3代目「特許翻訳の世界」 > 通訳翻訳ジャーナル連載「翻訳さんぽみち」
> 「仕事の効率化」
復刻シリーズです。
前回までは第1回の記事の復刻で、順番どおりなら次は第2回なのですが、付加価値を加える関係で第9回を先に持ってきました。99年秋の記事です。
※小見出しは、99年当時『通訳翻訳ジャーナル』での掲載時に編集部で付けて下さったものをそのまま使います。
仕事の効率をいかに高めるか−翻訳者に限らず、仕事をしている人なら誰でも課題として持っていることの1つでしょう。
原稿のデータ化がもたらす翻訳作業の効率化 フリーランスの翻訳者として独立して以来、翻訳会社で役員を兼務していた時期も合わせてかれこれ7年もの間、時には徹夜もやむを得ないというほど仕事の山。
一方、分野によってはOCRを使わなくてもデータ化できることがあります。 |
【2016年の目線から】
TextBridgeは、日本国内では「メディアドライブ」という企業が扱っていて、確認できている範囲では56言語までカバーしていました。
メディアドライブは、日本のOCRソフトメーカーとしては老舗の域に入るほど昔からOCRを扱っています。
ただ、現在ではTextBridgeはメディアドライブに見当たらず、海外のダウンロードサイトにまだ残っている形跡があるくらいです。
(代わりに、メディアドライブに58言語対応のOCRが出ています。)
そして私の現在の作業端末に入っているOCRソフトは、「Abbyy Finereader」です。
最新版は48ヶ国の190言語に対応しています。
もっとも、翻訳をするときに以前のように用語の一括置換マクロを使うことは皆無に近いほどなくなっているため、OCRの用途も以前とは変わりました。
現在では主に、紙原稿やテキスト化できないPDF原稿での発注時に、作業量の見積をするためにOCRを使っています。
おおよそどの程度の文字数なのかということさえわかればよいので、多少の誤認識が混じっても、そのままです。
このため、識字率に対する厳密な感覚は持っていないのですが、見たところ日本語も含めて非常によく拾ってくれています。
優秀なソフトだと思います。
もう一点。
長いあいだ親しんできて、ある意味では自分のトレードマーク的なスタイルにすらなっていたWordの一括置換マクロを使う翻訳を「しなくなった」理由は、私にとっての翻訳の位置づけと目的が、以前とは変わったことによるものです。
もともと、人間とコンピューターが、お互いに得意な部分を役割分担するという「二人三脚」的な考え方をしていましたから、ツールの使い方も、細かいレベルでいえば毎回(ほぼ一案件ごとに)少しずつ違っていました。
納期、分量、内容、発注元、訳文用途など、条件が違えば最適な作業工程も異なるのが普通ですので、そのつど目の前の原文に合った作業工程を考えていましたし、1件「だけの」ために簡単な使い捨てプログラムを書くことも、よくありました。
これらはいずれも原文&顧客中心の考え方で、そこに自分の勉強という視点は、入っていません。
それが最近は、仕事をしながら勉強するということを以前より考えるようになり、結果として、用語の一括置換マクロを使わなく(使えなく)なりました。
何がどう違うのかということは、復刻記事「原文理解に対する誤解」へのプラスαと合わせて、後日別記事で扱います。
■関連記事
翻訳さんぽみち
├原文理解に対する誤解-(3)
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├仕事の効率化-(1)
├仕事の効率化-(2)
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├「マクロ辞書」の作り方と活用法(1)
├「マクロ辞書」の作り方と活用法(2)
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└作業効率化の目的