♪ 記事の一覧 ♪  |  ■運営方針


重版・5刷ありがとう特集
第3回 まったく知らない言語を訳す方法
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2012-02-15

エアコン=air conditionerで、よい?

テーマ:訳語探し&情報収集

仕事絡みで調べ物をしている過程で、既存資料(日本語→英語)にあった「エアコン」の訳にひっかかりました。

エアコン=air conditioner と訳されている資料が、少なからずあります。
空調についてもしかりで、やはりair conditionerまたはair conditioningが圧倒的に多いです。


例)

特開2011-038708
空調システム
AIR CONDITIONING SYSTEM

LDK2と、該室2に設けられたエアコン7と、該エアコン7の運転を制御する制御部10とが備えられている。
The air conditioning system includes a living-dining room and kitchen 2, an air conditioner 7
provided in the room 2, and a control part 10 controlling operation of the air conditioner 7.

特開2011-179807
空調装置3は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置としてのエアコンディショナの屋内機3A...
An air conditioner 3 is constituted by connecting in a ventilable manner an indoor unit 3A of
an air conditioner serving as a downstream air conditioning body device having an air
conditioning and heating function and a dehumidifying function....

公報だけでなく、論文しかりです。

中規模オフィスビルを対象とした全熱交換器の空調消費電力削減効果に関する実測研究 : 第1報-冬期暖房時を対象とした実測と削減効果
Measurement Survey on Energy Conservation of Air Conditioning System Employing Energy Recovery
Ventilation for Office Building : Part 1-Measurement and Heat Energy Reduction in Winter Season


低負荷断続運転時におけるルームエアコンディショナの冷暖房COP(個別空調システム(2),環境工学II)
Energy Efficiency Ratio of Residential Air Conditioner in Partial Load



さて。
空調、エアコンディショニング、エアコンは、同義と考えることができますよね。
そして「単語の対応」だけでいえば、air conditioning/conditionerで、何ら問題ないとも思います。

ひっかかったのは、「内容の対応」です。

少なくとも英語圏でair conditioningと言われたら、それは冷房(除湿を含む)のこと。
こちらで調べた範囲では、暖房は含まれないことが多いようです。

でも、日本語の文章に書かれる「エアコン」「空調」は、特に断りがなければ暖房も含みますよね。

上にあげた特開2011-179807あたりは明示的に冷暖房機能と示していますが、このような記載がなくても暖房を含むと考えるのが普通だと思います。

・・・・・・そう。ズレるのです。伝わる内容が。

それなら暖房を含むときはどう言うのかというと、「heating, ventilation, and air conditioning (HVAC)」という表現があります。

わたしは印刷物の資料で判断しますが、ここにお越しくださるみなさまがすぐに確認できるよう、Wikipediaから定義を拾っておきますね。
(太字は、こちらで付け加えたものです。)

Air conditioner
An air conditioner (often referred to as AC) is a home appliance, system, or mechanism designed to dehumidify and extract heat from an area. The cooling is done using a simple refrigeration cycle. In construction, a complete system of heating, ventilation and air conditioning is referred to as "HVAC".

HVAC
HVAC (heating, ventilation, and air conditioning) refers to technology of indoor and automotive environmental comfort.

以上の観点から考えても、日本語の「エアコン」あるいは「空調」の中には、HVACで翻訳しなければ正しい内容伝達にならないものが結構あるのではないかと思うのです。

単なる置き換えではなく、内容をよく考えなければならないということでしょう。


ここから先は、余談です。
よく考えてみると、「空調」って妙な日本語ですよね。
いかにも翻訳っぽいというか。

海外で先に air conditioner が開発され、それに対する「翻訳語」として生まれた言葉なのかもしれません。

そして日本人の得意な「独自の発展」で暖房機能が加わり、それが日本独自の「空調」「エアコン」になっていったとしても、不思議はありません。


たかがエアコン、されどエアコン。

翻訳時には、十分に考えて言葉を選びたいものですね。





インデックスへ


Asako Mizuno
2012-02-15

『書くだけで人生が変わる 感謝日記』から

テーマ:書評プラスアルファ
久々の書評プラスαです。
かつてソウルオリンピックでメダルを獲得した、田中ウルヴェ京さんの著書。

書くだけで人生が変わる! 感謝日記


感謝をすると人生が変わることについて触れた書籍は多くありますが、そういう中でも少し異色かもしれません。

田中さんは、「そもそも感謝って、何?」というところから入っています。
そしていろいろなレベルの感謝について掘り下げ、検討し、考えていく……。

ユニークかつ大切な視点ですね。

その彼女が感謝のあり方を見直す機会になったと語っているのが、『成功の心理学』の著者であるデニス・ウェイトリー博士の言葉だとか。

--引用ここから

 「ミヤコ、人生での成功を本当に望むのであれば、自分のやりたいことを自分のためだけにやってはダメなんだよ。私たち人間にとって、本当に幸せな成功とは、自分のやりたいことを、人の利益のためにやることでしか得られないんだ」

 英語で表現するならば、こんな言葉。

 Success is doing your own thing for the benefit of others.
 「成功とは、他人のために自分のやりたいことをやることだ」

--引用ここまで pp.7~8

そしてその後、田中さんがこの言葉の意味を「わかっているようでわかっていなかった」体験と、本当の意味での理解に近づいたときの話が続きます。


--引用ここから

 紆余曲折を経ることによって、「どうやったら自分の得になるだろう」という考えで幸せを感じるよりも、「自分がどうあったら、他人の得になるだろう」という考えでいるほうが、自分自身がより幸せになれることに気づきました。この考えに到達するまでに時間がかかりました。

--引用ここまで (p.13)


「自分がどうあったら、他人の得になるだろうか」という考え方には、とても共感できます。

1997年のウェブサイト立ち上げ以来ずっと続けているインターネットでの情報発信や各種のボランティア活動、仕事でいえば翻訳自体はもとより訳注や資料提供など、わたしも基本的に「相手の嬉しい」に自分がどのような形で関われるかを考え続けてきました。

ただ、自分と関わりのある「他人」は普通、一人ではないのですよね。
このため、ときに誰と誰を優先して、誰はあとまわし??という厄介な問題が生じることも。

わたしの場合、夫の要望を満たそうとするとお客様や友人たちの要望を満たせないという板挟み状態が、かなり長く続きました。

逆もまた真なりで、お客様に対して自分が満足できるだけの貢献をしてしまうと、今度は夫の要望を満たせなくなるわけです。

そしてたいていの場合、家族を優先すべきという呪縛によって、家族以外の人に対して「手を抜かざるを得ない」状況に。その判断に、自分のほんとうの気持ちは含まれていません。

「~すべき」が極端に少ない(=なんでもありの価値観が強い)わたしにとって、ほぼ唯一とも言うような「~べき」です。

不本意な気持ちを抱えながら翻訳品質に「妥協」をしたことすら、何度かあったほどに大きな呪縛。
抜けるまでに、かなり時間がかかりました。


これは単なる一例ですが、誰かの得を考えると他の誰かの得を「犠牲に」しなければならないように見える場面は、わりと普通に起こり得るだろうと思います。

でも、ほんとうは、両者ウィンウィンの「第三の道」があるのですよね。
本人が、気づけないだけで。

今から振り返ると、「~べき」を捨てさえすれば、気づける選択肢は格段に増えたはず。
それが渦中にいるときには、そもそも考えもしなかったわけです。


………というようなときには特に、田中さんの言うところの感謝日記が有効に作用するのではないかという気がします。

「~べき」を捨てるかどうかとは関係なく、なかば「強制的に/自動的に」見える世界が広がり、選択肢も増えるでしょう。


副題には「書くだけで人生が変わる」とありますが、変わるのは人生(目の前の現実)というよりもむしろ、事象に対する受け止め方。感じ方です。

ついつい物事をネガティブにとらえてしまう思考のクセのある人は、感謝日記を試してみるのもひとつかもしれませんね。



関連記事

○ 『漢字幸せ読本』 -ことばを変えて思考を変える-

 『感謝するということ』  

 感謝のエネルギー

 ことばのちから



インデックスへ

Asako Mizuno
2012-02-14

答えが出ない問いに悩む代わりに…

テーマ:スキルアップ

土調べに続いて、また昔の記事にコメントを頂戴しました。
2009年1月の「やってみること 」と同年2月の「成果とは何か 」です。

厳密にはどちらも2004年に書いたものですから、7年も前のこと。
こういうものを引いて頂けると、月日を経ても「公開しておく」ことの意義を実感します。
(ありがとうございます。)


さて。
今回はどういう形でプラスαを加えようかなと思いを巡らした結果、「やってみること」特集にすることにしました。


わたしはよく、「ひとまずやってみて、うまくいかなかったらそのときどうすればよいかを考える」ということを言います。
どんなことでも、やってみないと結果はわからないから。

たとえ過去に99回失敗したとしても、100回目もうまくいかない保証はないですよね。

だから、ひとまずやってみる。

(誤解のないように付け加えておくと、やりたくないことをしよう!という根性論ではありません。どちらかというと、越えたい壁があるのなら、ひとまずジャンプしてみたら?という話です。)


もちろん、成功が保証されているものだけに取り組むわけではないですし、現実問題として失敗することもあります。というか、そちらのほうが多いくらいかもしれません。

そんなとき、「やめておけばよかった」と後悔するケースが、わりと多いように思うのです。

でもね。

やめておけば「よかった」かどうかは、誰にも判断できない
ものですよ。
時間を逆戻しして別の道を試すわけにはいかず、だからといって他の手段で再現できるものでもない。

確実なのは、「わからない」というただその一点だけです。
だから、ひとまずやってみる。

このあたりについて、過去記事から関連しそうなものをいくつか拾います。


 『The 決断』 (2009/10/10)

 可能性にフタをしていませんか? (2011/01/11)

 自分で自分の足を引っ張らないように (2011/01/22)

 『とにかくやってみよう』  (2011/04/21)

 何から手をつけてよいかわからないときは… (2011/11/19)


このうち、「自分で自分の足を引っ張らないように」では、後悔に絡む話を取り上げています。

実際、翻訳者・学習者のみなさまの悩みを伺っていると、かなりあるのですよ。
きっと読者のみなさまの中にも、同じように感じやすい方がいらっしゃるかと思います。

誤解のないように書き添えておくと、後悔するなと言っているわけではありません。
ときには、引きずってしまうことがあっても、それはそれで「あり」です。

ただ、「誰にもわからない」ことで悩むのは、時間とエネルギーのロスではないかなと。
その「よかったかどうか?」には、永遠に答えは出ないのです。

それなら、答えがないものを考える代わりに答えがあるもの-その先でどう対処してどう振る舞うか-を考えるほうが、現実的ではないかと思ってみたり。


結論。
「ひとまずやってみる」のは、とてもよいと思います。
そしてその場合、仮にうまくいかなくても「やめておけばよかった」という方向に考えないことが重要です。

どうやらこの方法ではうまくいかないらしいことが判明した→収穫ありという思考とセットにしておけば、ずっとずっと心が軽くてすむでしょうから。







インデックスへ


Asako Mizuno
2012-02-13

人生の選択と、土調べ

テーマ:スキルアップ
"「土調べ」から学んだこと "に頂戴したコメントからの派生です。
こんなに前の記事にコメントがつくことはめったにないので、こちらとしても新鮮でした。
せっかくなので、広げます。


元の記事に書いた土調べ、数か月にわたって継続しました。

測定器具は、主に日本計量新報社 から入手。
リンク先にジャンプして頂くとわかるように、「測定のことならお任せ」という会社です。

ここが、かつて楽天市場で「計量器いいもの通販」という店を出していました。
一般向けには普通あまり販売されない測定機器を、普通に購入できる貴重なショップです。

その店で土壌用比重計(ボイコース)や温湿度計、トールビーカーを揃え、シンワ測定から土壌酸度(pH)計、そしてガーデニングの本家であるイギリスから日本でいう「アースチェック」と似た試薬を取り寄せて、道具の準備。

世の中にそういう道具があることを知っていたわけではなく、本で調べて知りました。
ですので、そもそも「何が必要なのか」を割り出すところから、この調査ははじまっています。


土のほうは、近所のホームセンターとインターネット通販を利用して、その当時把握できていたすべての園芸用培養土を集めました。いわば、総当たりです。

(5リットル前後の小さな袋がある商品はまだよくて、なかには14リットル、25リットルという大袋しか販売されていないラインナップも。その後数年は、培養土に困らなかったのは言うまでもありません……。)

こうして集めに集めて、順に分析していったのです。



さて。
たかが園芸用度のために費用と時間をかけてこんな調査をする人は、普通あまりいないでしょう。
個人的にも、かなり自己満足にすぎないと思っています。

どうでもいいといえば、どうでもいい。そう流してしまうことも可能でした。
仕事ではなく、趣味のガーデニングだからですね。

でも、これが仕事になったら、どうですか?

他の業界のことはよくわかりませんが、少なくとも翻訳というのは、こういう「徹底的な調査」が安定した品質維持-差別化-につながり得る世界です。
(絶対、ではありません。念のため。)

このブログによくお越しくださる方はご存知のように、わたしの調べ物はいつもこんな感じでした。

他の仕事でも、あまり変わりません。

本を執筆するときに、類書(数百冊単位)にすべて目を通す。
取材をするとき、その時点で入手できる相手の資料を先にひととおり読んでおく。

セミナーを受けるときや講演会に行くとき、テーマになっている内容に関して広く浅く調べる。
(本当は深く調べたいのですが、たいてい時間的な都合で「網羅」とはならないことが多いです。)

その結果、何が起こるかというと……。

土調べの話にも少し書きましたが、その調査をしていなかったら「見えなかった」ものが、見えてきます。

セミナーのようなものですら、講師の話を鵜呑みにせず違う視点から検討する余裕が生まれるのですね。


これは、とても大切なことだと思います。
ほんの少し立ち止まって調べるだけで、物事の判断材料が格段に増えますから。

土調べでいえば、パッケージに書かれている説明は「参考情報」にしかならないことを、知りました。
おかげで、それを頼りにして失敗することが、なくなります。

あるいは、翻訳でよく引き合いに出す例でいえば、「翻訳者になるには高い語学力が必須」と言われたときに、それに振り回されずにすむでしょう。


どんな調査も、「わからない」からスタートします。
知っていることは、普通あまり調べません。

「語学力が必要」を、「あぁそうなのか」と右から左に納得するか、「それって本当?」と疑問を持つか。

本当にそうなのか「わからない」から、調べますよね。
その根拠は、どこにある?と。

わかります?


もちろん、調べたからといって「完璧に」答えが出ることは、ないかもしれません。

でも、それはそれでよいのですよ。

大切なのは、「完璧な」答えを得ることではなく、物事の小さな側面だけを見てそれに振り回されないようにすることだから。


もとの記事に頂戴したコメントでは、「人と同じになることにエネルギーを注ぐぐらいなら自分がもっているものを生かすことに専念してもらえれば」という部分が引かれていました。

まさにこれは、調べるところから始まると思うのです。

どこかで「翻訳には語学力が必要」と聞く→信じ込む→自分もそうなるように努力するパターンは、「人と同じになること」に近いですね。

疑問を持つ→周辺を調べる→自分ならどうすればよいかを考えるパターンは、「ある」ものを活かすことにつながります。


人生は、日々が選択の連続。
いちいち調べる必要などない選択(多少の選択ミスは実害ない場合)がほとんどですが、なかには仕事を視野に入れた勉強や転職など、時間的な都合でロスを減らしたいものもあるでしょう。

そういうときこそ、最初の時点で(多少無理をしてでも)きちんと調べるほうが、結果として欲しい結果を早く手に入れやすいのではないかと思ってみたり。

急がば回れ…ですね。



ただし、徹底的に調べるほうがよいだろうと思っても、それができない人というのもいます。

以前「愚直に積める人、積めない人は何が違う? 」で扱ったテーマともかぶりますけれど、そもそも調べることが嫌だという人に、調査をしろというのは苦痛でしょう。

その場合は、自分が調べなくても選択肢を増やせる方法をとるなど、違う形にすればよいですよね。

材料(持ち駒)は多いほうが偏りが出にくく柔軟な視野も持ちやすいだろうとは言いましたけれど、それを全部自分でこなすとは言っていませんでしょ?

なんでもかんでも自己完結………しなくてもいい。

ここでも、「人と同じになる」のではなく、自分の道を作ることにエネルギーをそそぐ選択があるのですね。
オンリーワンより、オリジナルワン。

応援しています。



関連記事

 オリジナルな人生を創造

 愚直に積める人、積めない人は何が違う?

 「土調べ」から学んだこと





インデックスへ

Asako Mizuno
2012-02-11

Word-検索でヒットしない半角ハイフン!?

テーマ:パソコンと二人三脚
Wordの文書ファイルには、検索でヒットしない半角ハイフンが含まれていることがあります。

「そのものずばり」を検索すればヒットするのですが、半角ハイフンで検索してもヒットしないというほうが、正確かもしれません。

フォントによっては見た目では半角はイフンと区別がつきませんので、慣れない人だとヒットしない理由が分からず途方に暮れるということになり得るのですね。

たとえば、下の画像をご覧ください。


外国語と文書作成&翻訳の情報源-半角ハイフン
Courier Newの22ポイントです。
ほとんど同じに見えると思いますが、数字の間にある「本当の」半角ハイフンは右だけなのですよ。

具体的には、右は文字コードでユニコードの0x002D(S-JISの0x2D)。

左は文字コードで0x2013です。
S-JISには存在しないコードなので、テキスト形式では正しく保存されません。
(秀丸エディタだと、保存時に ? に置き換えられてしまう文字)


Times New Romanなど、フォントによっては見た目の違いがわかります。
ただ、すぐそばに本当のハイフンがあれば分かるというだけで、単独で出てきたら気づくのは難しいかもしれません。

英文データでの上書きで(一括置換を使って)翻訳をする人などは、データの前処理として、この文字を探して本来のハイフンに置き換える処理をするほうがよいかもしれませんね。

以前、消えてしまうハイフンの話を書いたことがありますけれど、ユニコード扱いになって、文字まわりは本当に複雑になったと思います。

くれぐれも、ご注意を。



関連記事

 Wordデータ:文字が勝手に横向きに…

 Wordデータ:消えてしまうハイフン





インデックスへ
Asako Mizuno
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト