日本再生を阻む「プライマリーバランス黒字化」 財務官僚は毎年異様に執着 現代の資本主義は政府が借金すればこそ成長できる
日本の財務省の主要な教義のうちの一つブライマリーバランス黒字化。逆らった政治家はどうなるかわからないという、厄介な教義。有権者が、これを意に介さずに税率を決められる国会議員を選ぶ必要があるが大手メディアの報道があやふやで日本国民のほぼ全員に必要な情報が届くという状況ではない。
いわゆる国の借金が増えたところで日本お国そのものが破綻することなどない。破綻の定義を誤解が発生しないように説明もせずに破綻と言い立てる人々もいる。
それから政府債務残高対GDP比が日本よりも低い、アルゼンチンとベネズエラはとてつもないインフレが発生し破綻しているようなものだが、それでも国そのものが成り立っていないわけではない。
アルゼンチンもベネズエラも温暖な国だから凍死者などまずでない。それで経済が破綻しようとも人々は生きていける。
ベネズエラは米国からの経済制裁で原油の生産量を低くせざるを得なかったが、これも産油量の回復の見通しが立ちつつある。
ベネズエラは経済が悪化した影響で米国にまで難民がある程度移動していって総人口が2016年には3000万人を超えていたのが人口の国外流出により2022年には2800万人にまで急減。しかしTFRは2014年に2.4だったのが急増したというようなことはないだろう。おそらくエネルギー供給が乏しくなるとTFRは下がる。
アルゼンチンは2018年のTFRが2.00だったのが2022年には1.39にまで低下したが、これもエネルギー供給が乏しくなった影響である。
私は何が言いたいのかというと、なんらかの国の実質GDPはその国へのエネルギー供給水準に影響されるということが事実であるにもかかわらず焦点を当てた観察が乏しいのが気になって仕方がないのである。
財政破綻した国の合計特殊出生率が上昇するのかというと、エネルギー供給が乏しくなっているから、そうはならないのである。そしてこれはごく当たり前のことでしかない。
日本は気にせずに有効需要の拡大のために消費税率0%を視野に入れた減税をすればいい。
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私は中曽根康弘とヘンリー・キッシンジャーが1950年代にハーバードで交流を持っていたことが、後に中曽根康弘がレーガンに対して対米従属路線を確約するような外交をしてしまう根っこになったと解釈している。中曽根というと対米外交において知的水準という失言はあったが、消費税が売上税と呼ばれていたことから熱心に推進しようとしていた個人であった。間接税比率の高めの英仏のように日本も直間比率を是正すれば日本円で給料を受け取っている日本人も米国株を買いやすくなるという感覚があったかもしれない。
1985年9月にプラザ合意。1989年に消費税率3%導入。そして消費税は1997年4月に税率5%。2014年4月に税率8パーセント。2019年10月に税率10%にまで引き上げられていった。その間も在日米軍基地が撤去される雰囲気は全くなく、在日米軍とそれ以外の地域にいる米軍が中東に移動する際の足掛かりの一つとして機能している。
安倍晋三首相は米軍の安全性がいくらか増す安保法制を制定させたが、これはヘンリー・キッシンジャーのデザインした外交戦略を日本が支える格好にしていることなのである。