『7つの習慣®』認定コンサルタントが教える人生を輝かせる最高の時間術 -2ページ目

『7つの習慣®』認定コンサルタントが教える人生を輝かせる最高の時間術

株式会社プレゼンス 代表
田路 カズヤの公式ブログです。
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ここまで紹介してきた、「ROT(時間生産性)」を高めるための「戦術」をすべて試した上で、最後にようやく「短縮する」ことを考えます。つまり、2時間掛けていたものを1時間に「短縮する」ことを目指すのは最終手段ということです。
最後のステップにしている理由は、「もともとやるべきでなかったことを効率よくやることほど、非効率なことはない」というピーター・ドラッカー博士の言葉に集約されます。「短縮する」必要のない「タスク」について、時間短縮を試みる時間は、そのものが勿体ないのです。

時間短縮のためには、「遊び心(ゲーム感覚)」を最大限活かすことが大切です。
例えば、「この作業は45分間で終わらせる!」と自分に宣言をしてから「タスク」に取り掛かり、スマホのストップウォッチ機能を使って時間を計測します。宣言した時間と実際に完了させるまでに掛かった時間が5分以内の誤差であれば、自分にご褒美を与えます。
人は期限を設けたほうが本気で取り組めますし、どれくらい時間がかかるのかを正しく知っておくことは「ROT(時間生産性)」を高める上で必ずプラスになります。

また、この「短縮する」を成功させるためには、「心技体」を磨き続けることが絶対に必要です。
剣豪で知られる宮本武蔵は、「千日の稽古を鍛とし 万日の稽古を練とす」と言っています。
1つの「技」を完全に自分のものにするには、ひたすら毎日繰り返し稽古に励むしか道はありません。
「心技体」を磨き続ける時間を確保するためにも、あなたの「時間の使い方」を徹底的に見直す機会にしてください。
 

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

次回は会議時間の短縮についてのお話です。

 

 

イチロー選手が、試合当日の1日の過ごし方を「ルーティン化」していることは有名な話です。イチロー選手は、チームメイトの誰よりも早く球場入りして試合の準備を始め、試合後は自分でグラブを磨きながら、その日の試合を内省します。
イチロー選手が凄いところは、試合中も「ルーティン化」を徹底しているところです。打席に入る前からバットを構えるまでの動きが常に同じで、1打席目と2打席目の映像を重ね合わせてもほとんどブレがないほど精度の高い「ルーティン化」を行っています。
イチロー選手が「行動」の「ルーティン化」にこだわる理由は、一定のリズムで試合に臨むことで、試合により集中することができるためです。
毎日同じ時間に同じ場所で同じことをやり続ける「ルーティン化」により、無意識でもそれが実践できるレベルまで「習慣化」させているのです。「習慣化」のプロセスで体に強く刻み込まれた技能記憶は、絶対に忘れることはありません。
「ルーティン化」することで、「心技体」をベストの状態にし、最高のパフォーマンスを発揮できる状態をつくっているわけです。

あなたも最高のパフォーマンスを発揮するために、あなたの1日の「タスク」のほとんどを「ルーティン化」できないか試みてみましょう。
まず、毎日もしくは毎週定期的に行っている「タスク」を「ルーティン化」し、先にスケジュールに組み込むようにしてください。これが「大きな石から入れる」ということ(131ページ参照)です。
また、その際は、ビジネス場面の「ルーティンワーク」と呼ばれるものだけでなく、プライベートの「タスク」も含めて「ルーティン化する」し、予定に組み込むようにしましょう。
 

 

次回はタスクの時間を短縮することについてのお話です。

 

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

あなたが遂行している「タスク」が中断されるリスクを回避し、目の前の「タスク」に集中できる状態をつくります。
遂行している「タスク」が中断されてしまう理由には、2つのパターンがあります。「自分の内側に問題がある」パターンと「他の協働者に邪魔される」パターンです。

まず、1つ目の「自分の内側に問題がある」パターンというのは、自分の中で明確な判断基準を持っていないことによって起こります。明確な判断基準がないために迷い、意思決定に時間が掛かり、「タスク」が中断されるというものです。

アメリカの心理学の研究によると、人は1日におよそ6万回の思考・判断をしていると言われています。睡眠時間を除くとほぼ毎秒、何かを考えている計算になります。
そして、ほとんどの人がその6万回のうち、95%は昨日と同じことを考えていて、80%はネガティブなことを考えているそうです。
つまり、私たちは、判断に迷ったり、落ち込んだりすることに対して、1日のかなりの時間を「消費」されているのです。

このような時間の「消費」を回避するために、まずは自分の中で判断基準を「ルール化する」ことをおススメします。あなたの「タスク」遂行が中断されないようにするためのマイルールをつくるのです。

成功している経営者は、シンプルかつパワフルなマイルールを持っているものです。
スティーブ・ジョブズ氏が、服を選ぶことに時間を消費されないようにするために、いつも同じ服を着ていたことも1つのマイルールと言えます。
また、私がこれまでお世話になってきた、尊敬する経営者もそうでした。パソナグループの南部靖之代表は、「迷ったらやる」というマイルールを行動規範として掲げています。

マイルールをつくる(例)
・飲み会の2次会には行かない
・ビジネス関係者の誕生日パーティーには行かない
・週末のゴルフには行かない
・テレビを観るときは、リアルタイムでは観ない
(録画したものを観ることで、CM時間を短縮し、ダラダラ観続けることも防げる)
・メールチェックは隙間時間に行い、メール返信は決めた時間にのみ行う

遂行している「タスク」が中断されてしまう2つ目のパターンは、「他の協働者に邪魔をされる」というものです。
実際、管理職向けの目標達成研修の中で、最も多く相談される内容は、「自分は計画立てて仕事をしているのに、部下から相談される度に仕事が中断されるので、計画通りに仕事が遂行できない」というものです。
この問題の本質は、相談された側の上司が「邪魔された」と感じているこの事柄について、相談している側の部下は何とも思っていないことです。部下が何も考えずに質問や相談をしていることや、人から時間をもらうことの重大さを充分に認識していないことが問題なのです。
この場合は、「ルール化する」だけでなく、協働者にそのルールを共有しておくことが大切です。
例えば、私であれば、「相談受付タイム」というものをあらかじめ設けて、「相談は、相談受付タイムにする」ように部下に指示をします。ただし、「90秒以内に返答できることについては、いつでも質問・相談OKにする」という特別ルールも明示します。

また、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)のときのルールも明文化する」ことで、効率的に指示・助言できる状態をつくります。
例えば、

・すべて「結論から話す」
・「報告」では、「客観的事実」を伝える
・話す時間は「3分間以内」

そもそも適切な指示・助言ができるだけの情報を部下が持ってこないということが多々ありますので、それを防ぐ効果もあります。

協働者にルールを共有する(例)
・相談受付タイムを設けて、告知しておく
・90秒以内に対応できる仕事のみ即時対応する
・ホウレンソウ時のルールを共有しておく
・社内メールの場合は、宛名と挨拶文は不要とする
・緊急対応が必要なホウレンソウは、電話で連絡する
 

次回はタスクのルーティン化についてのお話です。

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

さらに、「第Ⅳ領域」以外の3つの領域の「タスク」について、「一石二鳥を狙う」ことを考えましょう。
「一石二鳥を狙う」とは、1つの「タスク」で複数の効果を得るという考え方です。
2つの「タスク」を同時進行させて、結果を出そうとすると「二兎追うものは一兎も得ず」になります。そういった「マルチタスク」のやり方とはまったく異なりますので、誤解しないようにしてください。
あくまでも「シングルタスク」、一度に遂行する「タスク」は1つです。

『SINGLE TASK 一点集中術』(ダイヤモンド社 デボラ・ザック著)によると、さまざまな研究結果から、「脳は一度に2つ以上のことに集中できない」ことが結論づけられています。
例えば、スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士の見解が次のように紹介されています。

「人間は実のところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスク
の切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへとすばやく切り替えているだ
けである」

また、ハーバード大学の研究によると、次のように言われています。

「あたふたとせわしなく働いている社員たちは1日に500回も注意を向けるタ
スクを変えるが、最も能率の高い社員たちは注意を向けるタスクを変える回数が
むしろ少ない」

確かに、私の周りでも、仕事中にPCで起動させているアプリケーションの数が多い人ほど、「ROT(時間生産性)」が低い傾向にあります。

特に男性は、この「マルチタスク」は避けなければなりません。脳の構造上、男性脳を持つ人のほうが「マルチタスク」を苦手としているからです。
逆に言うと、「シングルタスク」で仕事を進めたときに、「ROT(時間生産性)」の飛躍的向上が期待できます。

まずは、今行っている複数の「タスク」を1つの「タスク」にできる方法がないかを考えてみましょう。「まとめて行う」ことや「ついでに行う」ことなどが考えられます。

一石二鳥を狙う(例)
・ランチタイムにパワーランチをする(顧客との商談、部下との面談などのビジ
ネスミーティングを行う)
・移動時間に読書やオーディオブックで学習する
・入浴中にストレッチ、筋トレする
・入浴中に録画したテレビ番組、DVDを観る
・A社に訪問するついでに同じエリアのB社、C社にもアポを取る
 

次回はタスクを中断されるリスク回避についてお話します。

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

次に、「第Ⅳ領域」以外の3つの領域の「タスク」について、「コラボする」ことで「ROT(時間生産性)」を高めることを考えます。
「コラボする」とは、同じ課題を抱える仲間と協力し、それぞれの「タスク」を分担することです。分担することで、各自の負担の軽減ができるだけでなく、各チームメンバーのノウハウが交換できるなど、相乗効果が期待できます。
あなたの「タスク」を誰かとシェアすることで、「ROT(時間生産性)」を高めることを考えるのです。

これを成功させるためには、前提条件が1つだけあります。
それは、社内外にコラボできる仲間を持っていることです。仲間は、一朝一夕でできるものではありません。あなたに協力してくれる仲間を見つけやすくする環境を常日頃からつくっておくことが大切です。
例えば、営業マン時代の私は、社内の飲み会の幹事を務めた回数も、実は会社記録だったのではないかと思うくらい、率先して務めていました。また、営業部内の飲み会だけではなく、営業部と密に連携する必要のある部署との合同飲み会も数多く主催していました。
幹事という仕事は、一見、面倒くさいことが多く、実際、仕事に投資できる時間は減るのですが、その投資対効果は非常に大きいものがありました。このプロセスで培われた人間関係は、失った時間の何倍もの成果を仕事にもたらしてくれました。
人との信頼関係は、あなたの「ROT(時間生産性)」を最大化させる武器になります。(第6章参照)。

また、私は現在、いくつものコミュニティーを主宰しています。
例えば、ナシゴレン(74-5連)という1974~75年生まれの経営者の会の発起人も務めています。2ヶ月に1回ペースでゆるく運営していますが、口コミだけで、Facebook上の登録者は500名を超えるコミュニティーに成長しました。
毎回数十名の同世代経営者が、企業の大小に関わらず、同世代だというだけで初対面から打ち解けられます。そして、そこからビジネスマッチングやジョイントベンチャーが生まれています。
私のような極度の人見知りでも、同世代の有名社長や上場企業の経営者とも心の交流をさせてもらっています。

また、銀座の自分のオフィスを11名の経営者・個人事業主とシェアしてコラボオフィスを運営したり、大学のサークルの同期会や古巣のパソナやリクルートの同期会・OB会の幹事も積極的に務めたりしています。
もともと、これらについても損得勘定なく始めたことですが、結果的に、必要なときに必要な人と出会える人生を歩めているのは、これらの人間関係がすべての土台になっています。

私は、「経営者なのに世話好き」という希少性のある強みを持っていたので、「コミュニティーをつくる」という「戦略」と、「幹事を積極的に務める」という「戦術」を選択してきました。
ただ、あなたが何を武器とするのかは、自分の意志で決めてください。そして、それを活かす「戦略」「戦術」を選択することで、「タスク」の負担軽減や相乗効果を目指してください。

余談ですが、私は、最高の時間術を身につけるためにも、20代、30代の人には、飲み会の幹事を率先して務めることを強く推奨しています。
飲み会の幹事というのは、1つのプロジェクトリーダーと役割は同じで、最高の段取り力が求められるので、「時間の使い方」を工夫する姿勢が身につきます。

コラボする(例)
・各チームで行っている勉強会を、隣のチームと合同開催する
・重要な商談については、営業にエンジニアが同行してヒアリングする
 

次回は一つのタスクで二つ以上のメリットを得ることについてお話します。

 

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

次に、「第Ⅳ領域」以外の3つの領域の「タスク」の中で、あなたがやらなければならない理由がないものはすべて、あなた以外の人に「任せる」ことを考えましょう。つまり、あなたでなくてもできる「タスク」については、他の人に委託・委譲・委任してしまいましょうということです。
特に、

・「あなたの理想の人生時給」よりも低い金額でアウトソーシングできるもの
・あなたが行うよりも専門家に任せたほうが、「ROT(時間生産性)」の向上
が期待できるもの

については、積極的に他者に「任せる」ことを選択しましょう。
他の人に「任せる」ことで結果を出すためには、2つの前提条件があります。
1つ目は、任せたい「タスク」について、できる限り「単純化」しておくことです。
2つ目は、任せたい「タスク」を遂行するための「マニュアル化」ができていることです。

まずは、あなたの「タスク」について、「単純化」を図りましょう。大学生のアルバイトや新入社員にでもできるレベルまで、「何をどのようにすれば良いか」を徹底的に考えることが、「ROT(時間生産性)」を高めることに繋がります。
その上で、あなたの「タスク」の遂行手順を「マニュアル化」していきましょう。あなたがいなくても、その仕事が回るように「仕組み化」することが、「任せる」ということです。

会社に勤めている場合、勝手に自分の「タスク」を同僚や後輩に「任せる」ことは難しいと感じるかもしれません。ただ、そもそもあなたは、自分の「タスク」を同僚や後輩に「任せる」という考えをこれまで上司に相談したことがあるでしょうか。
あなたの「タスク」を同僚や後輩に任せることで、組織全体の「ROT(時間生産性)」が高まるのであれば、仕事ができる上司なら反対しないはずです。まだやってもないことを諦めたりせずに、ぜひ上司に相談・提言してみてください。

この「任せる」ことをアドバイスすると、よく言われることがあります。それは、「人に任せるために教える時間を考えたら、自分でやってしまったほうが早いのではないか」という意見です。
これは短期的に見れば、その通りかもしれませんが、中長期的に発生し続ける「タスク」なのであれば、人に「任せる」ことのほうが効率的であることは明白です。

また、「任せる」ことで、「任せられる」側の人の能力だけでなく、「任せる」側のあなたの能力も確実に向上します。人は、教えることで成長し、役割や責任をもらうことでも成長するのです。
あなたが抱え込んでいる「タスク」の中で、あなたでなくてもできるものは何ですか。それを思いきって、他の人に「任せる」準備をしましょう。

任せる(例)
・自宅の家事を代行会社に任せる
・中途新人の教育を新卒3年目社員に任せる
 

次回はタスクを他の人とシェアすることについてのお話です。

 

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

「第Ⅳ領域」以外の3つの領域について、「仕組み化する」ことを考えます。
「仕組み化」とは、人の能力・スキルに依存しないシステムをつくることです。
つまり、「誰が」「いつ」行っても、同じ結果が出せるという再現性の高い状態をつくることです。

「仕組み化する」対象は、「第Ⅳ領域」以外の領域の「タスク」の中で、「毎月1回以上行っている業務」「今後3回以上行う可能性の高い業務」すべてになります。
また、あなた以外にも多くの人が必要としているものかどうかも、「仕組み化」すべき「タスク」かどうかを決める1つの指標です。
例えば、クレームが起きやすいという問題があったとき、その要因のほとんどが人為的なミスなのであれば、それは「仕組み化する」必要があるということになります。
クレームが発生すると、通常業務に加え、そのリカバリー作業と謝罪に時間が「消費」されることになります。そのため、クレームの予防については、最優先で「仕組み化する」ことが必要です。
クレームは、お客様の期待に対してこちら側の提供価値が低い場合に起こりますので、あらかじめ期待値を現実的なレベルまで下げておく「仕組み化」や付加価値を高める「仕組み化」が必要です。前者の場合は、申込書の書面にあらかじめ提供価値の範囲・レベルを明記しておくことなどが考えられるでしょう。

また、「仕組み化する」については、ITツールを活用することも非常に効果的です。名刺のデータ化、メルマガ配信、会議議事録の作成などは、ITツールによって、すべて「仕組み化する」ことができるはずです。
今一度、あなたの「タスク」の中で、システムやITツールを活用することで軽減もしくは削減できるものがないか、見直してみましょう。

仕組み化する(例)
  ・見積書と請求書のフォーマットを統一し、連動させる
  ・問い合わせの電話を営業部ではなく、コールセンターで一括受付する
 

 

次回は他の人に任せるということについてのお話です。

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

英国の民間保険会社が成人男女3000人に行った調査によると、人は1日平均9個の探しものをしていて、1日平均10分もの時間を探しものに「消費」されているそうです。これは一生に換算すると、153日分になります。
「第Ⅲ領域」に出てきた「使途不明時間」の大半は、この時間なのではないかと推測できます。
つまり、身の回りのモノ(物・情報)を「決断する」ことで、探しものに「消費」される時間を減らしていくことが、「ROT(時間生産性)」を向上させる上でとても重要だということです。

私が大好きな本の1つに、大ベストセラーにもなった『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)があります。
著者の近藤麻理恵さんは、「片づけはマインドが9割」と言っていて、そのマインドを身につけるためには、「一気に、短期に、完璧に片づける」「まずは『捨てる』を終わらせる」ことが大切だと言っています。また、モノを捨てる前に、「理想の暮らし」を具体的にイメージすることが大切だとも言っています。
私は、これらが、探しものに「消費」される時間を減らすための原点だと考えています。

あなたも「理想のオフィスワーク」を具体的にイメージしてみてください。
例えば、「オフィスデスクがなくても、今まで以上に生産性の高い仕事ができるようにするためには、どのようにすれば良いか」をイメージして、それを前提とした仕事環境を整えることを考えましょう。
実際、私自身、自分のオフィスデスクを持たなくなり1年以上が経ちましたが、不便を感じるどころか、「ROT(時間生産性)」は高まるばかりです。
自分のオフィスデスクがない前提で、さまざまなことについて「決断する」ことを推進したので、ムダなものがなくなり、探しものに時間を「消費」されることはまったくなくなりました。

仕事環境を整える上では、「書類」と「ファイル」の管理方法に工夫することが必要不可欠です。
書類は、「残す必要のあるもの」と「残す必要のないもの」に即断即決しましょう。
「残す必要のないもの」は、容赦なく捨てます。
「残す必要のあるもの」については、原則、「データで保存する」ことを前提にし、必要最小限の書類だけ「紙で保管する」を選択しましょう。「紙で保管する」場合は、机の上に積み重ねず、必ず立てて保管するようにします。

また、書類をスキャナーもしくはカメラでデータ化して保存する場合は、ファイルの名前を「ルール化」しましょう。
私は、「日付(6桁)+書類の種類(企画書・請求書など)+顧客名」で管理することをおススメしています。このルールは、すべてのデータファイルに統一して適用させないと意味がありませんので、その点も注意してください。

データの保存方法については、クラウドの活用が必須だと考えています。
One DriveやDropboxなどのクラウドを活用し、どのPCやスマホからでもデータにアクセスし、一定レベルで仕事ができる環境を保てるようにしておきましょう。
 

次回はタスクを仕組み化することについてのお話です。

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

次に「決断」すべき「タスク」は、「第Ⅲ領域」です。
先程のプレイングマネージャーAさんの「第Ⅲ領域」は、次のようなものでした。

①    (不規則に)食事をとる                     7時間
②     (急な)部下からの相談に対応する                 5時間
③  部下から提出された日報をチェック・コメントする          3時間
④    スタッフからの電話やメールに対応する               2時間
⑤    会議の議事録を作成する                     2時間
⑥    意味のない会議に出席する                    2時間
⑦    内科で風邪の診察・処方をしてもらう                1時間

まず、「第Ⅲ領域」の「タスク」の特徴として、「ちょっといいですか」「とりあえずやっておいて」「念のためやっておいて」と、誰かに言われて発生する仕事が多いということを理解しておく必要があります。
Aさんの場合も、上司や部下に声を掛けられたことによって、発生してしまった「タスク」が多そうです。
このような事象に対して、ピーター・ドラッカー博士はこのように言っています。

「できる人は、『ノー』と言う。『これは自分の仕事ではない』と言えるのだ」

仕事のできる人は、「重要度」の高い「タスク」に集中しているものです。一見、「緊急度」が高そうな「タスク」でも、あなたにとって「重要度」の低い「タスク」は「決断する」必要があります。
ただ、上司から依頼された仕事について、いきなり「決断する」なんてことは提言できないという人もいるでしょう。
その場合は、「一旦やめて、様子を見ませんか」という提言の仕方をおススメします。そして、実際にやめてみてください。多くの場合、やめても仕事の結果には何ら影響がなかったことに気づくはずです。
「決断する」かどうか判断に迷ったときは、「このまま継続したときの悪影響」と「これを決断したときの悪影響」を比較してください。
しかし、「決断したときの悪影響」のほうが大きいということはまずありません。
ピーター・ドラッカー博士はこのようにも言っています。

「する必要のまったくない仕事、時間の浪費である仕事を見つけ、捨てなければ
ならない。すべての仕事について『まったくしなかったときに何が起こるか』を
考えればよい。『何も起こらない』が答えであるならば、その仕事は直ちにやめ
るべきである」

ただし、「決断する」ことだけを考える必要もありません。「タスク」の中には、その意味づけを変えれば、「第Ⅱ領域」にシフトさせることができるものも多いはずです。

一方、厄介なのが、「緊急」に見えているだけの「第Ⅲ領域」と「重要」に見えているだけの「第Ⅰ領域」の「タスク」です。
ピーター・ドラッカー博士は、

「もともとやるべきでなかったことを効率よくやることほど、非効率なことはない」

とも言っているのですが、「第Ⅰ領域」や「第Ⅲ領域」に分類した「タスク」の中に、「もともとやるべきではなかったこと」が含まれてしまうことはよくあります。
そこで、「第Ⅰ領域」と「第Ⅲ領域」に分類した「タスク」1つ1つに対して、「そもそもこのタスクをやることによって、どのようなことを解決(実現)したいのか」と自問自答することを「習慣」にしてみてください。
これによって、その「タスク」を遂行しなければならない真の「目的」に立ち返ることができます。

「目的」が再確認できたら、ゼロベースでその「目的」を達成するための手段を再検討していきます。結果として、その「タスク」が最適な解決策ではないことに気づくこともあるでしょう。そのときは、別の「タスク」に置き換えていくようにします。
また、行うことが目的化してしまった「タスク」についても、根本的に見直すべき対象となります。例えば、毎週行うことが目的化してしまっている面談や会議などがそれに該当します。

では、あなたが記入した「第Ⅰ領域」「第Ⅲ領域」の「タスク」について、

・根本的解決を図る最善の解決策と言えるか
・手段の目的化に陥っていないか

の観点で見直してみてください。
もし、その答えが「ノー」であれば、「決断する」か新たな「タスク」に置き換えていきましょう。

では、付箋紙に書き出した「第Ⅲ領域」と「第Ⅳ領域」の中で、あなたが「決断する」ことができた「タスク」を赤ペンで二重線を引いて消してしまいましょう。重要なことだけに囲まれて生きるために、あなた自身が「決断する」のです。
 

次回は探し物をする時間をなくすことについてお話します。

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)

「重要度」の低い「第Ⅲ領域」と「第Ⅳ領域」については、「決断する」ことを第一に考えましょう。
「決断する」と言うと、「新しいことや大きなことを決める」イメージが強いと思いますが、本来はそうではありません。「断つ」ことを「決める」ことが「決断」です。人生の「目的」に関係ないものを「断つ」と「決める」ことが「決断する」の本質なのです。

では、「決断する」手順を説明します。
当然ながら、まず最初に「決断」すべき「タスク」は、「第Ⅳ領域」です。
先程のプレイングマネージャーAさんの「第Ⅳ領域」は、次のようなものでした。

①    (だらだら)テレビを観る                  10時間②    同僚と深酒する                        5時間
③    (目的なく)インターネットをする               5時間
④    喫煙する                           5時間
⑤    (だらだら)YouTubeを観る                  1時間

その他にも、例えば、

・気が乗らない飲み会に行く
・惰性で2次会にまで参加する
・職場の同僚と連れ添ってランチに行って店で並ぶ
・他人の陰口を言う
・芸能人のゴシップについてインターネットで調べる
・スマホゲームをする
・ギャンブルにはまる

など、さまざまな「第Ⅳ領域」があります。
これらに、あなたの人生をプラスの方向に向かわせるだけの意味づけができないようであれば、直ちに「決断する」ことが大切です。「決断する」ことによって、人生に悪影響を及ぼすような「第Ⅳ領域」は何1つないはずです。

私の場合、経営者同士のつき合いで、「ゴルフ」や「誕生日パーティー」に誘われることがとても多いのですが、すべてお断りするようにしています。最近は、もう誰からも誘われなくなってきました(苦笑)。
どちらも仕事にメリットがあることは分かるのですが、「ゴルフ」は家族との限られた時間が奪われるため、「誕生日パーティー」は誰かひとりのパーティーに顔を出してしまうとキリがないため、「決断する」ようにしています。

また、人間関係についても、定期的に「決断する」ようにしています。
自分の中で「違和感のある人とは、時間を過ごさない」というルールを決めて、そのルールに忠実に生きるようにしています。これも1つの「決断する」です。
ただし、20代の頃の私のように器の小さい状態でこれを遂行しようとするのは、「未熟者のただのわがまま」とも言えます。ですから、「心技体」を磨き続け、本当に自分に非がないかを客観的に振り返る「習慣」も持っておくことが重要です。
私の場合、30代のときに心理学を勉強してから、人の好き嫌いがまったくなくなりました。しかし、それでも違和感のある人というのはよっぽどの人だと判断し、そういう人とのつき合いは避けるようにしています。
私の言う「違和感のある人」とは、「言行不一致の人」、「相手によって態度を変える人」、「自分の感情をコントロールできない人」、「批判的な発言、ネガティブな発言が多い人」などです。

私は、これまでの20年間の仕事人生において、自分のミスによるクレームというものをもらったことがありませんでした。しかし、研修講師をやっていると、公開講座で、ごく稀にクレームまがいのアンケートを受講者から突きつけられることがあります。
酷い点数とともに「研修の内容は、自分の知っていることばかりでした」などとコメントされると、さすがに一瞬落ち込みます。
ただ、その受講者は他の研修でもそのようなことを繰り返していて、勤務先でも手を焼いている人だということが判明することも多いです。
モンスタークライアントとつき合うことほど勿体ない「時間の使い方」とはありません。その時間があるのであれば、もっと必要としてくれるクライアントと出会うための時間に充てるほうが、賢明な「時間の使い方」と言えるのではないでしょうか。
 

 

次回は緊急だが重要ではないタスクをやめることについてのお話です。

 

仕事ができる人の最高の時間術 (アスカビジネス)