政治と憲法つれづれ草 by リリー

政治と憲法つれづれ草 by リリー

つれづれなるままにリリーも憲法について語ってみんとてするなり。

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太平洋戦争中、全国各地の都市が米軍の空襲を受けました。1945年3月の東京大空襲では、約10万人が亡くなりました。しかし、戦後75年が経過しても、被害者には何の補償もされていません。

今日の毎日新聞の社説です。

国は戦後、軍人や軍属だった人と遺族には年金や弔慰金を支払ってきました。原爆被爆者、シベリア抑留者への支援制度も設けられました。一方、空襲などで被害を受けた民間人は補償の対象外とされました。障害を抱えたり、家族を失ったりし、戦後も苦難を強いられたにもかかわらず、放置されてきたのです。ドイツやフランスは民間人も戦争被害の補償対象にしているのですが。

政府が、補償を拒む理由として挙げているのが、国との雇用関係がなかったことです。でも、都市の住民は防空法などによって、住まいを離れることが事実上禁じられていました。空襲時の消火義務も負っていました。被害を招いた国の責任です。

名古屋、東京、大阪の空襲被害者や沖縄戦の被害者が国に賠償を求めて提訴しましたが、いずれも敗訴しました。最高裁は、戦争の損害は国民が等しく受忍しなければならず、補償は立法府の裁量だと判断しました。国会に解決を委ねたのです。

国会では、73年から88年にかけて野党が救済法案を14回提出しましたが、全て廃案になっています。

超党派の議員連盟が救済法案の要綱をまとめ、今国会への提出を目指しています。空襲や沖縄戦などで心身に障害や傷を負った人に一律50万円の特別給付金を支払う内容です。政府が空襲被害の実態調査を行い、追悼施設を設けることも盛り込んでいます。

被害者に残された時間は限られています。国による救済が急がれます。

※2020/11/18『毎日新聞』社説より

「国民のために働く内閣」を標榜したのでしょう? 菅首相はどの程度、拉致問題に真剣なのでしょう? 何がどう進んでいるのでしょう? 横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから今日で43年です。

一向に解決の気配を見せない拉致問題ですが、母親の横田早紀江さんはおっしゃいます。

「存命な親が2人しかいない」

「本当に許せないし、こんなに大変なことが起きているのにどうしてこれほど長い時間がたっても助け出せないのかと、すごくむなしい気持ちです」

(6月に亡くなった夫の滋さんについて)「あれだけ一生懸命頑張って40年以上待ち続けても一目会うこともできなかった。存命な親が私を含めて2人しかいないというのは異常なことで、こんなことがあっては本当にいけないと思う」

「拉致被害者の帰国のために政府は真剣に動いてほしい。トップどうしの話し合いがいちばん大事だと思うので、まずは話し合いをしてほしい」

政府にすべての拉致被害者の一刻も早い帰国を求めます。

※2020/11/15 NHKニュース
菅さん、失礼ではありませんか。あなたは次期大統領がトランプさんならすぐ会いに行く。でもバイデンさんなら先送り。その心づつもりを明確に示しました。10月27付の共同通信によると;

政府は、11月3日の米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選した場合、来年1月の就任まで初会談のための菅義偉首相の訪米を見送る方向で調整を始めた。4年前は安倍晋三前首相が就任前のトランプ大統領と会談し信頼関係を築いたが、バイデン氏の政治姿勢や、新型コロナウイルスの感染状況などを考慮する必要があると判断した。複数の日本政府関係者が27日、明らかにした。

トランプ氏が再選された場合は、お祝いと菅首相の就任あいさつのため早期の訪米を模索する。米国でG7サミットが開催される可能性もあり「日程調整は、よりスムーズに進むだろう」(官邸筋)とみている。

とのこと。この態度の使い分けは外交上、問題ではありませんか。相手が理性的だからいいようなものの出だしからしくじりましたね。汚点を残しました。
「日本人が今までになかった惨禍(先の戦争)を招いたのは、日本人の常習となっている妥協や盲従によるものでした。もし日本人が偉大な民族になろうとすれば、結果にかかわりなく、国に対してであれ、誰に対してであれ、自らの堅い信念に基づいて主張しなければならない」(孫崎享著『日米開戦の正体』(2015)p462)。

負ける戦争に突入して行った原因のひとつです。

朝河貫一は歴史学者です。日露戦争後の1909年、著書『日本の禍機』で日米開戦を警告し、その後も一貫して日本の対外姿勢に警告を発し、日米開戦を避けようと尽力しました。でも、真珠湾攻撃は避けられませんでした。

今の日本の空気はあの戦前によく似ています。私たちは過去に学ぶことができます。主張すべきは主張する、おかしいことをおかしいと言う。普通のことだと思います。

日本学術会議の任命拒否をはじめ、納得のできない問題がいろいろあります。妥協や盲従は、またあの時代を引き寄せることになるのではないか。私もそんな不安を抱くひとりです。


名護市辺野古の新基地建設に関する話です。

戦没者の遺骨が含まれる土砂を米軍基地建設のために使用することについて、鳩山由紀夫さんがこんなツイートをしています。

私は一度だけ米軍に沖縄戦で殺された方々の遺骨収集を手伝ったことがある。まだ多くの遺骨が特に南部に眠っているのである。なんとその遺骨が眠る土を辺野古を埋め立てて米軍基地を作るために使うというのだ。米軍に殺された方が日本政府によって米軍基地の下に眠る。こんなことが許されて良いのか。
(2020年10月20日)

かつて、沖縄戦で多くの県民が犠牲になった場所を「血を吸った大地」と表現した人がいました。1971年12月、瀬長亀次郎氏(人民党)は国会で、佐藤栄作首相に南部で犠牲になった人々の白骨写真をかざしながら「沖縄の大地、われわれの同胞の血を吸ったこの大地は、そうして遺骨は土と化しておる」と指摘したのです。
(2020/10/22『琉球新報』社説)

工事で重機を使って土砂を採取する時に、戦没者の遺骨が混ざる可能性があります。遺骨は石灰岩や土の色と同化していて見た目ではほとんど分かりません。

そもそも辺野古の新基地建設計画にはたいへん無理がありました。マヨネーズ状の軟弱地盤については工事が始まってから出てきた問題です。最初に十分に調べることができなかったのか。

遺骨の混ざった土を使ってまで埋め立て工事を継続しようとする前に、当初の見通しの甘さを反省し、引き返すことを考えるべきではないでしょうか。
今でも戦没者の遺骨の帰りを待ち続けている人々が日本全国各地にいます。ですからこれは沖縄だけの問題ではありません。

名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は設計変更を申請しています。新しい在日米軍基地の埋め立てに用いる土砂の採取場所を沖縄県内の全域に広げるというのです。糸満市や八重瀬町も含まれます。

このあたりは75年前の沖縄戦で、南部に追い詰められた多くの県民が亡くなった場所です。そしてその地中からは、沖縄戦で亡くなった人とみられる遺骨がいまだひ見つかっています。現に今年も糸満市で沖縄戦の戦没者とみられる遺骨が見つかりました。

つまり、新基地建設用の土砂が足りないからと言って、足りない分を沖縄全域からもってこようとすることは、戦争で亡くなった人の血や肉が染みこんだ土や石を、新たな軍事基地建設に使用するということなのです。

これこそ「人柱」ではないか!


※2020/10/18『金口木舌』「人柱にさせぬ」より


中曽根康弘元首相の内閣・自民党の合同葬に合わせ、文部科学省が全国の国立大学などに弔意を表明するよう求める通知を出していた問題。今日の毎日新聞社説です。

政府は各府省が弔旗の掲揚や黙とうを行うことを決め、関係機関も同調するよう協力を促していました。

小渕恵三、鈴木善幸、橋本龍太郎の各元首相の合同葬でも同様の通知が出されています。文科省の対応は前例を踏襲したものです。

背景には、大学を巡る状況が厳しさを増している事情があるといいます。

2004年度の法人化以降、国立大学への運営費交付金は年々減らされ、2015年度までに総額1579億円が減額されました。

国が各大学に交付金の一定割合を拠出させ、教育研究の成果などを評価したうえで再配分する制度も導入されていますから、大学側は国の意向に気を使わざるを得ません。

菅首相が日本学術会議の新会員候補6人を任命しなかった問題が起きたばかり。加藤勝信官房長官は、弔意表明は強制ではないと強調していますが、本当のところはどうなのでしょうか。


10月10日といえば私にとっては「体育の日」なのですが、同じ10月10日でも76年前のその日は悲劇でした。沖縄本島や宮古、石垣、奄美大島など広範囲にわたって米軍の猛烈な空襲があったのです。

出撃した米軍機は延べ1396機。「晴天の空が曇るくらいの米軍機が空を覆った」との証言があります。

爆弾が民家や学校、病院にまで降り注ぎ、多くの住民の命が奪われました。日本国内で初めての大規模無差別爆撃だったのです。

那覇の街の9割が焼け野原となりました。

それから76年近くが経った今年の4月のこと。那覇空港の工事現場で不発弾が3発、見つかりました。いずれも米国製の250キロ爆弾です。この場所が旧日本海軍の飛行場だったことなどを考え合わせると、これらの不発弾は10・10空襲で投下された可能性が高い、と識者はみています。

発見された不発弾は、戦後処理がいまだに終わっていないことを物語っています。


※2020/10/10『沖縄タイムス』社説
なるほど。これは当たっていますね。

「トランプが分断と対立をつくったのではない。分断と対立がトランプを生んだのだ」

今日の『沖縄タイムス』社説です。記事はこう続きます。

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16年の大統領選後に多くの識者がそのような分析をしてみせたが、問題にすべきはその先のことだ。

トランプ政権で国防長官を務めたマティス氏は、人種差別反対の過激な抗議行動を鎮圧するため軍部隊を出動させることを示唆した大統領に怒りをあらわにし、「国民を結束させる努力をしない大統領」と厳しく批判した。

「われわれ対彼ら」という対立の構図をつくり出し、連射砲のように言葉を繰り出し、敵をたたく。不都合な事実を「フェイクニュース」と決めつけ、逆に対立をあおる。品位をかなぐり捨てた「あおる政治手法」が、分断と対立を深めているのである。

科学的な知見や事実が軽視され、まともな政策論争が成立しなくなった。
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あれっ。と思いました。なんだか日本もそうなってきているような。

社説のタイトルに「分断と対立が衰退招く」とあります。自分の国の衰退なんて誰も望むはずがありません。日本国民として気をつけるべき大事な課題です。

今の「日本学術会議」の問題は深刻です。「この先生のゼミをとったら、おれ、就職にやばいかも」なんて考えだす学生が現れないとも限らない。大学にしても、「この先生がいると国からの補助金を減らせるかなあ」なんて考えですかもしれない。

そう考えるとものすごく大きな問題です。

※2020/10/06『沖縄タイムズ』、TBS『ひるおび』
人事介入まで継承しようというのでしょうか。菅総理が日本学術会議の新会員の任命にあたり、6名を除外した件です。

「日本学術会議」は1949年、科学に根ざした提言を通じ平和的復興や福祉に貢献することを目的に設置された独立機関です。政府の追認機関ではないということ。ここが大事なポイントです。

それなのに、菅首相は日本学術会議の新会員任命にあたり、この会議が推薦した105人のうちの6人を任命しませんでした。その理由はなんなのでしょうか。こんなことはこの制度が始まって以来はじめてのことです。

任命されなかった6名に共通するのは、過去に政府に異論を唱えた人たちだということです。特定秘密保護法案、共謀罪法案、安保法案などが審議されていた時でした。

今回の任命拒否を受けて、学術会議は緊急で協議しました。そして、菅総理が6人の推薦候補を除外した理由を明らかにすることとと、改めて6人を任命するよう要望書を提出しました。

でも菅首相は「法に基づいて適切に対応した」と述べるにとどまり、任命拒否の理由を言いません。これまでの政権は、学術会議によって推薦された候補者全員を任命していますから、ここにきて菅政権は恣意的な介入をしたと思われても仕方がないのではないでしょうか。

とにかくこれによって学問の世界が萎縮してはなりません。先の不幸な戦争は、正しい考えの人たちがその正しいことを言えなかったことも原因のひとつでした。

憲法で保障されている「学問の自由」への侵害を許してはなりません。これを許すことは、私たち国民が、また政府の行為によって不幸な目にあっても構わないと言っているに等しいのではないでしょうか。