桜闇/篠田真由美 | mokkoの現実逃避ブログ

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桜闇 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)/篠田 真由美
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艶やかに咲く枝垂れ桜の下で、老人が毒を盛られた。
容疑者は彼の美しい妻、だが物証はない。
事件を目撃した桜井京介は不可能犯罪の謎を
解明したはずだったが?
十六歳の日の忘れえぬ事件を語る表題作を始め、
眩暈を誘う「二重螺旋」四部作など、
魅力的な十の謎を収録。シリーズ初の短編集

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なんてオイシイ短編集でしょう。
シリーズの間を埋めるサイドストーリー集ですね。
二重螺旋シリーズでは、図面が欲しい。
想像してると、脳みそが捻れそうになります(^◇^;)

しかし、読み終わった後に、画像を探したら

自分の妄想力の凄さを改めて認識しました(○ ̄m ̄)

一応、リンク貼ってありますから、先に確認したい人は

現物を見ておくと脳みそが捻れなくて済むかも・・・


京介ファンには美味しい話しでもあります。
最後に付いている年表もありがたい。
出された作品がどの時代だったのかが一目瞭然。
「原罪の庭」のネタバレが含まれています。
少なくとも第一部を読み終わってから読んだ方がいいです。


【ウシュクダラのエンジェル】
1995年10月。「翡翠の城」の事件の1ヶ月後。
蒼が高校に編入する前、京介が思い出として蒼に語ります。
京介が高校卒業後、トルコを旅してた時のお話です。
年齢に誤差があると思っていたら、1年間は
旅に出ていてブランクがあったのねぇ~
海外を放浪するのは深春だけだと思っていました(^◇^;)


幻想的な話しなんだけど、約10年も前の出来事なのに
未だに京介を照れた表情にさせるって事に
もの凄く嫉妬しちゃいました。


【井戸の中の悪魔】二重螺旋4部作 1
1996年の秋。「美貌の帳」の最中に深春と蒼に語るお話で、
京介が高校卒業後、イタリアを旅してる時の出来事です。
面識の無い相手から、意味不明の悪意をぶつけられるのって
もの凄い恐怖だと思います。
京介が前髪で顔を隠す理由の1つはここにあるとみた。


食前食後にこの章を読むのはお勧めしません。
食間に読むのが無難かと・・・
警告を守らないと後悔することになりますよ・・・
京介や蒼がよく遊びに行く深春のアパート
探したくなります。
ここに出てくる螺旋の写真付き解説は→こちら


【塔の中の姫君】二重螺旋4部作 2
1997年3月「美貌の帳」の次の年のお話で深春が語り役です。
京介と深春がいるのはベトナム。
ツアー添乗員の手伝いという深春にとっては一石二鳥の
バイトのはずだったけれど深春の名前と真っ直ぐな性格故に
とんだ災難に見舞われる。
キャラの役割としては、仕方ないとはいえ深春、怒ってます。
つきあい10年目にして京介をぶん殴って絶交宣言しちゃいます。
いやはや・・・
ここに出てくる二重螺旋は→こちら


【捻れた塔の冒険】二重螺旋4部作 3
1997年8月~10月。
「未明の家」に出てきた遊馬理緒が登場します。
蒼と仲良しの朱鷺の妹であり、建築探偵に正式依頼してきた
最初のお客様でもあります。


理緒が所属していた乗馬クラブの指導員・夏木から
話しが持ち込まれたんだけど、
夏木の幼馴染が京介のストーカーだった!
一応、謎は解決するんだけど・・・
こちらの二重螺旋は→こちら


【迷宮に死者は棲む】
1998年4月。蒼は浪人デビュー!しかも確信犯!
京介が行く予定だった神戸経由で深春の友人のいる
尾道に蒼と3人で行く事になったのだが
深春の友人の姉は深春の事が好きだった?


建物に纏わる心の捻れを京介が解くという意味で
短編とは言え、建築探偵らしいお話でした。
最後のシーンがメチャメチャ好き♪
尾道での和洋折衷の家はたぶん→こちらの斉藤一美の家?


【永遠を巡る螺旋】二重螺旋4部作 4
1998年10月。京介は通訳のバイトでフランスに行ってます。
「捻れた塔の冒険」で夏木を心の闇から解放した京介だったが
そのせいで別の悪意を向けられる事になる。


「捻れた塔」のストーカーも今回の悪意も
一方的な歪んだ思いと執着に吐き気がする。
こういう奴が実際にいると思うと余計に嫌だ。
しかもこれ、まだ続きそうな気配がする・・・
うあぁ~最悪だぁ~
こちらの二重螺旋は→こちら


【オフィーリア、翔んだ】
初老の男の目線で語られています。
酒場のカウンターに座っていた青年に「死」について
いきなり問いかける初老の男。
男の妻は密室状態の家から姿を消し、数日後、
近くの川で死んでいた。
男の話から推理した結果を無表情に、そして冷酷に
初老の男性に突きつける青年=京介


一方的な思いというのは実に厄介だ。
それが愛だろうが悪意だろうが一方的である以上
単なる押し付けであり執着でしかない。しかも歪んでる。
相手の存在を無視した思いって本当に不愉快なのよねぇ


【神代宗の決断と憂鬱】
1998年12月。
神代教授が京介を呼び出して、相談事をするんだけど
その中で教授の生い立ちも語られます。
結構複雑だったんですね・・・
だからこそ、京介や蒼を見守っていられるんだよね・・・
もう本当に大好きだわぁ~


語られはしなかったけど、教授は京介の秘密の一部分を
知っているんだろうなぁ


【君の名は空の色】
1999年3月。間もなく蒼も20歳ですよぉ~
っていうか「原罪の庭」のネタバレなので要注意!


蒼が「原罪の庭」での惨劇のあった場所に
深春を誘います。
京介でも教授でもなく深春を誘ったってのも
蒼らしいなぁ~
深春もある程度の話しは聞いていても、
アノ場所に行くのは初めてだったのですよ。


蒼は直感像記憶(一度見たものを鮮明に記憶する)の

能力を持っているので、蒼が思い出すものは

どんなものでも過去ではなく「今」として鮮明に浮かび上がる。

こんな残酷なことはない。


深春との出会いや、「原罪の庭」のエピローグで
蒼が語っていた事が細かく語られています。
もうね・・・やっぱりね・・・泣いちゃうよぉ(/□≦、)


【桜闇(さくらやみ)】

1999年4月。京介が蒼と散歩がてら
高校1年の時に巻き込まれた事件の場所へ向かいます。
「玄い女神」の冒頭に出てきた高1の時の思い出の
直後の出来事になります。


1984年12月~4月。
拉致同然で連れて行かれた邸宅。
日本の気候には合わないスペイン風の中庭と
冬の枝垂桜の木。突然降ってきた死。
そして再度訪れた邸宅の満開の枝垂桜の元、
あの人との再会・・・
あの頃の自分に語りかけるように回想する京介。


どうしても京介には「死」のニオイがつきまとう。
それを引き止めているのが蒼の存在だと思う。
無条件に蒼を受け入れているのは、京介の秘密と
あの人に言われた言葉。


シリーズ最後に京介の秘密が語られるらしいけど
死ぬんじゃないかと心配で心配で
著者のサイトを覗きに行きましたよぉ~
どうやら殺さないでくれるらしいから安心はしたけど
教授にさえ触れさせない京介の秘密が気になる・・・



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建築探偵桜井京介の事件簿


第一部

シリーズ1作 「未明の家」


シリーズ2作 「玄(くろ)い女神」


シリーズ3作 「翡翠の城」


シリーズ4作 「灰色の砦」


シリーズ5作 「原罪の庭」


第二部

シリーズ6作 「美貌の帳」

本作 短編集 「桜闇」