さらに、「第Ⅳ領域」以外の3つの領域の「タスク」について、「一石二鳥を狙う」ことを考えましょう。
「一石二鳥を狙う」とは、1つの「タスク」で複数の効果を得るという考え方です。
2つの「タスク」を同時進行させて、結果を出そうとすると「二兎追うものは一兎も得ず」になります。そういった「マルチタスク」のやり方とはまったく異なりますので、誤解しないようにしてください。
あくまでも「シングルタスク」、一度に遂行する「タスク」は1つです。
『SINGLE TASK 一点集中術』(ダイヤモンド社 デボラ・ザック著)によると、さまざまな研究結果から、「脳は一度に2つ以上のことに集中できない」ことが結論づけられています。
例えば、スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士の見解が次のように紹介されています。
「人間は実のところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスク
の切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへとすばやく切り替えているだ
けである」
また、ハーバード大学の研究によると、次のように言われています。
「あたふたとせわしなく働いている社員たちは1日に500回も注意を向けるタ
スクを変えるが、最も能率の高い社員たちは注意を向けるタスクを変える回数が
むしろ少ない」
確かに、私の周りでも、仕事中にPCで起動させているアプリケーションの数が多い人ほど、「ROT(時間生産性)」が低い傾向にあります。
特に男性は、この「マルチタスク」は避けなければなりません。脳の構造上、男性脳を持つ人のほうが「マルチタスク」を苦手としているからです。
逆に言うと、「シングルタスク」で仕事を進めたときに、「ROT(時間生産性)」の飛躍的向上が期待できます。
まずは、今行っている複数の「タスク」を1つの「タスク」にできる方法がないかを考えてみましょう。「まとめて行う」ことや「ついでに行う」ことなどが考えられます。
一石二鳥を狙う(例)
・ランチタイムにパワーランチをする(顧客との商談、部下との面談などのビジ
ネスミーティングを行う)
・移動時間に読書やオーディオブックで学習する
・入浴中にストレッチ、筋トレする
・入浴中に録画したテレビ番組、DVDを観る
・A社に訪問するついでに同じエリアのB社、C社にもアポを取る
次回はタスクを中断されるリスク回避についてお話します。