2021年 おしまい | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

2021年も本日でおしまいです。
今年1年、皆様にとってはどんな年だったでしょうか?

日本社会においては、今年はやはり第1にコロナ感染者・死者急増の年、そしてオリンピックの年、政変の年であったと言えそうです。
年明けからコロナの第3波が押し寄せ、春には第4波、夏には第5波と、大きな波が3度押し寄せ、とくに自分の住む大阪府は対人口比で全国一の感染者と死者を出し、たいへんな事態になりました。幸いにもワクチン接種が、当初のごたつきはあったものの比較的順調に進み、秋には感染はピークアウト、感染状況はいったん落ち着きを見せた形になりました。

緊急事態宣言や蔓延防止対策が繰り返され、コロナにより社会も政治も翻弄された1年だったと思います。そして、その影響下で開催された東京オリンピックと、コロナ対策の不備もあっての支持率低下による与党内の政変が、やはり一般的には今年の社会的な大きな出来事であったとように思います。
コロナによる影響が大きかった1年、来年はこのまま感染が終息していくことを願いたいと思います。

自分にとって今年は、かなり時間の余裕ができた年でした。
昨年まではとにかく仕事が忙しい、夜も休日も仕事を持ち帰って頭が休まらない、生活に余裕が欲しい、などと散々書いてきました(笑)が、今年は転職によりかなり時間の余裕が確保できました。大企業の中間管理職から中小企業の実務担当への転職ですので、周囲からは反対されましたが、個人的には決行して良かったなと思っています。
とにかく、予算と人事を考えなくてよい、文書決裁をしなくてよい、部門長や役員に報告しなくてよい、というのは心理的に相当楽です。部門予算と人事の実権を握って周囲(上長や部下や他部門)を振り回す、というのが上場企業のマネジメント業務の醍醐味なのだと思いますが、自分にとっては全く楽しくなく(笑)、実務をこつこつやる方がやはり自分には向いています。
考えれば自分の父も中小企業の実務家でした。中年になると結局親と同じような道を歩むことになる、などとはよく言われることですが、自分についてもこの言説が当てはまっているようにも思います。

プライベートの時間が確保できるようになると、人は違うことを始めるもので、今年は日常の人間関係にかなりの労力を割くことになり、結局休日もあれこれと忙しい(笑)のですが、これは嬉しい忙しさ、生活にに張り合いのある忙しさであると言えます。
今年は年末年始の仕事の持ち帰りはゼロ(←!)、来年も平穏な1年であることを願い、のんびり年始を過ごしたいと思っています。


ということで毎年恒例、今年の個人的趣味についての1年間のまとめです。

美術関係については、今年は全部で15の展示を鑑賞しました。コロナの年とはいえ、美術展は今年は比較的平常通り開催されていたように思います。
そのうち最も面白かったのは、直近に鑑賞したメトロポリタン美術館展(→こちら)でしょうか。あとは聖徳太子没後1400年とのことで、奈良と大阪で開催された2つの聖徳太子展(→1つはこちら)も楽しかったです。

今年気付いたことは、自分自身かなり現代美術に飽きてきているということです。20年近くあれこれ現代美術を見続けていると、かなり飽きます 笑。なので今は気分的には古典を見る方が楽しいです。
現代美術に対する疑念の1つは、とくにインスタレーションや映像作品など、展示に凝れば凝るほどアトラクション的になり、娯楽映画や遊園地やお化け屋敷と変わらなくなる、という点です。作品を通してあれこれ思考することが美術鑑賞の醍醐味ですが、アトラクション的になればなるほど感覚が優先され、思考が追いつかなくなります。
もう1つは、作家自身による過去の自作の再キュレーションが近年流行っている点です。過去作品には過去作品の歴史的文脈がありますが、それを作家自身が歴史的に上書きしてしまうことは、作品を通して歴史を考える楽しさを失わせます。
おそらく自分は、作家が今ここで現代を表現する「生きた芸術」よりも、博物館や美術館に保管された作品を編年体で展示する「死んだ芸術」の方が好みなのだと思います。これは自分の歴史好きである部分とおそらく関係しています。その意味で、現代美術であっても、1人の作家の過去作品を時代に沿って網羅的に展示した久保田成子展(→こちら)などは、たいへん面白く鑑賞しました。

音楽については、今年はついに当ブログ始まって以来、初めて年間の演奏会の鑑賞回数がゼロ回になってしまいました。調べてみると、最後に出かけたのがコロナ直前のイタリア・ヴェリズモオペラ(→こちら)で、ここから2年近く鑑賞できていません。20年近くあれこれ演奏会に行き続けていますが、1年間ゼロは初めてです。
さすがにまた聴きに行きたくなり、年明け2月と3月、オーケストラとピアノの2つのチケット買いましたので、今から楽しみです。

実は一番行ってみたかったのは、今年のショパンコンクール2位入賞者の反田恭平さんの演奏会で、関西では西宮と東大阪の公演が予定されていましたが、どちらも一瞬でチケットが完売となりました。これはすごい…。ブレハッチ(2005年入賞者)の来日のときも、アヴデーエワ(2010年入賞者)の来日のときも、割と簡単にチケットを取れたのですが、こんなに早く売り切れるとはびっくり。ピアノコンクールについてはオリンピックなどと同様、多くの人は日本の出場者を応援し、その演奏を聴きに行きたくなるものなのかもしれません。その意味で音楽といえども、コンクールと国民国家は関連が深いのだなと感じています。

本については、今年は全部で63冊の本を読んでおり、例年より多めです。そういえば今年は1年間の読書のまとめを書けていません(忘れてました 笑)ので、年明けにまたまとめの記事を書こうかなと思っています。(詳細はそちらに譲ります。)

旅行については、コロナがあったことと人間関係の変化などにより、ほとんど行けていませんが、7月に京都に一泊、11月に滋賀に一泊と、近場の小旅行を2回行っています。(分散的な記事になっていますが、京都はこちらの後半とこちら、滋賀はこちら。)
とくにコロナで遠出をしなくなって気付いたことは、近畿圏が実はあまりにも面白いこと。何も遠くまで出かけなくても、近場に面白スポットがかなりたくさんあり、来年も近場のプチ旅行が主体になるかもしれません。

年末恒例の(?)ゲンロン関係のまとめについて。
転職でかなり時間の余裕ができたこともあり、今年は有料動画配信プラットフォーム「シラス」で放送されている、近現代史研究家の辻田真佐憲さんによる「国威発揚ウォッチ」を、とにかくひたすら見続けていました 笑。この「国威発揚ウォッチ」があまりにも面白く、今年ほとんどこの放送ばかり見ていたので、実はゲンロン本体のイベントはそんなに見れていません…。
そんな中で面白かったのを3つを上げると、現代美術家やなぎみわさんの回、宗教学者島薗進さんの回、フランス文学者鹿島茂さんの回です。
やなぎみわさんは自分は写真作品を中心に、10年くらい前まであれこれと鑑賞してきた方ですが、近年の活動(キーワードは演劇とトラックと一遍上人)は全然フォローできていなかったので、その内容を知れてたいへん面白かったです。島薗進さんは宗教を学問的・客観的に分析される学者の方ですが、その学者をして「現代人にとっても宗教あるいはそれに準ずるものは必須なのだ」と言わしめた点で、大変重要だと感じたイベント。鹿島茂さんの回は18世紀~19世紀フランスの文化・政治・経済についてのあまりにも情報量が多いイベントで、たいへん脳を刺激されました。とくに美術史好きとしては、フランスの政治体制の変化と作品の関連などについて、あれこれと調べたくなりました。

そして今年はなんと、この年末についに五反田に行き、初めてゲンロンカフェに入場してきました!
「国威発揚ウォッチ」の会員限定放送ではありますが、初ゲンロンカフェでいきなり登壇して喋るという暴挙(笑)もやってのけました。ここが東浩紀さんをはじめ、多くの著名人が登壇してきた場なのかと思うと、非常に感慨深かったです。ゲンロン・シラスの皆様、チャンネル会員の皆様には感謝しかありません。2021年はたいへん思い出深い年になりました。


ということで、今年もあと少しでおしまいです。
さようなら2021年、すべての皆さまに感謝。
幸せを明日に…、良いお年をお迎えください。