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今日は沢山滑って怪我しました。粗忽ものなので、雪ですってんころりんと車の運転で雪かべにちょこちょこぶつかりました。
狭いから難しいのである、でも、私はスーパーゴールドSDカード保持者なのである。(車が多いところを運転しないから)
Kierkegaard

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「あなた、お名前は」

「れん、つるがれん」

「わたし、キョーコ」

「キョーコちゃんっていうんだ」

一面の、緑の中の刹那の邂逅、二人は忘れなかった。

尚が先導し一行が向かう場所は緑の女王が休眠する場所、樹齢が二千年以上の杉の古木がある場所、緑に覆われ静謐と静寂が支配する場所。

彼らの前には緑の道があり、彼らの後には閉じられる、不可侵な場所なのである。

「お兄ちゃん、どのくらいで着くの?」

「あと十分くらいだけど、疲れたのか?」

「ううん、平気。何だか体に力がみなぎってるというか、初めてよ、こんな感じになったの」

濃い緑の長い髪が風もないのにたなびき一部は蓮にまとわりつき、透き通るほどの白さは依然より艶やかで、元気だということは一目瞭然だった、が、蓮は不安を拭い去りきれない。

どうしたんだこの島についてから胸がざわめく、結んだ手から存在を感じているのに、消えてしまいそうな、この不安は。

尚は、蓮の焦燥を知りつつ、運命なのだ、仕方ないのだ、別れのその時がくるのはあと僅かだから、何も言わない。

Kierkegaard

教授一行は、緑の迷宮を進む、そして自分たちが迷宮に閉ざされたことを知る。

「何だこれは、前に進んでもまた来た道に戻る、どういうことだ」

「GPSは働いているか?」

「正常動作しています、通信もベースと交信できています、が、我々の位置が変わらないことに報告を求められてますが」

「小型カメラを搭載したヘリを使うよう連絡してくれ」

「了解」

「緑の迷宮、以前私が博士の元を訪ねたときもそうだった。ここに彼らはいるはずだ」

「教授、どういうことです」

「植物が意志をもって私らの行く手を阻んでる。植物も我々人間と同じような脳波のような電気信号を発信しているんだ。おそらくその電気信号が我々の脳波に干渉し、幻影を見せているに違いない、そうだ、そうに違いない」

「ということは、衛星写真を元に作成した地図通りに進める?」

「全員、スコープを装着、耳栓装着、以後の伝達手段はサインのみだ」

「了解」

目、耳からの直接情報を遮断したとき、迷宮は消える。

彼らはまっすぐに島の中央へ進み、そして、避難艇を発見するのだ。

『これは・・・UFO』(サインです)

『彼らはどこだ!』

『足跡です、こちらに向かったようです』

『数名は、こちらに待機、本部と交信し、物体を確保しろ!』

「まさか彼らは、・・・」

「教授?」

狩人がすぐそばまで近づいている。

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