翡翠の城/篠田真由美 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

翡翠の城―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)/篠田 真由美
¥820 Amazon.co.jp

長く一族支配が続いた名門ホテルで、内紛が持ち上がった。
創業者の娘で95歳になる老女が今も住む別邸・碧水閣の
取り壊しをめぐり意見が対立、骨肉の争いに発展したのだ。
湖に沈んだ焼死体、血染めの遺書。
沼のほとりに佇む異形の館に封印された、
百年にわたる秘密とは。
桜井京介が鮮やかな推理で解き明かす。

-------------------------

建築探偵シリーズ 第三弾


名前だけの登場だった神代教授がようやく帰ってきました。
理想の教授像を絵に描いたようなナイスミドル(〃▽〃)ポッ♪
お客様に対する紳士的な振る舞いにドキドキ。
蒼くんを猫っ可愛がりしてるところもまたステキ。
しかし!京介や深春に対してはベランメェ調の江戸弁?
この凄まじいギャップが、もの凄くよいわぁ~(^◇^;)


そして神代教授ったら、このシリーズ1巻に登場した
杉原静音さんとお知り合い。
今回の事件?は、この杉原さんから持ち込まれました。
神代教授ったら、京介の指導教授やってるだけあって
なかなか抜け目がない。


京介が修論で取り上げる予定の建築家が、
杉原さん紹介の一件に関わっているらしいと・・・
これは行くしかないでしょう。


ということで神代教授、京介、深春、蒼の4人は

日光へ向かう。
目的の碧水閣に直接出向けるかと思いきや
その手前にある一族経営のオグラ・ホテルに招待される。
別邸である碧水閣に住んで(幽閉されて)いる
95歳になる真理亜が入院したという。


95歳にして圧倒的な権力を誇る真理亜。
過去に一族の3人が自殺しているという碧水閣。
真理亜の死と碧水閣の取り壊しを望む一族。
真理亜を守ろうと入院先すら教えない孫の星弥。
星弥の母もまた、碧水閣で自殺している。
対立と内紛。受け継がれた血の呪い?


見せられた碧水閣の異様さ。
深夜に碧水閣の前で襲われた深春。
深春を追いかけた京介と蒼が碧水閣近くで見たヘッドライト。


そして碧水閣前の碧沼に浮かぶ焼死体。
犯人は?その動機とは?



このシリーズで何がいいって
どんでん返しの持って行き方がキレイです。
色んなどんでん返しで驚かされてきましたが
真実がわかった時の読み手の受け取り方が違うんですよ。


ミステリなら驚愕させてくれた方が面白いのかもしれないけど
京介は、建物から人の思いを読取ることが仕事だと言っている。
だから彼が最後の種明かしを淡々と語る中で
捻れた糸を1本1本根気強く解いていった結果
見えてきた真実に「そうだったのか!!」ではなくて
「あぁ~そうだったのね・・・」と思わせる。
驚愕ではなくて、ジーンとするんですよ。


ジーンとするのにも色んな感情があるわけで
その巻ごとに、色んなジーンが後を引きます。


今回も蒼くんは危険な目に遭います。
蒼くんって16才なのに、本人も自覚してる通り弱いです。
いつも皆に守られていて、イメージ的には
中学生と言った方がシックリくるのよね・・・
過去に悲惨な体験をしてるであろうことは
ちょこちょこと小出しに出てくるのでわかるけど・・・

でも昔の記憶と戦ってるところは健気です。


そんな蒼くんがオグラ・ホテルに泊まった時
嫌な夢を見て飛び起きます。
夜型の京介が隣の部屋で起きているんだけど
そんな蒼くんの話を「話してごらん」と言って
最後まで聞いてあげて、更に蒼くんが安心するように
諭してあげる京介がステキOo。。( ̄¬ ̄*)


そして別の意味でトキメイタのが
蒼くんが怖い夢を見た理由を京介が
「最近、アン・ライスの『魔女の刻』でも
 読んだんじゃないか?」
というところ。


魔女の刻(とき) (徳間文庫)
mokkoの現実逃避ブログ-1106majo

これが興奮せずにいられるか!!
アン・ライスのシリーズなのよぉ~!
これも一族通しての呪いみたいなもんだからさぁ
っていうか京介が読んだ本をmokkoも読んでたってのが
めっちゃ嬉しかったのぉ~v(〃>∇<〃)v

絶版みたいだけど・・・(-。-;)


そして京介が修論で取り上げる予定の建築家は
実在した不遇の建築家:下田菊太郎
彼のことも本書の中で色々と書かれてます。
今回は建築探偵らしく、建築家やら建築様式の話しが多いです。


その中の1つが「帝冠様式」
鉄筋コンクリート造の現代建築に瓦屋根を載せた
和洋折衷の建築様式
を「帝冠様式」という。


本書の中で、蒼くんが星弥と一緒に勉強の為に訪れたのは
上野にある東京国立博物館本館(旧帝室博物館)

mokkoの現実逃避ブログ-1106


mokkoの現実逃避ブログ-1106博物館02

コンドルが設計後、震災で壊れ
昭和天皇即位を記念して立てられたそうです
1937(昭和12)年築


何度か行ってるのに、全然気付いてませんでした(^◇^;)


今回は色んな意味でオイシカッタわぁ~
最後がちょともの悲しい雰囲気になっちゃったけど・・・


さて、文庫落ちしてるシリーズをまとめて購入しないと♪
恵さんじゃないけど、ノベルス版にも
手を出すんだろうなぁ~( ̄▽ ̄;)ゞ