五島美術館で「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」展を観た! | とんとん・にっき

五島美術館で「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」展を観た!

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五島美術館で「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」展を観てきました。五島美術館は同じ世田谷区内にあるので、まあ近いと言えば近い美術館なのですが、テーマがテーマなので、どうしても敷居が高いというか、気軽に行けません。今まで行ったのは数えるほと、自分でもこれだけしか行っていないのかと驚きました。


始めて行ったのは6年前、京都・冷泉家の「国宝・明月記」でしたが、長蛇の列で一旦は引き返したこともありました。去年だったか、ぶらっと行ってみようと思い出かけたところ、駅でポスターを見て「刀剣」展だったので、観るのを止めて引き返したこともありました。


五島美術館は東急電鉄の創始者・五島慶太のコレクションを保存・展示するために、五島が亡くなった翌年、1960年に設立されたもの。国宝「源氏物語絵巻」を所蔵することで知られています。美術館の設計は「新興数寄屋の教祖」吉田五十八の手によるものです。美術館の背後には国分寺崖線の自然が残されていて、その斜面を利用した庭園が拡がっています。


五島美術館の平成22年度展示計画は「開館50周年記念」と銘打たれています。建物も古くなりました。2010年11月29日から2012年秋頃まで、改修工事のため休館するようです。

名品展Ⅰ「絵画の美―絵巻・水墨画・琳派」2010年4月3日~5月9日(終了)

名品展Ⅱ「書跡の美―古写経・古筆・墨跡」2010年5月15日~6月20日(終了)

名品展Ⅲ「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」2010年6月26日~8月8日

名品展Ⅳ「茶道具の精華」2010年8月28日~10月24日


そしてラストの「特別展」は、東京では10年ぶりに公開の

「国宝源氏物語絵巻」2010年11月3日~11月28日

これは凄い(たぶん)、愛知・徳川美術館と五島美術館が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」を一堂に集める、というから凄い。「会期中は混雑が予想されますので、お時間に余裕を持ってご来館ください」と、予定表にあります。


さて今回の「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」展、受付で聞いたところ今回はチラシはないという。図録もないという。これはちょっと残念です。代わりに「五島美術館コレクション 茶道具」という小冊子がありました。これがなかなかの優れもの、「花生・香合」「釜・水指」「茶碗」「茶入・茶杓」「鉢・向付・徳利・盃」に分けて作品の写真が載せられていて、大変分かり易い編集です。


「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」展は、五島美術館の所蔵品のオンパレード、日本、中国、朝鮮と比較して並べられており、陶磁器の「入門編」としても最適、勉強になります。一つ一つ由緒のあるものばかり、伝来をたどりだしたらきりがありません。「銘」も様々で、「ひろい子」「柳かげ」「峯紅葉」「わらや」「若緑」「夕暮」「三番叟」等々、これも面白い。


一つだけ、圧巻はポスターにもなっている、重要文化財「古伊賀水指 銘破袋」でしょう。その姿、形が凄い。堂々としています。伊賀藤堂家伝来、「ビードロ釉」(焼成中の灰が溶けた自然の釉薬)が厚く掛かり、窯の中の灰や土が付着しています。焼成中の自然な割れがなんとも見事なもので、桃山時代の茶人達は好んで使用したという。桃山時代の武将茶人古田織部の手紙が添っていたが、大正12年の関東大震災において箱とともに焼失したそうです。銘は、同種の「伊賀擂座水指 銘破袋」(重要文化財 個人蔵)から類推したもの。昭和30年(1955)の重要文化財指定後の俗称、と解説にあります。


これだけの素晴らしい「陶磁器」を一堂に観られる幸せ、とりあえず画像を、以下に載せておきます。


日本陶磁











中国陶磁








朝鮮陶磁




「陶芸の美 日本・中国・朝鮮」
五島美術館の所蔵品から「やきもの」の名品を選び展観。古墳時代から江戸時代にかけての「日本陶磁」の名品や、唐・宋・明 時代を中心とした「中国陶磁」の逸品、日本の人々にこよなく愛された「高麗・朝鮮陶磁」の優品など、重要文化財4点を含む約 60 点を紹介します。また、国宝「金銅馬具類」(宮崎県西都原古墳群出土)を特別展示予定。


「五島美術館」ホームページ




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「陶芸の美―日本・中国・朝鮮」

案内はがき






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「五島美術館コレクション 茶道具」

小冊子(95頁)

平成10年(1998)12月5日初版発行

平成18年(2006)12月12日第3刷発行

編集:五島美術館学芸部

発行:財団法人 五島美術館








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