「ゆとりですがなにか」第６話～僕達を変える現実

「ゆとりですがなにか」

第６話
僕達を変える現実

道上）　実はそんな悪いことしたと思ってなくっ
　　　　てさ。誘って来たの向こうだし。行くっしょ。
　　　　そりゃ。食うっしょ、据え膳。坂間っちに
　　　　多少、悪いと思ったんだろうね。
　　　　一瞬箸止まったけどさ。
麻生）　お前な、奥さんには？
道上）　こいつとまだ届け出してねえから。
　　　　そこがあんたと大きく違うよね。
麻生）　届け出さないで、
　　　　男が威張るんじゃないよ！
坂間）　あの…。
道上）　何回も届け出してる奴に
　　　　言われたくねえよ！
坂間）　あの～！！
　　　　最初っからいいですか。確か酒蔵見学で。

（回想）
道上）　サークルは？
ゆとり）　…は、就活が忙しくて。

道上）　最初は何かすっとぼけた女だなと思
　　　　ったよ。何聞いても響かねえし、暗いし、
　　　　面白くねえし。名前の通りゆとりかって
　　　　ちょっとかましてみたんだよ。

（回想）
道上）　就活する為に、大学入ったみてぇだな。
ゆとり）　えっ
道上）　だって、俺は、大学がどうだったかって
　　　　聞いてんのに、就活しかしてねえじゃん。
ゆとり）　みんなそうですけど。

坂間）　あんたなんか浪人生じゃんか！いい
　　　　年して、志望校は東大か京大か知んね
　　　　えけど、受かってねえじゃん。偉そうに。
道上）　向こうから連絡してきて。
坂間）　どうやって？
道上）　あんたに名刺渡したじゃん。

（回想）
ゆとり）　お兄ちゃんのポケットに入ってたんで。
道上）　マジで？

道上）　甘いんじゃねえの？セキュリティー。
坂間）　うるさいって！
道上）　ごめんね。でまぁ、面接したわけよ。

（回想）
ゆとり）　自分を変えたいんです。
道上）　ガールズバーで？
ゆとり）　社会では１円の価値もない…就活しか
　　　　してない。価値ある人間か？ガールズ
　　　　バーで、おっぱい出してるほうが、生きて
　　　　るって思うんですよ。

道上）　何言ってるかさっぱり分かんなかった
　　　　けど、断トツかわいかったよね。案の定
　　　　一番人気だし。
麻生）　それでお前、手出したのか？
道上）　急かすなよジジィが！
　　　　物事には順序ってもんがあるんだよ。
　　　　手出したんだよ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

（回想）
道上）　でもさ、考えてみてよ。ゆとりちゃんは
　　　　さ、入れる大学入って、雇ってもらえる
　　　　会社で働ければそれでいいのかな？
　　　　世の中には、
　　　　知らないまま死んじゃうこと…。

ゆとり）　できない経験。

道上）　行けない国、会えない人
　　　　いっぱいいるわけじゃん。

ゆとり）　いっぱいいるわけじゃん。
　　　　　ミラと麻生さんだってそうじゃん。
　　　　　無限の選択肢の中から、この時間
　　　　　を選んでここにいるわけじゃん。

ゆとり）　だから自分の選択に、
　　　　誇りと責任を持ちたいと思いました。

道上）　そのお店を選んでくれたお客様に後悔
　　　　してほしくないわけ。数あるおっぱいパブ
　　　　の中から…。

ゆとり）　数ある旅行代理店の中から、ここを選
　　　　んでよかった、生涯忘れられない旅行に
　　　　なったって、感じて頂けるサービスを…。

道上）　俺なんか常に考えてるよね。
ゆとり）　まりぶさんって、意外と真面目。

坂間）　真面目じゃない！
道上）　ごめん。
麻生）　こいつの受け売りだったとは。情けない。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

坂間）　ごめんって、
　　　　さっきからやけに素直だけどさ。
道上）　坂間っちのこと裏切っちゃったし。
坂間）　奥さんとか子供に悪いとか
　　　　思わなかったわけ？
道上）　だから奥さんじゃねえから。前から言っ
　　　　てるから。なぁ？浮気するって。病気だ
　　　　から、遺伝だからって。なぁ？
ユカ）　ユウゲンジッコウダヨ。
麻生）　あの、もう、別れようとは
　　　　思わないんですか？
道上）　余計なこと言ってんじゃねえよ！
　　　　クソジジィがよ！
麻生）　痛い痛い痛い…！
道上）　おい！
麻生）　分かった。離せ、離せ…。
ユカ）　ドッチミチ　ビザ　キレテルカラ　
　　　　ヤクショ　イケナイヨ。バクガイノ　
　　　　ツアーデ　キタダカラネ。
坂間）　黙るしかねえだろ。
麻生）　お前にはな…。おい！
　　　　常識というものがないのか！？
道上）　ねえよ。つうか何だよ常識ってよ！
　　　　おい！教わってねえし。ゆとりだから。
　　　　何回も結婚離婚繰り返すことが常識な
　　　　んですか？なぁ～？
麻生）　痛い痛い！
道上）　ボケカスが～！
麻生）　あ痛～。
ユカ）　ナンカイカガ　ナンカイカニ　ヨルヨネ。
麻生）　あの…４～５回です。あ～痛い…あ～。
道上）　腹違いの兄貴がいんの。４個上の弁護
　　　　士。んで、兄貴が通ってた、中高一貫の
　　　　進学校に俺も入ってさ。
麻生）　首席でした。
道上）　母ちゃんすごいわけ。俺に対する圧が。
　　　　兄貴とは血つながってねえからさ。もう
　　　　勝ちたいわけ。もう勝たせたいわけだよ
　　　　ね、俺に。
麻生）　その頃はこいつも神童と
　　　　呼ばれてまして。
道上）　そして兄貴が大学受かってさ。
麻生）　首席でした。
道上）　油断したんじゃねえの？いよいよ俺の
　　　　番って時にさ、こいつ、会社の部下と…。
麻生）　いや、あの、部下じゃないよ。
　　　　バイトです。
道上）　うるせぇな。横からごちゃごちゃよ。
　　　　なかなかてめえの不倫話に
　　　　たどり着かねえじゃねぇかよ！
坂間）　いいです！大体わかったんで。
道上）　何が？
坂間）　いい年して親離れできない
　　　　モラトリアムだってことが。
道上）　俺が？
坂間）　そうでしょ？さっきから自分がだらしな
　　　　いの全部親のせいにしてさ。出来のいい
　　　　兄貴と比べられて、母ちゃんにプレッシャ
　　　　ーかけられて、親父不倫して。
　　　　関係ねえし！そんな奴、いっぱいいるし。
　　　　だから妹に手ぇ出していいって事になん
　　　　ねえから。妹の話しに来てんだよ。俺は、
　　　　妹を守りたいだけなの。あいつ知らない
　　　　からね。あんたが妻子持ちだってこと。
（セレブの泣き声）
道上）　出てろ。
坂間）　いてください。で、どうすんの？
（セレブの泣き声）
道上）　別れるよ。
坂間）　当たり前だよ。言わずもがなだよ。
　　　　どうやって？
道上）　だから俺には嫁と…。
坂間）　絶対言うな！妹にも母ちゃんにも
　　　　兄貴夫婦にもそのことは言わない。
　　　　ここだけ！この４人だけの秘密だから。
　　　　山路君にも宮下さんにも悦子先生にも
　　　　誰にも一切。
道上）　分かったよ。
坂間）　ホントに？
道上）　ゆとりちゃんとはもうやらない。
坂間）　あっ！？
道上）　…じゃない、ごめん。会わない！
坂間）　だけど…今割とデリケートな時期だから。
　　　　就職が決まるまでは、フラれたと自覚させ
　　　　たくない。だから…応援してやってほしい。
道上）　会っていいの？
坂間）　会わずに！メールとか電話で。
道上）　そういうことね。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

山路）　はい、大きい声で読んでみて。せーの。
児童達）　ゆとり教育。
山路）　そう、聞いた事ある人？ないかな。
　　　　これは、テストの成績を上げるために、
　　　　知識を頭に詰め込むんじゃなくて、興味
　　　　がある事を自主的に学んだり、体験した
　　　　りする時間を、増やそうっていう考え方。
　　　　何を隠そう先生はね、ゆとり教育を受け
　　　　た最初の学年です。ゆとり第一世代って
　　　　呼ばれてます。例えばそうだな。みんな
　　　　土曜日と日曜日学校休みだよね？
児童達）　うん。
山路）　でもね、先生より、上の大人は、
　　　　土曜日も、学校に来てたんです。
児童）　え～！
児童）　かわいそう！
山路）　はいはいはい…。ゆとり教育を受け
　　　　た結果、子供達はどうなったと思う？
三田）　バカになった！
（笑い声）
山路）　正解です。
児童達）　え～。
山路）　学力が低下して、社会問題になりました。
　　　　おまけに社会に出たら、使えない、覇気
　　　　がない、ガッツがない、言われたことしか
　　　　やらない、ライバル意識がない、危機感
　　　　がない、緊張感がない、予期せぬアクシ
　　　　デントに、対応できない。全部言いがかり　
　　　　です。国が勝手に土曜日休みにして、教
　　　　科書薄～くして、それでテストの成績下が
　　　　ったからって、ポンコツ扱いしてるんです、
　　　　僕達を。でもね、ゆとり世代にも、長所は
　　　　あるんです。他人の足を引っ張らない。
　　　　周囲に惑わされずベストを尽くす。個性
　　　　を、尊重する。はい、大悟君立って。
大悟）　はい。
山路）　みんなも知っての通り、大悟君は算数
　　　　が苦手です。他の教科はちゃんとできる。
　　　　漢字のテストなんか100点だよ。凄いな。
　　　　でも、筆算の繰り下がりが分からない。
　　　　そんな大悟君と一緒に、授業を受けてた
　　　　ら、勉強遅れちゃうって思った人。正直に
　　　　手を挙げてみて。はい、いいよ。じゃあ、
　　　　大悟なんか放っておいて、どんどん先行
　　　　っちゃおうぜって授業進めたら？
森）　大悟かわいそう。
山路）　そう思う人、挙手。はい、ありがとう。
　　　　じゃあさ、どうすればいいと思う？
児童）　はい。
山路）　うん。
児童）　大悟だけ、電卓使えばいいと思う。
渡辺）　えっ、そんなのズルいよ。
児童）　でもさ、目の悪いコが眼鏡かけて
　　　　んだから、頭悪いコは…。
山路）　頭悪いは違うぞ。大悟は、割り算の
　　　　筆算の、手順が苦手なだけ。
　　　　でもいい考えだと思う。眼鏡も電卓も、
　　　　みんなと一緒に勉強するために、必
　　　　要な道具だもんな。じゃあ、大悟の成
　　　　績が上がって、追い越されちゃったら
　　　　どうする？
児童）　え～。それはムカつく。
山路）　ムカついてどうする。
児童）　俺も電卓使う。
（笑い声）
山路）　はいはいはい。
　　　　大悟はどうだ？どうしたい？
大悟）　僕は、みんなと一緒に
　　　　勉強がしたいです。
山路）　どうして？
大悟）　答えが分かった時とか、
　　　　みんな一緒に喜んでくれるから。
　　　　何倍もうれしいです。
山路）　そうか。みんなのこと好きか。
大悟）　はい。
山路）　みんなも好きか。
児童達）　は～い！
山路）　ありがとう、ありがとう。
　　　　みんなありがとう。大悟もありがとうな。
　　　　座っていいよ。え～明日から大悟君は、
　　　　算数の授業だけ、学習室で、授業を受
　　　　けます。
児童）　えっ？かわいそうだよ！
山路）　「かわいそう」じゃないぞ。
　　　　いいか、聞いて。これは、大悟を置いて
　　　　けぼりにするためでも、大悟が森君に
　　　　勝つためでもない。みんなと一緒に勉
　　　　強して、みんなと一緒に社会に出るた
　　　　めに、必要な、特別な措置です。大悟
　　　　が電卓を使っていい時代がそのうち来
　　　　ると思う。それが本当の平等。本当の
　　　　ゆとり教育だと、先生は思います。はい。
　　　　この話は、おしまい。はい、授業の準備。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

山路）　すいません、何か…
　　　　いい着地点見つからなくて。
奈々江）　とんでもない。とても先生らしい
　　　　　お話で何か、私まで感動しちゃい
　　　　　ました。
山路）　あ、いやいやいや…。
奈々江）　正直、山路先生が担任って聞いて、
　　　　　年下かよって、ゆとりかよって。
　　　　　童貞かよ！って思いました。
　　　　　ごめんなさい。
山路）　ハハ…いやいやいや、ん？
奈々江）　でも、今日、お話伺って、ゆとり先生、
　　　　　　いいじゃん、って思いました。
山路）　あぁ…。
奈々江）　これからもよろしくお願いします。
山路）　あぁ、よろしくお願いします。
　　　　何で知ってんだ？

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

山路）　ねぇ、言ったの茜ちゃん？
　　　　坂間君？　どっち？
坂間）　会ったことねえし、そのおかあさんに。
茜）　学校中に知れ渡ってんだから
　　隠してもしょうがないっしょ。
坂間）　そうだ、あっ、お土産、
　　　　ありがとうございました。
　　　　伊豆シャボンテン公園の。
山路）　ハハ。いやいや…。
茜）　まだ怒ってんの？
山路）　あっ、でさ、聞いてよ、茜ちゃん。
坂間）　今営業中！
山路）　今日、補習で、７時までかかっちゃって。
　　　　おかあさん、仕事で出ちゃったわけ、途
　　　　中で。でさっき大悟君のこと送ってったん
　　　　だけど。おかあさんの言ってた、夜の仕
　　　　事って何だと思う？
坂間）　おっぱいじゃねえの？

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

山路）　白衣の天使だったんすよ～！
　　　　…って誰も聞いてねえ～。でまぁ、３年
　　　　前に離婚して、養育費だけじゃ厳しい
　　　　んだって。昼間は子供に付きっきりでさ。
坂間）　電話鳴ってますけど。
（着信音）
坂間）　あっ…。
（着信音）
電・山路）　もしもし…。
電・小暮）　だから～出てんじゃねえよ！
　　　　　童貞ヤマミチ。二度と電話出れねえ
　　　　　ように、唇と耳切り抜いて焼いてや
　　　　　ろうか！あん？塩か！タレか！
電・山路）　塩…。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

宗貴）　辛いよ～。煮詰まるよ～。
　　　　やればできると思ってたよ。甘かったよ～。
坂間）　えっ、妊活のこと言ってる？
宗貴）　感謝しねえとなぁ。俺やお前が
　　　　この世に生まれたことをさ。
坂間）　考え過ぎだよ。授かりものっていうだろ？
　　　　忘れた頃にポコっと。
宗貴）　忘れることなんかねえよ！
　　　　ずっと、考えてるよ。
　　　　いいだろ？風俗情報見るぐらい。
坂間）　いや、それは…。どうかな？

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

野上）　ワインねぇ…
　　　　ワインっていう感じじゃないな～。
道上）　おっぱいっすか？
山岸）　いやいやいや…。
　　　　ワインじゃないとすると…。
舎弟）　おっぱいなんじゃないですか？
道上）　白おっぱいですか？
舎弟）　赤おっぱいですか？
　　　　…からのおっぱいで検索ですか？
道上）　さらにおっぱいをダブルタップですか？
山岸）　ちょっと！ホントおっぱい
　　　　間に合ってますんで。
道上）　と言いつつ…
野上）　おっぱいだよ。
道上）　イェ～イ！
野上）　どこ？案内してよ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

坂間）　助かりました。少ないけど、これ。
（道上にサービス券を渡す坂間）
道上）　中森君、生ね～！
中森）　は～い、生一丁！

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

山岸）　私のお得意様から、
　　　　６か月契約延長を頂きました！
　　　　大至急配送お願いしま～す！
（拍手）
早川）　すっかり英雄気取りだな。
茜）　支払い大丈夫ですかね？
　　野上さん調子いいから気を付けないと。
坂間）　そんなわけで、これ。
早川）　珍しいね、
　　　　坂間君がこういう店使うなんて。
坂間）　自分も、いつまでも宮下さんに
　　　　負けてらんないですから。
早川）　あ～仙台の件ね。ちょっと、
　　　　ペンディングになってる。
坂間）　えっ？
早川）　考えたいってさ。やっぱ年頃だもんね。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

道上）　おっぱいじゃねえの？山ちゃん。
山路）　さすがに自分でもそう思います。
道上）　何？何が怖い？山ちゃん。
　　　　怖くないよ、女は。
坂間）　いやあんた、
　　　　ちょっと怖がったほうがいいよ。
山路）　いや～好きになればそういうあの…
　　　　行為に及ぶのは自然の成り行きで。
　　　　俺の場合たまたま？そういう相手が
　　　　今まで現れず。だけど社会生活に支
　　　　障を来すこともなく、むしろ女友達も
　　　　少なくなく、ホント皆さんと、いいお付
　　　　き合いを、させていただいてます。
坂間）　芸能人のコメントみたいだね。
道上）　あいつらぜってぇやってるけどな。
山路）　でもさ、あ～こういうこと言うと
　　　　バカだと思われるだろうけど。
道上）　もう思ってるから言ってみい。
山路）　１回すると変わるじゃん、女って。
坂間）　うん。
山路）　俺さ、敏感なんだよ、そのへん。29年間、
　　　　定点観測してきたから。大体わかる。誰
　　　　と誰がいつやったのか。大体当たる。変
　　　　わるからね、女の態度が。甘える、傲慢
　　　　になる、貪欲になる、不機嫌になる、ご機
　　　　嫌になる。やなんだよ、今すごい好きな人
　　　　がさ、みんなの前で変わっちゃうのが。し
　　　　かも俺も変わるじゃん。１回したらさ。もう
　　　　元には戻れないわけじゃん。
道上）　変わんねえよ。
山路）　そうかな～？
道上）　言うほど変わんねえよ。１回したら、もう
　　　　１回したくなる。もう１回したら、他ともした
　　　　くなるってだけだよ。
坂間）　ちょっとあんた、
　　　　レベルが違い過ぎるから。
山路）　でしょ？
道上）　おお。
坂間）　え、分かったの？
道上）　そうなんだよ。
山路）　そうなんだよ。もうね、あ～…いろいろ
　　　　試したくなる気がすんだよ、俺。だから
　　　　って世界中の女と試すのはムリじゃん。
　　　　つうかなしじゃん。１人を選ぶってことは、
　　　　それ以外を捨てるってことだよ。だった
　　　　らさ、１人も選ばなければ、誰も捨てない、
　　　　誰も傷つけない、俺も傷つかない。
　　　　これ間違ってる？
道上）　俺は、世界中の女と、やりたい。
坂間）　っていうかさ、
　　　　茜ちゃんとそんな深い話したの？
山路）　した。
坂間）　何だって？

（回想）
茜）　来い！
山路）　えっ？
茜）　ん～？どう変わるか
　　見せてやるから。来い！
山路）　いや～…違う違う…違う。
茜）　何が？だってやったら変わるんでしょ？
山路）　酔っ払ってるし。正和君に悪いし。
茜）　黙ってりゃ分かんないよ。
　　別れたし、その傷心旅行だもん。
山路）　そうだけど…。
　　　　いや、あの、それとこれで…。
（茜の寝息）　
茜）　情けない！
山路）　え？
茜）　もっと肝の据わった童貞だと思ってた！
山路）　いやいや、違う違う！いやいや…。
　　　　いやいや…え…え…え？え…。
（茜の寝息）
茜）　傷つくの怖がってたら幸せになれないん
　　だよ。誰も傷つけないヤツは…誰も幸せに
　　できないんだよ。
山路）　正和君のこと言ってる？お～い。
茜）　ふ～ん…。
山路）　いやいや…違う違う。あの、違う違う…
　　　　違う、あの、これ、あの、あっ、お、お、
　　　　おみ…おみ足が、あの、はだ、はだけ
　　　　てた…浴衣の…いや…全然、あの…
　　　　寝てんの？泣いてんの？
茜）　うぅ～…。
　　私は別れたくなかったんだよ！！
山路）　うん。
茜）　別れてから気付いたんだけどね。いや、
　　今までも結構危ない時何回かあってさ…
　　だってあいつ、全然頑張んないし。
　　要領悪いし。ゆとりだし。あ…これ、私と
　　付き合ってたらダメになるなと思って…。
　　だけどね…向こうから別れようって言わ
　　れたの初めてだったんだよ。

道上）　そうなんすか。
坂間）　そうなんすよ。何か、彼女の出世話
　　　　とかで、俺も珍しく焦って。ここで変わ
　　　　んなきゃダメなままだなって…。

（回想）
茜）　別に、ダメなままでいいんだよ、ま～ちん
　　は。頑張っても社長になれるわけじゃない
　　しさ。転職してスキルアップするタイプでも
　　ない。だから変わんなくていい。上を目指
　　さなくていいよって、言いたいけど…。それ
　　は上司として言えないわけ。
山路）　うん。そうだよね。
茜）　卑屈で、頭固くて、優柔不断で、自分に
　　自信がなくて、それがま～ちん。変わった
　　ら面白くないし。別に、だったらま～ちんじ
　　ゃなくていいじゃん。山路でいいじゃん。
山路）　うん…ん？
茜）　私、会社辞める。仙台行かない。
　　ダメなま～ちんといた～い。
　　でもそれは言えな～い！う～…
　　あ～あ、つまんない女だな、私は！
山路）　そんなことないよ。いい女だよ、
　　　　茜ちゃん。俺にはもったいないよ。
茜）　タオル取って。
（タオルを渡す山路）
茜）　で？
山路）　はい。
茜）　で？来んの？来ないの？
山路）　いやいや、茶化すなよ。
　　　　真面目にしゃべってんだから。
　　　　いや、俺言ったんだよ、正和君に。
　　　　話し相手にはなれるけど、
　　　　茜ちゃんのこと幸せにはできないって。
　　　　幸せにできるのは…。
（茜の寝息）

山路）　以上です。
道上）　何だろ…。山路から聞いてるからかな。
　　　　泣けそうで泣けない。
山路）　どういうこと？それ。
坂間）　（泣）
道上）　泣いてる。
坂間）　っていうかさ、その旅行、やっぱり
　　　　俺が行くべきだったんじゃないかな？
山路）　俺も、そう思った。
道上）　本人同士で行ったらセックスして終わ
　　　　りだよ。ごめん。口チャックします。
山路）　で？より戻すの？
坂間）　いや…今の話聞いたら、
　　　　なおさら言えないよ。
山路）　どうして？
坂間）　変わりたいもん、俺。この先変わら
　　　　ないなんてさ、耐えらんないよ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

坂間）　宮下さん。日本酒の件、
　　　　ありがとうございました。
茜）　あぁ、はいはい。各店舗が個性を出す
　　のはいいだろうってことで。杖は？
坂間）　あ、やっべぇ、忘れた。
茜）　じゃあ、とにかく、野上さんとこ
　　行ってください、今すぐ。
坂間）　え？
茜）　食中毒。
坂間）　えっ？消費期限切れ？
茜）　恐らく、二重に仕入れて余らせたんじゃ
　　ない？野上さんがやりそうなことでしょ。
坂間）　山岸は？
茜）　連絡が取れません。
坂間）　あいつまた…。
茜）　とにかく早川部長が今行ってるから。
　　あなたも向かって。
坂間）　はい。
茜）　あ、ちょっとその前に。こんな時に
　　何なんだけど。この人…。
宮下）　ん？
茜）　父です。
坂間）　えぇ！？
宮下）　この人か？
茜）　うん。
宮下）　あ～こりゃどうも。宮下茜の父です。
　　　　今日、佐賀から出てきました。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

山路先生、いい先生だなぁ…。泣けた。うん。眼
鏡と電卓。必要な人が使うのが当たり前の世の
中こそ、本当の平等に近づくことかもね。横並び
じゃなく、足りないものを補って、なるべく同じ条
件に近づけてあげること。みんな能力に違いが
あって当たり前。でも、持って生まれたハンディ
は、ハンディとして、認めてあげられる世界がい
い。電卓を使えばいい。簡単なことのようで、学
校でそんなことを考えてはいけないと、思ってし
まっていた自分の頭の固さこそが、諸悪の根源。
どうしてもできない事を無理やりやらせようとす
るより、どうすればできるか、社会に出た時に対
応できるようにするにはどうしたらいいのかを考
える方が、大事なんじゃないかと気づかされた。
山路、童貞だけど…童貞だけど、いいやつだ～。

茜ちゃんの傷心旅行に付き合い、茜ちゃんの本
音を聞く山路。来いって言われて行けないよね。
だって童貞だしｗ友達を裏切ったりできないし。
セックスしたら変わるのか。変わることもあるし、
変わらないこともあるし。お互いの関係によるし。
好きだったら、変わりたいし変わってほしいし…。
茜ちゃんの本音が分かり過ぎて、つらい。わが
ままといえば、わがままだし、男性にしてみたら、
変わらないでいいと言われてもね、何だよそれ
ってボヤキたくなるだろうとも思う。でもね、そう
いう割り切れなさや、素直になれなかったり、伝
えられなかったり…いろいろあるんだよ、女も！
いや、もちろん男もいろいろあるわけで…。そこ
が男と女の難しさ。相性だったり、運だったり…。

変わらなくていいと言われたって、変わりたいよ
ね、それは。坂間君の気持ちも分かるから辛い。
できれば、茜ちゃんとよりを戻してほしいけど…。

おっぱい連呼にも段々慣れてきて、気が付けば、
「そろそろおっぱいじゃないですか～？」なんて
平気で口にできてしまう自分が怖いｗワインに
絡めて赤おっぱいとか白おっぱいとか…ツボる。
とうとう山路まで、おっぱいじゃないかと自分で
も思い始めるとか面白すぎる～。男には、おっ
ぱいが必要。たぶん、おっぱいの時があるんだ
よ、きっと！な～んて思えてくるほど、まりぶの
おっぱい攻撃にやられてしまっている私の頭…。

●「ゆとりですがなにか」ＨＰ

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