一から学ぶ東洋医学 No.2 西洋医学との違いは? | 春月の『ちょこっと健康術』

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こんにちは 

「一から学ぶ東洋医学 No.1 東洋医学とは?」の中で、「医学としての考え方のもとが、西洋医学は外科学にあり、東洋医学は内科学にあると言われます。」なんてことを書きましたが、今日は、東西の違いについて、あらためて考えてみましょう。

そこで、「東洋医学の本あれこれ」でご紹介した本やその後に買い込んだ本を、再度チェックしてみました。ここでは、西洋医学(現代西洋医学)をにし 、東洋医学(中国伝統医学をベースとする狭義の東洋医学)をひがし としますね。

(1) 学問的な基礎: にし は自然科学、ひがし は自然哲学

鍼灸学校の教科書、『新版東洋医学概論』(医道の日本社)に書かれています。ん~。ひがし の根底にあるのは『気の思想』ですから、まさに自然哲学よね。ただ、こうして並べてしまうと、ひがし が科学的じゃないような印象を与えてしまいそうな…。いやいやいや、自然科学は自然哲学に含まれるものだから、いいのか!

自然科学は自然哲学の一部。そこのところ、だいじ。洋の東西を問わず、科学は哲学的な思索と疑問から始まった。ずいぶん前にも書きましたけど、現代科学が「気」の存在を証明できるほどには発達していないだけで、実はひがしのほうが科学の先端を行っているのかもしれませんよ。
 
(2) 身体のとらえ方: にし は組織や器官などの集合体、ひがし は統一性をもった一個の有機体

『新版東洋医学概論』や『プロが教える東洋医学のすべてがわかる本』(ナツメ社)、『図解東洋医学のしくみと治療法がわかる本』(ナツメ社)、『図解よくわかる東洋医学』(池田書店)など、多少の表現の違いはあるものの、ほぼすべての本に書かれています。

この考え方を受けて、『イラスト図解東洋医学のしくみ』(日本実業出版社)は、「にし をミクロの医学、ひがし をマクロの医学」としていますし、『プロが教える東洋医学のすべてがわかる本』は「にし は病気を診る、ひがし は人を診る」ため「にし は既製服、ひがし はテーラーメイド」としています。

ホリスティック医学という考え方が生まれたときに、にし を補完するものとしてひがし が注目を浴びたのは、この違いによるものです。最近ではにし も、診察や治療において、病気だけでなく患者自身の生活や背景を含めた全体像を診るようになりつつありますね。少しずつですけど。

思うににし でも、今ほど検査技術が進む前は、医師の問診はけっこう多岐にわたっていて、時間もかけていたはず。病気の状態や原因をさぐるために、少しでも多くの情報を得ようとしていたはずだから。となると、けっこう全体を診ていたはずで、そう考えると、回帰しているとも言えるかも?

(3) にし の予防医学、ひがし の養生

最近は、にし の予防医学として、DNA検査の結果、ガンになりそうな臓器をならないうちに切除するなんてことも行われていますね。アンジェリーナ・ジョリーさんが、乳房に続いて卵巣と卵管を切除したニュース、記憶に新しいでしょ? まだ健康な臓器を取り除くことには賛否両論あって当然ですが、彼女は「選択肢のひとつとして考えてほしい」って言ってましたね。

まぁこれは極端な例ですが、ほかにも保健施設での運動指導や栄養指導が盛んになってきていたり、リハビリテーション技術を活かした運動に特化したデイケアセンターが登場していたり、健康維持に関する研究も増えてきたり。「医療費削減には予防が一番」と気づいた政府の関与も大きいけれど、いいことじゃないでしょうか。

ひがし にとっては、予防第一なのはしごく当たり前のこと。医師の数も薬の量も十分でない中、多くの民を病気から守るには、病気にならないよう指導していくのが、実は一番手っ取り早いと、古代中国の医師たちは知っていたからじゃないかしら。

そう、「未病を治す」「あらためて未病について考えてみる」「四時陰陽は万物の根本」などでご紹介したように、「養生」こそがひがし の真髄なんです。だからこそ、未病をみつけて治せる医者がもっとも優秀とされた。そして、導引(どういん)や薬膳も発達したのでしょう。

導引というのは、呼吸に合わせてからだを動かすことで、からだの内外ともにきたえる養生法。『荘子』の中で、「気功と肢体運動を兼ねたもの」と説明されています。簡単に言えば、呼吸法を加味した健康体操ってとこかな。

導引で有名なのは、『三国志』にも登場する華佗(かだ)が編み出した五禽戯(ごきんぎ)でしょうか。虎・鹿・熊・猿・鳥の五種類の動きを特徴的にとらえて型にしたもの。一説には、太極拳のもとになったとも言われています。

「気の思想」や「統一性をもった一個の有機体」については、後日あらためてお届けします。

「東洋医学の本あれこれ」をアップしたときには発売されていなかったためご紹介できず、今回引用している『プロが教える東洋医学のすべてがわかる本』(ナツメ社)。東洋医学全般についてコンパクトにわかりやすくまとめられていて、鍼灸師の漢方ハンドブックとしても利用できるのでおススメですよ。

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一天一笑、今日も笑顔でいい一日です。

 
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