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![本気で怒ったらどうなる?](https://stat.ameba.jp/common_style/img/home_common/home/ameba/allskin/ico_kuchikomi2.gif)
昔々、春秋時代(紀元前770~403年)の中国のお話です。斉(せい)の国の閔王(びんおう)が、長患いに苦しんでおりました。宋(そう)の国に文摯(ぶんし)という名医がいると聞いた太子は、さっそく使いを出します。
文摯は閔王を診た後で、「王様の病気は必ず治ります。しかし、病が癒えたとき、王様は必ず私を殺すでしょう。」と太子に告げます。
ワケのわからない太子がその理由をたずねると、「王様を怒らせれば、この病気は治ります。けれど、わざと王様を怒らせた私が許されるはずがありません。」と文摯は言います。
父王を心配する太子は、「もし先生が王様の病気を治してくださるならば、母と私とが命をかけて王様をいさめ、先生を守ります。どうか、お願いします。」と頭を下げました。太子の願いに、他日再訪して閔王の治療にあたることを約束し、文摯は帰ります。
その約束の日、いつまで待っても文摯は現れません。閔王は怒りを抑えながら、次の約束を取り付けますが、やはり文摯は現れません。これをもう一度繰り返し、4度目にようやく訪れた文摯は、靴をはいたまま王様の寝台に上がり、それでもなお怒りを抑えている王様に、気に障る言葉をあびせます。
これでは、さすがの閔王も怒りを爆発させます。「いかな名医であろうとも、このような無礼千万、許すことはできぬ。」とばかりに、王后と太子のいさめも耳に入りません。そうして、文摯は釜茹での刑に処せられてしまいます。
3日3晩ゆでられて、それでもなお顔色一つ変えず文摯は閔王に言います。「私を殺そうとされるならば、なぜ顔を下に向けないのですか?顔を下にされれば、たちまち陰陽の気が断たれ、私は絶命するでしょう。」
で、その通りにされて文摯は亡くなってしまうのです。あ~ぁ。閔王はというと、病状が一変して、みごとに長患いから解放されます。さすが!名医、文摯。でも、死んじゃったら、元も子もないよねぇ…。
っていうか、3日3晩の釜茹でで死なない時点で、せっかくの話が嘘っぽくなってるよねぇ(笑)。まぁ、考えようによっては、そうされても死なずにすむ秘伝を知っているほどの名医だったと、強調したかったのかもしれません。
この物語の背景にあるのは、王たるもの、そうそう簡単に怒ったりはしないということ。そんな王様を怒らせたら、その怒りは容易に解けないということ。そして文摯には、それを承知で治療に臨む以外に道はなかったこと。だって、王族の依頼は断れないでしょ?
そして、東洋医学的には、閔王は、憂慮が過度にあって、脾土が鬱結したために、長患いになった。怒りを爆発させることによって、肝木の発泄で脾土の鬱結を取り除いた。すなわち、木克土の五行理論(→東洋医学講座No.7 )をもとにした治療法だったと考えられています。つまり、「東洋医学にみるストレスと健康の関係」にある「怒は思に勝つ」方法ね。
また、陰陽の気が断たれるというのは、ここでは、呼吸ができなくなることを言っています。釜茹での状態で顔を下に向けるってことは、顔を湯につけることであって、呼吸できないでしょ?
ということで、怒りが病気を治すこともあるという話でした。ちなみに、春月は本気で怒ったら、たぶん無言になります。なんで「たぶん」なのかって?だって、本気で怒るなんて、幼少期以降経験してないもの。怒るのって、体力使うじゃない?(笑)
一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。
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