また本を読んでしまった。
途中で止められないのよねぇ~
おかげで寝不足だわよ(-。-;)
原罪の庭 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)/篠田 真由美
¥770 Amazon.co.jp
ガラスの柩を思わせる巨大な温室の中で惨殺された病院長一家。
その血塗られた密室に置かれたチェストで、
天使のようにまどろむ七歳の少年。
ただ一人生き残った彼は、しかし言葉を失っていた。
闇に閉ざされた魂を救うため、最大の謎「薬師寺家事件」
に挑む桜井京介。
建築探偵シリーズ第一部の掉尾を飾る傑作。
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悲し過ぎたり辛過ぎたりするのを我慢すると
喉に大きな石の塊が詰まっているように感じる。
激しい怒りを我慢していると、頭が痛くなる。
この本を読んでる間は、その痛みから逃れられない。
そこまで激しい感情が湧き上がるのは
このシリーズを順番通りに読んできたからだと思う。
著者あとがきで「読む順番が変わると感想や楽しみ方が
変化するという現象が起こっている」とある。
確かにその通りだと思う。
1巻~3巻までを通して、語り手の「蒼」が訳ありで
悲惨な経験をしているであろうことは想像できる。
なのに3巻の「翡翠の城」の感想に、あろうことか
15歳にしては、蒼は弱すぎるとmokkoは書いた。
本作を読みながら、何度も蒼に詫びましたよ。
3巻までの間に、何気なく書かれていた登校拒否の理由や
「蒼」であることや「お守り」の事が本作で全てわかり、
想像以上に壮絶な過去だったので、もの凄く痛かった。
だから本作を先に読んでから、前の巻に戻るなら
その理由がわかって読めるから感想が変わって当然。
ただし、mokkoのような激しい感情は湧かないかも・・・
時系列でいうと2巻(玄い女神)、4巻(灰色の砦)
5巻(原罪の庭)、1巻(未明の家)、3巻(翡翠の城)となります。
でも順番に読むことをお勧めします。
深春とふざけあっている明るい蒼を知らなければ
感情的なものは半減するし、
謎が解ける瞬間の感動は、味わえません。
今回は重要なキャラ「蒼」の過去の話です。
前作「灰色の砦」の3ヵ月後の設定で
京介は20歳になっています。
自分を責めるあまり、病んだ状態にあった京介だが
その状態から復活するきっかけになったのは
神代教授が昔の知り合いに頼まれて机の上に乗せていた
3年前の一家惨殺事件のコピーだった。
薬師寺家で家族4人が殺された。
祖母はベッドで薬を飲まされ、両親と夫の前妻の連れ子は
密室である温室で惨殺死体で発見され、
そこには生き残った7歳の薬師寺香澄がいた。
(惨殺現場の描写はグロイので、苦手な人は注意)
現場の状況から香澄が疑われたが彼は言葉を失い、
闇に囚われていた。
事件の取材をしたがる女ルポライター。
香澄が犯人であると決め付け上で立てられた仮説に
事実を強引にあてはめた物言いにハラワタが煮えくり返る。
どういう訳か京介になついた香澄は
成り行きで神代宅であずかられる事になった。
絶えず京介の動きを追っているのに目は合わせない。
そんな香澄を母親のように見守り世話をする京介。
「彼を傷つける人間がいれば殺せますよ、僕は」
それは京介が忌まわしい過去を背負っているからこそ
言える言葉なんだろうと想像します。
まだ謎のままだけど・・・
犯人や、他の登場人物についてはある程度想像つくんだけど
あんな事をした理由がわからなかった。
それは京介の口から語られる事になるのだけど
わかった時には泣きます。
あまり内容に触れるとネタバレになってしまうので
書けないのが辛いところ・・・
けれど用意されている真相には驚きました。
本作が人気だってのがわかります。
mokkoもこれが一番好きになりました。
そして京介と蒼の別れを予感させるエピローグ
やがて蒼が成長し、自分の足で歩く。
その瞬間が来ることは決して望みはしないが
そう遠くないだろうと思わざるを得ないと京介は思う
サザエさんであって欲しいと願いたいけれど無理らしい。
著者曰く、この作品世界でも時は流れているのだから・・・
(/□≦、)
それでも謎はまだまだ残されている。
神代教授と京介が一緒にいる理由と、京介の過去・・・
それはおいおい明らかになっていくのでしょう。
全然関係ない話だけど、いつか猫さんを飼いたい
・・・と思っている。
猫さんの名前は決めていた。
京極堂の飼い猫と同じ名前の「柘榴(ざくろ)」
だけど、本作を読んだら、迷いが出てきた。
京介が過去に飼っていた猫さんと同じ名前もいい!
さて困ったぞ・・・
それにしても子供の頃の仲良しが猫さんで
保護者がジャーマン・シェパードだった京介って・・・