⑧ 葡萄の成熟
⑧ 葡萄の成熟
葡萄果実の成熟
葡萄の実は鳥に対応するよう実が生るとの考え方があるようです。
葡萄の成熟は3段階に分かれて成熟する。
1.第一段階
実の構造が作られる~酸の蓄積と急速な細胞分裂が起きる。
2.第二段階
色付き期(ヴェレーゾン)であり、赤葡萄は緑色から赤色に変わり、白葡萄は硬く緑色だった果皮は柔らかく半透明になる。
3.第三段階
生長が始まるが細胞の増大である。糖とフェノール類が蓄積され、酸が減少する。
糖分の蓄積が起こりますが、その絶対量が変わらないにも関わらず、水分や糖、カリウム等の果肉への流入によって、果粒に含まれる酒石酸濃度は相対的に減少します。リンゴ酸は高気温となると呼吸により消費されます。
成熟のスピードも品種により異なり、カベルネ・ソーヴィニィオンは遅くシラーは大変早いようです。そのため、シラーの収穫は一気に行う必要があるとか。
これを鳥の目で見ると、実が熟さないうちは、緑色で目立たないし、仮に食べても酸味が強く草の様な味のピラジンを多く含み、タンニンの渋みも有る。
実が熟すと、赤や金色になり魅力的に写り、味は糖度が高く、酸味が少なく、タンニンが成熟し、青臭い風味も減少している。もっとも合理的な点は種が一番最初に成熟されるといいます。
鳥に葡萄の種を運んでもらって、種の保存(拡散)を狙いとするもので、合理的な手法であると考えられますね。
次に葡萄の成熟とはどの様なものなのでしょうか。
1.糖分の蓄積(分析的成熟)
~やや堅い感じのするミネラル分を感じるワインとなります。
2.フェノール類の成熟(生理的成熟~香味成分の成熟)、
~果皮や種子の変色、果粒内部の構造変更、フェノール類の変化であり深
い味わいを持ちます。熟れて柔らかい果実味のあるワインとなります。
ところが、糖分の蓄積度とリンゴ酸の減少度(分析的成熟であり、糖度が増すと酸度が減少。)のプロセスは天候に大いに左右されますが、フェノール類の成熟(色と香りの深まりやタンニンの成熟)は連動していません。フェノール類の成熟は天候にあまり左右される事はなく、フェノール類の成熟後(生理的成熟)に糖分の蓄積(分析的成熟)がなされます。
参考
フランス 赤
糖度21度(潜在アルコール度数11度)、酸度5g/ℓ(酒石酸換算)収穫の目途
カリフォルニアのピノ・ノアール
糖度24度(潜在アルコール度数13度)、酸度7g/ℓ(酒石酸換算)収穫の目途
カリフォルニア スパークリング・ワイン用
糖度18度(潜在アルコール度数10度)、酸度9g/ℓ(酒石酸換算)収穫の目途
スパークリング用は酸度に着目し、糖度が上がる前に収獲。
つまり、温暖な地方(新世界)では葡萄が風味の成熟をした頃には糖度が高くなり過ぎます。
糖度を旧世界並みの段階で収獲すると、風味の成熟していないワインしか出来ません。
対して、旧世界のワイン産地は冷涼な気候であり、収穫期の日照時間も短い為、糖分の蓄積はゆっくりと進みます。つまり、糖度の蓄積が十分であればフェノール類の成熟も十分となります。実際糖度がはるかに低い段階で風味は成熟しています。
ボルドーでは秋雨の来る前にいかに葡萄に日光を当てるかが重要になり、摘葉、摘果が重要となるのです。
成熟にもっとも必要とされるのは日光となります。そのため収獲期が近づくと摘葉や摘房が必要とされます。日影にあった葡萄は、十分に日光を浴びた葡萄に対し糖度が低く、酸味が強くなります。
また、日光は芽の生長にも不可欠であり、生長に2年かかる結実主枝が十分な日光を浴びる事が無いと、生長が阻害されるとともに実にはメトキシピラジンと言う物質が増え、青草のような味となりますが光を浴びることでメトキシピラジンは減少します。
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