五島美術館で「中国の陶芸展」を観た! | とんとん・にっき

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2010年7月に五島美術館で、「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」展 を観たことがあります。そのときは「日本・中国・朝鮮」と盛りだくさんな展覧会でした。どうしても「日本」の陶磁器が多くなってしまうのや、やむをえません。さて、今回は、「中国の陶芸」です。図録が売っていたので購入しましたが、なんと以前購入してあったもの、つまり、同じものをまた買ってしまいました。


目玉は、というと、下に挙げたもの全部が、目玉と言えば目玉です。が、それでは話にならないので、「青磁鳳凰耳花生(砧青磁)」と「黒釉木の葉文碗」の二つだけ、下に挙げておきます。


「青磁鳳凰耳花生(砧青磁)」龍泉窯、南宋時代・13世紀

青磁とは、東洋を代表するやきものであり、灰釉をその淵源とし、中国春秋時代後期の紀元前六世紀ころにはじまる。本格化するのは後漢時代の浙江省北部越州窯から。龍泉窯は、浙江省南部の龍泉市を中心とした地域で、越州窯などの影響を受けながらも、北宋時代初期から特徴ある青磁を焼成した。布を打つ道具、すなわち砧を打つ槌の形をした瓶に、盤のように開いた口部、頸の左右に鳳凰をかたどった耳がついた龍泉窯の青磁瓶は、鎌倉時代から室町時代にかけて盛んに日本に請来された。類品には国宝「万声」(大阪・和泉市久保惣記念美術館蔵)、近衛家伝来の重要文化財「千声」(京都・陽明文庫蔵)、大阪市投与y当時美術館蔵の重要文化財などが知られる。本品は、この種の瓶のなかでもっとも大きく、堂々とした作行を示し、粉青色の釉色が美しい。最高級の青磁を焼いた龍泉窯の大窯の製品と推定。古来、花生として珍重する。


「黒釉木の葉文碗」吉州窯、南宋時代・12~13世紀

実際に、木の葉(トチやムクの木の葉)を茶碗の内部に置いて焼成した椀。椀の内部底の中央に葉脈がはっきりとした形の良い木の葉文が鮮やかに見える。生産地は、中国江西省吉安市の吉州窯。吉州窯は、唐時代から元時代にかけて活動した窯。唐時代は粗質の青磁を焼き、北宋時代には青白磁が中心となる。木の葉文や、黒釉の地に白濁する黄釉を振り掛ける際に型紙を置いて龍や鳳凰などをあらわす玳皮盞(たいひさん)などは、南宋時代を中心に焼造された。本品は、薄造りで轆轤(ろくろ)目が目立ち、高台は小さく、底部から口縁部にはごく細い覆輪(ふくりん・金属の口覆い)がある。底部を除いて黒色の鉄釉が掛り、腰部は茶褐色を呈する。類品に加賀前田家伝来のもの(重要文化財 大阪市立東洋陶磁美術館蔵)がある。


これだけの素晴らしい「陶磁器」を一堂に観られる幸せ、とりあえず画像を、以下に載せておきます。


中国の陶芸展:展示作品











「中国の陶芸展」 

漢時代から明・清時代にわたる館蔵の中国陶磁器コレクション約60点を展観。戦国時代の計量道具から、唐三彩の壺、宋時代の砧青磁、明時代の青花・五彩まで、時代順に展示し、2000年にわたる中国のやきものの歴史を展望する。館蔵の刀剣約十振も同時公開。


「五島美術館」ホームページ


goto1 新装開館記念名品展

「時代の美

五島美術館・大東急記念文庫の精華

 第4部 中国・朝鮮編」

展覧会図録

平成25年(2013)2月23日発行

発行:公益財団法人 五島美術館






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