『クロッシング』

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監督　アントワーン・フークア
脚本　マイケル・Ｃ・マーティン
音楽　マーセロ・ザーヴォス

出演　リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプス、
ウィル・パットン、エレン・バーキン、リリ・テイラー、ブライアン・Ｆ・オバーン、
シャノン・ケイン、マイケル・ケネス・ウィリアムズ、ジェス・ウィリアムズ、
ローガン・マーシャル・グリーン

（あらすじ）

ニューヨーク、ブルックリン。

警察による強盗事件が起きていた。

麻薬捜査官のサル（イーサン）は既に３人の子供がいるが、
喘息の妻（リリ）は双子を妊娠中。
今の家は狭く、妻の喘息にも悪影響を与えており、
どうしても引っ越しがしたいのだが金がない。
彼はギャングを殺して金を盗む。

定年退職を１週間後に控えた警官のエディ（ギア）は仕事に辟易しているが、
やる気に溢れた新人警官・メルヴィン（ローガン）の教育係にさせられる。
エディの態度にメルヴィンは不快感を示す。
エディは馴染みの娼婦・シャンテル（シャノン）に愚痴る。

メルヴィンは他の警官の下で教育を受けることになり、
今度はエディ（ジェス）の教育係になるエディだったが、
新人エディが喧嘩の仲裁で発砲してしまい、問題になる。
また、エディはメルヴィンが捜査中に命を落とした事を知る。

ギャングへの潜入捜査をしているタンゴ（ドン）は仕事のせいで家庭も崩壊、
任務から外れたいとホバーツ副署長（ウィル）に訴えていたが、
今度はスミス捜査官（エレン）から
彼の命の恩人であるギャングのボス、キャズ（ウェズリー）を
麻薬の囮捜査でハメるよう指示される。
そうして警察の強盗事件で受けたダメージを払拭しよう、という狙いだった。
昇進を餌にされ、悩みながらも動き出すタンゴ。

だが、その計画を知ったギャングのひとり、レッド（マイケル）がキャズを殺害。
予定が狂ってしまったが、タンゴは出世することになった。

サルはキャズ絡みの金を盗み出そうとアジトへ向かい、
それに気づいた同僚のロニー（ブライアン）は彼を追いかける。
だがサルは撃たれて死ぬ。

タンゴはアジトでレッドたちを一掃するが、
ギャングの一味と間違えたロニーに撃たれて死ぬ。

定年退職したエディはシャンテルにフラれてしまった。
捜索願が出されていた少女を見かけた彼は、追いかけてアジトに行き、皆を救う。

（感想）

閉塞感漂うクライム・アクション映画。

舞台はブルックリンの低所得者層地域なんだけど、
この閉塞感は、今の日本の経済状況にも似ている。

潜入捜査で家庭も崩壊、精神的にも打ちのめされているが
昇進をエサにお偉いさんに言いように使われているタンゴ、
カトリック信者ゆえに避妊も出来ず（多分）子だくさん、
嫁は喘息持ち・・・引っ越しの金欲しさのために
マフィアの金を奪うサル、
定年間近、終わりのない、報いの少ない犯罪地区での仕事に辟易しているエディ。
この３人の刑事のエピソードがラストにぴったり重なる。

この中で同情出来るのってタンゴだけ、と自分は思う。
エディの思いもこの年齢になるとわからなくもない。
サルに関して言えば、自分はまったく同情出来ないが、
そこが、日本人とアメリカ人の宗教への価値観の違いなんだろうな、と思う。

リチャードとイーサンが
屈折した人物を湿り気たっぷりに演じている。

久々に観たエレンが相変わらず、嫌な感じだった（笑）

観て楽しい気分になる映画でもないが、見応えはある。

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リチャード・ギア　