
¥900 Amazon.co.jp
サイズ 609P 15cm
蒼が主人公の「建築探偵」シリーズ番外編。
初めてのガールフレンドが抱える秘密、解明された学園伝説の真相、
ひとり芝居『鏡の中のアリス』の悲劇など。
蒼が11歳から20歳までに出合った四つの事件!
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シリーズ番外編(通産9作目)
蒼にめちゃめちゃ感情移入しているmokkoとしては
蒼にガールフレンドができるとか、友達ができるという前情報に
なかなか手が出せずにいました。
シリーズ物の登場人物は最後まで同じであって欲しいというか
変化への拒否反応なんだなぁ~
だけどブロ友の翠香さんのレビューを読んで
ガールフレンドも友達も心配してるようなことはないので
安心して読み始めました。
架空の世界の事とはいえ、先が知りたいようで
続きを読まなければ自分の中で終わりは来ないという
複雑な心境というのでしょうか・・・
こんなところでも小心者です。
本作の4つの事件は年代が飛びます。
最初に蒼から説明があるんだけど、順番通り読みましょう♪
「BLUE HEART、BLUE SKY」
1991年2月。蒼は12歳。
神代家で暮らし始めて1年半くらいの時期。
久しぶりの幼い蒼に胸キュンです♪
原罪の庭の壮絶な事件から1年ちょっとしか経っていないので
蒼はようやく外に出られるような状態。
といっても、教授や京介と朝の散歩に出る程度。
他人との接触を極端に怖がっている時期です。
ある日、初めて一人で散歩に出た蒼は、神社の境内で
いきなり突っ込んできた大型の老犬ブルーに激突され
追いかけてきた飼い主の奈々江さんと知り合う。
これをきっかけに蒼は一人で出掛け、ブルーの散歩を手伝うようになり
招待された奈々江さんの家で、ある物語を聞かされる。
リアルな話の内容から、何か恐ろしいことが起きるんじゃないかと
不安になる蒼。
そして奈々江さんの家をジッと見ている男が現れて・・・
蒼が無事に事件を解決して、家に戻る道を歩いていると
心配した深春と、そこにいるはずのない京介がいた。
二人の優しさがわかるこのシーンが大好きだぁ~!!
「BEELZEBUB(ベルゼブブ)」
1997年5月。高3の時(蒼は1年ダブっている)
美貌の帳から半年後の話です。
学校で蒼は薬師寺香澄と名乗っている。
(あぁ~この名前だけでも辛いのにぃ~)
これは蒼の友達の結城翳(ゆうきかげり)目線で語られてます。
校内のあちこちに赤いペンキで「BEELZEBUB」という
落書きが見られるようになり、死体の切り抜き写真や
マネキンのパーツが吊るされるなど、行動はエスカレートしてきて
とうとう落書きと一緒に猫の死体が置かれていた。
翳は蒼にその話をするものの、いつもはぐらかされる。
幼馴染のミネオ♀に話を持ちかけるのだが、学校の伝説の話から
薬師寺事件という名前が出てくる。
口を濁すミネオの態度から触れてはいけない事件なのかと
それ以上聞くのはやめたけれど、事件は翳の友人や数人の
生徒を巻き込んで、思わぬ方向へと向かっていく。
落書きの犯人は?BEELZEBUBとは?伝説の真相とは?
翳目線だったので、彼の青に対する気持ちがすごくよくわかった。
これなら蒼の親友と認めましょう♪
翳からすれば、蒼は謎だらけみたいだけど、人としての
蒼をちゃんと見てるから安心したわぁ~
しかし門野の爺さんは元気だわぁ~
「DYING MESSAGE《Y》」
1997年3月と1999年3月。
編入試験を受けて、高2クラスに入り1年経った高2最後の月。
クラスメイトのヒロ(坂本)はミッション系の私立に通う
Emiと知り合い夢中になるのだが、そんな中
蒼はヒロからの誘いでEmiの双子の兄が手がけた一人芝居
「鏡の中のアリス」というミステリ風劇を見に行くことになる。
芝居を見終わり、駅に向かっているヒロにTELが入り、
大急ぎで引き返した二人は建物の中で死んでいるEmiを発見。
床には「Yが殺す」という文字が残されていた。
警察は自殺という結論を出したのだが、死体を目の前にしても
冷静すぎる蒼の態度とショックからヒロは蒼を避けるようになる。
それから2年経った1999年。
偶然目にした新聞記事に蒼は事件の真相に思い当たる。
弔いのために再び劇が演じられた場所に向かうと・・・
内容としては重いです。
もう少し遅い時期だったらと願わずにはいられない。
死んでしまった人には、なんにもしてあげられないもの?
何を缶上げても全部手遅れなのかな?
そう聞いた蒼に驚きもせずに答えた京介はやはり暖かい♪
「SENTIMENTAL BLUE」
1999年。春休みのお話。京介達は「月蝕の窓」で活躍中。
98年4月に高校卒業した蒼は、故意に1年浪人してから
W大に入学。
これは「DYING MESSAGE《Y》」の続編になります。
ここで登場する劇団メンバーは後で本編に登場するそうです♪
この話では目線が入れ替わります。
翳はミネオと蒼と一緒にミュージカルを楽しむが
その帰りに、高2の時の事件で亡くなったEmiの
双子の兄を偶然見かけた。
ミネオが実家に帰った後、翳は蒼のマンションに行く。
そこへ高2の事件以来、疎遠になっていたヒロからTELが来て
部屋にやってくる。
死んだはずのEmiを歌舞伎町で見たという。
一人芝居のアリスの衣装そのままの姿で・・・
しかもEmiのスカートは真っ赤にそまっていたという。
おりしも歌舞伎町界隈では若い女を狙う切り裂き魔が
出没していて、何人も殺されているらしい。
Emiは死んでいなかったのか?
切り裂き魔との関連は?
ここでは犯人目線で語られている章もあるので
どうやって蒼が真相を見極め、犯人をあぶりだすかを
翳目線で追いかけるので、今までとは違った楽しみ方ができる。
更に自分が蒼の事を苗字で呼んでいるのに、ミネオやヒロが
香澄と名前を読んでいることに嫉妬してみたり
蒼のブレーンにはすごい人が揃っていると想像を膨らませ
ありがちながらも、深春のことを着物の似合う和風美人だと
思い込んでいるのが笑える。
あぁ~早く会わせてあげたい。
この事件の時、京介は本編「月蝕の窓」で別の場所にいます。
蒼が京介の所に行く暇がなくて本当によかったぁ~
「カゲリへ・・・」
これは特別書き下ろしで、翳への手紙というか思いを
書き留めた手記のようになっている。
色々と聞きたいのに聞かないカゲリに対しての蒼の気持ち。
うん!カゲリなら蒼の過去の事を知っても
ずーーーーっと友達でいるだろうと思う。
あぁ~なんか気持ちがあったかくていなぁ~
建築探偵桜井京介の事件簿
第一部
シリーズ1作 「未明の家」
シリーズ2作 「玄(くろ)い女神」
シリーズ3作 「翡翠の城」
短編集「桜闇」
シリーズ4作 「灰色の砦」
シリーズ5作 「原罪の庭」
第二部
シリーズ6作 「美貌の帳」
シリーズ7作 「仮面の島」