文系出身者のための特許翻訳

特許翻訳歴23年、業界改善を目指した情報発信歴20年。
自らの試行錯誤に加え、参加者数のべ1000名を超えるセミナーや講座、多いときには年間50名を超える個別相談などを通して得たスキルアップのヒントをお届けします。


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国立国会図書館には、NDL-OPACの蔵書検索システムとは別に、国立国会図書館サーチという蔵書検索の仕組みが用意されています。

国立国会図書館サーチ

図書館ですので、基本的には本を探すためのシステムです。
でも、上手に利用すると、総合検索システムとして使うことも可能です。

【例1】過去の新聞記事を探す
新聞記事といえばG-Searchの新聞・雑誌データベースが定番ですが、このシステムは公共図書館経由で利用しても結構なコストがかかります。

そこで、国会図書館サーチの「簡易検索」で「新聞」を選び、「岩手日報」「熊本日日新聞」など媒体名を検索します。

ヒットリストで新聞名をクリックすると、右側に所蔵館の一覧が表示されます。
近所に所蔵館があればコピー代だけですみますので、行く手間はかかりますがオンラインデータベースよりコスト安です。
(この方法でいろいろ検索して知ったのですが、都立中央図書館は、驚くほどたくさんの新聞を持っています。)

【例2】公立図書館の横断検索に
国会図書館サーチの「詳細検索」のデータベースという欄には、チェック項目がたくさんあります。
その中に「公共図書館蔵書」があり、これのおかげで新聞も所蔵館を検索できました。

書籍でも同じことは可能で、たとえば詳細検索の「タイトル」欄に「特許法概説」と入れて検索
してみてください。
データベースのチェックは、すべてつけたままです。

検索結果一覧の左側に「所蔵館」が出ますので、「すべて表示」をクリックします。
国会図書館は当然のこと、公共図書館名がずらりと出ています。

最近では、多くの都道府県で蔵書横断検索システムを持っていますが、日本中をまとめて横断検索できるのは、やはり重宝します。
国が運営しているからか、動きが非常に軽い時間帯が多いですし。

【例3】Google Booksと連動
国会図書館サーチでは、検索後に検索結果そのままの状態で、右側のサイドバーからGoogle Booksなど外部のシステムにもダイレクトジャンプできます。
書籍によっては、プレビューで中身をチェックすることも可能だということです。

【例4】周辺情報の取得に利用
例3の応用として、たとえば「タイトル」欄に「特許」、「件名」欄に「判例」と入れて検索します。

右側に関連キーワードとして「ビジネスモデル特許」「パテントプール」「特許法」「産業財産権」「特許訴訟」「発明」「判例法」「引用 (法源)」が表示され、
その下には関連の著者名、科学技術用語なども並んでいます。

「タイトル」欄がGoogleとも連動していますから、たとえば
関連キーワードに「パテントプール」が出てきたら、リンクをクリック
→その語が自動でタイトル欄に入って検索される
→検索結果の右側でgoogleをクリック
→自動でgoogle検索がなされる
といった使い方が、可能です。

Googleでキーワード検索をして欲しい情報が得られないときなど、国会図書館サーチを上手に「仲介」させながら調べると、うまくいくことがあります。

【例5】固有名詞の英訳語を探す
少々裏技的な使い方です。
国会図書館サーチの画面右上に、言語の選択欄がありますので、そこでEnglishを選択します。

National Diet Library search

その上で、たとえば「Title」欄に「特許法」と入れて検索してみてください。
検索結果一覧には当然のように日本語書籍が出るのですが、右側の「Authority keyword」欄では固有名詞が「英訳」されています。

それはつまり、「Author」欄に日本語で固有名詞を入れると英訳語を取得できることになります。
たとえば厚生労働省なら、Author欄だけでなくTitle欄でもうまくいきました。

Titleに厚生労働省を入れて、キーワードとして出てきたJapan Industrial Safety and Health Associationをクリックすると、新しい検索結果には「中央労働災害防止協会」が入ります。

中央労働災害防止協会をGoogleで検索するとWikiがでますが、英語名称は載っていません。
この組織自体のウェブサイトに行けば載っていますが、画像なので使いたければ自分で入力する必要があります。
でも、国会図書館はテキストデータですから、コピーすればタイプミスも起きません。

最近は英語版のページを持っている団体も増えていますが、固有名詞の英訳に困ったら国会図書館サーチを英語インタフェースで検索してみる方法もある、ということですね。

※上では動きの説明のために面倒なことをしましたが、単に固有名詞の英訳を欲しいだけならSimple search(簡易検索)を英語インタフェースで使ってキーワードを入れるのが最も簡単です。
該当する組織の英訳語があれば、右側のリストで一番上に出ます。

【おまけ】
最後に余談として、国会図書館サーチは画面表示の「白黒反転」ができます。
画面の右上に反転用のボタンがあります。

秀丸エディタで画面を黒くしている人など特に、反転すると見やすいかもしれませんね。
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技術翻訳の調べ物では、ときとして「どのような経歴の人が書いたものなのか」が重要な意味を持つ場面があります。

企業研究者なのか一技術者なのか、大学教授なのか医者なのか---。
書き手の経歴や肩書きから、技術情報の信頼性を判断することも。

その判断基準のひとつに医学博士をはじめとする「○○博士」の称号があるのですが、昨今は、詐称ではないかと思うような「ドクター」に、ときどき出会うようになりました。
そんなとき、該当する人物が「本物の」博士なのか否かを確認する方法があります。


CiNii Dissertations - 日本の博士論文をさがす
 http://ci.nii.ac.jp/d/

国会図書館が所蔵している大正12年以降の国内博士論文約60万件をはじめとして、論文データ1900万件、本文がある論文だけでも400万件以上が収録されています。

まだ国立国会図書館に納本されていなかったり、大学等で電子化がされていない場合には検索できないことがあるようですが、実質的に、ほぼすべての博士論文を検索できると考えて、差し支えないと思います。

このデータベースで名前を検索すると、学位授与年とともに論文情報が出てきます。

たとえばノーベル賞を受賞した山中伸弥先生であれば、
 大阪市立大学 , 博士 (医学) , 甲第1162号 , 1993-03-24

梶田隆章先生であれば
 東京大学 , 理学博士 , 甲第6941号 , 1986-03-29
といった具合です。

何年か前にいわゆる「非認定大学」の学位が問題になったことがありますが、上にあげた博士論文データベースを検索してみれば、非認定学位なのかどうかも見極められます

また、医師の場合は、厚生労働省のデータベースでの確認も可能です。

医師等資格確認検索システム
 https://licenseif.mhlw.go.jp/search/jsp/top.jsp
※医学博士ではあっても医師免許は持っていないという人もいますので、あくまで「医師の場合」です。

さらに、「○○博士」という称号こそ使っていなくても、研究者を名乗る人が特定分野の研究で第一人者であると錯覚させるほど豊富な情報を出しているサイトも。
こちらは、国立研究開発法人科学技術振興機構のデータベースで、ある程度の見極めができます。

科学技術情報発信・流通総合システム
 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/

2016年02月14日現在の全収録誌数1,905 誌、全収録記事数は2,718,675記事。
ジャーナル1,778誌(2,425,923記事)、会議論文・要旨集等127誌。

「研究者」「専門家」だと称しているのに、1件も学術資料が出てこなかったら?
その人がサイト上で書いているものは、間違っているかもしれません。

最後に、特許の観点から。

特許情報プラットホーム 特許・実用新案テキスト検索
 https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM201_Top.action

公開特許公報 (特開・特表(A)、再公表(A1))および/または特許公報 (特公・特許(B))にチェックを付けて、発明者名で検索します。

何かヒットした場合、「特許」番号がついているものあれば、権利化されています。「公開」番号のものは、出願済みであるだけで、権利化はされていません。
「トンデモ発明」と言われてしまうような内容でも、出願するだけなら事務要件を満たせば可能です。
「未確認飛行物体(UFO)の探知装置」とか、「あらゆる物を丈夫にし、すべての病気類を癒す神薬及 びその製薬法」とか、変わったものは多数出願されていますし。

「公開」番号は、その技術の有用性や発明者の信頼性を保証するものではないのです。

ここ数年、翻訳者の調べ物にインターネットは非常に使いにくくなってきています。
ただ、そうは言ってもゼロにするわけにはいかないのも現実だと思います。
だからこそ、信頼性を確認するための手段を、少しでも多く持ちたいものですね。
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子どもが学校の定期テストなどで(本人の)思ったような点数を取れず、落ち込んで帰宅することは、わりとよくあります。

そういうとき、私は「できることがまたひとつ増えて、よかったね」と声をかけ続けました。

高校2年、3年と学年があがり、受験を意識するようになればなるほど、小テストでも模試でも、とにかく子どもが「間違えた」と話してきたときは例外なく、「できることが増えて、よかったね」と。

できていないことに対する指摘は、一切、していません。
間違えようと思って意図的に間違えているわけではないため、わざわざ言われなくても、本人がいちばん分かっているはず。
分かっていることを外から指摘されるのは、苦しいものですし。

だから、たとえ全く勉強をしなかった結果だとしても、そのことには言及せず、

  間違えた問題→これからできるようになる問題

と、受け止め方を変え続けたのです。

こんなの単なる言葉遊びにすぎないと言う人も、いるかもしれません。
でも、そのうち子どもも慣れてきて、今日はこういう問題が出て・・・という説明とともに、「ここ、間違えた。これでまた、できるようになることが増える」と自分から言うようになりました。

そして「できることが増える」材料ですから、やらされ感なく、自主的に勉強します。
すると成績があがって自信がつき、好循環が生まれます。
何事も、こういう無理のない自主性こそ、重要だろうと思うのです。


ここで、翻訳者という職業は、毎日が勉強の連続です。
とすると、いかに「~すべき」を排除し、学びの自主性を保つかを考えるのも、ある意味で仕事のうちだと言えるでしょう。

この場合、本来できる「べき」なのに、できていないというマイナス意識から取り組むのと、
今はできていないけど、これからできるようになる材料だというプラス意識から取り組むのでは、結果が大きく変わるように思います。

たとえば若干進歩したときに、「まだまだ足りない」と感じるか、「すでに、これだけできるようになった」と感じるか。
どちらが、自然に「もっとやろう」という気になりやすいかは、言うまでもないですよね。
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