「ゆとりですがなにか」第7話~恋人達の賞味期限 | 日々のダダ漏れ

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「ゆとりですがなにか」



第7話
恋人達の賞味期限


早川) 逆行ってやろうぜ。
坂間) 逆?


**********

早川) 損害賠償や慰謝料の一部も請け負う。
坂間) 何もそこまで…うち悪くないのに。
早川) 悪くないのにそこまでやるから
    イメージアップになんの。
茜) 確かに。これで持ち直したらうちの
  一社独占契約は安泰ですもんね。
早川) 愛愛フーズは撤退したからな。フフフ…。
坂間) それでも今は…。
早川) 泥船だよ。野上は瀕死の状態。だから
    助ける。恩を売る。これは善意じゃなく
    て営業なんだから。這い上がってもらわ
    なくちゃ意味がないんだ。坂間! 野上
    から目を離すな。追い込まれた人間は
    何をするか、分からないからな。
    あと山岸。連絡ついたら、始末書。
坂間) すげぇ。早川さんの本気初めて見た。
茜) ああ見えて伝説の営業マンだからね。
坂間) それに比べて俺は。機転が利かない。
    後ろ向きな考え方しかできない。
茜) 反省できるだけ山岸よりマシだよ。
  あぁ…何でこういう言い方しかで
  きないんだよ、私は。
坂間) え?
茜) ううん。何でもない。あ…。
  で、どうする? お父さん。
坂間) 言ってないんだよね? 別れたこと。
茜) 言ってたら来ないよ。7時にお店でいい?
坂間) はぁ…はい。

(コーヒーを飲もうとして茜に叩かれる坂間)
坂間) 熱っつ!
茜) ため息をつくな!


**********

宮下) 大体、あの男の受け答えが好かん。


(回想)
宮下) 正和君は、次男やったね?
坂間) ですね。ですですです。


宮下) です、ですですですって。
    死ねって意味か!
茜) 「デスノート」の「デス」やなか!
  緊張しとったと。
宮下) かと思えば話の途中で
    携帯ばいじくって。


(回想)
宮下) 10時に有楽町となれば、9時にアパート
    出ればよかね。物産展に市役所時代の
    友達がおって…。
坂間) 9時28分の池袋行きに乗って、
    東京駅でJRに乗り換えですね。
宮下) あぁ、そうね。
坂間) いや、赤坂見附で乗り換えて、有楽町
    線のほうが2分早いですね。一番後ろ  
    の車両乗って下さい。いや、銀座線が
    1分後に来るぞ。いや、日比谷で降りて、
    時速15kmで歩けば…。


宮下) 時速15kmで歩く自信がなか!
茜) お父さん、1人で寂しいっちゃなか?
宮下) わしか? 
茜) ようしゃべるけん。
  佐賀に話し相手のおらんとやなかね?
宮下) そぎゃんことなか。週末には、一重も
    帰って来る。ばってんあれも、何ばや
    っても、長続きせん。あ~。
茜) ねぇ、布団で寝んね。
宮下) 朝にはスクールバスの運転もある。
茜) えっ、まだやっとっと?
  もうやめて。危ないから。
宮下) せからしか。年寄りは年寄り扱いに
    敏感ばい。そいが、若っか者には分
    かっとらん。年寄り扱いされるけん、
    年寄りは、年寄りみたいなことばっ
    か言うしかなかとよ。


**********

山岸) そろそろ引っ越すって言ってました。
    四十九日も過ぎたし。
坂間) そっか。あっと言う間だな。
山岸) あっ、見ましたよ、会見。テレビで。
坂間) テレビで見てんじゃねえよ。
山岸) ハハハ…。
坂間) 怒られちゃいました。


(回想)
明子) いちいち来られたら困るんです。
    息子のようには思ってるけど…。
    息子じゃないしね。
山岸) ごめんなさい。
明子) そうやってすぐしょげたフリするとこも
    広之そっくり。もっとさぁ、ダメな自分を
    さ、見せればいいのよ。会社の人にも、
    甘えればいいのよ。はっ! お魚!
山岸) いや~そうもいかないんすよ。最初に
    できるキャラつくっちゃったんで。
明子) 2回も失踪して何言ってんの。
    やればできるコなんかいない。
    迷信よ。あんた達はね、
    やらなきゃできないコなの。…って、
    何で言えなかったのかな。あの子に。
山岸) あの…。
明子) ん?
山岸) 大根おろしなんか、
    あったらサンキューなんすけど。
明子) 図々しい! フフフ…。
山岸) ハハハ…。
明子) はい。
山岸) サンキューです。

山岸) 何で普通にできないんすかね?
    粋がってるか、落ち込んでるか、
    どっちかだもんな。
坂間) もっと恥かかなきゃダメなんだよ。
    俺もお前も。「恥」っていう字はさ、
    「耳」に、「心」って書くだろ?    
山岸) はい。
坂間) うん。「耳」に、「心」だよ。
山岸) 何すか?
坂間) いや…何か思い付くと思ったんだけど、
    何にも思い付かなかった。ハハハ…。
山岸) ハハハ…。


**********

野上) ありがたいよ、実際。でも、何でここま
    でしてくれるんですか? 俺みたいな仕
    出屋のさ、弁当屋の、定年間近の、現
    場監督のために。
坂間) 野上さんを、男として認めてるから
    でしょう。だから、貸しをつくるんです。
野上) ありがとう。ありがてぇな~! 
    チキショ~!


**********

道上) もっといいホテルが
    よかったって思ってる?
ゆとり) ううん。
道上) そもそもホテルじゃないほうが
    よかったって思ってる?
ゆとり) どうして?
道上) いや、黙ってるから。
ゆとり) お兄ちゃん、全然気付いてないよ。
    うちらのこと。就職決まったし、
    そろそろ話そうと思ってるけど。
    黙ってる。
道上) いや、俺もそう思ってた。
    ちゃんとしなきゃって。
ゆとり) 来年の今頃は、社会人と、
    大学生だね。
道上) うん。
ゆとり) 結局入れる会社にやっと入った
    感じだけど。贅沢言ってらんないし。
道上) 便所。

**********

山路) その学習障害の子の父親、なかなか
    現実を受け入れられないようなんです
    よ。生まれつきなんてあり得ないと。
麻生) で、離婚ということですか。
山路) いやそれは浮気です。
麻生) あ~そうなの。
山路) で、父親が来るということは、教師とし
    ての力量を試される訳ですよ。向こうは
    抗議も辞さないっていう姿勢なんでね。
麻生) いや、そんな資格あります? ねぇ、
    浮気して、妻子を見捨てた男に。
山路) あっ、やっぱ勘違いしてる。
麻生) えっ、何? 何で笑ってるんすか?
山路) 浮気したの…奥さんなんですって。
麻生) あ~そうなんだ。
山路) しかも相手が…。
麻生) 何、何? 何で笑ってんの?
山路) 小学校の担任教師なんですって。
    前の学校の。
麻生) ふ~ん。あ、そう。


(回想)
奈々江) 真剣だったんです。淫らな女だと、
     思われるかもしれませんが。彼、凄く
     親身になってくれて。大悟の事で、夫
     とは冷え切っていましたし。気が付い
     たら、若くて、情熱的な彼に、全てを
     捧げていたの。


山路) まぁ要するに奈々江は、前科者だった
    訳ですよ。担任教師と、不適切な関係
    に陥ることもいとわない、とんでもない
    スケベ女だったんですよ。スケベが白
    衣着てるようなもんだ、奈々江は。
麻生) あの、山路さんね、
    みんな聞いてますからね。
山路) っていうか、
    何なんすか、何なんですか? 
    29年間ずっとゼロだったんです、僕。
    何でいきなり、
    1じゃなくて2なんですか?
麻生) ちょっと待って下さい。
    2って何ですか?
佐倉) 山路先生。
山路) 早ぇよ。


**********

原島) 甘やかさないで下さい。
    こんなの時間のムダですから。
山路) やめて下さい。
原島) いいか大悟。よく見とけ。
山路) ダメです。
原島) チャイム鳴っちゃうでしょう。
山路) それでいいんです。
    さぁ大悟。もう1回掛けてみよう。
生徒達) 大悟! 大悟…!
山路) そうそうそう…うん。
生徒達) 大悟、大悟…!


**********

茜) 元々公務員でさ、地元の名士だったの。
  でも母さん死んですっかり老けちゃってさ。
  問題はね、自分でそれを受け入れられな
  い事なんだよね。定年後はスクールバス
  の運転手やってんだけど、再雇用で。おと
  とし事故起こしたの。子供送り届けた帰り
  道で、大した事故じゃなかったんだけど。
  それ以来、イメージする自分と、衰え行く
  自分とのギャップに、落ち込む日々な訳よ。
山路) それは心配だわ。
茜) もっとさらけ出せばいいんだよ、
  ダメな自分を。その、LDの…。
山路) ん? あ、大悟?
茜) 大悟君みたいに。だって、ダメな自分を
  認めさせちゃった訳でしょ、まわりに。
山路) うん。
茜) それってすごい勇気だと思うよ。
山路) ホントよね~。
茜) あ…。
山路) あ~いや~…。


**********

山岸) 接待でがっつりモテようっていう
    魂胆がさ、小せぇ男だなって思うね。
    ヘヘヘ…。
野上) すいません。

**********

(まりぶにからむ坂間)
坂間) いつ別れますかっ?
村井) 店長?
坂間) 何か焼きますかっ?


**********

野上) 娘に、彼氏ができてさ。あの…
    インスタ…インスタントメンタル?
山岸) インスタグラムね。


**********

道上) あ、じゃ、ネギマと…。
坂間) ネギマと…。いつ別れますかっ?
道上) あと、軟骨。
坂間) 塩ですか~? タレですか~?


**********

野上) 外人じゃあるまいし。男と抱き合ってる
    写真をさ、バンバン載っけるわけよ。

    
**********

坂間) いつ別れますか?
道上) 今週中に。塩で。
坂間) は~い、塩で。今週中!
村井) 塩で今週中! えっ?

**********

野上) これが、汗水流して働いた俺の、40年の
    努力の結晶かと思ったら情けなくてさ。何
    か、むちゃくちゃしたくなってさ。
宮下) 分かる。
山岸) いや、分かんない。
宮下) 私の娘もどげんしゅうでんなか
    男に引っ掛かって…。
山岸) つうか、誰? 入って来ないで。
坂間) おとうさん。焼酎のお湯割りのお湯です。
山岸) おとうさん?
宮下) 宮下茜の、父です。
山岸) え~? そうなんですか?
    う~わ、これは俺、口数減っちゃうぞ。
    あれ? でも、先輩、宮下さんと…。
坂間) 別れてないっしょい!
村井) っしょい!
山岸) すいません。
宮下) やっぱあれかね。あんた達、
    ゆとり世代にはおい達団塊世代は、
    やぐらしか~かね。
山岸) すいません。
    後半ちょっと何言ってるか…。
宮下) ウィキペディアだ、ギガファイルだって、
    覚え切れんジジィは、
    やぐらしか~ですかね。
山岸) フフフ…ウィキペディアとギガファイル
    しか分かんねえぞ。
野上) 「やぐらしか」は、
    「せからしか」って意味たい。
宮下) なんね、あんた九州?
野上) ああ、久留米たい。
宮下) ありゃ~佐賀の鳥栖。隣り。
野上) あっ、そうね、佐賀ね。
宮下) 何ば飲みよ?
野上) 日本酒たい。
宮下) あ~焼酎にせんね。
    芋ばい、うま~か芋ばいよ。


**********

舎弟) (大声で) おっぱいいかがですか~。
    おっぱい、おっぱ~い!
道上) おっぱいいかがですか。
舎弟) (大声で) おっぱいいかがですか~。
    おっぱい! あったかおっぱいが
    おにいさん達を待ってますよ。
道上) おっぱい、いかがっすか…。
舎弟) おっぱい、おっぱい!
道上) おっぱい…。
舎弟) おっぱいいかがですか~。
    おっぱいいかがですか!
    行っちゃいましょう、おっぱい。
道上) いいかげんにしろ! おい!
舎弟) えっ?
道上) 何だよ、てめぇ。
    公衆の面前でよ。声張り上げてよ。
    おっぱいおっぱいってよ!
    小さくて悩んでる人もいるんだぞ。
    大き過ぎて悩んでる人もいるんだぞ!
舎弟) すいません。すいません。すいません。
道上) はぁ~調子出ねえわ~。あ~。はぁ~。

(舎弟を抱きしめるまりぶ)
道上) 上がらせてもらうわ。
舎弟) はい。お疲れさまです。


**********

(お茶を飲む茜の父・宮下)
和代) (せき込み)…やだ、息止めてた。
    何もこんなにかしこまることないん
    ですよね。バカみたい。アハ…。
宮下) 酒蔵のほうは、おにいさんご夫婦が
    跡ば継がれて?
宗貴) ええ。まだ半年もたってないので、
    バタバタで。
宮下) あ~そうですか。
和代) 酒造業は、10月から3月までが一番
    忙しいんです。主人は、几帳面でして。
    新酒の仕込みをすっかり終えて、職人
    さんに、お疲れさんして、3月に亡くな
    りました。
宮下) あ~…そうですか。
和代) ええ。……やだ、また沈黙…。
    明るい話題、明るい話題を。
みどり) あ~そうだ。
     ねぇ、蔵のほう案内したら?
宗貴) あっ、そうですね。
    ちょうど午後から、社会科見学の…。
宮下) 社会科見学に来たわけじゃなかです。
茜) お父さん、失礼。
和代) あっ、あ…末っ子のゆとりは来年から…。
宮下) 当たり障りのない話ばしに
    来たわけでもなかです。
茜) すいません。
   こういう言い方しかできないんです。
宮下) おととしの、正月やったと思います。
    はい。結婚ば前提に、お付き合いしとる
    男性がおると聞きまして。そいからもう2
    年半もたって、これも、適齢期になった
    ばってん。仕事も忙しかどうか、もう何の
    進展もなか。挨拶もなか。私は、古~か  
    人間です。ですから、結婚したらおなご
    は、いや女性は、家庭に入るべきだと思
    うとります。あっ、これは職場でどっちが
    上とか下とか、給料がよかとか悪かとか、
    これはまた別問題。これは、男としての
    責任。まぁ、正和君にその気があるなら
    …ですが。
和代) いや、それは、もちろん! ねぇ?
    そのつもりで…。
ゆとり) お兄、耳真っ赤になってる。
みどり) ゆとりちゃん、フフ…。
宮下) あっ、いやいや、すぐに返事の欲しか
    わけじゃなかです。奥さん、筆ペン持っ
    とんさですか?
みどり) あっ、筆ペンですか? 筆ペン…。
茜) えっ、えっ、何? どうしたの?
宮下) ん? 昨日デパートで、
    結納の品ば買うて来た。
みどり) え~いやいやいや…。
宗貴) まだ、早い…。
和代) いや、いや…。
宮下) なしてですか?
    早かことはないでしょう。アハハ…。
宗貴) いや、だって、さっき、
    まだ返事しなくていいって…。
宮下) あぁ、私が、筆ペンで目録に、
    何々、何々って書けば…。
    その間、考えとってよかですよ。
みどり) いやいや…。
宮下) 筆ペン。
みどり) はい。あ~やだ渡しちゃった。
茜) ちょっと…ねぇ、落ち着いて! お父さん。
  先走り過ぎだから。
みどり) それに、あの~そもそも逆なんですよ。
     新郎側が準備するものですから。
宮下) えっ?
宗貴) おい、お前が煮え切らないから、
    おとうさん…。
和代) そうよ。正和、どう思ってるの?
    何とか言いなさいよ。
坂間) 茜さんのことは、好きです。ふぅ~。
    ただ…おとうさんのことは嫌いです。
宗貴) バカ!
坂間) だって何か、いきなり押しかけて来て、
    家族は、兄弟は、会社はって、俺のこと
    は何にも聞かない。俺はどういう人間で、
    何考えてるかなんてどうでもいいってこ
    とですか? 結婚するのは俺っす。家族、
    兄弟、会社、まわり関係ねえっす。いや、
    もっと言えば、娘さんが何考えてるか、
    どういうことで悩んでるか、聞かずに、
    適齢期だから結婚か仕事か選べって。
    分かんねえっす。
和代) それは、だ、だ、だから、
    あなた達2人が煮え切らないから。
    話が前に進まないから…。
坂間) 進むわけねえじゃん。
    もう付き合ってねえもん。
和代) 何よ、それ!
坂間) すいません。もう別れましたんで。
宮下) そうなの?
茜) はい。すいません。
ゆとり) えっ…何?
     じゃあこれ、今、何の時間?
坂間) もう他人だから言っちゃいますけど。
    宮下、栄転の話があって。
    俺がこんなんだから迷ってて。
茜) そんなんじゃないよ!
坂間) 黙ってて! 俺も自分に嫌気が差して。
    アキレス腱も切れたし。
    一回別れようってことになったんです。
茜) 違う…違う。全然違う!
宮下) ん?
茜) 私は別れたくなかったの!
ゆとり) ねぇ、何の時間?
茜) 私は結婚したかったもん。
  専業主婦になるとか、仕事続けるとか、
  それは後で考えればいい。ただ結婚して、
  まず幸せになりたかったの!
  で幸せになって、それで、あっ、ヤバイ
  ヤバイ、金ない。どっち働く?って。
  それでよかったの。
坂間) そうはいかないよ。
茜) 何で?
坂間) 俺達はいいけど。まわりは…。
茜) まわり関係ないって言ったじゃん!
坂間) だけど!
茜) だからさ…そういうとこだよ。もういいよ!
宮下) 茜!
茜) バカ!!


**********

宮下) 正和君。あんた達若者はおい達
    年寄りば見て、勝ったぞ~と思うね?
坂間) えっ?
宮下) 優越感ば、感じとんね。
    おい達は、若者ば見るともう無条件に、
    負けた~こりゃかなわんって思うばい。
    うん。あんた達はまぁ、別に勝ったつも
    りはなかろうばってん、こっちは勝手に、
    劣等感ば感じとっと。あんた達はま~だ
    な~んも知らん。知らんことば怖か~と
    も思うとらん。うん。怖か~脅威ばい。
    そいけん、年寄りは、ゆとり世代とか呼
    んで、十把一絡にせんば、恐ろしゅうて、
    一人一人と、向き合えんとたい。
坂間) 「恥」っていう字は、
    「耳」に「心」って書きますよね。
宮下) ん?
坂間) さっき、家族の前でおとうさんにガ~
    って責められて、恥かしくて悔しくて、
    耳真っ赤になりました。でも、若いんだ
    からどんどん恥かいて、もっともっと耳
    も心も真っ赤にしていかないと。
    …ですよね。
宮下) は?
坂間) あ、いや、何でもないです。
宮下) ハハハ…。


**********

坂間) 植木屋!?
山路) そう、何か見習みたいなことしてて。
坂間) えっ、まりぶが? 嘘でしょ。
舎弟) 嘘じゃねえっす!
坂間) えっ!?
舎弟) 何か堅気になるっつって、ガールズ
    バーも、おっパブもほっぽり出して、
    おらんくなったんす!
坂間) 何それ?

(皿が割れる音) 
山岸) 失礼しました~!
村井・中森) 失礼しました~!
女性の声) 失礼しました!
山路) あれ? 女の子の声したね、今。
坂間) あ、そうそう、新しいバイトの女の子。
山路) えっ!? ちょ、ちょ…。
    いや、ちょ、いやいや、何で何で?
佐倉) ここにいれば、山路先生に会える上に、
    時給も出るから。へへ。店長。そこどい
    てもらっていいですか?
山岸) 失礼しました~。
山路) いやいや、ちょ、ちょっと、え?
    何もう~! え?
坂間) それから俺、7月から、
    エリアマネージャー。


**********

(バーでお酒を飲んでいる茜と早川)
茜) だから、私はね…。
早川) うん。
茜) 今回仕事選びましたけど、別に結婚
  諦めたわけじゃないですし。こう見えて
  恋愛体質ですからね。
早川) あ~分かってる、分かってる。
    だから、婚活だと思ってさ。
茜) ん、仙台で?
早川) うん。
茜) あぁ、いいかもね。伊達政宗みたいなね。
早川) ハハハ…。
茜) あ~もう…。頭が回ってないですけど…
  てかさ、このタイミングしかないっすよね。
  腐れ縁断ち切るなら。
早川) ああ…。
茜) てかさ! エリアマネージャーに昇進
   してだな。それすら、私のおかげみた
   いなとこ、ありますからね。
早川) う、うん…うん。
茜) てかさ!
早川) うん。


**********

茜) 酔っ払ってんのか、
  酔っ払おうとしてんのか。
  超分かんなくなっちった。
  分からなくなっちった。
早川) お水、もらおうか。
茜) すいません。すいません…。

(茜の頭を撫でる早川)
早川) すみません、お水1つ。

**********

茜) あの、早川さん今、どのくらいそういう
  気分すか? 私まぁまぁそういう気分です。
早川) まぁ、俺もだな。
茜) 冗談にしようと思えばできます。今なら。
  今なら。ん、あっ、大丈夫っす…。
早川) こういう時、何て言うんだっけ?
茜) 決めゼリフですか?
早川) うん。あっ。ちょっと休んで行こう。

**********

坂間) 仮になんだけどさ。
宗貴) あ~?
坂間) 結婚して、兄貴と一緒に
    酒屋継ぐって、ありかな?
宗貴) え?
坂間) あっ、いや…。

**********

バスケットボールで、青春ドラマさながら怒りを
発散したいのに、空回りする早川のもどかしさ
が分かってしまう、共感できてしまうのがツライ。
ああなっちゃうんだよね、年取ると。まだまだ動
けるイメージの自分に、リアルな肉体が追いつ
かない。気持ちは肉体よりもいつだって若い頃
と変わらないつもりでいるのに、前より食べられ
なくなったり、前より動けなくなったり…。気持ち
は若くても、肉体の老いからは逃れられなくて。

クドカンがすごいのは、視点が偏らないところ。
子供と大人、男と女、若者と年寄りetc…。目の
前に見えているものが、みんながみんな、同じ
ように見えているわけじゃないということ。立場
が変われば…経験を積めば…感じ方は変わっ
ていくもの。人は変わるから。自分も変わるし、
まわりの人も変わる。状況は日々変わっていく。

坂間も山路も道上も、ゆとりも茜ちゃんも佐倉も
どんどん変わっていくのが面白い。でも肝心な
ところで変われなかったり、変なところが変わっ
たり。人間ってホント面白い。本音を言うべき相
手には言えなくて、関係ない相手だから言える
本音もあったり。めんどくさかったり、もどかしか
ったり、バカバカしかったり、愚かしくも愛おしい、
人間ってやつは、ホント、いろいろあって面白い。

語り出すとついつい長くなってしまうので、今回
ツボったセリフの数々を抜き出してみる。きっと、
今の自分と、何年後かの自分の感じ方は違う。
でも、今は、今の自分で感じればいいんだよね。
今の自分がどう感じていたか…未来の自分は、
そんな自分をどう感じるのか。ちょっと知りたい。

年寄りは年寄り扱いに敏感ばい。
そいが、若っか者には分
かっとらん。
年寄り扱いされるけん、
年寄りは、
年寄りみたいなことばっ

言うしかなかとよ。

やればできるコなんかいない。
迷信よ。あんた達はね、
やらなきゃできないコなの。

もっと恥かかなきゃダメなんだよ。
俺もお前も。「恥」っていう字はさ、
「耳」に、「心」って書くだろ?

イメージする自分と、
衰え行く自分とのギャップに、
落ち込む日々な訳よ。

もっとさらけ出せばいいんだよ、
ダメな自分を。

おい達は、若者ば見るともう無条件に、
負けた~こりゃかなわんって思うばい。
うん。あんた達はまぁ、別に勝ったつも
りはなかろうばってん、こっちは勝手に、
劣等感ば感じとっと。あんた達はま~だ
な~んも知らん。知らんことば怖か~と
も思うとらん。うん。怖か~脅威ばい。
そいけん、年寄りは、ゆとり世代とか呼
んで、十把一絡にせんば、恐ろしゅうて、
一人一人と、向き合えんとたい。

「恥」っていう字は、
「耳」に「心」って書きますよね。

でも、若いんだからどんどん恥かいて、
もっともっと耳も心も
真っ赤にしていかないと。

人は訳のわからないものを怖がる。正体不明、
名前のないものが怖い。けれども、それに名前
をつけてしまえば、何となく分かったような気に
なれる。病名がつくと何となくホッとするように。
「新人類」「ゆとり」「さとり」…名前をつけて安心
したいだけなんだよね。やればできるコになれ
るかどうかは、やってみなくちゃわからない。や
らなきゃできるかできないか分からないんだか
ら。やったらできたコ…にならなきゃね~フフフ。


●「ゆとりですがなにか」HP


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