533冊目 キース・ジャレット 人と音楽/イアン・カー | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「キース・ジャレット 人と音楽」イアン・カー著

カルテット、ソロそしてクラシック演奏からスタンダーズ・トリオまで、多彩な演奏活動を繰り広げる中に一貫して自らの音楽を追求してきたキース・ジャレットの素顔を描く。ジャズ・ピアニストキース・ジャレット初の評伝。


実は3年半前から、ピアノ教室に通ってます。。。( ´艸`)

きっかけは娘(小4から習ってる)が中学の卒業式で、卒業ソングの伴奏を任された時 にピアノを買った事で、それまで私も、ジャズ、特にキース・ジャレットの大ファンでピアノが弾ければな~、とは思ってました。


結果、ピアノが来て一番夢中になったのが私で、そのまま勢い余って教室に通いだしたという訳です。


現代ジャズピアニストを代表するキース・ジャレットの特徴を一言で言えば、その神懸かり的なインプロビゼーション(即興)であろう。

その代表作として、ジャズ史に燦然と輝く「ザ・ケルン・コンサート」のソロピアノは、クラシック、フォーク、エスニック、ゴスペルのエッセンスを凝縮し、単なるジャズの名盤と言うにはとどまらず、各界から称賛を得た。

天から神が舞い降りたとも表現されるこのキースの即興演奏を、当時(といっても発売の10年後)ロックしか聞かなかった私も、レコードが擦り切れるほど聞いた。


その後の、ジャズ史上最強とも言われるピアノトリオ「スタンダーズ」も伝統的なジャズスタンダードに新たな息吹を吹き込み、極上のインタープレイを展開する。


キースがピアノを弾く姿は、体をくねらせ、足を踏み、奇声を発しながら全身で音楽を表現している。

表現するというのはちょっと間違った言い方かもしれない。


本書にも出てくるが、それは奇跡の音楽を奏でるための儀式と呼んでもいいかもしれない。

要するに、キースは神と音楽の間の媒介、霊体験におけるシャーマン的な存在であり、その動作は神を迎える為の儀式であるのだ。


キース以上にピアノを巧く弾けるピアニストは何人もいるだろう、キースの音楽はジャズではないという人もいるかもしれない、が、キースほど魂を揺さぶり、人には真似のできない自分の音楽を確立している人を私は他に知らない。

キースはジャズを題材にしているが(過去にはクラッシックにも取り組んだ)、キースの音楽はジャンル分けなど出来ない、キース・ジャレットというジャンルの音楽なのである。


ピアノ教室で教則本が一区切りつき、次は自分の好きな曲を弾くことになった。

もちろん私は、キースが弾いている曲がやりたくて、このところ片っ端からキースの演奏を聞き直している。

が、本書を読み、演奏を聴いているうちに、到底無理だという事を悟った。

キース風に弾くことは出来るかもしれないが、自分の内面から奏でた音楽でなければ、自分自身も聴衆にもその音楽は心に届くことはないと。


まあ、それ以前に楽譜通りに弾くことさえ不可能なんですが。。。(。>0<。)

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