「聴こえてくるアコーディオン」
今日もまた陽が墜ちてゆく、夜を始める用意をしなきゃ、
鳥たちは森へ帰る道を見つけた、代わるように蝙蝠たちが目を覚ます、
聴こえてくるのはアコーディオン、
さらに深まる夜の青みに光る白たち、
弾けて散らばるソーダの泡みたいな星と、地上の煌々たるネオン、
淋しがり屋は一晩限りの愛を求めて、腹を空かせた小猫みたいに、
蒸れたアスファルトにひしめき合う、真夏の夜には似合わない、
黒光りするドレス、アクセサリーをじゃらじゃらさせる、
運び屋たちは深夜を探し、冷ました熱で無闇を走る、
地図に載らないオペラハウスの天井桟敷、解体されたことを知らずに、
寝言よりも甘い歌、口笛吹いて聴こえないふり、
そんな夜はとうに忘れた、変わらないものはなく、
速度だけが昨日を置き去るような気がした、
森に消えた白鳥追って、溶けて黒い青へと鳴らす孤独の奏者、
聴こえてくるのは途方に暮れて黄昏れる、
昔話の流れ星を歌にした、
宝地図のなかにだけある、架空の国の子守唄、
街娼たちの望郷や、鉱夫たちの憧憬よ、
聴こえてくるのは風を揺らせるアコーディオン、
【2014総括】ワールズエンド・レコーズ 3
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