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その前の話 その1

青年と少女のような女性の邂逅、少年は子供の頃の出会いを大切に胸にしまい、時を重ねる。

緑の髪の少女、緑の精霊の女王、森の、生物の悪意、それは少年の心に刻み込まれ、彼はいついしか生物の学問の道へ進む、いつか彼女に逢うために。

ほんの一瞬の出会いと別れ、瞳に映った少女の姿を彼は忘れなかった。

ピアノの音と少女の歌う声が彼を捉え話さなかったのだ。


「ご、ごめんなさい、あの、わたし」

「きみは、キョーコちゃんだろう」

胸の中で抱き留め捉え離さない青年は、問う。
少女は、彼が幼い頃に刹那に逢った少年だと気付く、でも、本当のことは言えない。
緑の髪の色が、私たち以外にありえないんなんて知らない。
私たちは、みつからないように生きていかないといけないなんて、...

つ・る・が・れ・ん、そう、あの黒髪の少年は応えた。
にっこりとほほ笑むと彼も笑った、それは、おにいちゃんと違って、きゅんとなった。

お母さんが忘れろと言った、忘れたいのに、・・・


青年の指先が少女の額にかかる前髪を払う、顔が露わにになる、幼い頃出会い、惹かれ、記憶に残る残照。

少女も少年も互いの記憶の底に、忘れないよう留めていた。

あなたを、わたしを、

・・・

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