五島美術館で「国宝源氏物語絵巻」を観た! | とんとん・にっき

五島美術館で「国宝源氏物語絵巻」を観た!


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五島美術館で開催されている「国宝源氏物語絵巻」展を観てきました。「上野毛」駅を降りると、係員がプラカードを持って立っていました。「ただいまの待ち時間0分」 と書いてありました。冷泉家の「国宝明月記」を見に来たときは、一度目はあまりにも沢山の人で、その日はすごすごと帰り、後日出直したことがありました。沢山の人出を予想して、玄関前には仮設のチケット売り場も設けられ、その横には順番待ちにために椅子も並べられ、駐車場の係員も配置されていました。「期間中は混雑が予想されますので、入館をお待ちいただく場合もあります」とありましたが、僕が行った時は思ったほどの混雑ではなく、ゆっくりと観ることができました。


「国宝源氏物語絵巻」展は、五島美術館の開館50周年を記念し、愛知・徳川美術館と、五島美術館が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」のすべてを集め展示するという、東京では10年ぶりの一挙公開だそうです。さらに、成立当初の姿を想定復元した「平成復元模写」も同時に展示されていました。これは見逃すわけにはいきません。貴重な機会であることはよく分かります。平安時代に誕生した「源氏物語絵巻」は、鎌倉時代、室町時代にかけての行方は明らかではないそうです。が、江戸時代には3巻強(10帖分)が尾張徳川家に、1巻弱(3帖分)が阿波蜂須賀家に伝わっていたという。現在、徳川家本は愛知・徳川美術館が所蔵、蜂須賀家本は五島美術館が所蔵しています。


作者はご存じ紫式部、美貌の皇子・光源氏を主人公にした物語です。と、まあ、ここまでは知ってはいますが、そもそも僕は「源氏物語」の素養がほとんどない。これはまさに「猫に小判」というものです。幸いなことに、という言い訳ですが、源氏物語は物語本文を書き写した「詞書(ことばがき)」と、その場面を描いた「絵」とを交互に繰り返す形式で作られています。「詞書」は金銀の箔や砂子で濃密に装飾する豪華な料紙を用い、その上に当時の能書が見事な筆跡をのこしています。絵は、下書き線の上に絵具を塗り、輪廓や文様を描き起こす「つくり絵」、類型化した人物の顔の表現「引目鉤鼻」、天井や屋根を取り去ることで屋内の様子を描写する「吹抜屋台」の手法など、閉園時代の「やまと絵」の点景を示しています。と、チラシの裏にあります。


従って、文章の方はさておき、絵は僕でも観ることはできます。と、まあ、勝手な言い訳で、とにかく「国宝源氏物語絵巻」を、「平成復元模写」と併せて、観るだけは観てきました。とりあえず、入手した画像を、下に載せておきます。また、五島美術館は、平成22年(2010)11月29日(月)~平成24年(2012)秋頃〈予定〉の約2年間、改修工事のため休館となります。昭和35年(1960)に開館した吉田五十八の設計による「五島美術館」が、どのように新しく変身するのか、興味のあるところです。従って、「国宝源氏物語絵巻」展は、休館前の最後の展覧会です。ちなみに最寄りの東急大井町線の「上野毛駅」は、安藤忠雄の設計により、現在、工事中です。


「国宝源氏物語絵巻」





「源氏物語絵巻」復元模写 加藤純子筆





[概要] 

『源氏物語』は、平安時代・11世紀に紫式部が著した長編小説です。主人公光源氏の生涯を軸に平安時代の貴族の世界を描いたもので、 成立当初から評判を呼び、現代に至るまで偉大な古典として日本の文化に多大な影響を与えています。 国宝「源氏物語絵巻」は、この『源氏物語』を絵画化したもので、物語が成立してから約150年後の12世紀に制作されました。 成立当初は巻子本で十巻程度であったと思われますが、現在は54帖全体の約4分の1、巻数にすると約四巻分が現存しています。 江戸時代初期には三巻強が尾張徳川家に、一巻弱が阿波蜂須賀家に伝来したことが知られ、現在は額装の状態で、 徳川家本は愛知・徳川美術館が所蔵、蜂須賀家本は五島美術館が所蔵しています。 本展では、現存する国宝「源氏物語絵巻」20段分(19画面)を集め、東京では10年振りに一挙公開します。 同時に、科学的分析の結果を踏まえて成立当初の姿を想定復元した「平成復元模写」も展観予定です。


「国宝源氏物語絵巻」

平安時代の11世紀、関白藤原道長の娘である中宮彰子に仕えた女房紫式部(生歿年未詳)は、『源氏物語』を著し、主人公光源氏の生涯を軸に平安時代の貴族の世界を描いた。「源氏物語絵巻」は、この『源氏物語』を絵画化した絵巻で、物語が成立してから約150年後の12世紀に誕生した、現存する日本の絵巻の中で最も古い作品である。『源氏物語』54帖の各帖より1-3場面を選び絵画化し、その絵に対応する物語本文を書写した「詞書」を各図の前に添え、「詞書」と「絵」を交互に繰り返す形式の、当初は十巻程度の絵巻であった。現在は54帖全体の約4分の1、巻数にすると四巻分が現存する。江戸時代初期に、三巻強が尾張徳川家に、一巻弱が阿波蜂須賀家に伝来していたことがわかっているが、それ以前の古い伝来は不明。徳川家本は現在、愛知・徳川美術館が所蔵。蜂須賀家本は江戸時代末期に民間に流出、現在、五島美術館が所蔵する(「鈴虫」2場面、「夕霧」、「御法」の三帖分)。両方とも昭和7年(1932)、保存上の配慮から詞書と絵を切り離し、巻物の状態から桐箱製の額装に改めた。「詞書」も「絵」も作者は不明。「詞書」の書風の違いから、五つのグループによる分担制作か。「絵」の筆者を平安時代の優れた宮廷画家であった藤原隆能(?-1126-74?)と伝えるところから、本絵巻を「隆能源氏」とも呼ぶ。


「五島美術館」ホームページ


とんとん・にっき-goto2 開館50周年記念特別展

「国宝源氏物語絵巻」

出品目録
編集:五島美術館学芸部

絵画面略図:内海真由美

発行:財団法人 五島美術館
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開館50周年記念特別展

「国宝源氏物語絵巻」

五島美術館

入館チケット











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とんとん・にっき-todo1 五島美術館は、平成22年(2010)11月29日(月)~平成24年(2012)秋頃〈予定〉の約2年間、改修工事のため休館となります。

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