から病態を把握する方法をお伝えしました。


今回からは患者さんに出された漢方薬から東洋医学的病証を把握する方法をお伝えします。


1回は気滞と瘀血です。


気滞を改善する生薬として厚朴(こうぼく)・

枳実(きじつ)・木香(もっこう)などがあります。


漢方薬としては半夏厚朴湯があげられます。


瘀血証を改善する生薬として当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・桃仁(とうにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)などがあります。


漢方薬では、当帰芍薬散・桂枝茯苓丸

桃核承気湯・大黄牡丹皮湯などがあげられます。


漢方薬を出した医師・薬剤師の信頼性が高い場合は参考になります。





新患で来院した患者さんの病態を把握する方法の一つとして、現在処方されている薬から行なうというものがあります。



具体的には頭痛を例にとります。


鎮痛消炎剤が処方されていたら、緊張型頭痛と考えます。


トリプタン系薬やエルゴタミン製剤が処方されていたら、片頭痛を考えます。


抗うつ薬・抗不安薬が処方されていたら、心因性の頭痛を考えます。


薬を服用する量・頻度から症状の改善度がわかることもあります。


月経困難症では、鎮痛剤の服用量・回数を聴取し、改善の目安としています。



薬を調べるのには、「今日の治療薬」(南江堂)がお勧めです。


毎年最新の薬が追加されて出版となっています。




7月にベーシックセミナーで腰痛の講習をしました。


腰痛では筋肉(腹筋・腸腰筋)の支持力を高める治療で改善するケースと、それで改善しないケースに分かれます。


改善しない場合には、椎間板などの軟部組織の問題なのか、骨が原因なのかに分けて考えます。


椎間板に問題がある場合は腰椎のアラインメントの不整がありますので、整えていくことで症状が改善します。


骨に問題がある場合

(骨棘が直接神経を圧迫している・椎間孔の著しい狭小・脊柱管狭窄症)は治癒が難しいことが多いと思います。


骨棘・椎間孔の狭小・神経根症がある場合、循環障害・局所の浮腫の改善により、症状が改善することもあります。


脊柱管狭窄症では神経根型は比較的改善しやすいと考えられています。

前回のメールマガジンでお伝えしましたように、遠隔治療で筋緊張や痛みを緩和することは可能です。


遠隔治療は局所治療に比べて広範囲に症状を軽減させることが出来ます。


それではなぜ局所治療が必要なのでしょうか。


遠隔治療では局所の器質的変化が強い病態には100%効果を発揮することが出来ません。


関節の変形・局所的な浮腫・

硬結を伴う著しい筋緊張・

陥凹を伴なう虚軟な部位には局所治療をした方が早く症状が軽減します。


局所治療ばかりしていると、治療点が多くなるばかりで、効果が十分ではないことがあります。


特に多症状の方は対応が出来なくなります。


私は遠隔治療を中心にし、局所治療を最小限にする治療を行なっています。



治療によって直後効果を出すのは無理だと思っている鍼灸師がかなり多いと思います。


実は私自身免許を取りたての頃は、

「直後効果を出す」という概念すらありませんでした。


知人の鍼灸師(有名な研究施設で勉強中だった)から「直後効果は出せますよ。」と言われてから意識し始めたのです。


まず、筋肉の緊張の緩和は、局所治療でも可能ですし、遠隔治療でも可能です。


特定の筋肉の緊張が緩和することにより、

肩こり・頭痛・腰痛などの症状が改善します。


また、内臓の反射領域の筋緊張が緩和することにより、内臓の不調にも対応できます。


胃の痛み・胸痛・生理痛など痛みを呈する場合でも、筋緊張の緩和を指標において治療することにより、直後効果を出すことが出来ます。