恣意的な人事介入ではないでしょうか | 政治と憲法つれづれ草 by リリー

政治と憲法つれづれ草 by リリー

つれづれなるままにリリーも憲法について語ってみんとてするなり。

人事介入まで継承しようというのでしょうか。菅総理が日本学術会議の新会員の任命にあたり、6名を除外した件です。

「日本学術会議」は1949年、科学に根ざした提言を通じ平和的復興や福祉に貢献することを目的に設置された独立機関です。政府の追認機関ではないということ。ここが大事なポイントです。

それなのに、菅首相は日本学術会議の新会員任命にあたり、この会議が推薦した105人のうちの6人を任命しませんでした。その理由はなんなのでしょうか。こんなことはこの制度が始まって以来はじめてのことです。

任命されなかった6名に共通するのは、過去に政府に異論を唱えた人たちだということです。特定秘密保護法案、共謀罪法案、安保法案などが審議されていた時でした。

今回の任命拒否を受けて、学術会議は緊急で協議しました。そして、菅総理が6人の推薦候補を除外した理由を明らかにすることとと、改めて6人を任命するよう要望書を提出しました。

でも菅首相は「法に基づいて適切に対応した」と述べるにとどまり、任命拒否の理由を言いません。これまでの政権は、学術会議によって推薦された候補者全員を任命していますから、ここにきて菅政権は恣意的な介入をしたと思われても仕方がないのではないでしょうか。

とにかくこれによって学問の世界が萎縮してはなりません。先の不幸な戦争は、正しい考えの人たちがその正しいことを言えなかったことも原因のひとつでした。

憲法で保障されている「学問の自由」への侵害を許してはなりません。これを許すことは、私たち国民が、また政府の行為によって不幸な目にあっても構わないと言っているに等しいのではないでしょうか。