「ゆとりですがなにか」第3話~友達になりたくて | 日々のダダ漏れ

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「ゆとりですがなにか」



第3話
友達になりたくて


青木) 山岸氏は、労災申請を希望しておられ
    ます。認定基準はご存じですね? 「精
    神疾患を発症している。職場で6か月
    以内に業務による強い心理的負荷が
    認められる」。
茜) あの…彼、どっか悪いんですか?
山岸) 鬱だよ、鬱。何? 疑ってんの?
浅倉) 私どものほうで、今回パワハラに該当
    するのではと判断した事例を、紙にまと
    めてきましたので、ご覧下さい。まずは
    ご存じ「泥仕事」発言ですね。
茜) ご存じ?


(回想)
坂間) 泥仕事させてやるよ!


坂間) いや、あの、それは…。
山岸) 言ったじゃん。言いましたよね?
    他にも見てるヤツいっぱいいんだぞ!
坂間) 言ってないとは言ってない。っていうか、
    お前が…。彼の、「泥仕事はしたくない」
    という発言を受けての言葉で。
浅倉) 得意先へ連れていかれ、
    無理やり謝罪を強要され…。
坂間) いやいやいや。受注ミスがあったん
    です。行って謝るのは当然でしょう。
青木) 反論は、後で伺います。
浅倉) 事態が収束した後、
    あらためて自分の非を詫びたところ…。


(回想)
山岸) 初めてちゃんと叱ってもらえた
    ような気がします。


浅倉) 鼻で笑われ、
    ダメ押しで決定的なひと言。


(回想)
坂間) これだから、ゆとりは。


坂間) いやいやいやいや。え? それは、照
    れ隠しというか、私もゆとり第一世代
    ですから、その、親しみを込めて。
青木) とは、サービス残業の強要。
    人格否定とも取れる発言。
    しつこい飲み会への勧誘。

山岸) あっ、飲み会! いや何か、1年目なの
    に、いきなり何か、幹事とかやらされて。
    その時のメールのやりとりまだ残ってま
    す。すぐ出せます。
早川) これ、労災が認定された場合は…。
青木) どうなんでしょうね。
浅倉) 訴訟は費用がかかるので、
    和解をおすすめします。
山岸) やりましょうよ、裁判。俺全然行けます。
浅倉) 解決金より裁判のほうが
    金がかかるんだよ。
山岸) 金じゃないっしょ。ここの問題っしょ!
    傷ついてんすよ、俺、こいつのせいで。
茜) いい加減にしなさい!
山岸) うわっ、怖っ! 見ました?
    この人、今、指さしましたよ。怖っ。
青木) どうですか、坂間さん。これ以上事を
    荒立てても誰も幸せになりませんし。
    こういう場合、
    加害者がパワハラの事実を…。
坂間) 加害者? 僕、加害者なんですか?
山岸) はぁ? 何言っちゃってんの? 被害者、
    被害者。俺みたいにタフじゃなかったら
    今頃自殺してますよ~。
坂間) だけど、悪いことしたとは、
    どうしても思えないんです。
山岸) あった。メール、ありました。
    「店、取れてんの?」「やってます」。
    「40人だぞ」「すいません」。
    「明後日だぞ」「やってます」。
    「今日だぞ」「やってます」。
    「もういいよ」「すいません」。
茜) 普通じゃん。
山岸) あ!? 今何つった? 今! あ?
坂間) 彼の勤務態度は、決して真面目とはい
    えなかったし、取引先への対応も不十分
    でした。誰かが注意しないと彼のために
    ならないと思い…指導しました。行き過ぎ
    があったとは思ってません。
    え? 間違ってますか?


**********

麻生) 分からない。示談金、
    釣り上げようとしてるのかな?
坂間) というより、自分に酔ってるって
    いうか…。ヤツにとっては表現な
    んですよ。会社相手に訴訟起こ
    しちゃう俺、みたいな。
麻生) 騒げば騒ぐほど
    いづらくなるんだけどな~。
    あぁ、辞めるからいいのか。


(回想)
山岸) はぁ?
    何で俺が辞めなきゃなんねえの?
茜) だってLINEで辞めますって…。
山岸) 働きますよ。裁判金かかるし。
    休んだ分だけ、元取んねえと。


麻生) ゆとり…なのかな?
坂間) 後日もう一度、話し合いの場を設けた
    んですが。被害者風というか、態度が
    全然違うんです。

(回想)
山岸) 何か…何か…以前の発言は…
    感情的になってしまって…。
茜) じゃあ何、訴えは取り下げるのね?
山岸) 訴えます。
茜) ん?
山岸) 訴えます。
茜) はぁ!?

坂間) でも結局、
    示談の方が得だと思ったらしく…。

(回想)
山岸) いやいやいや…
    最低これは必要でしょ。
坂間) 10万。
山岸) 100万だよ、てめぇ! ナメんなよ。


麻生) ゆとりモンスターだ。
坂間) 結局僕が頭を下げて、
    始末書書いて、示談金を払えば
    丸く収まるんでしょうが…。
麻生) それで納得できますか?
    できませんよね? だって、
    坂間さん間違ってないもん。


**********

茜) 大人として扱われる事が喜びなんだよ。
  ああいう気の強いコは。で! 時々、
  女の子としてかわいがるんだよ。
山路) いや、分かるけど。
    タイミングっていうか。
    まぁ、見極めが難しいんだよな。
茜) 童貞だもんね。
山路) いや、それ関係ないし。
    っていうか、何で知ってんすか?
茜) フフ…。

**********

山路) 結婚は? しないの?
茜) しない、しない。
山路) ああ。
茜) えっ、何か言ってる?
山路) いや…。
茜) 言ってないのかい!
山路) いや、あの、まだそこまで親しくないし。
茜) まぁ、いずれするんだろうけどさ、
   あいつ結婚ナメてるっつうか。
山路) え?
茜) 結婚を何かの理由にしようとしてる
   感じが、見え見えなんだよね。
山路) 何か?
茜) う~ん、そういうんじゃなくて、
   私は結婚だけがしたいの。分かる?
山路) あ、はぁ…。
茜) 余計なものが一切ない、理由なき結婚。
山路) あ~。
茜) 童貞がセックスだけしたいみたいなもんよ。
山路) それはあんまり言われたくないかも。
茜) 山ちゃん、下の名前何つうの?
山路) ああ、一豊。
    漢数字の「一」に、豊作の「豊」。
茜) 何それ。だったら豊作でいいじゃんね。
山路) いやいや、よくないって。
    あの…え~っと…。
茜) 茜でいいよ。
山路) 茜ちゃん? あっ、茜ちゃん、あの、
    俺と、今日会ったことって、坂間君に
    言う?
茜) 言わない。
山路) あぁ。
茜) 何で?
山路) いや、何かほら、あの、言わないと、
    こう、意味が出るかなって。
茜) え? え…?
山路) いやいや…いやいや…。
茜) 何何何…?
山路) いやいや…。あぁ、いい、いい…俺も
    言わないです。俺も言わない。言わな
    い、言わない。言わない。
茜) はい~。

(タオルで山路を叩く茜)
山路) 痛った!
茜) 童~貞~!
山路) いや、ちょっと…言うな!
茜) 童貞!
山路) くっそ。大声で。


**********

佐倉) 本当のことって何ですか?
    本当のことって、じゃあ何ですか?
道上) 例えば、何でお前は、さっきから山ちゃ
    んに突っ掛かってんの? とか…何か後
    ろめたいことがあって、それ悟られない
    ように山ちゃん攻撃してんじゃねえの?
    とかね。ホントは、お前とお前は、この女
    子大生どうにかしたいけど、どうにもでき
    ないことも分かってて、ただ早く帰るのも
    しゃくだから、惰性で飲んでるとかね。
大田) 何、バカなことを…。
道上) んで、そこの膨張したおばさんと、この
    部分白髪は、もう目の前のから揚げに
    しか興味がなくて。で山ちゃんは山ちゃ
    んで、早くお前と2人っきりになりたくて。
    それはお前もまんざらじゃなくて。それ
    を眉毛と貧相は、気に入らなくて。だか
    ら要するに、おっぱいなんじゃないんで
    すか、と…。


**********

山路) 佐倉先生とどうなりたいとか、思ってな
    いですから。いや、その…確かに、僕に
    とってあなたは、初めての実習生で。舞
    い上がったし、初々しくてハツラツとして
    いて。だから学校行くの、楽しみです、毎
    日。いや、それがその…時に暑苦しいと
    いうか、若いあなたにしてみれば、グイ
    グイ来るって思ったかもしれない。
佐倉) いや、そんな…。
山路) でも子供たちはもっと真っ直ぐ、あなた   
    の事が大好きで、その気持ちには勝て
    ないし、裏切っちゃいけないし。だから
    あなたも子供たちを大好きになってほし
    いし。加害者とか被害者とか、そういう
    目で見ないでほしいし。僕やあなたにと
    っては、ただの1か月の研修かもしれな
    いけど、だけど、だけどね、子供…あの
    子たちにとっては一生を左右する1か
    月かもしれなくて。そう、しれないんだよ。
    そんな重要な1か月を、ネットの情報な
    んかで答え出してほしくないし。だから
    何が言いたいかっていうと、その…。
    いい先生じゃなくていいんで、
    いい人間になって下さい。
道上) 返事しろ、返事。
佐倉) はい。


**********

道上) 早く言えよ~。
坂間) そこまで親しくないでしょ、まだ。
道上) 俺と同い年で童貞ってさぁ、
    そんなヤツいる?
坂間) いますよ。
    頑張ってタクシー止めてますよ。
道上) 止めたな。
坂間) 止めたね。


**********

佐倉) 何か…うれしかったです。さっきの。
山路) えっ?
佐倉) 初めてちゃんと、叱ってもらえた気が
    しました。確かに、慎重にならないと。
    私にとっても、人生左右する1か月だし。

**********

山路) やっぱ茜ちゃんのアドバイスが効いた
    のかな。ちゃんと大人として扱って、た
    まに女のコとしてかわいがるって。
坂間) へぇ~あいつそんなこと言ったんだ?
山路) うん。
道上) いつまで? その…研修? 実習?
山路) あ~…あと、2週間とちょっとですね。
道上) おっ、じゃあそれまで
    お預けおっぱいだね。
山路) いやいやいや…やめてよ、マジで。
    今日だって半分は感謝してるけど、
    半分は軽蔑してますからね。
道上) あらま。
山路) 「あらま」…。「あらま」じゃないすよ…。
道上) ういっす。うぃ。
山路) あっ、じゃあ。どうしたの?
坂間) あ、いや、山岸と一緒だな~と思って。

(回想)
山岸) 初めてちゃんと
    叱ってもらえたような気がします。

(回想)
佐倉) 初めてちゃんと、
    叱ってもらえた気がしました。


坂間) 言いたくないけど、世代なのかな?
    やっぱ。俺らも、怒られる側から、怒 
    る側になってんだよ。まぁ、俺の場合
    パワハラで訴えられたけど。
山路) えっ?
道上) パワハラ?
山路) いや、ちょっとヤダな。
    何か怖くなってきた。
道上) 何それ、何の話?
山路) あ~坂間さん今、部下と係争中なの。
道上) マジで!? 何それ。シメっか!
山路) いや、まりぶ君、急だな。
道上) え~? じゃあよ、俺が弁護士に
    なってよ、弁護してやるよ。
坂間) それだと間に合わない。
道上) マジか、じゃあそいつシメっか!
    呼び出してさぁ、シメりゃ黙んだろ。
山路) あんたが黙って。
道上) うぃっす。
坂間) あ~。
    「茜ちゃん」て何?
山路) えっ?
坂間) 「茜ちゃん」て呼んだよね?
    山路君さっき、茜ちゃんのこと。
    まぁ、茜ちゃんなんだけどさ、
    でもさ、茜ちゃんて呼ぶ?
    たった1回遊んだだけで。
山路) あ~…うん、そうっすね。
坂間) えっ? え…それだけだよね?
山路) う~ん…。うん。ごめんごめん。
坂間) えっ、えっ、えっ…何?
    今の変な間。ねぇ?
道上) 誰? その人。
山路) 茜ちゃん?
坂間) だからさ、茜ちゃんて…!
ユカ) マサカ! アンタタチ、
    トマルキジャナイヨネ?


**********

明子) そう。坂間さん、よく耐えましたね。
坂間) 不謹慎ですけど、
    息子さんのおかげっていうか。
明子) うん。あの子も喜んでると思う。
    ウソ、喜んではいない。
    だって知らないもんね。
坂間) そうなんですよね。僕も知り合い
    みたいな気がしてますけど。
明子) あっ、これ、見てくださる? 
    会社側から送ってきたの。「通知人の、
    安全配慮義務の、債務不履行による慰
    謝料、2500万円。葬儀費用…」。不服の
    場合は裁判ですって。これが安いのか、
    妥当なのか、誰が決めるのよ!
    5万円で済んでよかったわね。
坂間) はい。
明子) ねぇ、これ(日本酒)、ご実家の?
坂間) あっ、はい。
明子) きれいね~。
    いただいちゃおうかな、今。
坂間) 今ですか?
明子) うん。


**********

ゆとり) ダメかもしんない。
坂間) 何、どうした?
ゆとり) 私…ダメかもしんない。
坂間) 何、泣いてんの?
ゆとり) どこにも誰にも、
     必要とされてないのかな。
坂間) 何言ってんだよ、そんなことねえよ。
    お前頑張ってんじゃん。
ゆとり) 昨日コーヒーショップ行ったら、同い年
     くらいの子が生き生き働いてた。笑顔
     でキラキラしてた。何ちゃらマキアート
     とか言って、このお店で働けて私、超
     幸せですみたいな顔で。羨ましかった。
     あんなふうに笑えるのかな?
坂間) 笑えるよ、そりゃあ。ていうかそいつら
    だって心の底から笑ってる訳じゃねえ
    よ。たぶん。ほら、見せてんだよ。生き
    生きと笑ってる自分を…。誰かに…な?
ゆとり) もうヤダ~!
坂間) 諦めんな! 何社受けたか知らねえけ
    ど、お前今諦めたらもったいねえよ。


**********

道上) 謹慎中で落ち込んでるかと思って
    来たけど、心配して損したわぁ。
坂間) まぁまぁ落ち込んでたよ。
山路) ふ~ん。家に酒蔵あって近所に温泉
    あるヤツに、悩みなんかないっしょ。
坂間) そんなことねえよ。日本酒飲めねえし。
道上) かあちゃん優しいし、妹かわいいし。
    長男夫婦が家業継いでるし、
    何が不満なんだよ。
坂間) いろいろあんだよ。


**********

山路) う~ん、あ~休日に友達と
    遊ぶなんて何年ぶりかな?
道上) 友達? 俺ら友達か。
山路) あんたのこと言ってない。
坂間) 友達ってもっと気遣うよね。
山路) そうそうそう…土日に連絡したら面倒
    くさがられるんじゃないかとか。誘われ
    たら断る理由考えるの面倒だなぁとか。
坂間) で、結局お互いFacebookで近況だけ
    知ってるけど、実は何年も会ってない
    みたいな。
道上) 俺ら週3か4で会ってるもんな。
山路) うん、友達じゃないね。
道上) 俺ら週3か4では…。
坂間) 友達じゃないね。
道上) この後どうする?
坂間) 母ちゃん飯作ってるけど。
道上) それ食ったらどうする?
    山ちゃんどうすんの?
山路) いや、どうって…帰るよ。
道上) 何、泊まってっちゃえよ。
    どっかその辺にさぁ。
山路) いや、無理っしょ!
道上) 何で何で? チャンスじゃん。
山路) いや…いやいや、あの、ほら、
    まだ2週間あるし。
道上) 何だ? 2週間たったら何か
    変わんのか? あの女。
    脱皮すんのか? 甲殻類みてぇに。
    しねえだろ! だったら今でいいじゃん。
    2週間黙ってれば、結果一緒じゃん。
山路) もう、ちょっと…。
    坂間君、何とか言ってよ。
道上) お前パワハラしたの?
坂間) えっ?
道上) 理不尽な発言で、人格否定して後輩を
    精神的に追い込んだの? 違うよね?
    何で金払って、会社休まなきゃなんねえ
    の? 後輩元気で働いてんのにさ。
坂間) 会社の決定に従っただけで…。
道上) だってお前と、その後輩も、会社
    の一部だろ? もっと主張した方が
    いいんじゃねえの?
    あっ、ごめん! 友達じゃないから、
    言いたいこと言っただけ~。

**********

麻生) いや、それにしても不思議だな~。
    うちのせがれと、坂間さんが、お宅にお
    邪魔するようなお友達になるなんて…。
坂間) 友達じゃないです。


**********

山岸、怖いわ~。ゆとりモンスター怖い~。てか、
ゆとりというより、こういうタイプいるよな~って。
ゆとりでもゆとりじゃなくても、この手のメンドク
サイ人間が。関わりたくないわ~こういう奴には。
ヤバさがリアル過ぎて、あのやりとりを見てるだ
けでバクバクする。何ていうか…いろいろと、い
ろいろと…考えさせられる、絶妙なさじ加減だわ。

佐倉先生の思い込みによる暴走ぶり、山路と茜
ちゃんの話しやすい友達モードでの急接近、ま
りぶの意外と真っ当でいい人な感じとか、やっぱ
クドカンってすごいわ~と。リアルな、人間のセリ
フがいっぱいで。いい事だけでも悪いことだけで
もなくて…。普通に、ダメだったりダメじゃなかっ
たり、いろいろあるんだよ、生きてるとさって感じ。

気を遣うのが、友達なのか、気を遣わないのが、
友達なのか。大事だからこそ考え過ぎてしまう
気持ちもわかるし、そういうところを超えていけ
るのもまた、友達ゆえというところもあるし。会う
頻度が、友達の深さを定義するものでもないし。
…なんだけど、友達じゃないといいつつ、もう友
達なんじゃね?って感じる坂間と山路とまりぶ。

いい先生じゃなくていいんで、
いい人間になって下さい。

「いい人間」っていうのも、じゃあ何がいい人間
なんだよって思わなくもないけれど…。漠然と、
悪い人間よりは、いい人間でいたいとは思うw
ゆとりトリオ、なかなかいい人間だと思うけどね。


●「ゆとりですがなにか」HP


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