「羊飼いの歌」
弧を描く、視線の先はゆるいカーブで淡い緑の、
どこまでも続いてく、そんな錯覚くり返す、
幼いころに幻視した、胸のなかに宿る光景、
ずいぶん長く歩いてた、もう足跡は手繰れない、
羊たちを連れてきた、四季と未知を塗り替えた、
祈りと願いはささやかに、今日を静かに過ごすこと、
健やかなる日が目覚めたころにもありますように、
街はどこも文明に充ち、享受してると人々は、
どこかそれは操りの、使い棄ての人形のよう、
先をゆく、羊の丸い尾、
導かれてるよう、それを追うのは羊飼い、
永遠の、緑が連なる野に立って、
その場を旅の終着に、彼女は一歩を羊に連れられ、
群れなす彼らは老いた少女を、
急かすでもなく引くわけもなく、
音のない眼は青い光を、子が子へ引き継いでゆく、
もう少しなら征けるのかしら、
もう少しなら征けるのでしょう、
羊たちが待っているから、
緑の永久、私はいまだ見ていないから、
【追記】
これは二、三年前に書いたものの再編集なんですが(←絵だけ)。
この三篇に通じるものがあるような気がしますね。気だけかもしれませんけど。
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