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Kierkegaard
(挿絵と本文は関係ありません、えーとまあそうなのである←進歩がない)

その前の話 その1 その2 その3

緑の髪、緑の精霊の女王、・・・・忘れなさいと、女王は言った。

でも少女の柔らかな笑みと瞳に少年は囚われる。

もう一度、いつか、きっと出逢う。

蓮は、少女がいつも日向ぼっこする公園のベンチに腰掛け、少女のような彼女を待つ。

彼女は、陽の光が柔らかでいて、そして強さを放つ時間に30分だけここに腰掛け、いまは黒髪となった髪の毛を広げ、柔らかな微笑を浮かべささやかな公園の緑と会話している。

君の瞳には何が映っているの?君の世界に僕は触れたい。

キョーコは、喫茶店の窓から外を見やる、お日様の光を窓越しに受け止める。

公園に行かなきゃ、でも、あの人に逢うのが怖い、でも、逢いたい。

お母さんと一緒に緑の草原で逢った黒髪の少年・・・

つ・る・が・れ・ん と名前を教えてくれた。

れ・ん・・・

「キョーコ、今日は、散歩に行かないのか?」

「お兄ちゃん、あの、えーと、ちょっと体調が悪くて」

「おま、大丈夫か?ね、熱は、ないなあ」

「だ、だいじょうぶだから」

「そ、か、それならいい、じゃあ俺散歩に行ってくる、店番頼むな」

「行ってらっしゃい」

カラン、お客さまだ、キョーコが入り口を見ると、蓮だった。

「待ってたのに」

「あ、ご、ごめんなさい」

「君一人なの?」

「あ、あの、だから凝ったのはできませんが、何にしますか?」

「き・み」

「はあ」

「うそ、カプチーノをお願いするよ」

「わかりました」

蓮の好きなマンデリンをネルで抽出して、あっためたミルクを加えてと、シナモンスティックを添えて、蓮の元へ。

「お待たせしました、お兄ちゃんのようにはいかないけど」

シナモンスティックでかき混ぜ、蓮は口づける。

「おいしいよ」

「良かった」

二人は他愛ない会話を続ける、穏やかでゆっくりと時が流れる。

それは想いがゆっくりと流れる時間でもある。

さらさらと互いの想いが互いの胸に流れ重なる。

続く その5